第2章 商業科の組織
1.商業科の科目および単位数
高等学校における商業科は,前述した教育目標に従い,次の諸科目に分かれて学習される。なお,各科目の単位数は,その限度の中において,生徒の必要と学校の事情とに基いて決定される。
科 目 |
単 位 数 |
商 業 一 般 商 事 経 営 経 済 商 業 法 規 商 品 商 業 簿 記 銀 行 簿 記 工 業 簿 記 会 計 計 算 実 務 文 書 実 務 和文タイプライティング 英文タイプライティング 速 記 商 業 英 語 統 計 調 査 商 業 美 術 商 業 実 践 貿 易 実 務 商業に関するその他の科目 |
2〜5 2〜4 2〜4 2〜4 2〜5 2〜5 2〜6 2〜4 2〜4 2〜4 2〜8 2〜4 2〜6 2〜6 2〜6 2〜4 2〜4 2〜4 2〜5 2〜5 |
2.商業諸科目の性格と指導上の一般留意事項
商業科の諸科目は教科としての商業科の教育目標を達成するために,それぞれの役割を分担するものであるが,そのおもな特色によって分類すれば次の4種類に大別される。
A 商業経済に関する知識・理解・態度をおもな目標とする科目群
B 簿記会計に関する理解・技能・能力・態度をおもな目標とする科目群
C 事務的な技術に関する知識・技能・態度をおもな目標とする科目群
D 上記の各分野を総合して,もっぱら実践的に学習することを特色とする科目群
これらの各群は,その指導方法においてもそれぞれ特色をもつものであり,また学習の評価の方法においてもそれぞれ特色をもつものである。他の教科に例をとれば,A群は主として社会科と同様な特色をもち,B群は数学科と共通な特色をもっている。C群は全般的に技術的な教科に共通する特色があるが,さらにその中の計算事務関係科目は数学科と,文書事務関係科目は国語科および外国語科と,商業美術科は芸術科との間に共通点がある。また,商品科は指導方法としての性格の上で理科と共通な面をもつものであるとともに,その指導の目標からいえば商業経済関係各科目と共通する特色をもつものである。したがって,商業諸科目の指導にあたっては,それぞれの科目の性格に即応して適切な計画が立てられることが必要である。
商業諸科目を上記の4種類に分類すれば次のとおりになる。
A群(商業経済関係科目)
商業一般・商事・経営・経済・商業法規・商品
B群(簿記会計関係科目)
商業簿記・銀行簿記・工業簿記・会計
C群(実務関係科目)
計算実務・文書実務・和文タイプライティング・英文タイプライティング・速記・商業英語・統計調査・商業美術
D群(総合実践関係科目)
商業実践・貿易実務
これらの商業諸科目は,いずれも商業に関する課程において学習されることはもちろんであるが,同時に,それ以外の課程においても必要に応じて選択され学習されるものである。その場合,特に少ない単位数においてこれらの科目の中から選択する場合には,一般教養として適当なものを学習することがよいのであるが,その例としては,A群においては商業一般,B群においては商業簿記,C群においては計算実務などがあげられる。特に商業一般はその性格からみて最も適切な科目である。
第3章においては,商業諸科目についてそれぞれ目標・内容・指導上の留意点を示すが,その内容の各項目は必ずしもそのままで学習の単元となるものではなくして,むしろ単元の素材を示したものにすぎない。したがって実際の指導にあたっては,それらの素材を適切な単元に組織して指導することが必要である。