第1章 国語科の目標

 高等学校の国語科は,国民の生活や文化を維持し,高めるのに必要な国語に関する生徒の能力や態度を養うための教科である。そのためには,中学校の国語科を基礎として,いっそうことばの働きを身につけさせるとともに,より高い言語文化を享受させ,かつそれを創造する基礎を養うことが必要である。この場合,高等学校の国語科では,中学校において達成されたもののうち,さらに高い程度にくり返し習得させることを必要とするものと,高等学校の段階として新たに付け加えられるものとがある。

 高等学校の国語科は,高等学校の教育の目的,目標の達成を目ざし,教育課程における国語科の位置に留意しながら,主として,読解する力,ことばを効果的に使用する力,ならびに各種の言語知識を養うことを目標とする。すなわち,

1 言語文化を広く深く理解できるように,読解力を豊かにし,特に鑑賞力や批判力を伸張させ,その読解の範囲も,現代文と並んで古文や漢文にまで拡充させる。

2 現代の国語生活に対する適応や改善ができるように,いっそう的確に効果的にことばを使用しうる能力や態度を養う。

3 ことばの理解や表現をよく意識して正確なものとするために,また現在および将来にも必要な国語の教養を高めるために,各種の言語知識を身につけさせる。