16.農 産 加 工

1.性   格

(1) 「農産加工」は,農業経済や農村生活を豊かにすることを目的として,農産物あるいは副産物の利用価値を高めることを学ぶ科目である。

(2) 「農産加工」は,農産加工課程のほか,これを必要とする他の課程においても履修されるものである。

(3) 「農産加工」は,「理科」・「農産化学」・「応用微生物」を基礎とし,「作物」・「園芸」・「畜産」などと緊密な関連をとって学習するものである。

2.目   標 (1) 農産物の組成や性質に応じて,合理的に加工したり,貯蔵したりする技能を養う。

(2) 農産加工の技術の根拠となる科学的な知識・理解,およびこれを改善するために必要な知識を養う。

(3) 農産物の利用について,創意くふうする態度を養う。

(4) 郷土の自然的,社会的,経済的な環境と農産加工との関係を理解する。

(5) 農産加工の経営に関する社会的,経済的な知識・理解を養う。

(6) 農業経営の中に農産加工を取り入れ,これを改善する能力を養う。

(7) 農産加工を通じて,食品を衛生的に管理する能力を養う。

3.具体的な到達目標
 
〔技   能〕
〔一般的な知識・理解〕
1.郷土における農産加工の生産計画をたてることができること。

2.加工用機械の取扱と,分解・組立ができること。

3.原料や製品の品質の鑑別ができること。

4.製品の包装・荷造ができること

5.製品の原価計算ができること。

6.製品の栄養について知ることができること。

7.微生物の鏡検と培養ができること。

 

8.ボイラーの取扱ができること。

9.精米・精麦の操作ができること。

10.米・麦の精白程度の判定ができること。

11.強化米がつくれること。

12.各種製粉ができること。

13.小麦や粉の品質検査ができること。

14.うどん・そば類がつくれること。

15.食パンや菓子パンがつくれるとこと。

16.パン酵母の発酵力試験ができること。

17.麦芽・もやしがつくれること。

18.麦芽やこうじの糖化力の検定ができること。

 

19.豆腐をつくることができること。

20.豆乳の擬固実験ができること。

 

 

 

21.納豆がつくれること。

22.さらしあんがつくれること。

 

23.ピーナッツバターがつくれること。

24.でんぷん製造ができること。

 

 

 

 

25.でんぷんの品質検査ができること。

26.水あめ・ぶどう糖がつくれること。

27.甘酒がつくれること。

28.こんにゃくがつくれること。

29.かんづめ,びんづめ機の調整ができること。

30.各種野菜やくだものの,かんづめ・びんづめができること。

31.かんづめ・びんづめの検査ができること。

32.ジャム・ゼリー・マーマレードがつくれること。

33.果実の酸・ペクチン・糖分の測定や,ゼリーポイントの判定ができること。

34.果じゅう(汁)の製造ができること。

35.果じゅうの清澄実験ができること。

36.乾燥野菜や,乾燥果実がつくれること。

37.製品中の亜硫酸の有無が調べられること。

38.かきの渋抜きができること。

 

39.各種のつけものができること。

40.塩度の差異によるつけものの貯蔵試験や,酸度の測定ができること。

41.トマトピューレーやケチャップ・ソースなどができること。

42.茶の製造ができること。

43.茶葉中のティーンとタンニンの検出ができること。

44.搾油機の取扱ができること。

45.油脂の精製ができること。

46.油脂の鑑別と鑑定ができること。

47.植物繊維の調製ができること。

 

48.各種こうじの製造ができること。

49.みそ・しょうゆがつくれること。

50.アミノ酸がつくれること。

51.ぶどう酒の製造ができること。

 

 

 

 

 

 

 

 

1.農産加工は,農業経営を合理化し,食生活を豊かにし,その改善に寄与するものである。

2.農産加工には,原料・原理・方法などにより,いろいろな分け方がある。

3.農産加工品の製造や販売は,協同でおこなうほうが有利の場合が多い。

4.農産加工の規模は,原料・労力,製品の販路などを考慮して決める。

5.農産加工品の製造・販売については,食品衛生法によらなければならない。

6.微生物には,農産加工に有用なものと,有害なものとがある。

7.ボイラーの取扱には関係法規がある。

8.精白の程度は,目的により異なる。

9.白米強化の方法には,パーボイルド法・浸せき法・被覆法などがある。

10.加熱装置付押麦機によると,良好な製品が得られる。

11.めん類やパンは,小麦粉中のグルテンの粘性を利用してつくったものである。

12.パンは酵母によるアルコール発酵や,ふくらし粉から出る炭酸ガスの作用などでふくれる。

13.パンは,粉の品質,副原料の使用量などが,製品に大きな影響を与える。

14.麦芽をつくるとき.発芽の均一と発芽の程度は,麦芽の品質に影響をする。

15.麦芽・こうじ中のアミラーゼは,でんぷんを糖化する。

16.大豆のたんぱく質(おもにグリシニン)は70°C以上で,ニガリや硫酸石灰などを入れると固まる。

17.豆腐の品質は,凝固剤の種類や用量,入れ方などにより著しく異なる。

18.納豆・こうじができるには,適度な温度・湿度・酸素が必要である。

19.納豆の製法には,純粋培養菌を使用する方法と,稲わらを用いる方法とある。

20.さらしあんは,原料の煮熟程度,水さらし,乾燥工程などが品質に大いに影響する。

21.ピーナッツバターは,食塩のほか,カルシウム・ビタミンなどを加えるとよい。

22.でんぷんの分離法には,沈殿法・遠心分離法・ろ過法などがある。

23.水あめは,でんぷんを酸で分解してつくることもある。

24.水あめは,でんぷんの精製が製品に大きな影響を与える。

25.水あめや甘酒の糖化程度はでんぷんのヨード反応で調べられる。

26.糖化酵素は,温度やpHにより,その作用に強弱がある。

27.こんにゃく中のマンナンは,アルカリを加えて加熱すると,半透明状に凝固する。

28.かんづめ・びんづめの殺菌温度や時間は,原料・容器・注加液の種類や濃度・pHなどによって異なる。

29.脱気の方法には,ポイント脱気・詰込脱気・加熱脱気・真空法などがある。

30.ジャム類のゼリー化には,酸・ペクチン・糖が適度に含まれていなければならない。

31.果じゅうには,透明果じゅうと不透明果じゅうとがある。

32.果じゅうの清澄には,酵素法・ろ過法・静置法などがある。

33.果実や野菜の乾燥法には,日乾・風乾・火力乾燥などがある。

34.乾燥果実をつくるときは,いおうくん蒸すると,よい製品ができる。

35.かきの渋抜きは,湯・炭酸ガス・アルコールなどでおこなわれる。

36.つけものは,いろいろの条件によって,つかる速さが異なる。

37.つけものは,脱水・発酵・浸透などの作用によって熟成する。

38.トマトの色素リコピンは,きわめて不安定である。

39.茶葉中のティーンやタンニンは,栽培方法・採葉時期・品種などによって,その含有量が異なる。

40.採油の方法には,圧搾法・抽出法などがある。

41.前処理(いる・蒸す・圧ペん)のじょうず・へたは,搾油率に大きな影響を与える。

42.油脂の精製には,物理的方法と化学的方法がある。

43.繊維作物の収穫期の適否は,製品の品質や歩どまりに大きく影響する。

44.種こうじは,純粋培養したこうじ菌を,米やふすまなどに培養してつくる。

45.みその熟成期間は,用いる食塩の量,こうじの量,温度などによって異なる。

46.みそ・しようゆの原料の種類・品質・配合割合などは,製品の品質に著しい影響を与える。

47.しょうゆには,醸造しょうゆのほか,化学しょうゆ・新式しょうゆなどがある。

48.酒類を製造するには,酒税法を知る必要がある。

49.酒類には原料や製法によっていろいろな種類がある。

4.教 育 内 容

1.農産加工の必要と目的

2.穀類の加工

 穀類およびその利用,精米・精麦・製粉・製めん・パン類・ふ・麦芽。 3.豆類の加工  豆類およびその利用,豆腐・納豆・豆もやし・さらしあん・ピーナッツバター。 4.いも類の加工  いも類およびその利用,でんぷんの製造,でんぷんの品質と検査,でんぷんの加工と用途,切干し・いも粉・こんにゃく。 5.かんづめ・びんづめ  かんづめ・びんづめの発達,容器,一般製造法,果実のかんづめ・びんづめ,野菜のかんづめ,工場設計。 6.果実の加工  ジャム・ゼリー・マーマレード・クリスタル・果じゅう,果実の乾燥,さわしがき。 7.野菜の加工  乾燥野菜,つけもの,トマトの加工,ソース。 8.特用作物の加工  製茶・搾油・製麻・はっか。 9.醸造  こうじ・みそ・しょうゆ・酒類と酢,工場管理。
5.指導上の留意事項 (1) 農産加工課程以外で「農産加工」を指導する場合には,特に地域や他の教科との関連を考慮して教育内容を重点的に取り上げることがたいせつである。また,農産加工課程で指導する場合には,中堅技術者の養成の目的をじゅうぶんに果すよう特に考慮されたい。

(2) 教育内容は,学習単元や順序を示したものではないから,各学校は生徒や地域の必要によって具体的な教育計画をたてられたい。

(3) 学習に必要な実習・実験の材料や器具,学習方法などは,つとめて創意くふうされたい。

(4) 学習効果を高めるため,できるだけ機会をとらえて実際の工場の見学をおこなうとよい。

(5) 夜間にかけて実習する場合もあるから,計画的に宿泊当番を課し,学習効果をあげるようにすることがたいせつである。

(6) 農産加工品の製造や販売にあたっては,「食品衛生法」・「酒税法」などの関係法規を厳守されたい。

(7) 農産加工課程以外で畜産物の加工を少数時間指導する場合には,「畜産加工」の中から必要なものを取捨選択し,農産加工とあわせて指導されたい。
 
 

17.畜 産 加 工

1.性   格

(1) 「畜産加工」は,畜産物の加工・利用・貯蔵に関する事項を学習する科目である。

(2) 「畜産加工」は,農産加工課程のほか,これを必要とする他の課程においても履修される科目である。

(3) 「畜産加工」は,「理科」を基礎とし,「農産化学」・「応用微生物」・「家畜飼養」・「家畜衛生・診療」などと緊密な関連をとって学習するものである。

2.目   標 (1) 畜産物の組成や性質に応じて,合理的に加工したり,貯蔵したりする技能を養う。

(2) 畜産加工の技術の根拠となる科学的な知識・理解,およびこれを改善するために必要な知識を養う。

(3) 畜産物の利用について,創意くふうする態度を養う。

(4) 郷土の自然的,社会的,経済的な環境と畜産加工との関係を理解する。

(5) 畜産加工の経営に関する社会的,経済的な知識・理解を養う。

(6) 農業経営の中に畜産加工を取り入れ,酪農の多角的,合理的経営をおこなう能力を養う。

(7) 畜産加工を通じて,食品を衛生的に管理する能力を養う。

3.具体的な到達目標
 
〔技   能〕
〔一般的な知識・理解〕
1.牛乳の品質鑑定ができること。

2.牛乳の処理ができること。

3.クリーム分離機の操作ができること。

4.クリームの酸度検定ができること。

5.バターがつくれること。

6.加糖練乳がつくれること。

7.練乳の理化学的検査ができること。

8.レンネットの調整とその取扱ができること。

9.スターターの培養と管理ができること。

10.チーズがつくれること。

11.アイスクリームがつくれること。

12.いろいろな発酵乳がつくれること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

13.豚のと殺・解体ができること。

14.原料肉の理化学的検査ができること。

 

 

15.ハム・ベーコンの製造ができること。

16.ケーシングの良否が見分けられること。

17.肉製品の品質鑑定ができること。

18.乳製品や肉製品のかんづめができること。

19.ソーセージの製造ができること。

 

 

 

 

20.副産物(ラード・にかわなど)の製造ができること。

21.防腐剤の検出ができること。

22.卵の効果的貯蔵や加工ができること。

23.うさぎの毛皮や,皮のクロームなめしができること。

24.羊毛の簡易紡織ができること。

25.加工場の衛生管理ができること。

1.わが国の畜産加工でおもなものは,牛乳と豚肉の加工である。

2.牛乳は,栄養的にほぼ完全な食品で,いろいろな乳製品がつくられている。

3.牛乳の脂肪は,遠心力によって分離することができる。

4.パストリゼーションとは,広義には製品の商品価値をそこなうことなく,好ましくない微生物を完全に殺すことのできる熱処理をいう。

5.牛乳の殺菌法には,低温保持法や,高温瞬間殺菌法などがある。

6.バター製造原理には,ほうまつ(泡沫)説と相換説がある。

7.クリームの脂肪球の凝集は,かくはん器の回転速度と温度に影響されることが多い。

8.チャーニング異常は,いろいろな原因で起る。

9.有用乳酸菌とは,通常ホモ乳酸菌で,生酸力が強いか,または芳香性物質をつくる球菌またはかん(捍)菌である。

10.チーズは.全乳または脱脂乳を原料とし,乳酸またはレンネット酵素により擬固させたもので,熟成方法によって多くの種類がある。

11.乳製品の原料は,最も新鮮でなければならない。

12.ヨーグルトは,固形分が14%以上でなければ,カードの擬固がじゅうぶんでない。

13.食肉は,おもに筋肉組織から成り,これに結締組織や脂肪が付着している。

14.肉の死後強直は,熟成によって柔らかくすることができる。

15.肉の化学的組成は種類により,また同じ種類でも性別・年齢・栄養状態,畜体の部位などによって異なる。

16.と殺法には刺殺法・打額法・電気と殺法などがある。

17.食肉検査には生体検査,解体前後の検査および売肉検査がある。

18.豚肉は塩づけによって,風味や色をよくし,肉の粘着性を向上するとともに貯蔵性を高める。

19.ハム・ベーコン類の塩づけには,浸せき法・乾塩づけ法・注射法などがある。

20.豚肉は,くん煙すると貯蔵性を高め,独特の風味を増し,色沢・外観がよくなる。

21.着色料や防腐剤の使用には,食品衛生法を守らなければならない。

22.くず肉でもソーセージの製造により,よく活用することができる。

23.ソーセージは,つくり方によってドメスティックソーセージとドライソーセージに分けられる。

24.ソーセージの原料には,豚肉のほか,うさぎ.牛・馬の肉なども使われる。

25.獣肉加工の副産物には,にかわ・ゼラチン・血粉・骨粉などがある。

26.卵の貯蔵法には,石灰水やガラスで表面を被覆する方法や,冷蔵法・冷凍卵にする方法などがある。

27.皮の加工に用いられるのは,おもに真皮の部分であって,主としてコラーゲンたんぱく質繊維から成る。

28.羊毛は弾性や紡糸性はすぐれているが,熱やアルカリに対しては弱い。

4.教 育 内 容

1.わが国の畜産加工  畜産加工の発達と現況,畜産加工の重要性。 2.乳の加工  乳およびその利用,市乳・クリーム・バター・チーズ・アイスクリーム・練乳・粉乳・カゼイン・乳糖・発酵乳飲料,牛乳の一般検査法。 3.肉の加工  肉およびその利用,と殺・解体,ハム・ベーコン類,ソーセージ,かんづめ類,副産物。 4.卵の加工  卵およびその利用,卵の貯蔵,卵の加工。 5.毛皮および皮革の加工  毛皮・皮革とその利用,毛皮の加工,皮革の加工。 6.羊毛の加工  羊毛繊稚,羊毛の簡易加工。 5.指導上の留意事項 (1) 「具体的な到達目標」および「教育内容」は,その一例を示したものであるから,各学校は,地域や生徒の必要,季節などを考慮し,特色ある教育計画をたてられたい。

(2) 乳肉衛生の点から,科学的根拠にたつ衛生的な取扱について,周到な配慮をして指導されたい。

(3) 学習の効果を高めるため,なるべく工場の見学や実地調査を多くし,保健所などとも緊密な関連をとるようにされたい。
 
 

18.応用微生物

1.性   格

(1) 「応用微生物」は,微生物利用および食品の保存・貯蔵の原理を学ぶとともに,発酵生産およびその管理に必要な基礎的な事項を学習する科目である。

(2) 「応用微生物」は,主として実験を通じて学習するものである。

(3) 「応用微生物」は,「理科」を基礎とし,「農産加工」・「畜産加工」および「農産化学」などと緊密な関連をとって学習するものてある。

2.目   標 (1) 微生物の利用および食品の保存・貯蔵についての知識・理解を得させる。

(2) 発酵生産およびその管理に必要な技能を養う。

(3) 食品の保存・貯蔵の基礎的な技能を養う。

(4) 微生物の利用を高めようとする科学的な態度を養う。

3.具体的な到達目標
 
〔技   能〕
〔一般的な知識・理解〕
1.顕微鏡の正しい取扱ができること。

2.各種実験用器具・器械の正しい取扱ができること。

3.おもな微生物の顕微鏡観察と種類が判定できること。

4.顕微鏡写真の撮影ができること。

5.生体染色や,普通染色・グラム染色などができること。

6.いろいろな鏡検標本ができること。

7.ミクロメータによる菌体計側ができること。

8.実験器具や培養基の殺菌ができること。

9.微生物の純粋分離や純粋培養ができること。

10.菌体の保存・管理ができること。

11.酵母の細胞数の計測ができること。

12.酵母の発酵力の測定ができること。

13.各種培養基の調製ができること。

14.斜面培養・平板培養・液体培養などができること。

15.各種防腐剤の試験ができること。

16.酵母の通気培養ができること。

17.酵母の糖類発酵性試験ができること。

18.こうじの酵素力(アミラーゼ・プロテアーゼ)の試験ができること。

19.種こうじをつくることができ,製品の鑑定ができること。

20.酢酸菌による酢酸発酵をおこない,管理とその収量の測定ができること。

21.乳酸発酵をおこなって,その生産物を定量できること。

22.乳酸菌により,たんぱく質の凝固実験ができること。

23.納豆菌を分離することができること。

1.微生物の利用とは,微生物の酵素・菌体成分・発酵生産物などの利用である。

2.微生物は,実用的にはかび・酵母・細菌に大別される。

3.微生物の種類の判定は,培養経過の観察や形態的性質,いろいろな生化学的試験などによっておこなう。

4.微生物を集殖させるには,目的とする微生物に最も適した培養基を選び,その性質に適する条件のもとで培養する。

5.集殖法により得た微生物からさらに目的の微生物を分離するには,おもに平板培養法または点滴培養法が用いられる。

6.微生物には,好気性のものと,けん(嫌)気性のものとがある。

7.微生物には農産加工に利用されるものも多いが,加工操作や製品に有害作用を与えるものも多い。

8.微生物の形態は,環境条件によって変化する。

9.微生物の増殖には,胞子の発芽による方法や分裂法などがある。

10.微生物体は,他の生物の細胞のように,原形質・貯蔵物質・保護物質などからできている。

11.微生物の栄養素には,菌体成分を構成するに必要な炭素源・窒素源・ビタミン・無機塩類および生長促進物質などがある。

12.培養基は,液体培養基と固体培養基,天然培養基と合成培養基などに分けられる。

13.微生物の増殖は,誘導期・対数期・平衡期の各期に分けられる。

14.微生物の増殖を測るには,総菌数・生菌数・菌体量・濁度の測定などによる。

15.微生物には栄養的にみると,無機栄養菌および有機栄養菌がある。

16.酵母・かびは,有機の炭素源でなければ資化できない。

17.微生物はいろいろの物質により,その生育が阻害される。

18.微生物の生育や化学的作用は温度・酸素分圧.pH・光線・放射線などの物理的な条件によって影響される。

19.微生物の酵素は,菌体外酵素と菌体内酵素に分けられる。

20.酵素は,たんぱく質などから成り,その作用に補酵素因子を必要とするものがある。

21.酵素反応速度は,基質濃度・pH・温度・酸化還元電位・賦活剤・阻害剤などにより影響される。

22.微生物は,適応により新しい酵素をつくり,また薬剤などに対して耐性を獲得する。

23.微生物は,一時的変異または遺伝的変異をしやすく,人工的に種種の条件を与えて変異体をつくることができ,これにより優秀菌株をつくることもできる。

24.抗生物質とは,微生物が生産する化学物質で,他の微生物の生育を阻害したり,殺したりする作用のあるものをいう。

25.酵母は糖を分解して,アルコールと炭酸ガスをつくる。

26.酵母は,好気的条件ではおもに呼吸をおこない,菌体の増加が著しい。

27.酵母のアルコール発酵の際,亜硫酸塩の存在でグリセリンを集積する。

28.酢酸菌は,好気的にアルコールを酸化し,酢酸をつくる。

29.組織呼吸の酸化径路であるクエン酸回路は,微生物においても認められている。

30.乳酸は,糖の分解経路において生じたピルビン酸から生成される。

31.殺菌剤の強弱を示すためには,石炭酸係数が用いられる。

32.食品の保存性を増すために,放射性物質の利用が考えられてきた。

4.教 育 内 容

1.微生物利用の発展  微生物とはどんなものか,微生物の働き,微生物の利用,自然発酵から純粋発酵へ。 2.微生物の種類と分類  有用微生物の種類,有用かびの分類,有用酵母の分類,有用細菌の分類。 3.微生物の生理  微生物の増殖,微生物の栄養と代謝,微生物の酵素。 4.微生物の分離と培養  実験の準備,培養基の調製,微生物の純粋培養,培養経過の観察,顕微鏡観察,微生物の判定。 5.微生物の応用実験  種菌の生産,納豆菌による粘質物の生産,酵母による糖類の発酵,酢酸菌によるアルコールの酸化,乳酸菌によるたんぱく質の擬固,こうじ菌によるでんぷんの糖化,こうじ菌によるたんぱく質の分解。 5.指導上の留意事項 (1) 「具体的な到達目標」および「教育内容」は,その一例を示したものであるから,各学校は,その実状に応じて,具体的な教育計画をたてられたい。

(2) 学習の効果を高めるため,学習に必要な実験材料・実験器具,学習方法などについては,つとめて創意くふうされたい。

(3) 発酵管理については,つとめて科学的,客観的管理法を導入し,また自然発酵から純粋発酵へ,手技から機械へと,生産の合理化を進めている現代の微生物工業の発展の方向にそうよう指導されたい。
 
 

19.農 産 化 学

1.性   格

(1) 「農産化学」は,農産物やその製品に関し,その種類や状態・成分などを科学的に調べ,それに基いて進んだ加工や最も適した管理ができるような基本的な能力を身につけるために学習する科目である。

(2) 「農産化学」は,主として実験を通じて学習するものである。

(3) 「農産化学」は,「理科」を基礎とし,「農産加工」や「畜産加工」・「応用微生物」などと緊密な関連をとって学習するものである。

2.目   標 (1) 農産物やその製品を構成する諸成分を知り,その性質を理解させる。

(2) 農産加工品を科学的,合理的に生産するために必要な基礎的知識と能力を養う。

(3) 農産加工品の貯蔵・管理や,製品の鑑定・検査などができる能力を養う。

(4) 精密な計画をたて,これを実践する態度を養う。

3.具体的な到達目標
 
〔技   能〕
〔一般的な知識・理解〕
1.化学天びんや測定器具などの正しい取扱ができること。

2.試薬や試料の調製ができること。

3.実験数値の取扱が正しくできること。

 

 

 

 

4.水分の定量ができること。

5.粗たんぱく質の定量ができること。

6.脂肪の定量ができること。

7.油脂の酸価・けん化価・よう素価の測定ができること。

8.でんぷんや,糖分の定量ができること。

9.繊維の定量ができること。

10.灰分の定量ができること。

11.灰分中の諸成分の分析ができること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

12.食塩の定量ができること。

13.茶葉のティーンやタンニンの定量ができること。

14.緑葉から色素の抽出ができること。

15.アルコール類の検出と定量ができること。

16.食品中のビタミンA・B・Cの定量ができること。

17.酸の検出と有機酸の定量ができること。

18.エキス分の定量ができること。

19.食品の酸度・塩基度の測定ができること。

20.成熟度や生産環境などの異なる米・さつまいも・みかんなどについて,その成分を分析し,比較検討ができること。

21.米・麦の精白程度による成分の比較試験ができること。

22.食品の貯蔵あるいは熟成中の成分の変化の比較試験ができること。

 

23.製品中のサッカリンやズルチンの検出ができること。

 

 

 

24.簡単な色素や香辛料についての試験ができること。

 

 

 

 

 

 

 

25.水質検査ができること。

 

 

26.合成保存料の試験ができること。

27.食品の包装材や殺菌剤の試験ができること。

28.食品の各種検査ができること。

1.農産化学は,農産物やその製品の種類や状態・成分などを科学的に調べ,農産加工をよりよく実施するためのものである。

2.分析する試料は,そのものの全体を代表するものでなくてはならない。

3.標準溶液の濃度は,規定度で表わすのが便利である。

4.分析した結果を百分率で表わす場合は,普通小数点以下2けたまでとする。

5.生物体は,水分・たんぱく質・脂肪・炭水化物・無機質の5大成分から成っている。

6.水分を測る方法には,蒸留法や乾燥法などがある。

7.たんぱく質は大別すると,単純たんぱく質・複合たんぱく質・誘導たんぱく質の三つになる。

8.たんぱく質溶液は,一般に60〜80°Cに加熱すると,変性して凝固する。

9.たんぱく質は,酸・アルカリ.および分解酵素の作用を受けると,加水分解されていろいろのアミノ酸を生ずる。

10.栄養上必須のアミノ酸は,バリン・ロイシンなど約10種類である。

11.脂肪に最も多く含まれている脂肪酸は,炭素数が16と18のもので,パルミチン酸・ステリアリン酸・オレイン酸・リノール酸・リノレン酸などがある。

12.広義の脂肪を化学的に分類すると,単純脂肪と複合脂肪になる。

13.一般には可溶性無窒素物は,100%から水分・たんぱく質・脂肪・繊維,および灰分の合計(%)を差し引いた数値で表わす。

14.繊維は単独でなく,ヘミセルローズ・リグニン・ペントーザン・ペクチン・樹脂などと共存している。

15.灰分は,土・肥料・気候などの生育環境や,植物体の各部分によって,その含まれる種類と量が異なる。

16.食品の加工には,各種天然色素の特性を認識し,それをじゅうぶん保存することが必要である。

17.ビタミンは,体内では生産できないから,食物から取らなければならない。

18.ビタミンは,種類によって熱や薬品に対して安定度が異なる。

19.有機酸類は,水蒸気とともに留出する揮発酸と,そうでない不揮発酸に分けられ,また,脂肪酸とその他の有機酸に分けることもある。

20.ビール・酒・しょうゆなどから,水分・アルコール・揮発酸その他の揮発しやすい物質を蒸発させた残りの量がエキス分である。

21.食品は,その中に含まれる塩類によって,体内でアルカリ性を示すものと,酸性を示すものとがある。

22.農産物成分は,土・肥料・栽培管理・成熟度などによって変化する。

 

23.農畜産物は,貯蔵の期間や方法などにより成分が変化する。

24.農畜産物は,加工処理の方法により成分が変化する。

25.食品加工に使用される人工甘味料には,サッカリンやズルチンなどがある。

26.サッカリンは,石炭の乾留によって得られるトルオールを原料にしてつくられるもので,炭水化物とは全く異なるものである。

27.香辛料は,芳香性香辛料と辛らつ性香辛料に分けられる。

28.香辛料の香気は,おもにテルペン類・アルコール類・アルデヒド類・揮発酸などによるもので,刺激性のからみは,からしゆ類・硫化アリル類・アルカロイド類などによるものである。

29.食品香料には製法によって,天然香料と合成香料がある。

30.食物の着色料には,おもに石炭から得られるコールタールを原料としてつくったタール色素が使われる。

31.食品衛生法には,使用してよい色素や香料の種類と使用量が定められている。

32.水には,酸性炭酸塩を含む一時硬水と.硫酸塩・塩化物を含む永久硬水とがある。

33.わが国では,水100cc中に酸化カルシウム1mgを含むものを硬度1の水として表わしている。

34.食品衛生法には,食品に使用してよい合成保存料の種類と量が定められている。

35.食品の検査法には,感覚による検査法(官能検査)のほか,物理的検査法・化学的検査法・衛生検査法などがある。

4.教 育 内 容

1.農産化学  農産化学とは何か,農産加工と農産化学との関係。 2.食品の成分と分析  分析の基礎操作,一般成分と分析,特殊な成分と分析。 3.生産と管理  農畜産物の成分の変化,副原料とその試験法,食品の管理。 4.食品の検査  感覚による検査,物理的検査,食品の衛生検査。 5.指導上の留意事項 (1) 「具体的な到達目標」と「教育内容」は,その一例を示したものであるから,各学校は,地域や生徒の必要,季節などを考慮して,具体的な教育計画をたてられたい。

(2) 学習に必要な実験材料・実験器具,学習の方法などについては,つとめて創意くふうされたい。

(3) 実験は,長時間継続実施するものが多いので,時間割編成には特に留意するとともに,放課後,夜間宿泊などの指導を必要とする場合には,適切な処置をとられたい。
 
 

20.農 林 測 量

1.性   格

(1) 「農林測量」は,農地や林地など,土地のありのままの姿やそのあり方を具体的に地図あるいは簿冊に作成し,農業経営または森林経営を有利に発展させるための基礎となる測量の知識と技術を学ぶ科目である。

(2) 「農林測量」は,主として農業土木課程および林業課程において履修されるものである。

(3) 「農林測量」は,「数学」を基礎とし,「農地造成」・「農業造構」・「農業水利」または「森林生産」・「森林土木」「森林経済」などの科目と緊密な関連をとって学習するものである。

2.目   標 (1) 測量の器械・器具の取扱およびその使用法を知り,基本的な測量を理解する。

(2) 農地や林地を測定し,これを計算し,製図する技能を養う。

(3) 農業土木や森林土木の各種の事業に必要な測量の計画ができる能力を養う。

(4) 測量を科学的,能率的に進めるとともに,測量の器械器具を愛用する態度を養う。

3.具体的な到達目標
 
〔技   能〕
〔一般的な知識・理解〕
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.状況に応じて,距離の測定が正しくできること。

 

2.巻尺などを使って,状況に応じた農地の測量ができること。

3.平板器の点検ができること。

4.平板器を使って,農場か部落の一筆測量ができ,地積の測定が正しくできること。

 

 

 

 

 

 

5.ポケットコンパスを使って,方位角の測定ができること。

6.トランシットの調整ができること。

7.トランシットを使って,基本的な角の測定が正しくできること。

8.コンパスまたはトランシットを使って,骨組測量が正しくでき,境界線の決定や地積の計算ができること。

9.レベルの点検や調整が正しくできること。

10.レベルを使って,高低差の測定ができること。

11.縦断測量をおこない,その野帳から各点の地盤高を計算し,縦断面図の作成ができること。

12.横断測量をおこない,横断面図の作成ができること。

13.縦横断測量によって計画線を入れ,土積の計算ができること。

14.運動場などの広い土地の地均しをするための土積の見積りができること。

15.スタジア定数の決定ができること。

 

 

 

 

 

 

16.スタジア測量によって地物や地形の側定ができること。

17.トランシットを使って,部落や農場あるいは演習林の地形測量ができ,目的に応じた等高線の測図ができること。

18.地形図の拡大・縮小ができ,目的にかなった大きさの青写真の作成ができること。

19.三角測量において,目的にかなった基線の測定が正しくできること。

20.三角測量において,目的にかなった角の観測が正しくできること。

21.三角網(鎖)の平均計算ができること。

 

 

 

 

 

22.農道や林道および水路などの計画測量ができること。

23.簡単なトンネルの測量ができること。

 

24.森林の境界測量ができ,施業案編成のための計画図簿がつくれること。

 

25.開墾地の計画測量ができること。

26.貯水池の計画測量ができること。

 

 

27.頭首工に関する計画測量ができること。

28.浮子や流速計を使って,流速および流量の測定ができること。

29.河川の流量曲線図がつくれること。

 

30.干拓地の計画測量ができること。

 

31.航空写真の実体視や判読ができること。

 

1.農林測量は,その技術の活用によって,農地や林地のあり方を具体的に知り,農業経営または森林経営を有利に発展させる基礎となる。

2.農林測量は,「測量法」や「国土調査法」との関係が深い。

「測量法」は,主として公共測量をおこなう場合のことを規定している。「国土調査法」は,国土の開発・保全・利用について,測量の数量的な面ばかりでなく,質的な面まで及んでいる。

3.測量はその作業の進め方によって,測量の労力・時間・経費に影響する。

 測量で必要な精度というのは,最大の精度を要求するという意味ではない。

4.測量の基本は距離・角度および高さであって,距離測量・角測量および水準測量はすべての測量の基礎となる。

5.距離の測定には,要求される精度に応じて尺の選定や測定方法が違う。

6.オフセット測量では野帳の記入方法がたいせつである。

7.平板測量は,作業能率あるいはただちにその結果を要求する場合に用いて適切な測量方法である。

8.平板器には,その目的や使用上の便宜を図って,いろいろな改良器ができている。

9.平板の標定は,作業の能率や精度に影響する。

10.図上で地積を測定する場合,区分する三角形の形がその精度に影響する。

11.プラニメーターは使用する前に必ず点検することがたいせつで,その極針を図形外に置く場合と図形内に置く場合とによって計算の方法が違う。

12.地図の拡大や縮小は縮尺と関係が深い。

13.製図には,「製図通則」に留意し,特にからす口の使い方に習熟することがたいせつである。

14.トランシットやレベルを使うときには,必ず点検と調整をし,いつも器械を正しい状態にして使用することがたいせつである。

15.トラバース測量では,地形や土地の広さによって骨組の組み方が違う。

16.トラバース測量では,測角の精度と距離の精度とは,均衡を保つことが望ましい。

17.測点の製図には,経緯距計算によって得られた座標値を用いることが最もよい方法である。

18.計算器や数表は,内業の能率を高める。計算尺は数値の大まかな点検によい。

19.計算には有効数字や函数表の選び方に注意し,できるだけ表にして機械的に計算のできるようなくふうが必要である。

20.トラバース測量は簡単なトンネルにも応用される。

21.水準測量における視準距離は,測量の能率や精度と関係が深い。

22.水準測量では,もりかえ点での観測が最もたいせつである。

23.縦断測量の野帳記入法には,器高式と昇降式がある。

24.縦断面図は,計画線を入れるため,地盤の起伏の状態を明確に表示することがたいせつである。

25.道路や水路の横断測量では,ハンドレベルがよく使われる。

26.水準測量では,誤差の検出ができるように,同一路線で少なくとも往復測定するか,または出発点に閉塞することが必要である。

27.スタジア測量では標尺手の動作が作業の能率に影響する。

28.等高線の測図には,スタジア測量と平板測量を併用するとその作業の能率があがる。

29.スタジア測量の精度は,平板測量のそれとほぼ同一かまたはそれ以下である。

30.三角測量は,精度の高い骨組測量で,地形測量・地籍測量・河川測量・トンネル測量などに利用される。

31.三角点や基線の選定は,作業の能率や精度などに関係するから,これに関する注意と判断を必要とする。

32.三角網は,その形によってそれぞれ数理的規約を満足するように処理調整しなければならない。

33.三角点の成果表は,基本測量と関連しておこなう測量で,これを利用すれば,測量の作業は簡単となる。

34.路線測量では中心線の設定,特に曲線設置の方法が必要となる。

35.農道や林道および水路の計画測量で,諸規程の準用を必要とする場合は,これに従わなければならない。

36.トンネルの測量では,トンネルの方向と長さを地上で測定し,これを坑内に導いてその方向と高低に誤りのないようにすることがたいせつである。

37.森林測量には,小型のトランシットが便利である。ポケットコンパスもしばしば使用される。

38.施業案の関係図簿には,森林の基本図・面積簿・林相図および森林調査簿などがある。

39.開墾地の測量は,主として地形測量であるが,その測点は建設工事・土地配分などの実施にあたっての基準点に利用されることが多い。

40.貯水池の測量は,池敷の地形測量,堤敷の縦横断測量のほか,貯水池の容積計算や土取場の調査が必要である。

41.頭首工に関する測量は,その地域の平面測量や水準測量のほか,河川や水路の水位・深浅・こう配・流速・流量などの測定が必要である。

42.大きい川と小さい川とでは,水の流れの測り方が違う。

43.干拓地の測量では,その地域の地形測量・深浅測量のほか,堤防予定敷の縦横断測量がある。特に海面干拓の測量では潮位との関係が深い。

44.肉眼実体視には目の訓練が必要である。

45.実体視は写真測量の基本である。

46.写真の判読には写真と現地との照合がたいせつである。

47.国土の開発・保全・利用の高度化を図り,国土を有利に経営していくには,土地を科学的かつ総合的に調査する必要がある。基本調査や地籍調査は直接側量に関係し,土地分類調査や水調査は測量と関係が深い。

4.教 育 内 容

1.農林測量  測量の意義,農業と測量,測量の分類,測量の作業および順序,「測量法」と測量。 2.距離側量  測距器具,距離の測り方,誤差および精度。 3.平板測量  器械の構造および検査,測量法,誤差および精度。 4.角測量  コンパス・六分儀・トランシットなどについて,その構造・使用法・詞整・誤差および精度。 5.トラバース測量  トラバースの種類・用途・測量法,トラバースの計算,面積の計算,測点の製図。 6.水準測量  器械の種類と構造,レベルの調整,直接水準測量・縦断測量・横断測量,誤差および精度。 7.スタジア測量  トランシットスタジア法・アリダートスタジア法。 8.面積および体積の算定  面積の算定,体積の算定。 9.三角測量  踏査および選点,基線の測定,角の観測,平均計算,三角点成果表の利用。 10.地形測量  地物測量・地ぼう(貌)測量。 11.農林道および水路の測量  曲線の設置法,路線測量,農林道の測量,水路の測量,ケーブル設置の測量。 12.トンネル測量  地表設置・地下設置,水準測量,誤差,農林道および水路トンネルの特徴。 13.森林原野の測量  山林の測量,開墾地の測量,貯水池の測量。 14.頭首工および干拓に関する測量  頭首工に関する測量,干拓に関する測量。 15.写真測量  航空写真の性質,実体視,判読,航空写真測量の方法。 (付) 1.国土調査と基準点測量  国土調査法の内容,基準点測量の内容。 2.地籍調査  地籍調査の内容,一筆地調査,一筆地の測量,地積測定,地籍図および地籍簿の作成。 3.土地分類調査  土地分類調査の内容,地形調査・表層地質調査・土じょう調査。 4.水に関する調査  水基本調査の内容とその調査。 5.指導上の留意事項 (1) 各学校は,農業土木課程あるいは林業課程に応じて,具体的な教育計画をたてられたい。

(2) 「農林測量」は,主として実習を通じて学習させ,生徒の興味を喚起するとともに,自発的に学習を進めることがたいせつである。

(3) 学習に必要な器械器具はできるだけ整備し,その維持管理に努められたい。

(4) 学習の効果を高めるため,関係機関との連絡を図り,できるだけ機会をとらえて,現場実習をおこなわれたい。

(5) 「測量法」や「国土調査法」との関係についても,できるだけ指導されたい。