第3章 社会科の指導計画

 

 中学校社会科の学習の領域は,第1章で述べたような趣旨による地理教育,歴史教育,政治・経済・社会に関する教育,さらに道徳教育についての目標を達成するものでなければならない。しかしこれらの教育の目標や内容の素材は,互に関連した共通のものをもっており,その本質において明確にときほぐすことはできない関連した性格をもっている。

 社会科の目標達成のため,その指導計画を組織するにあたっては,地理・歴史・政治・経済・社会などの分野に分けて組織することも,このような分野に分けないで組織することも考えられる。

 しかし,どのような指導計画をたてようとも,中学校社会科の目標を,小学校教育の成果の上に,生徒の発達段階に応じて,効果的に達成していくようにすることがたいせつである。

 このことについて,郷土に関する指導計画を例として説明しよう。郷土についての社会科の目標を達成するためには,地理的分野,歴史的分野,政治・経済・社会的分野に分けて,指導計画をつくる場合も,また,これらの分野の関連などを考えて指導計画をつくる場合もあろう。前者の場合でも一つの分野,たとえば,地理的分野の指導計画をたてる場合に,郷土という単元を特に設けて学習させることも,日本の諸地域の一部としてある程度のまとまりをもった学習をさせることも,また,郷土という学習のまとまりを考えないで,中学校における地理的分野に関する指導計画において,あらゆる機会を通じて,適宜その実現を図っていくように組織する場合もあろう。そのいずれの方法をとってもよいわけであるが,郷土についての具体目標を達成するために,生徒の発達段階などを考えて,効果のあがるようにすることが根本である。
 
 

中学校 学習指導要領  社会科編  MEJ 2461
 

昭和31 210 印刷

昭和31 2月20日 発行    

 
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