第3章 家庭科の各科目の目標と内容

 

1.家庭一般

目  標

 「家庭一般」は家庭における生活のしかたや,家庭生活に必要な技術の基礎を身につけるとともに,家庭生活についての知識・理解を深め,実践的態度を養い,進んで家庭生活の改善向上をはかる資質を育成することを目標とする。

 また「家庭一般」においては,中学校における学習を基礎とし,日常生活に緊密な関係をもつ内容を精選して,その知識・技能を高めることとする。そうして,「家庭一般」の内容を被服,家庭経営,食物,保育・家族として,それぞれまとまりあるものとし,家庭生活全領域を総合的にはあくするのがこの科目の特色である。

 したがってこの科目は家庭科のその他の科目の基礎となるものである。

内  容

その1 被服

指導上の留意点 その2 家庭経営 指導上の留意点 その3 食物 指導上の留意点 その4 保育・家族 指導上の留意点 「家庭一般」指導上の留意点  

2.被  服

目  標

 「被服」は「家庭一般」を基礎として,家庭生活に必要な被服に関する知識,技能および態度を習得するための科目である。

 「被服」においては,衣生活を保健・生・活動・休養の実用的立場,服飾・儀礼の立場,各種繊維の性能に関する科学的見地,家庭経済・衣料事情に関する経済面等の角度から見て,適正な衣生活を理解し,自己の生活に適する基準で,数少ない衣類をじゅうぶん活用し,計画的な衣生活をする能力と態度を養う。そうして衣類の選択,製作,更生,保存等については,被服に関する知識・理解に基き,科学的・能率的に処理する能力を身につける。

 なおこれらの学習の間に,個人の衣生活が国家社会におよぼす影響を理解し,衣生活全般に関して改善向上をはかる態度を養う。

被服 I

内  容

[被服 Ⅱ] 指導上の留意点  

3.食  物

目  標

 「食物」は「家庭一般」を基礎として,家庭生活に必要な食物に関する知識,技能および態度を習得する科目である。

 「食物」においては,栄養・食品に関する科学的知識,食糧事情・家庭経済に関する経済的事情や,好みのような個人的欲求等の総合的見地から日常の食物のとり方を理解する。そうしてその理解に基き,科学的・能率的に献立・調埋する能力を身につける。

 新たに設けた調理実験は,調理技術をいっそう合理的な方向に進めるためである。

 なおこれらの学習によって食生活が国民保健・国民経済におよぼす影響の大きいことを理解し,食生活の改善向上をはかり,実践する態度を養う。

内  容

食物 I

指導上の留意点  

4.保育・家族
目  標

 これまで保育と家族とは2科目として扱ったが,両者は一連の関係にあるものであるから,1科目とした。

 保育・家族については,乳幼児の身心の発達とその生活および扱い方に関する知識・技能を高め,少年期・青年期の身心の発達および壮年期・老年期の身心の特徴の概観を知り,家族の欲求・関心を理解する。そうしてその知識・理解に基き,家族の衣食住その他の生活に関する配慮をする能力や態度を養う。また自己を知り家族を理解して,家族相互の調整をはかる能力を身につける。このように現在生活における家庭人としての教養を身につけながら,これからの家庭建設者としての識見を高めることもひとつのねらいである。

 保育技術は,既習事項が限られた範囲であるから,ここでじゅうぶん実習して身につける。

 なお,こどもについては家庭の狭い視野に止まらず,広く社会的視野からみる態度を養う。

内  容

その1 保育

その2 家族 指導上の留意点  

5.家庭経営
目  標

 「家庭経営」はこれまで「家庭経理」として扱ったが,内容の表現を適切にするため「家庭経営」と改めて,家庭経済と家庭管理とを包含し,さらに両者を総合することとした。

 またこれまでは家庭管理の意義・内容の明確でない点があったので,家庭管理は家庭生活における労力・時間を中心として,労働・休養・余暇を内容とすることとした。

 「家庭経営」においては家庭生活における物資,貨幣,労力,時間を有効に使い,総合的・有機的に運営する方法について理解する。そうして衣食住その他すべての生活の各分野においても,全体としてまとまりのある均衡のとれた生活とし,また自己の基準をもって生活を合理的にし,さらに向上発展をはかる態度を養う。

 なおこれらの学習の間に家庭経営と国民経済・国民生活との関係,消費者の立場と責任,公民としての権利と義務,社会の進歩に伴う生活水準の向上等を理解し,社会の発展をはかって個人の向上に役だつような生活をする態度を養う。

 「住居」については経営の意味でこの科目の中に含めて,現在および将来の住居のあり方を理解し,改善する態度を養う。

内  容

指導上の留意点  

6.被服材料
目  標

 「被服材料」は被服材料に関する知識・理解・技術を習得する科目である。「被服材料」においては被服繊維・糸・織物・編物・レース・皮革等の種類,性能・製法・試験法,鑑別法,被服地としての用い方,わが国の衣料事情および被服地と将来の被服生活についての知識・理解を得,なお実験実習を通してその製法および鑑別法・試験法の技術を習得して,国民の被服生活を合理的にする態度を養う。

内  容

指導上の留意点

 実験・実習に重きをおき,視覚的教具を利用したり,見学などによる具体的指導をすることが望ましい。

 

7.被服経理
目  標

 被服経理はこれに関する知識・理解・技術を習得するための科目である。

 被服経理においては衣生活および被服の製作・管理等の面において計画的・能率的・科学的にすることを理解し,これらの理論に基いて実技をみがき,単位数の多い場合は職業的な能力を身につける。

内  容

指導上の留意点

 実験・実習に重きをおき,日常生活に実践するように指導する。

 

8.意  匠

目  標

 服装美についての認識を深め,被服デザインの原理と方法を理解させ,これを実際に活用しうる能力を養う。

 「家庭一般」等において,既に自分の平常着を中心としてデザインの学習をしたが,ここではさらに高められた程度において,服のデザインの原理と方法をはあくし,単位数の多い場合はデザイナーとしての素地を養う

内  容

指導上の留意点

 実習を重んじ,被服デザインの実際にあたって,着る人の個性・場合・環境等にふさわしいデザインを適切に選び,あるいはくふうできるように具体的に指導する。

 

9.仕  立

目  標

 被服「仕立」においては,衣生活を保健衛生・活動・休養の実用的立場を基盤として,日常被服を能率的且つ経済的に製作する技能を養う。

 単位数の多い場合は職業的な能力を身につける。

内  容

指導上の留意点  

10.手芸・染色

目  標

 これまで手芸・染色は2科目として扱ったが,両者は一連の関係にあるものであるから,今回はこれを1科目とした。手芸・染色は一般の家庭で行われている糸・針・布を用いて行う簡単なものを意味し,服飾手芸・室内装飾の一部などが含まれる。この科目は生活様式の変化につれて次々と新しい技法が考案くふうされるが,一定の基礎技術は不変のものであるから,これを習得し,単位数の多い場合は職業的な能力を身につける。

内  容

指導上の留意点

 手芸・染色の学習においては図案・色彩・作り方等において,自由な創作ができるように指導する。

 

11.被服史

目  標

 被服の起源および型式について理解させ,現在の被服はどのような移り変りを経て今日に至ったかを認識するとともに,被服変遷の原則をはあくさせ,今後の服装のくふう改善に役だたせる。

内  容

指導上の留意点

 博物館その他を利用し,また被服模型・写真・幻燈等を活用して,なるべく具体的に指導する。

 

12.栄  養

目  標

 栄養は各種栄養素の体内における機能に関する知識を習得するための科目である。栄養においては各種栄養素の化学的性質,生理的作用,年令別栄養所要量および栄養の欠陥によって起る疾病等についての知識を深め,これを実生活に生かすことによって,健康の増進,体位の向上をはかる能力を養う。

内  容

指導上の留意点

 日常の食生活を栄養的に検討して, これを改善し向上をはかるよう指導する。

 

13.食  品

目  標

 食品は食品についてそれぞれの特質を理解し,これを科学的・経済的・能率的に使用し,食生活を向上させる能力と態度を養う。

内  容

指導上の留意点

 国民栄養の観点に立ち,各種食品の特質を知るとともに,加工,貯蔵等を実生活に関連づけて指導する。

 

14.食品衛生

目  標

 食品衛生においては,食品の腐敗,食中毒,食品の鑑別等に関する知識を養い,安全な食生活を営む能力と態度を養う。

内  容

指導上の留意点

 食品の消毒,食品保存法・食品鑑別・食品衛生監視等実際的な問題に重点をおいて指導する。

 

15.食物経理

目  標

 食物経理は,食生活を経済的・能率的に運営する能力を習得するための科目である。食物経理においては食物費の適正,食糧事情,台所の施設・設備等についての知識・理解を深め,食生活を改善向上する能力と態度を養う。

内  容

指導上の留意点  

16.献立・調理

目  標

 献立・調理は栄養,食品,食品衛生,食物経理等の知識を基礎とし,献立および調理の知識・技能を習得するための科目である。

 献立・調理においては,日常食,行事食,特別食等を献立・調理する能力を養い,単位数の多い場合は職業的能力をも身につける。

 調理実験においては,調理をいっそう科学的にする能力を養う。

 これらの学習によつて食生活が国民保健・国民経済におよぼす影響の大きいことを理解し,その改善向上を図る態度を養う。

内  容

指導上の留意点  

17.大量炊事

目  標

 大量炊事は,それに必要な調理全般についての知職・技能を習得するための科目である。大量炊事においては,学校給食,病院給食,工場給食等の目的に応じ,それぞれの立場から栄養的・経済的な献立の作成,食品の購入および調理の知識・技能を習得し,かつその施設・設備・炊事作業が衛生的・能率的にできる能力を養う。

 なお,この学習を通して将来の食生活の改善,国民の健康増進を図る態度を養う。

内  容

指導上の留意点  

18.小児保健

目  標

 「小児保健」は乳幼児の身体の発育・生理・衛生・看護に関する知識・技術を学習するための科目である。

 乳幼児の健康は一生の健康の基礎であり,発育に影響する事が大であることを理解し,乳幼児に健康生活の習慣を得させ,さらに健康を増進させようとする態度を養う。

内  容

指導上の留意点  

19.小児栄養

目  標

 「小児栄養」は乳幼児の栄養に関する知識を習得し,実践する技能を養うための科目である。

 乳幼児の栄養は乳幼児の健康を左右することを理解し,正常な身体と円満な人格形成を助長するよう,栄養的・能率的に献立・調理する技術を身につけ,実践する態度を養う。

内  容

指導上の留意点  

20.児童心理

目  標

 「児童心理」は,幼児の精神発達が生がいの精神活動の基礎となるものであるから,常に成長し発達している児童を理解し,児童の現実の姿を正しくはあくして民主主義的世界観に基いた児童観を確立し,理想的人間形成のよき助成者として必要な知識技能およびその実践的態度を身につける。

内  容

指導上の留意点  

21.児童問題

目  標

 「児問題」は我が国における児童の生活の現状をはあくし,その保護育成を改善向上する科目である。「児童問題」においては児童憲章・児童福祉法に基き,その生活環境の正しいあり方を理解し,それを実現するための個人的・社会的解決法についての知識を得させ,それを実践しようとする態度を養う。

内  容

指導上の留意点  

22.保育原理

目  標

 「保育原理」は児童の身心発達の観察のしかたと,その発達を助成するための原則を学習する科目であって,「保育原理」においては保育の意義と児童を理解する方法とを知らせ,その指導に関する原理を理解させる。

内  容

指導上の留意点

 実態に即してわかりやすく指導し,できるだけ児童と接触することによって児童の状態をはあくし,保育の原理を理解するようにする。

 

23.保育技術

目  標

 「保育技術」は,保育に必要な技術の習得を目標とし,特に集団保育に必要な知識・技能を習得するための科目である。「保育技術」においては幼童保育のための絵画製作,音楽,遊戯リズム,お話などの知識を得,技術を身につける。

内  容

指導上の留意点  

24.保育実習

目  標

 「保育実習」は,保育についての理論や技術を基礎として,総合的に実習するための科目である。「保育実習」においては,保育技術を習得し,実習を通して正しい児童観を確立し,保育技術の改善をはかる。

内  容

指導上の留意点  

家庭科指導上の留意点