第4章 外国語科第二外国語

 

1 第二外国語の目標

 「第二外国語」は,「第一外国語」のほかに,他の外国語について,次のことを目標とする。

 (1)おもな機能上の目標

a 現代の平易な外国語を聞いて理解し,読んで理解する技能を養うこと。

b 現代の平易な外国語を話したり,書いたりする技能を養うこと。

 (2)おもな教養上の目標  その外国語を常用語としている人々の生活や文化について,理解を深めるとともに,それをとおして,みずからの教養を高め,わが国の文化の向上を図ろうとする態度をさらに養うこと。

 第二外国語の学習指導においては,第一外国語の学習指導と同じように,まず機能上の目標を達成しようと努めるけれども,人間形成を目ざす学校教育の一環として行われるものであるから,機能上の目標を達成することをとおして,教養上の目標を達成しようと努めるべきある。単に機能上の目標だけを達成しようとすることも,また,機能上の目標をおろそかにして教養上の目標を達成しようとすることも,ともに誤りである。

 現代の外国語を指導しようとするにあたっては,第一外国語の場合と同じように,著作権やその他いろいろな事情から,現代の著作物や資料を取りあげるのがむずかしい場合もあるかもしれないが,それだからといって古い外国語ばかりを指導するのは望ましくないのであって,できるだけ現代の外国語を指導するように努めるべきある。

 機能上の目標をaとbとに分けたのは,第一外国語の場合と同じように,外国語の機能を便宜上理解の面と発表の面とに分けたものあって,いずれか一方地方よりも重要であるという意味ではない。

 みずからの教養を高めるということの中には,第一外国語の場合と同じように,生徒の視野を広めることや,国語に対する関心,ひいては言語一般に対する関心を深めることなどが含まれてくる。

 第1章外国語科の目標において述べた望ましい態度としては,第一外国語の場合と同じように,いろいろなことが考えられるけれども,それらのうちで,外国語の教務をとおしてわが国自身のことにもどってくる態度が最も重要なものと考えられるのである。しかも第二外国語においては,第一外国語だけ履修する場合よりも,いっそう深くこのような態度を養い育てることになる。

 

2 第二外国語(英語)

 

 (1)中学校に継続して履修させる4単位の場合

 a 聞き方と話し方の分野

 聞き方と話し方の分野においては,読み方の言語材料のうち,運用度の高いものを用いて,英語の発音,アクセント,強形,弱形,抑揚などに慣れさせるとともに,基本的な語・句・文を暗しょうすること,読み方教材についての説明を聞くとや問答することなどを指導する。

 標準的な発音については,第一外国語(英語)の場合に同じ。

 b 読み方の分野  読み方の分野においては,次に示す範囲内の言語材料書かれた物語,伝記,劇,詩,小説,随筆などの作品を読むことを指導する。また,英和辞書の利用のしかたについても指導することが望ましい。

 〔注〕

 1 言語材料の範囲を次のとおりとする。

(1)言語材料は平易で標準的な現代英語とする。

(2)語いのうち新出語は,基幹語,派生語,合成語などを含めて,およそ500語ないし800語程度とする。

(3)連語はひん度の高いものを主とする。

(4)文法事項は,文,句,節,および品詞のさまざまな働きのうち,基本的なものを主とする。

 2 作品の内容については,第一外国語(英語),中学校から継続して履修させる場合に同じ。
 c 書き方の分野  書き方の分野においては,読み方における言語料のうち,運用度の高いものを用いて,書取,置き換え・転換・完成なによる作文,和文英訳などを書くことを指導する。  指導計画を立てるにあたっては,読み方の分野に重点をおいて,聞き方,話し方および書き方の分野を加味するようにする。  生徒にとっては,英語の学習を一時中断しているわけであるから,その進度や学力を診断した上で指導計画を立てる必要がある。単に読み方の分野だけを学習してその他の分野をまったく無視するような指導計画や,文法だけを学習するような指導計画を立てることは望ましくない。  留意事項 1 学年当初の学習指導においては,言語材料の程度を低くし,既習事項を加味する。

2 学習の時間数が少ないのであるから,むりな言語材料を提示しないようにする。

 

 (2)高等学校においてはじめて履修させる4単位の場合

 a 聞き方と話し方の分野

 聞き方と話し方の分野においては,読み方における言語材料のうち,運用度の高いものを用いて,英語の発音,アクセント,抑揚などに慣れさせるとともに,あいさつ,暗しょう,読み方の作品についての問答などを指導する。

 標準的な発音については,第一外国語(英語)の場合に同じ

 b 読み方の分野  読み方の分野においては,次に示す範囲内の言語材料で書かれた問答や練習を主とする文や物語などを読むことを指導する。また,英和辞書の利用のしかたについても指導する。

〔注〕

 1 言語材料の範囲を次のとおりとする。

(1)言語材料はきわめて平易で標準的な現代英語とする。

(2)語いのうち新出語は,基幹語,派主語,合成語などを含めて,およそ600語ないし800語程度とし,基本的なものから配列する。

(3)連語はひん度のきわめて高いもののみとする。

(4)文法事項は,文や品詞のさまざまな働きのうち,きわめて基本的なもののみとする。

 2 作品の内容については,第一外国語(英語),中学校から継続して履修させる場合に同じ。
 c 書き方の分野  書き方の分野においては,読み方における言語材料のうち,運用度の高いものを用いて,書取,置き換え・転換・完成などによる作文,和文英訳などを書くことを指導する。

 指導計画を立てるにあたっては,聞き方,話し方,読み方および書き方の分野にわたって総合的に進めるが,進度が進むに従って,読み方の分野に重点をおくようにする。

 外国語としては初めてはないが,英語としてははじめて履修させる場合であるから,英語の音声面に慣れさせるために,最初の数週間は,聞き方と話し方の分野に重点をおくように指導計画を立てるのが望ましい。

 留意事項 1 入門から学習するので言語材料が比較的に平易であることや,生徒が比較や分類や類推のできる発達段階にあることなどから,言語材料をある程度組織的に提示することができる。

2 既習の他の外国語と関連して指導するので便利な場合もある。

 

3 第二外国語(ドイツ語)

 

 (1)中学校に継続して履修させる4単位の場合

 a 読み方の分野

 読み方の分野においては,次に示す範囲内の言語材料で書かれた童話,逸話,小説,劇,詩,伝記,随筆,書簡,日記などを読むことを指導する。また,独和辞書の利用のしかたを指導することも望ましい。

〔注〕

 1 言語材料の範囲を次のとおりとする。

(1)言語材料は平易な現代ドイツ語とする。

(2)語いのうち新出語は,単一語,複合語,派生語などを含めて,およそ1,000語ないし2,000語程度とする。

(3)文法事項は詞論および文章論のうち基本的な事項とする。

 2 作品の内容については,第一外国語(ドイツ語),中学校から継続して履修させる場合に同じ。

 単一語,複合語,派生語などの定め方ならびに詞論および文章論のうち基本的な事項の意味については,第一外国語(ドイツ語)の項を参照。

 b 書き方の分野  書き方の分野においては,読み方における言語材料のうち,運用度の高いものを用いて,句とう点の用い方などに慣れさせるとともに,書取や和文独訳などを書くことを指導する。  c 聞き方と話し方の分野  聞き方と話し方の分野においては,読み方における言語材料のうち,運用度の高いものを用いて,ドイツ語の発音,アクセント,抑揚などに慣れさせるとともに,基本的な語・句・文の暗しょうなどを指導する。

 指導計画を立てるにあたっては,読み方の分野に重点をおくようにする。

 生徒にとっては,ドイツ語の学習を一時中断しているわけであるから,その進度や学力を診断した上で,指導計画を立てる必要がある。

 留意事項 1 学年当初の学習指導においては,既習事項を整理してやる。

2 学習の時間数が少ないのであるから,むりな言語材料を提示しないようにする。

3 書き方の分野において,学習期間の後半には,未習の作品の書取もできるし,平易な和文独訳もできる。

 

 (2)高等学校においてはじめて履修させる4単位の場合

 a 読み方の分野

 読み方の分野においては,次に示す範囲内の言語材料で書かれた問答や練習を主とする文,童話,逸話,物語,対話,伝記,詩,書簡,日記などを読むことを指導する。また,独和辞書の利用のしかたについても指導する。

〔注〕

 1 言語材料の範囲を次のとおりとする。

(1)言語材料はきわめて平易な現代ドイツ語とする。

(2)語いのうち新出語は,単一語,複合語,派生語などを含めて,およそ1,000語ないし2,000語程度とし,基本的なものから配列する。

(3)文法事項は,詞論および文章論のうち,最も基本的な事項とする。

 2 作品の内容については,第一外国語(ドイツ語),中学校から継続して履修させる場合に同じ。  独和辞書の利用のしかたとは,動詞についていえば,格支配・前置詞支配,非人称,再帰動詞としての用法,分離・非分離 haben・sein支配などについて,その見方調べ方をさすものである。

 単一,複合語,派生語の定め方ならびに基本的なものについては,第一外国語(ドイツ語)の項を参照。

 詞論および文章論のうち最も基本的な事項については,複数形の名詞から単数形を類推させることはよいが,単数形から複数形を作らせることは一般的にいって望ましくなく,また,やer nimmtなどにおいて,不定詞がhaltenやnehmenであることは強調しなければならないけれども,逆に,たとえばtretenを与えてer trittを作らせることは求めるべきではない。

 b 書き方の分野  書き方の分野においては,読み方における言語材料のうち,運用度の高いものを用いて,大文字の用い方や句とう点の用い方などに慣れさせるとともに,書取や和文独訳などを書くことを指導する。  c 聞き方と話し方の分野  聞き方と話し方の分野においては,読み方における言語材料のうち,運用度の高いものを用いて,ドイツ語の母音,子音,アクセント,抑揚などに慣れさせるとともに,基本的な語・句・文の暗しょうなどを指導する。

 指導計画を立てるにあたっては,平易な読み物を読みながら,最も基本的な文法事項を習得させるようにする。

 最も基本的な文法事項といえない事項,たとえば,いわゆる後置しないhabenなどが出てきた場合に,それは特殊な例はあるが,決して不規則な現象はなく,この現象が起るための一般的な規則があることを示すにとどめて,その用法を習得することは求めないことにする。

 留意事項 1 入門から学習するので言語材料が比較的に平易であること,生徒が比較や分類や類推のできる発達段階にあることなどから,言語材料をある程度組織的に提示することができる。

2 読み方の分野における作品について,たとえば,副文や接続法がまったく含まれていないものは望ましくない。

3 書き方の分野における和文独訳については,和独辞書を必要としないほど多くの用語を与えるのが望ましい。

4 聞き方と話し方の分野として,授業の初めまたは終りにおいて,すでに解釈した教材をくぎって生徒に連続して読ませる。

5 既習の他の外国語と関連して指導するのが便利な場合もある。

 

4 第二外国語(フランス語)

 

 (1)中学校に継続して履修させる4単位の場合

 a 読み方の分野

 読み方の分野においては,次に示す範囲内の言語材料で書かれた物語,伝記,劇,詩,小説,随筆,論文,演説文などを読むことを指導する。また,仏和辞書の利用のしかたを指導することが望ましい。

〔注〕

 1.言語材料の範囲を次のとおりとする。

(1)言語材料は平易な現代フランス語とする。

(2)語いのうち新出語は,単一語,合成語,派生語などを含めて,およそ1,000語ないし2,000語程度とする。

(3)文法事項は,各品詞の用法および文章論のうち,基本的な事項とする。

 2.作品の内容については,第一外国語(フランス語),中学校から継続して履修させる場合に同じ。

 基本的な文法事項としては,冠詞の用法の大要,名詞および形容詞の性および数の変化,各種形容詞の大要と比較形,各種代名詞の大要,動詞の種類および形態,数詞などを含み,特に動詞の時法については各種の用法を指導し,少なくとも直説法の時を識別し理解することができように指導する。

 作品については原作でもよいし,やさしく書換えられ要約されたものもよい。

 b 書き方の分野  書き方の分野においては,読み方における言語材料のうち,運用度の高いものを用いて,大文字の用い方,つづり方記号の用い方,句とう点の用い方,音節の切り方などに慣れさせるとともに,書取,和文仏訳およびその他の作文などを書くことを指導する。  動詞の時法については,直説法の現在,半過去,単純未来および複合過去の文を書くことがてきるように指導する。

 その他の作文とは,名詞,冠詞,形容詞などの性および数の転換および文の転換,たとえば普通文を否定文,疑問文,感嘆文,命令文に,能動態を受動態に,直接話法を間接話法に書き変えさせること,ならびに簡単な質問に答を書かせたり,文の一部を補足完成させたりすることである。

 c 聞き方と話し方の分野  聞き方と話し方の分野においては,読み方における言語材料のうち,運用度の高いものを用いて,フランス語の発音に慣れさせるとともに,基本的な語,特に詞の変化,句,文などの暗しょうを指導する。  発音のうちには,強勢,連読,抑揚などが含まれるものとする。

 聞き方と話し方の分野における文法事項は,書き方の分野における文法事項の程度とする。

指導計画を立てるにあたっては,読み方の分野に重点をおくようにする。  生徒にとっては,フランス語の学習を一時中断しているわけであるから,その進度や学力を診断した上で,指導計画を立てる必要ある。
 留意事項 1 学年当初の指導においては,既習事項を整理してやる。

2 学習の時間数が少ないのであるから,むりな言語材料を提示しないようにする。

3 書取や和文仏訳においては,なるべく既習の語を用いて,日本語とフランス語との語順の相違や,フランス語特有の言いまわしに慣れさせるようにする。

4 聞き方と話し方の分野においては,第一外国語として履修している他の外国語の発音とフランス語の発音とを比較したり,また,レコード,テープレコーダー,ラジオなどの教具を用いて指導することが望ましい。

 

 (2)高等学校においてはじめて履修させる4単位の場合

 a 読み方の分野

 読み方の分野においては,次に示す範囲内の言語材料で書かれた問答や練習を主とする文,物語,伝記,劇,詩,短い小説などを読むことを指導する。また,仏和辞書の利用のしかたを指導する。

〔注〕

 1 言語材料の範囲を次のとおりとする。

(1)言語材料はきわめて平易な現代フランス語とする。

(2)語いのうち新出語は,単一語,合成語,派生語などを含めて,およそ1,000語ないし2,000語程度とし,基本的なものから配列する。

(3)文法事項は,各品詞の用法および文章論のうち,最も基本的な事項とする。

 2 作品の内容については,第一外国語(フランス語),中学校から継続して履修させる場合に同じ。

 仏和辞書の利用については,少なくとも教材となっている語や句をひくことができるように指導する。

 語いのうち基本的なものから配列するとは,ひんぱんに用いられ,覚えやすいものを選択し,これを反復することを意味する。

 最も基本的な文法事項としては,冠詞の用法の大要,名詞および形容詞の性および数の変化,各種形容詞の大要と比較形,各種代名詞の大要,動詞の種類と形態,数詞などを含み,特に動詞の時法については直説法の時を識別し理解することができるように指導する。

 作品については,原作よりも,やさしく書き換えられ要約されたものを用いるのがよい。

 b 書き方の分野  書き方の分野においては,読み方における言語材料のうち,運用度の高いものを用いて,大文字の用い方,つづり字記号の用い方,句とう点の用い方などに慣れさせるとともに,書取,和文仏訳およびその他の作文などを書くことを指導する。

 動詞の時法については,直説法の現在,半過去,単純未来および複合過去の文を書くことができるように指導する。

 その他の作文とは,名詞,冠詞,形容詞などの性および数の転換および文の転換,たとえば普通文を否定文,疑問文,命令文に,能動態を受動態に書き換えさせること,ならびに簡単な質問に答を書かせたり,文の一部を補足完成させたりすることである。

 c 聞き方と話し方の分野  聞き方と話し方の分野においては,読み方における言語材料のうち,運用度の高いものを用いて,フランス語の発音に慣れさせるとともに,基本的な語,特に動詞の変化,句,文などの暗しょうや問答などを指導する。

 発音のうちには,母音,子音,強勢,連読,抑揚などが含まれるものとする。

 聞き方と話し方の分野における文法事項は,書き方の分野における文法項の程度とする。

 指導計画を立てるにあたっては,平易な読み物を読みながら,最も基本的な文法事項を習得させるようにする。

 留意事項

1 入門から学習するので言語材料が比較的に平易であること,生徒が比較や分類や類推のできる発達段階にあることなどから,言語材料をある程度組織的に提示することができる。

2 聞き方と話し方の分野においては,レコード,テープレコーダー,ラジオなどの教具を用いて指導することが望ましい。

3 既習の他の外国語と関連して指導するのか便利な場合もある。

 

高等学校 学習指導要領 外国語科編 MEJ 2392
 
昭和30年12月23日 印刷

昭和30年12月26日 発行

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