第4章 商業に関する課程の教育課程
1.教育課程編成の一般方針
商業に関する教育課程の編成についても,高等学校の教育課程編成の一般的な原則に従うことはもちろんである。すなわち,高等学校学習指導要領一般編に述べられているように,すべての高等学校に共通に学ばれるべき最低39単位の必修教科をその中に含まなければならない。それは高等学校における商業教育の目標達成の上からも当然に必要とされる普通教科であり,さらに必要に応じて39単位以上に増加することもよい。特に外国語科は一般的には選択教科であるが,商業に関する課程としてはこれを必修教科とみることが適当である。
商業科目については,原則としてその30単位以上を含むことが必要である。ただし,特別の場合には,外国語科の10単位以内をその中に含むことが認められる。
第2章に掲げた商業科目のすべてを,商業に関する課程においても学習することは必要でもないし,また実際上不可能でもあろう。したがってそれらの商業科目の中から,生徒の興味・能力・適性に応じて選択し学習するのであるが,あまりにかたよった選択を行うことは避けなければならないし,商業科目の中には将来いかなる進路をとる者にとっても共通に必要とされる科目がある。同時にそれらの科目は商業諸科目の学習のためにも基礎的な位置を占めるものが多いから,商業に関する課程においては,おのずから共通の必修商業科目が存在する。そしてそれらの科目を履修する学年もおのずから規定されてくるはずである。
選択される商業科目も,選択した以上はその生徒にとつて必修科目と同じ重要性をもつものであり,その学習計画全体が高等学校の全学年を通じて意味のあるまとまりをもち,能率的・効果的に立てられることが必要である。そのような学習計画は生徒の志望によってさまさまな類型が存在するのであるから,学校においては可能な範囲においてその要請に応ずることが必要である。
2.教育課程編成の要領
(1) 商業に関する課程の教育目標は一般的には共通しているが,選択される科目によって特色づけられる具体的な類型の教育目標には,それぞれの特徴がある。したがってその教育課程は単に漫然と選択された科目をもって構成されることなく,それぞれの特徴を生かして編成する。
(2) 第1学年においてはなるべく共通の基礎的な商業科目を履修し,第2学年以後において選択する商業科目によって,それぞれの特色を出すようにする。
(3) 各学年とも,なるべく商業経済関係科目(A群),簿記会計関係科目(B群),実務関係科目(C群)の3群にまたがるように編成し,総合実践関係科目(D群)は最高学年において履修するようにする。
(4) 各群の中における履修の順序を,それぞれの科目の性格に応じて調整するとともに,他の群に属する科目との間の履修の順序を調整する。
(5) 各類型を通じて,同一科目はなるべく同一学年において学ぶようにする。
(6) 教育課程全体としては,その中に数単位の自由選択の余地を残し,商業科以外の諸教科からも必要に応じて選択することのできるようにする。
(7) 全日制の課程においては,教科の時数として毎週32〜34単位時間,特別教育活動として毎週2単位時間を標準とする。
(8) 定時制の課程においては,教科の時数として毎週22〜23単位時間,特別教育活動として毎週1〜2単位時間を標準とする。
高等学校 学習指導要領 商業科編
MEJ2553
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