第4章 国語科国語(乙)
1 目標
「国語(乙)」は,国語科の目標のうち,ある特定の部分に重点をおき,生徒の個性や進路に応じて,やや高い程度の教養を養うためのものである。その目標を次の三つに大きく分けて,その一つを選んだり,それらを組み合わせたりすることができる。
現代文,古文について,鑑賞力・批判力を含む読解力を豊かにする。あるいは,現代の国語生活に対する適応や改善ができるように,いっそう的確に効果的にことばを使用しうる能力や態度を養う。あるいは,ことばの理解や表現をよく意識して正確なものとするために,また現在および将来にも必要な国語の教養を高めるために,各種の言語知識を身につけさせる。
2 内容
「国語(乙)」で指導する事項は,現代文・古文・国文法・国語要説・国文学史・作文・話し方である。そして,これら各事項の内容は,「国語(甲)」のそれぞれに関する内容を考慮しながら,「国語(乙)」の性格,目標に沿うように,これを定めることが肝要である。
なお,学習指導の計画を立てる便宜のため,内容に関連して,各事項のだいだいの学習の時間数を次に示すが,各事項の内容や生徒の個性や進路に応ずるように,時間数は事項によって差異があり,なお,各事項の時間数には幅がある。「国語(乙)」の計画は,「国語(甲)」および「漢文」との関係を調節して,各学校の事情に応ずるように,上述の七つの事項のいくつかを適切に選んで立てる。なお,当事項のみを学習する場合がある。
現代文 70ないし210単位時間
古文 70ないし210 〃
国文法 35ないし70 〃
国語要説 35ないし70 〃
国文学史 35ないし70 〃
作文 70ないし140 〃
話し方 35ないし70 〃
(注)現代文,古文の学習は,生徒の能力や必要や関心などを考慮して,「国語(甲)」に掲げた現代文,古文の材料の中から,いくつか選んでまとめたものを学習させてもよいし,あるいは,その中の一つを選んだものを学習させてもよい。
3 留意事項
(1)「国語(甲)」で行う学習と,絶えず密接な連絡や調整を計り,重複や無理のないように,計画し,実施することがたいせつである。
(2)「国語(乙)」の目標や内容に照して,あまりに専門的,特殊的にわたるような材料を選んだり,指導を行ったりしないように注意する。
(3)「国語(乙)」を履修させる計画を立てた場合,その内容が事項としてまとまりをもっているために,その実施によって,「国語(甲)」の内容に,片寄りなどを生じさせやすい。たとえば,「国語(乙)」で古文をおもな学習の事項とした場合,科目それぞれの区別に注意しないと,「国語(甲)」の古文の程度を高くきせたり,あるいは,その内容を現代文に片寄らせたりする。それゆえ,科目それぞれの特色が発揮できるように,「国語(乙)」の計画の際,特に留意する。