1.教育課程編成の方針
なお,教育課程の編成にあたっては,次の点を考慮する必要がある。
(1) 第1章に述べたように,工業教育および工業に関するそれぞれの課程の目標は,一つに定まったものではなく,各学校ごとに具体的に定められるべきものである。したがって各学校においては,日本工業の現状や将来,その課程の直接につらなる工業界の動向を広く見通し,その学校のおかれている環境や実情などをじゅうぶん考慮して,これらさまざまの要求を満たすよう適切な教育課程を編成することがたいせつである。
(2) 普通教科目は,その課程の目標とする工業人育成の一般教養の面だけを受けもつものではなく,また工業に関する科目は単に専門教養の面だけを受けもつものではない。両者がその目標の達成のために有機的に運営されることが必要である。特に数学や理科などは,工業に関する科目と密接な関連をもつので,必要に応じて相互の内容上の重複や欠陥を整理して,それぞれの内容を修正したり,必要な事項を補ったり,その課程に特に必要とされているところを強調して取り扱うなど,工業に関する課程の多様性に応じて変化させることが適当である。したがって教育課程を編成するにあたっては,以上のことをじゅうぶん考慮することがたいせつである。
(1) 目標の決定について
このようにして定められた具体的な目標は,次のようなものでなければならない。
a.その課程が目ざしている方向と,終局の目的とを示すものであること。
b.終局の目的が達せられる時期を決定するのに役だつものであること。
c.学習内容を選定する手びきとして役だつものであること。
d.指導の方法を選定するのに役だつものであること。
e.学習結果の評価の指針として役だつものであること。
学習内容を選定する場合の指針をあげてみると,次のようである。
a.学習の時間を考慮する。
b.生徒の必要と学習価値を考える。
c.利用できる施設や設備を考える。
d.実際に使われるひん度数も考慮する。
e.就職後比較的早期に用いられる可能性を考慮する。
f.学習の難易を考える。
g.標準的な職業上の実際を考える。
h.必要欠くことのできない基本的なものを考慮する。
i.他教科との関連を考える。
昭和31年1月30日 印 刷
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