第2章 外国語科の組織

 

1.外国語科における科目の編成

外国語科の科目およびその単位数は次のとおりである。

 
教 科
科 目
単位数(指導時間数)
外国語
第一外国語
3(105)ないし15(525)
第二外国語
2(70)ないし4(140)
(1)学校によって「第一外国語」のほかに「第二外国語」を置くことができる。  学校によっては第一外国語だけを置いてもよいし,また,二つの外国語の教養を必要とする生徒の多い学校においては,第一外国語のほかに第二外国語置くことができるわけである。この第二外国語は,すべての高等学校に置かなければならないというものではなくて,学校によって置くことができるというものである。 (2)「第一外国語」および「第二外国語」は,英語,ドイツ語,フランス語またはその他の現代の外国語とする。  第一外国語および第二外国語は,現代の外国の国語を意味するものであるから,たとえばEsperantoのような言語は,これを第一外国語または第二外国語として置いてはならない。 (3)第一外国語」として履修する外国語と,「第二外国語」として履修する外国語とは,別個の外国語とする。

(4)「第一外国語」および「第二外国語」の単位数は,上の表に示したとおりである。

 外国語はすべての生徒が履修すべき教科ではないが,これを履修する場合は,上の表に示された範囲内の単位数履修することがきるという意味ある。このような単位数の幅は,高等学校教育課程全体の立場から考えて定められたものである。したがって,第一外国語や第二外国語の指導時間数を定められた単位数よりも多くすることや,第二外国語を置いたことにして第一外国語の指導時間数を定められた単位数よりも多くすることなどはできない。 (5)「第一外国語」の1個学年における単位数は,3ないし5とする。ただし,定時制の課程および全日制の「水産に関する課程」においては,これを2とすることがきる。

 「第二外国語」を履修させる場合は,第2学年以後において履修させ,1個学年における単位数は,2ないし4とする。

 第一外国語の目標を達成するためには,1個学年における単位数は,通常の場合3ないし5が必要である。

 第1学年においては一つの外国語についてまとまった学習をさせるのが教育的であり,また,第1学年においては履修すべき教科科目をそろえる必要から教育課程の上でほとんど余裕がないので,第二外国語は第2学年以後において履修させる。そして第二外国語の1個学年における単位数が1では,まとまった学習をすることはまったく不可能である。

 
2 外国語科運営上の留意事項 (1)学校は生徒の個性や進路に応じて,いずれの外国語を「第一外国語」とするか,また,「第二外国語」を置くかどうか,もし「第二外国語」を置くとすれば,いずれの外国語を「第二外国語」とするかを定める。  学校によっては,第一外国語についても,また,第二外国語についても,二つ以上の外国を置くことができる。 (2)学校は,中学校から継続して履修させる計画のみを立てるか,そのほかに高等学校においてはじめて履修させる計画も立てるかどうかも定める。  そのためには,生徒の中学校における外国語の履修状況,個性や進路などをじゅうぶん調べる必要がある。 (3)「第一外国語」および「第二外国語」の単位数は,生徒の個性や進路に応じ,定められた範囲内において,適当な計画を立てる。  外国語の教養に対する必要がきわめて弱い場合は,3単位とすることになる。また一方,その必要が最も強い場合は,15単位とすることになる。これら3単位と15単位との間において,生徒の個性や進路に応じて,さまざまな単位数を定めることになる。

 また,単位数の学年配当にあたっては,いろいろな配慮が必要である。たとえば3単位とか6単位のように,単位数のきわめて少ない場合は,履修する教科科目をなるべくそろえるために,低い学年に置くことが望ましい。また,全日制の課程において9単位とか12単位または15単位のような場合には,なるべく各学年均等の単位数を置くことが望ましい。さらに,各学年均等に置けないような単位数の場合は,高い学年に多くするよりも,低い学年に多くすることが望ましい。

(4)「第二外国語」の履修については,生徒の個性,進路,「第一外国語」の履修状況などから見て,適当である場合に,履修するよう指導する。  第二外国語の履修については,第二外国語の履修が生徒の将来に役だつと考えられ,また第一外国語のほかにさらに第二外国語を履修していく余裕がある場合に,これを履修するよう指導すべきあって,一つの外国語についてある程度まとまった学習をすることが必要な生徒が,第二外国語も学習することによって,初めの目的を達することがきなくなるようなことがないように指導する必要ある。 (5)指導計画を立てるにあたっては,次のことに留意する。 a 第3章および第4章には,外国語を最大単位数で履修させる場合,いずれの学校においても,生徒に共通に履修させるのが適当であると考えられる内容の大要を示しているが,項目の配列や順序は内容を示すための便宜の形式をとったのにすぎないのであって,指導の順序や重要性の順位を示すものはない。各学校においては,生徒の興味や関心や必要,地域の必要を考えて,さらに内容を補って指導計画を立てる必要がある。

b 外国語を最大単位数よりも少ない単位数で,たとえば12単位で履修させる場合には,最大単位数の場合における内容を,それぞれの分野にわたって,いくぶん圧縮した指導計画を立てるのが適当である。

 さらに少ない単位数で履修させる場合には,生徒の個性や進路によって,その内容は,聞き方,話し方,読み方および書き方の分野のうち特定の分野,たとえば読み方の分野とか実用的な面に重点をおく指導計画を立てることも考えられる。ただし,このような場合においても外国語科が累積的な性格をもっていることを考えて,重点をおかない分野の内容についても,基本的なものは指導するような計画を立てる必要がある。

c 外国語を共通に履修するほかに,さらに個人差に応じて履修させる場合には,生徒の興味や関心や必要などに応じて,聞き方,話し方,読み方および書き方の分野のうち,特定の分野の内容を取りあげて,さらに深く学習させることが考えられる。ただし,このような場合には,共通に学習する内容と適切なつながりをもつ内容を取りあげるとともに,また一方,個人差に応ずる学習をしていなくとも共通の学習を円滑に進められるような指導計画を立てることが必要である。

d 外国語の履修については,同じ学年においても生徒によって単位数が違う場合も生ずるが,それぞれの単位数において,まとまりのある学習ができるような指導計画を立てる必要がある。