高等学校芸術科の学習は,中学校の教育の成果に基き,芸術の創造的表現や鑑賞を通して,高等学校教育の目的と目標の達成を目ざすものである。
芸術の創造的表現は,思考や感情を美的に秩序だてて表わすことである。この創造的表現の学習によって,みずからの経験を出発として,意識的な行為を洗練し,感情をもりたて,そこに新たな創造活動が円滑に進めることができる。この面から個性の伸長に役だつ。
芸術の鑑賞の学習は,美的な価値を理解感得し,さらに高い価値を追求することである。このことによって,芸術的の創造表現もじゅうぶんに営まれるようになり,かつ情操も純化されるのである。表現がともすると限られた分野に終りがちであるに対して,鑑賞は鑑賞そのものの特徴から,より広い分野にわたる経験を得させる学習を展開させることができる。
芸術的な創造や鑑賞は,もともと個性的なことがその本質であるが,これによって個性の円満な発達が行われるときは,個人としての情緒の安定に役だつと同時に,社会性の伸長にも役だつものであり,ひいては生活を明るく豊かにすることもできるものである。以上のことから,芸術科においては,次のことを目標とする。