1 体育科の学習指導 学習指導要領一般編に,一般的な学習指導法について述べてあるが,体育科の学習指導法も原則的にはこれと変るところはない。体育科の目標への到達はさきに掲げた学習内容を児童が習得することによって期待できるのであるから学習指導においてたいせつなことは,これらの学習内容をどうしたらよりよく習得させうるかということである。 また,体育科の学習指導も,学習者自身の必要を満たしながら,同時に教育的必要を満たそうとする。すなわち,学習者の必要に出発しながら,これをわたくしたちの社会が当面している問題の解決に結びつけるよう方向づけることが学習指導であるといってよい。したがって,教師の指導や助言によって学習を促進することはもとよりたいせつなことであるが,これはやがて学習者みずから問題を発見し,かつ,その解決に当りうることを目ざすものでなければならない。
これまでの体育科の指導法をふり返ってみると,もっぱら身体的目標に結びつく指導に重点がおかれた傾向が見られる。正常な身体の発達に結びつく指導の必要はいうまでもないことであるが,民主的態度を育てることや健全なレクリエーションに導くことも,これに劣らずたいせつなことである。したがってこれらの目標に導く方法においては,一般的学習指導法をよく理解した上で,新しいくふうを加える努力が必要である。
2 指導計画と指導法
有効な学習は計画的指導によって期待することができる。さきに述べた年間計画その他の指導計画は,効果的な学習活動を展開するためのものであった。年間計画はより小さな単位の計画に具体化せられて行くのであるが,計画は要するによりよき学習活動のためのものであるから,すぐれた指導法がこれに伴わなければ意味のないものになる。
たびたび述べるように,指導法は,学習内容から離れて,それだけが独立に存在するものではない。学習内容の性質に応じてそれぞれ適当な指導法が必要であって,内容から離れた方法は,結局空虚な概念にすぎない。指導計画は児童の発達や目標を考えて立てられるものであるが,指導法も同じ立場に立って,これを具体的な学習活動に展開させるためのものである。
3 指導にあたるとき留意しなければならない諸点
指導法は児童と学習環境と学習内容の三者に関係をもつものであるが,指導にあたって,特に留意しなければならない諸点を次にあげてみよう。
たとえば「鬼ごっこ」をしなければならないおもな理由は,いったい何であろうか。「鬼ごっこ」そのものを教えるものでないとすれば,この鬼ごっこは児童の日常生活のうち,どこでどのようなときに行われているかを知らなければならない。もしこれが近隣のこどもたちとの間に行われるものであり,それについてのいろいろのしかたがわかっていると,みんなで気持よく遊べるというのであれば,鬼ごっこ指導のねらいはこの遊び仲間の生活をよくするということにあり,したがって,鬼ごっこを学習させる要点をそこにおかなければならないであろう。
また「固定施設をつかって遊ぶ」ような活動の指導にあたっては,なぜそれを学習させなければならないか,ということをじゅうぶんに考えておく必要がある。この場合,さまざまな固定施設を安全に,じょうずに,みんなと仲よく使って,児童の運動欲求を満たすということをねらいにするならば,指導は,単に,固定施設の使用法に限るべきではなく,日常児童たちの遊びを安全の面や施設を中心とする行動の状態などの面から観察して,みんなが,たのしく活動でき,かつ少しもけがの起らないように行動できるということを念頭におかなければならないであうう。
このように学習内容として,ねらうべきものをはっきりとつかんで,学習者の運動意欲を方向づけることが,指導における重要なこととなるであろう。
(2) 指導の方法は児童の発達段階に適応するのでなければならない
指導の方法は,多様である。すべての方法がどの学年にも適するとはいえない。さきに第Ⅲ章 発達上の特性と学習内容のところで,児童の発達的特性を示したのは,教師が指導の対象である児童の特性をつかむために役だたせるためであった。したがってあらゆる方面の発達上の特性をじゅうぶんのみ込んで指導にあたるようにしなければならない。
(3) 児童の健康状態をよく知っておく
ひとりひとりの児童は,みんな健康度や体力,運動能力などが異なっている。弱いものに,普通のものと同じ程度の身体活動を要求することは,かえって,健康を害することになる。特に,要注意者,ツ反応陽転後1年以内のものなどについては,むしろ,運動意欲を調整するようにしなければならない。そして一定の運動中,運動後にあらわれるからだのはたらきの状態を注視しながら運動練習を加減することがたいせつであろう。
また,運動能力についても個人差がある。ところが学年やクラスの運動能力の到達目標を設けて,すべてのものにその目標の達成を,強要するのはこの個人差を無視した指導であるといえる。たとえば,「力試し」というのは,何もすべての者を同じ能力水準に到達させようとして設けたものではない。能力はみんな違うが,きのうよりもきよう,きようよりもあすというように,児童のひとりひとりの力が,進んでいくことをねらわなければならない。この意味で到達目標は,集団の全体のためではなく,個人的なものでなければならない。結局指導は,個人の健康度,能力水準に即して行うべきであるということになる。
(4) 児童の生活的背景をつかむ
児童の生活的背景というのは,児童たちがおかれている近隣社会・遊び仲間・家庭・学校などにおける生活の現実をさすのである。狭い道路でしか運動できないようなところにいる児童たちの運動指導,反対に公園や広場が自由につかえる児童たち,思いやりのある上級生がうまくリードするところの遊び,反対に小さいものを圧迫するようなものがひきいる仲間など,さまざまな生活の現実がある。さらに学校を始め,地域・家庭などの施設の状況,それの位置・広さなどは,児童の身体活動に対する重要な背景となるであろう。指導法は,したがって,従来のごとく単なる運動技術の獲得のほかに,それらが何のためにどこで使われ,どんな必要を満たすかということに関連していなければならないであろう。
(5) 学習環境の改善をはかる
学習が,主体と環境との交互関係によって成立するとすれば,当然,指導は主体の方への働きかけばかりでなく,その行動的環境の改善をたえず考慮することが必要である。たとえば,運動する場所を設定し,学習内容に応じて許しうる限りの用具を整えるなど,学習能率の向上をはかることが肝要である。ある意味では導入のくふうをして,少ない用具でやっと間に合せるよりか,。さまざまなゲームが,クラブの活動や自由時間中にできるように,施設用具をじゅうぶんに準備するほうがいっそう有効でありうるのである。
(6) 教師の態度,指導者の力
運動ぎらいな教師の指導下にあっては,児童たちの運動に対する興味が起らないことはいうまでもない。ところが運動好きの教師でも,技術のために指導するものと,児童の必要を満たし,かつ,それによって,児童たちの社会をよくするように方向づける者との間では,その影響は著しく異なってくる。
また,児童の協力者となり,遊び仲間となることのできるものと,かれらの活動を常に客観的に観察している教師による指導とでは,クラスの空気も恐らく著しく異なるであろう。理想からいえば,教師は,児童たちの活動の中に入り込むことができ,しかも,その間にかれらのあらゆる活動の状態を見抜くようなものであることが望ましい。
また教師の能力についても,同じことがいえるのであって,ある技にすぐれた教師は,この方面で児童たちに強い影響を与える。したがって教師が,身体活動のわざについて相当程度の水準に達し,またはその経験をもつということは,きわめてたいせつなこととなるであろう。
一般的にいって,体育科で指導の最もよく行われる機会は,教科時であるといえる。ところが児童の生活を改善し,生活するための児童の能力を高めることに指導の目標があるとすれば教科の指導には,前章の「指導計画の単位」の項で示した(A)特に個人的発達に効果があると考えられるもの(B)教科以外の組織的グループ活動に発展しやすいもの(C)未組織ではあるが日常活動としてよく用いられるものの3分類に応じた方法がなければならない。
Aは,主として教科時間に行われるものである。これは指導計画に出てくる活動のうちで,クラブや自由時や遊び仲間の運動生活に直接現れないが,体育科としては,必ず経験させなければならない活動に対する指導であって,主として,個人的・基礎的活動がそれに当るであろう。ここでは,特に発達や発育の立場から身体活動の調和を考え,かつ,身体的発達に方向づけるようなものがその対象となってくる。それゆえに,力試し的な運動などによって,自身の学習能力を高めるように利用することが望ましいわけである。
Bは対級マッチ,校内競技あるいはさまざまなクラブに参加し,そこで望ましい組織的活動をするために教科時の指導が行われる場合である。ここではクラブの計画・運営ということも必要になり,チームを作れば,そのメンバーとして活動するための一定の技術的水準が要求せられる。したがって,教科時の指導はクラブの活動を望ましくするために方向づけなければならないのである。校内競技をもつようなとき教科時の学習指導をこれに方向づけるのはこの場合の児童の生活をよくしたり,楽しくさせるためである。
Cは遊び仲間の生活でしばしば用いられるような未組織な活動,またはその生活自体を背景にして,指導するのであるから,施設や用具がなくともできる鬼遊び,リズム遊びのようなものが問題になってくるし,しかも,その指導は学校の自由時,近隣社会における遊びのしかた,仲間同志の楽しみ方,さらにそれらをいっそうよくするための改善の能力をつけることに,指導の目標がおかれるであろう。郷土的なリズム遊びなどのねらいは,家庭や遊び仲間の生活を豊かにするためにもたれるものとみなければならない。
要するに教科時の指導は,このような背景のもとに行われなければならないものであろから,決して一様のものであろうはずがない。また1週3時間の身体活動の指導のみが体育科の指導であると考えては大きなまちがいであろう。少なくとも,1日4〜6時間の活動が,家庭,社会,学校の生活で行われ,しかもさまざまな意味をもって行われる児童の生活に浸透していくように教科時の指導を位置づけなければならないのである。
(2) 学習内容と指導
児童の学習が教科時のみに限らないものであるとすれば,学習内容も当然,児童の生活からおさえられることになる。これについてはすでに第Ⅲ章で述べておいたので,ここでは,学習内容の各分野についての指導の基本的な点を述べることにする。
A 身体活動の指導
身体活動の学習のねらいは,それぞれの発達段階において必要な運動を楽しく行い,それについての興味を持ち技術を獲得させ,これらの運動の結果,身体的発達に望ましい影響を与えようとするところにある。したがって,ここでは,運動技術の学習が最も重要な点であるといえよう。
さて,運動技術を身につける学習は,一般に「習慣形成」とよばれる学習過程の様式をとる。それは一定の運動の型をみにつけることであって,この場合に,三つの方面から問題が起るであろう。その一つは,学習能の問題であり,他は学習過程上の問題である。
それぞれの児童にとって,学習能がそれに至っていないときに,それ以上の能力を必要とする運動を学習させることは,明らかに不当である。したがって運動が,各児童の学習能にたえられるかどうかを知ることが必要であり,それに応じて,運動に対する難易の度を変化しなければならない。
学習能に適した運動が選ばれたならば,それを獲得するための「練習」の手順を考えなければならない。運動能の獲得というのは,運動の過程が望ましい型に固定化することであって,そのために「反覆練習」の必要が生ずる。しかし,練習の過程において,どこかに正しくないしかたがはいってくると,やがて全体として運動過程が正しくないものになる。そこで運動過程においてはいってくる望ましくない型を「きょう正」しなければならない。これを自主的に学習させるには,(1)どのようなしかたが正しいものであるかをはっきりとつかませ,(2)これに向かって練習を動機づけ,熱心な練習へと展開させなければならない。(3)もしこの間に,望ましくない動きが生じたとき,その問題点をはっきりさせるようにしなければならない。かくて,
学習者……運動意欲→練習→修正→練習→固定
指導者……動機づけ→手順の指示→きょう正→評価
のような,過程を通るのである。
運動技能の練習過程は,できるかぎり,まず「全習」の型をとり,そこで困難点や問題点が生じたとき,必要に応じて「分習」の方法をとり,やがて,いっそう進んだ形の「分習」に進むことが望ましい。最初から「分習」によらなければならないような運動は発達段階に応じていないのであるから,かかる場合はむしろ低い段階の運動を選択し,または,それに適するように再構成すべきであろう。
練習の過程が,発育・発達・健康などに対して,合理的であるためには,練習によって過労にならないように,練習時間・休憩時間などを考えさせなければならない。それゆえにここでは,個人の体力に応じて運動の量や程度を自身でコントロールすることができるように,指導しなければならないのである。
B 協力(人間関係)についての指導
協力的な人間関係を身体活動でうち出そうとするのがこのねらいである。したがってその指導は,まず,どんなときに協力の必要が出てくるかをはっきりつかんでいなければならない。協力というのは,共通の目標(チーム・学級・遊び仲間などの集団の目標)をもってその目標をみんなが意識し「われわれ」という立場において,活動が行われるときに,必要になってくるのである。
したがって「仲間とよく協力し,みんなで楽しい,時間をもつように,つとめる」ための指導の第1の段階は「仲間意識」をもつような場を構成し,集団として組織的な活動に参加させるということである。このためには,一つの種類の運動が終るまでチームを固定するということも,たいせつな方法であろう。集団の目標がはっきりとわかり,そのために参加者(成員)が,自己の分担すべき仕事をじゅうぶんになすことによって,その力が一つにまとまるとき,はじめて「協力した」といえるのである。それゆえ,活動のそのときどきで,チームが変るというのでは,チーム自体の共通目標もはっきりわからないし,協力しなければならない仲間の性質・傾向もよくわからないままに,ただゲームだけをすることになり,真の協力の経験をもつべき機会は与えられないことになるのである。
さてこの方面の指導の第2の段階は,遊び仲間や集団内において,人間関係の上で望ましくない事態が現れたときの方法である。この場合は,まずその原因を考えさせなければならない。たとえば,仲間に対する態度・相手に対する態度・技術的水準・集団活動の運営などについて,どんな点が,協力や全体の楽しい空気を作る上の障害になっているかを,つかませる必要がある。
第3段階は,発見された問題を解決するのに,どのような方法をとるかを考え,これを実行にうつすことである。たとえば,チームのひとりだけが活動して,他のものに活動の機会を与えないということがわかれば,これをなおすために,他のものがどうして活動するか,もしそれが技術面に問題があれば,個人的に技能をみがくとか,という解決法を立てて実際に試みるのである。
第4の段階は,この実行の結果を反省しながら,次の練習にそれを取り入れるように指導する。さらに同じような事例が学校や地域や家庭に見られ,そこに問題があれば,このしかたを,これらの生活領域に拡大していくように方向づけ,示唆を与えるべきである。この場合できる限り,チームで問題になっているものと類似の事例をあげることが望ましい。要するに,家庭・社会・学校で問題になることを,チーム・プレーの活動経験を通じて,解決していく力をもたせることにこの指導の主眼点をおかねばならないであろう。
C 集団行動についての指導
集団の種類 体育と関係のある集団には大中小さまざまなものがあるが,その主要なもの(学習事項)にいては,学習内容の(B)で述べた。年令や発達に応ずる適切な指導によって,集団での行動は民主的となり,また敏速・正確になるのである。
問題になる集団行動 集団行動には,各種集会・遠足・緊急事態の活動など,さまざまなものがあるが,しかしそれらのあるものは,体育と関係の深いものもあれば,またそうでないものもある。体育において取扱うところの集団行動は,もちろん,体育と関係の深いものであって,ここに学習の場を求めて,それを,広い意味での集団活動にまで展開させようとするのである。
体育と関係の深い集団行動 体育的活動には集団としての活動が多いので,これらの活動を民主的・能率的に運ぶことは,体育指導の関心事である。しかしその行動形式には,他の活動場面におけるものと共通なものをもっている。したがって,これらを考慮して,体育の場合に学習したところの行動形式をうつして,他の集団行動の能率化を図ろうということが必要になるであろう。
学習の場 さきにもあげたように,集団行動にはさまざまなものがあり,そこに学習の場がある。過去の形式主義から脱却するには,具体的な行動の場で学習させるようにしなければならない。したがって,集会,遠足などの行動の場面を学習の場としそこで学習するのを主体としなければならない。しかし,体育に関連して学習される集団行動の様式は,他の場合と共通性をもっているので,体育の場で,指導しうる限りの行動様式を学ばせることは必要であろう
学習の方法 (1) 強制的でなく,理解に基く行動が行われるような指導,(2)共通な行動形式については,約束として,それを固定化し,他の場合にも,それを適用する。(3)必要な場合に,特定の形式をとり出して練習する。
行動形式の範囲 行動の形式としていろいろなものが考えられるが,たとえば次のような形式を学習することが便利であろう。(1) 集合(身長順,間隔,整列)しやべらないこと,直立姿勢をとる,(2) 準備態勢と解緊──(気を付け,休め)(3) 整とんのしかた──(たて,よこ)──前(右,左)へならぶ。正確な動作,(4) 列の増減──(集団の収縮と散開)──次の動作と場面の必要に応じて,(5) 方向変換──(廻れ右)(6)その他
D 施設や用具の使用についての指導
ここでは,物の使用のしかたを指導する。施設の少ないときは,使用の順序を考えさせなければならないであろう。施設のこわれていることに気づけば,自分ばかりでなく他のものの安全をも考えて,学年に応じて,適当にその処置のしかたを考え,かつ実行するように導かなければならない。また学校の施設や用具は,いずれも公共のものであるから,これをたいせつにするという態度を拡大して,公共物一般について,その保存と活用を図るように指導しなければならない。したがって,ここでたいせつなことは,その数と使用者の人数に応じて,その使用の方法をきめたり,つねに安全の点からそれをよく点検し,適切な処置を講じ,さらに,その手入にまで気を配るだけの心をもたせるように動機づけ,方向づけることである。
E 健康習慣と安全についての指導
健康習慣や安全の指導には,少なくとも,児童自身の健康度を知り,学習させる運動の程度,さらに運動中に予想しうる障害予防の心得をわきまえて,活動に当らせることが重要である。そのためには,定期の身体検査,精密検査,体力検査などの利用がまずもって必要である。
この方面の指導の第1の要点は,運動中の児童の様子を健康の立場から観察し,過労をさけさせるように配慮することであろう。
第2は,児童のおのおのに,健康上適した運動が何んであるかを考えさせ,その実行を促す。
第3に,前述の用具や施設の清潔・安全のほかに,特に生命の危険を招くおそれのあることについて,よく監視するとともに,注意を守らせる。
第4に,健康の立場からについて,運動の量を定め,または状況に応じて運動を休むというように自分の身体をコントロールする力をもたせる。したがって運動のあとの身体の様子や変化についても気を配ることが必要である。
第5に運動に伴う発汗,温度に応じた衣服の着用,運動後の洗面・手洗い,できれば,シヤワーの利用などの習慣をきちんとつけるように,時間をとり,場所を定め,その実行を確めることなどは,たいせつなことになるであろう。
F 進歩の評価についての指導
体育科の学習内容をどのように学習したかをつねに児童自身が見ることをねらいとしている。この指導要領で,このような学習内容を新たに設けたのは,進歩または発達の立場から過去と現在とを比較して,将来に対する計画を立てるという生活の必要を満たそうとする理由にある。したがって,この指導では,第1に過去の状態が,児童自身に明らかになるような方法をまずとらなければならないであろう。過去の状態がわかるようにするために,たとえば,身体や技能についての測定の結果をつねに記録させ,この記録を通じて,自己の進歩の程度をみていくということが重要なことになるであろう。
第2は他と比べて各個人の位置を知らせることである。このためには,クラスや同年令の地域,全国などの測定資料を集めて,これらの資料と比べてみるように進めていくべきであろう。
第3に測定の結果が,数量的に出ないような,たとえば「活動はたのしくなったか,それはどうしてか」「よく協力できたか」「施設や用具がじょうずに使えるようになったか」「健康生活の心得,安全など」に関する態度がどのように変化し,改善されたかというような点になると,主観的な判断にたよらなければならないことが多い。これらの基礎となる「自己評価」「自己反省」には,作文,日記,その他の記録を利用して,できるかぎり,児童自身で,あるいはクラスで相互批判をして,なるだけ個人やクラスの全体の態度,空気などのうつり変りをはっきりつかませるように努めることが望ましい。
第4に,これらの結果,その進歩が目だたなかったり,少しも,変化や改善がされていないときには,その理由を,考えてみなければならない。この原因や理由を見つけるためには,それに対する一定の観点をもたせる必要がある。たとえば,(1)あまりに努力しなかったためか,(2)他の環境の条件によるのか,(3)それとも健康などの理由によるのか,などについて,はっきり反省させるための観点を与えて,できるかぎり,自己評価を正確にするように導くべきである。
さきの「学習内容と指導」のところで,学習内容に応じて,指導の方法があることを指摘した。それは,しかし,時間的過程からみると「学習活動の展開」ということになるであろう。この展開を図るための指導の根本的なものとして,次の3層をあげることができる。すなわち(1) 身体活動の実践,(2) 実践に伴って起る困難や問題の発見,(3) 困難や問題の解決などがそれである。この例を「固定施設を使って遊ぶ」ということで考えてみよう。まず第1層では固定施設を使って遊ぶことができるような方法の獲得が必要である。それは結局,児童がその活動をするということから始めなければならないであろう。
第2にこの施設を使って遊ぶとき,(1) 恐怖心のためにできないとか。(2) 遊び仲間の秩序がとれないとか。(3) 道具がこわれた……などの問題にぶつかったとき,それぞれこれらの問題の発見をさせなければならない。
第3は,これらの困難や問題を解決することである。すなわち,(1) 道具のこわい者については,もっと容易な遊び道具によって徐々に恐怖心なくし,(2) 遊び仲間の秩序を乱すときは,みんなで楽しく遊ぶにはどうすればよいかたとえば順序を守る,時間をきめるなどそれぞれ解決の方向を求めなければならない (3) 道具がこわれておれば,それを使わないで,教師にその箇所を知らせ,修理してもらう,など,このようにして一応いろいろな固定施設を自由に使うことができ,みんなで楽しむことができるようになれば,この方面の学習は,終ってもよいのであって,さらに能力が高まったとき,新しい立場からそれを取り上げるようになるであろう。
6 指導の形態
指導にあたってクラスのものをどのような形に組分けするかは,学習環境の設定の一つといえよう。ここでは3つの場合を考えたい。(1) いっせい指導(2) 個別指導(3) 集団指導がそれである。
いっせい指導を利用するのは,クラスの全員に同一内容の活動を学習させようとするときであって,主として,基礎技能の指導などに用いられる。これまで,このようないっせい指導があまりにも多く用いられていたので,この方法の適用限界を知っておく必要がある。この方法は,ともすると,教師中心となりやすいので,さらに進んだ活動をするための基礎技能の獲得の段階のみにとどめるべきであって,あとは,他の方法によらなければならない。
第2は個別指導であって学習の目標が,個人によって異なっているとき,または,個人的に問題があるとき用いられる。たとえば,著しく能力のおくれているものを取り扱うには個別的に問題の児童をとり出して指導しなければならない。いわゆるガイダンスは,この方法をとるのである。
第3の集団指導は,集団としての活動をする場合の指導であって,クラブやチームなどの計画・運営・組織・練習などはその指導の内容にはいるものである。ここでは,成員を個人として見るのではなく,一定のチームの一員としてみるのであって,したがって,この集団において各成員が,どのように働くかということに重要なねらいがあろう。
このような指導の形態では,当然「組分け」が考えられなければならない。組分けの必要なのは,主として個別指導と集団指導の場合である。
個別指導では,本来ならば,ひとりひとりが指導の対象になるのであるが,これを完全に行うことは,ひとりの教師で指導する今日の学級経営からすれば不可能である。そこで,次善の方法ではあるが,身体活動の学習指導にあたって,能力の近いもののグループを作る必要がある。これを通常,能力別編成とよんでいる。この方法には,いろいろのしかたがあるが,クラスの全員の能力調査をして,一定の基準に従って能力による編成をするのはその一例である。しかしこの編成は主として技術習得の必要から生ずるのであるから,その目的が終れば終了するものである。この場合,能力の劣った組に,劣等感を起させないようにつねに注意する必要がある。
組織的なプレーなどの必要からチームを作ろうとするときは,能力別編成を加味するのも一つの方法であるが,また指導のしかたによっては,いろいろの能力をもつものを混合してチームを作るほうがかえって成功することもある。このチーム編成は,身長などによって機械的にわけるよりも,各チームの能力を均等にするように児童たちに編成させ,一つの活動が終了するまで,それを続けていくことが望ましい。それによって,よく協力するということを学習させることもできるであろう。
なお,身体の事情などによって,激しい運動を制限する必要があるときは,その程度・範囲・内容などを制限し,あるいは採点係・マネジャー・とけい係・審判などに当らせ, 許しうる範囲内で活動に参加させることが望ましい。
7 指 導 案 例
第1学年4月の学習指導案例(中都市) |
家庭から学校に,生活の場が変ったこどもたちに,楽しい学校生活ができるようにと学校めぐりなどが行われている。この学習を通して,校庭にある施設や用具の名前をおぼえ,その安全な使い方をいろいろとくふうし,教えたり教えられたりしている間に,友だちや,教師,学校の生活と結ばれ,集団の生活に馴れさせるよい機会とする。
3 児童の現状と教師の目標
(1) 児童の現状
入学当初144人の児童を,自由に運動場に遊ばせ,施設・用具を使わせてみた。その種類・人数・技能を観察した結果は,次のとおりであった。
種 類 | 人 数 | 活 動 の 内 容 |
ぶらんこ
ジャングルジム 捧のぼり シーソー(低い) 低鉄棒
すべり台 砂 場
平均台 鬼ごっこ |
10人
38 6 12 32
9 23
9 5 |
ひとりでじょうずにふり動かすことができる。
頂上まて登れるのは男だけ,のぼりっこをしている者もいる。 あまり登ぼれない,中ほどより上へ登れた者は3人 男女仲よく遊ぶ。 懸垂はみなできる。前回りでおりられる者3人,両手の間から両足を入れてうしろへ回れる者もいる。 女が多く遊んでいる。 すもうをとる子が3組,山と川,トンネルづくりか大部分何もしないでお友だちの遊ぶのを見ている子は女が多い。 渡りっこ,落しっこ。 ごく親しい間柄だけである。 |
種 類 | 技 能 の 程 度 |
ぶらんこ
ジャングルジム 棒のぼり シーソー 低 棒 すべり台 砂 場 平均台 |
こわがらないでのれる。回数をきめて交代する。
のぼりっこ,ジャングルジムの鬼ごっこができる。 手と足を使ってどうにか登れる。 お互い合図をしあって,危げなくできる。 鉄棒をしつかりと握り,懸垂とび上がり 足かけができる。 順序を守ってすべり,脚の屈伸を使って着地ができる。 川とび,すもうができ,砂でいろいろなものをつくることができる。 落ちないで渡ることができる。台上で軽く投げたボールがとれる。 |
4 計画の重点
月/週 | 教 科 時 | 教 科 外 | 他 教 科 |
四月第1週 | 固定施設を使って遊ぶ
ジャングルジム 低鉄棒 ならびっこ |
固定施設での遊び | うれしい入学(社)
(算) 学校めぐ10(社) こうてい (国) |
第2週 | 低鉄棒
ぶらんこ ならびっこ ひらいたひらいた |
わなげ
ジャングルヂム 低鉄棒 |
|
第3週 | ぶらんこ
シーソー 砂 ならびっこ はとぽっぽ |
ぶらんこ
砂 場 |
|
第4週 | すべり台
|
ぶらんこ
ジャングルジム 低鉄棒 |
5 本時の指導(第2週第1日)
第2週を迎えて,お友だちも2,3人できた。その反面学校の生活になれるに従い,自己主張が始まり,1日に2,3回はけんかをする。泣いている子はいなか。すきな鉄棒ではあるが,自分の場所を間違えるものがいるので今週は早く自分の場所へつけるようにするとともに,鉄棒や,ぶらんこの使い方になれさせる。
(2) おもな活動
D 鉄棒につり下がり,数えながら振り動かすことができる。
E 笛の合図で止め,なるべく早く集まれる。
F お友だちを,押したりけったりしないで仲よく使える。
G お友だちの世話をやかない。
B 手が小さいので,鉄棒がよく握れない。
C 鉄棒に足をかけられるものは,10名ぐらいである。
D 笛の合図で止めるが,整とんはなかなかできない。
E お友だちを押したり,けったりする子が2,3人いる。
F 今週から歌に合わせてリズムや身振りのあそびを行う。
B 独り占めをしないで,約束した回数で交代し,仲よく使う。
C 鉄棒に,足を離して懸垂することができる。また前後に振り動かすこともできる。
D 笛の合図で,はやく並べる。教師の話を聞くときには,話をしない。
児童の活動 | 指導上の留意点 | 備 考 |
1 ちょうちょうになって場所を広くとびまわる
2 鉄棒のおうちへとんで行く ○鉄棒を握ってその場とび ○懸垂して振ってみる
3 ちょうちょうになって運動場をとぶ 4 ひらいた,ひらいた 5 鉄棒のおうちへとんで行く 6 鉄棒のところで話合い |
○歌曲に合わせて動作を大きく走ったり,歩いたりして
○落ちないように握る (鉄棒の太さによって適当に) ・まちがいなく自分の場所へついているか ・数えながら振れるか ・押しのけたりしないか ○場所をかえてならびっこをする ・10分間グループで遊べるか ○オルガンに合わせて歌ったり動作をしたり ○この時間の練習 ○仲よくできたか 汗のしまつ,手洗い |
○レコード
○タンバリン ○鉄棒の直径は25mmなら握れる ○友だちの懸垂振りをみて数えられるか ○10人グループでならべるか(前へならえ) ○教師の話をだまって聞けるか ○ハンカチは忘れていないかどうか |
第2学年2月の学習指導案例(大都市) |
2 生活との関連
冬季にはいると児童は比較的容易に暖をとる遊びとしてぴょんぴょんと何となくとんで歩くことが好きである。そこでこの未組織な遊びを2〜4人のグループに発展させ興味を持つようにしてかれらの生活の中に利用させたい。
この遊びは全身的な跳躍運動であり,次々と友だちをかえてくり返し遊ぶことが出来るので,自然に全身的な発達が助長される。また男女や外国に対する意識や持ち始めたこのころのこどもに,こうした面の社会性を正しく伸ばすことが必要である。
3 児童の欲求と教師の目標
B 友だちといっしょに遊びたい。
B 跳躍的な全身運動によって身体の発達を図る。
C 協同して活動する楽しみを知らせる。
D 男女いっそう仲よくさせ,外国にも関心をもたせる。
週 |
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第1週 | なわとび
(ひとりなわとび) ころころまわり (前まわり) 円形ドッヂボール (球にあたらないようににげる) ぴょんぴょんとんで (アメリカについての話合い,歌曲を一通り覚える) |
おにごっこ
なわとび 雪あそび (雪なげ 雪だるま作り) |
○雪が降ったら教科時でも早速雪あそびをやらせる。
○ドッジボールの円の直径は人数の割合に小さくして,当てよくする。当った者はすぐ円周外に並んで活動し2,3分で交代するなど季節的な考慮をする
○じゅうぶんに「なわとび」を経験させてから,この模倣あそびにはいる |
第2週 | 手つなぎ鬼
ころころまわり (前まわり) 円形ドッジボール (球を見ながらにげる) ぴょんぴょんとんで (歌曲の通りにひととおり動作する) |
雪あそび(同上)
なわとび おにごっこ |
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第3週 | なわとび
(ひとりなわとびの模倣あそび) 円形ドッジボール (約束を守ってする) くぐりっこ (最初は向かい合って門を作り,二回目は背中合わせで) ぴょんぴょんとんで (歌曲に合わせて楽しく踊る) |
なわとび
おにごっこ リレー |
5 本時の指導(2月 第2週 第1時)
第2学年○組体育指導案 2月○日 ○曜日(10時〜10時40分)
前時は歌曲の学習ができているので本時はこの歌曲に合わせてひととおり動作させる。
(2) おもな活動
手つなぎ鬼,ころころまわり,ぴょんぴょんとんで
(3) 児童の欲求
B 友だちといっしょに遊びたい。
B 次々と相手のかわるおもしろさを味わせる。
C 友達と仲よく行わせる。
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1 手つなぎ鬼
2 ころころまわり (前まわり)
3 ぴょんぴょんとんで ○歌の練習 ○動きのリズムをはっきりとる。(拍手で) ○歌詞のとおりに動いてみる ○他のグループのを見る ○歌詞のとおりに動いたか ○相手をかえるとき,ぐあいよくできたか ○リズミカルに動けたか ○仲よくしたか ○全体の練習 |
○2,3分で全員がつかまる範囲で行わせる。
○頭を膝につけるようにし,背を丸くして前にころがる。 ○マットは次のように使用して2,3回で全員が終るようくふうする。
……………………て…………………て
……………………て…………………て ○上の動きのリズムどおりに動作する。 ○二つのグループに分けて一組ずつ行わせ片方はこれを見て気づいたことを話し合う。
○歌いながら行わせる。 |
評価
○手つなぎ鬼の方法が理解されたか ○約束がよく守れたか。 用具 マット 評価 ○前まわりの要領がだいたいつかめたか。 用具 ピアノ 評価 ○方法がひととおり理解されたか。 ○元気にのびのびとできたか。 ○友だちと協力できたか。 教師の反省 ○運動と休養が適宜に考慮されたであろうか。
○季節的配慮はよかったか。 |
第3,4学年(複式)2月の学習指導案例(北方型) |
スタンツ(力試しの運動)
2 生活との関連
○まりつき,雪遊び,あんたがたどこさ。
○雪遊び〔雪玉投げ,雪合戦,構成遊び〕
B 冬期の特徴である雪を使って楽しむことに意を用い,教科時外の遊びを豊富にする。
B そのために机や腰掛が乱雑に扱われてこわれたり,ときにはすり傷を受ける児童もできている。
C しかしだんだんやかましくなるのをおさえ,よい遊びを考えようと言う気分が見えてきた。
D 教科時外の運動としては雪玉投げやそり遊びが行われている。
B よい室内遊びをくふうさせじょうずに遊ぶようにさせたい。
(B) 互に考えを発表し,他人の言い分をよく聞いてきめる。
(C) 床や机・腰掛を使って遊びながら,それらをたいせつに扱い(協力,静粛,敏速)教室内の清潔を保つように留意する。
(D) 室内の換気に気をつけ,友達のいやがることや危険な遊びをしない。
(E) 上のことがどれだけできるようになったか,自分で進歩したことを調べる。
週 | 活 動 |
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1 | ○スタンツ
室内でできるいろいろな遊びをくふうする。 ○すもう 押しあい引きあい,片足ずもう ○まりつき まりつきあそびをしながらいろいろな遊びを考える。 ○雪遊び 雪玉投げ(距離投,正確投) |
○すもう
○まりつき ○雪遊び ・そり遊び ・雪玉投げ
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○冬の遊びについて児童会で話合いをさせる。
○日常の遊びをリズム遊びに構成させる(身体表現協力) ○天候と雪質によって戸外で行う教科以外の遊びに発展する。 |
2 | ○スタンツ
机,腰掛け,床を使って行う 前まわり,転向とび ○すもう 押し出し遊び,平均くずし ○まりつき グループで作品をまとめ,コンクールを行い批評しあう ○雪遊び 造形遊び |
○ボール遊び
○雪遊び ・そり遊び ・スキー遊び
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○各グループで発表した中から遊ぶ。
机,腰掛をたいせつに扱うくふうをする。 ○立合いと組み方 安全について ○友だちの作品を鑑賞し合い,批評をする。批評の着眼点を話し合う。(評価,相互評価,自己評価) ○グループでまとまった作品をつくる。(着想の良否,技術の良否等) |
3 | ○スタンツ
床,と.び箱を使って遊ぶ マット遊び,腕立て歩き ○ボール遊び 的中ボール ○あんたがたどこさ 歌をならう(正しく) ひとりまたはふたりで動きをふうする ○雪玉合戦 |
○ボール遊び
○雪遊び |
○自分で自分のからだ支配する。程度を高める。
○黒板にまとを書きグループで点取り競争する。 ○ふだんの遊びを整理し,動きをリズミカルにする |
4 | ○スタンツ
今までの活動を組み合わせて行う ○ボール遊び パスゲーム ○あんたがたどこさ グループおよび全体で行う。 ○雪遊び |
○ボール遊び
○雪遊び |
○いろいろの動作を交替で行い,他の者は見ていて評価する。
○狭い所で行うためにいろいろ条件をつける(腰をおろして行う。両手で頭の上から投げるなど) ○歌を歌いうながら楽しく遊ぶ教科時外の活動に発展 |
5 本時の指導
3・4年 2月 第2週 第1時限 学習指導案
(2) おもな活動としては
スタンツ〔机,腰掛を使って遊ぶ〕
まりつき〔まりつき遊びを,そのリズム遊びとして構成する〕
上の二つをとるが,そのいずれも児童会で決定したものであり,児童の創意くふうを生かして行きたい。
(3) 児童の欲求
児童は自分ための相談によって決めたことがらであるので学習に熱意をもっている。
B ルールや約束を守って遊びを楽しくやりたい。
C まりつきの構成はグループで行い最後にコンクールを行う様にしたい
D 室内はほこりがたつので,窓の開閉に気をつけ,いっそう清潔になるようにそうじのやり方や整理のしかたを考える。
E 天候がよく雪質のよいときには外で雪合戦をやりたい。
児童の創意くふうを生かしながら室内遊びを指導する。
(B)2人組で行い程度を高める(補助の動作のたいせつなことを知る)
(C)机の移動は静かにはやく力を合わせて行う。
(運ぶ前に,場所と方法を明確にする一仕事の手順の理解)
(B)グループに分れ,次のような点に気をつけながらいろいろ試みる。
(次の時間にまとめる)
b.ふたりで組になりひとりがつき手,ひとりがまりになって遊ぶ。
c.ふたりがつき手になり,間にまりがあると仮定していろいろなつきかたをして遊ぶ。(リズミカルな動きで,全体の構成を考えながら)
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1 話合い
(2)まりつき(グループで行う) (2) 一つ一つの動きをじゅうぶんに (2) ブランコ遊び (3) 前にまげる(補助) (4) 後にまげる(補助) (5) 横まげ (6) シーソー遊び(2人組) (7) ジャンケン遊び(2人組)
4 机を片寄せる (2) 手順の話合い
a前の時間にやったものをやって見る b 新しくどんなことを考えたか c 先生にみていただく (2) 先生をリーダーとしてやって見る |
○本時のめあてについて
・グループで構成について考える ・補助の動作を理解させ確実に行わせる ・遊びながら教室の清掃について考えるように
○次の活動と関連して運ぶ場所を考える ・教科外の活動のあり方 ・楽しい遊びの中に整理運動としてまとめをする
○思ったことをじゅうぶんに発表させる ○特に努力した児童を発表しみんなでほめてやるように |
(2分)
学習意欲の喚起 学習の目標を明確に (5分) すばやく反応できるように (15分) ・机・腰掛を活用するとともにたいせつに扱うこと ・補助の重要さに気づく △体重の利用 △ふたりの気分がよくあって気持よくできたか ・室内の整とんと清潔 (3分) ・協力・静粛・敏速 ・用具の扱い方,仕事の手順の必要性 ・よくできたか (12分) ・教師は前面に出ないで相談相手となる ・話合いの態度がよくなったか
(3分) ・初めの話相合いのとおりできたか ・目標と照らし合わせて評価させる |
第4学年 9〜10月の学習指導案例(南方型) |
2 活動と生活との関連
B 迷い鬼,ボール鬼,横ぎり鬼,棒ひき
運動会をとらえ,それに関連する活動を通して,仲間に対して持ち始めた意識を,よい集団活動へ導く一つの機会とする。
B おもしろいのりものの組立をくふうしよう。
C 仲よく相談したり練習したりしよう。
B 自分たちの考えをいかして,だれでもおもしろく表現できることを体験させたい。
C 新しい鬼ごっこをおぼえさせ,遊びに活用させたい。
D 協力して活動するたのしみや必要を知らせ,また集団のひとりとしてよい行動をとることができるようにさせたい。
月
・ 週 |
事 |
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9月/3週 | ・運動会の計画(学級の活動について)
・だるまはこびリレー (2人組でだるまをもってする) ・リズムの題材決定(のりもの) |
迷い鬼 | 鬼ごっこ
のりものしらべ |
(1) は行事と関連した組織的な活動
(2) はその他の活動 ※反省事項 (1) 児童 ・リレー,リズム,棒ひきともよく協力できたか ・友だちの失敗をゆるせたか ・きまりをよく守れたか ・思うことをよく発表し他人のいうこともよくきいたか ・練習はじょうずにできたか ・応援や見る態度はよかったか ・おもしろかったか (2) 教師 ・児童の自主的な計画,参加の試みは,どのように児童を変化させたか ・計画や時間配当はよかったか ・児童の全力を発揮させるようよい援助や指導ができたか |
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4週 | ・回旋リレー(バトン受渡し練習)
・のりもの(組立しらべの発表と組立練習) |
ボール鬼 | リレー
鬼ごっこ |
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10月/1週 | ・回旋リレー(バトン受渡し練習)
・のりもの(走らせ方と伴奏のくふう) |
横ぎり鬼
棒ひき |
リレー,鬼ごっこ,ぎ音のくふう,伴奏者の練習 | ||
2週 | ・回旋リレー(練習,組分け)
・のりもの情景のくふう走路の決定) |
棒ひき
入退場練習 |
リレー
のりもの |
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3週 | 運動会 | ・運動会総練習
・運動会 ・反省 ※ |
5 本時の指導(10月第1週第2時)
B 棒ひきは用具の扱い方がじゅうぶんでないので,危険防止上自由に練習させていない。
C のりものは,各グループの熱心なくふうにより,かなりおもしろい組立ができている。
D 全体に,運動会が近いので,練習に対する高まった気分をもっているようである。
B 前時にひきつづき横ぎり鬼をし,機敏に仲間を助けるおもしろさを味わわせる。
C よくきまりを守って棒ひきをするようにさせる。
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指導上の留意点 |
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1 のりもの
・組立練習 ・走り方のくふう発表 ・出発 ・坂道 ・後もどり ・徐行 ・停止 ……
・どう組み合わせるか
・グループ別練習
2 横ぎり鬼 3 棒ひき
4 話合い |
・部分品になった各グループが,きびきびと組み立てていくように
・どんなリズムで,どんな身体の動きでどんな速度で走れば感じがでるか たとえば がっ たん がっ たん……重く大きい足のはこび > > > > アクセントをもって しゅっ しゅ しゅ しゅ……はじめにアクセント,後 > は軽く,ピストンのよう に腕をつかって
・たとえば 汽笛→がったん○回→しゅっしゅ○回→汽車の歌ではしる(トンネル,鉄橋,ふみきり……)→しゅっしゅ○回→停止
・他の組は,ぎ音の拍手で応援し,鑑賞する ・構成のくふうや,伴奏について話し合う ・鬼があまり困難でないよう場所を定める ・4人1組となり,2人ずつで引き合う ・合図をよくまもる ・ひとりひとりの力のあつまりでできていく 仕事をしている よい力をだすひとりになろう |
○自分の考えをすなおに発表できたか |
第5学年6月の学習指導案例(中都市) |
○雨だれ○スタンツ 徒手体操○ソフトボール
2 生活との関連
(2) 季節にちなんで,雨だれの表現をする。
(3) 梅雨期を利用して,屋内で徒手体操とスタンツを行い,器用さや,力を知り,身体練習のよい機会とする。
B 雨だれの表現を,いろいろとくふうしょう。
B 雨だれによって観察する力を育て,表現するよろこびを体験させる。
C 児童相互に能力を比べさせ,運動の要領をわからせ,くふうする態度に導びく。
月 | 週 |
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5月 | 4 | ○花 ○転回 ネットボール
マット上で | 1回連続 | とび箱上で | |
鉄棒 | |
6
月 |
1週 | ↓
○徒手体操 ○スタンツ 校内競技(ネットボール) 上下下肢・胸 片脚屈伸 体側・背腹 人倒し ソフトボール 胴体の運動 チームの編成 の要領と生 要領及び練習 理的理由 キャッチボール |
五月中旬から始めている。
ネットボールを作って校内競技に参加する |
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2週 | ○徒手体操 ○スタンツ 話合い
前週と同じ 人倒し 練習 ○雨だれ 転向とび (試合と基礎) 様々な雨だ さか上がり れの表現 |
打撃練習
(個別に) 鉄棒 |
時間をみてソフトボールの練習
体育館内では自己試しの運動をする |
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3週 | ○徒手体操 ○スタンツ 試合と
矯正と柔 転向とび 基礎練習 軟度を目 バーピーテスト 話合い ざして ○雨だれ |
練習試合
キャッチボール |
自己試しの運動の記録をとっておく
ソフトボールの練習 |
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4週 | ○徒手体操 ○スタンツ 試合と
○雨だれ バーピーテスト 基礎練習 まとめ サージャント 話合い ジャンプ ○さか上がり |
グループの練習をする
校内競技の運営を考える 鉄棒 |
スタンツの成果表を作ってみる |
5 本時の指導(6月第1週1時)
B スタンツはマットまたはとび箱を利用して転回の練習を積んでいる。
C 本時は,徒手で行うスタンツを中心に指導する。
○徒手体操○スタンツ(片脚屈伸 人倒し)
(3) 児童の現状
B 5月中器具を使って行うスタンツ(転回)を行ったが,徒手のスタンツは経験がない。
B 人倒しではグループのおのおのが自分の役割を果すようにする。
C 徒手体操の正しい行い方を理解させ,正しく行えるようにする。
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1 集合して話し合う
○スタンツについて
2 片脚屈伸 ○片脚で全屈の姿勢をとる ○他の足を床から離して前に出す ○手は腰にとる ○この姿勢で5秒間
3 従手体操 ○4班に分かれ,リーダーを中心に,今まで練習してきた徒手体操を行う ○教師の説明を聞き,考えながら行う
4 人倒し ○ひとりが1本の棒になって他の者の動かすままとなる ○3人組で中のひとりが1本の棒になって前後に倒れる。これを交代して行う
5 整理の運動(徒手体操)と話合い |
○スタンツは自分が持っている運動の能力を知る一つの方法である
調整能力を利用した平均型 手押車,人はこび,力技型…その他
○練習しないで実施する。次の場合は失敗とする ・手を腰から離す ・伸した足が床に触れる ・バランスを失って倒れてしまう
○正確な動作ができているか,どうかをグループごとに指導する。 ・リズムの強弱がはっきりととらええられているかどうか ・児童のひとりひとりの身体的条件に即した指導をする ・身体がどのくらいまがるか
○危険を伴う運動であるので,まじめによく注意して行わせる ・最初は倒れる角度を少なくして行い順次に大きくする ・補助者は前後開脚か,片膝立ての姿勢で
○風通しのよい所でゆっくりと行う ・からだをじゅうぶんに伸ばして ・今日の運動についての反省 |
(5分)
何人できたかを調べて記録しておく
(5分) 練習をしてしまってからでは意味が半減する。
・徒手体操の効果について (15分) ・合理的にまげ伸ばす ・柔軟さの段階を参考に示す
・整然と騒がなないで行う
(10分) ・相手の能力に応じて行う
(5分) ・考えて行ったか ・お互にくふうしたか ・身体の始末 |
第6学年11月の学習指導案例 |
(2) 副題材 力試しの運動−鉄棒運動,スタンツ,徒手体操
運動会が終了すると,こどもたちの関心は,11月末のドッジボール校内大会に集中する。多くのこどもたちはドッジボールを好み,積極的に校内大会に参加しようとするが,技術の低劣や友人との心理的なかつとうのために,この運動に消極的な態度を示すこどもも,なん人かいる。
ドッジボールを,6年のころになると,パス,キヤッチ,シュートなどの個人技術の能力差がはっきりしてくるため,グループの編成や練習方法に,こどもたちで討議すべき問題がいろいろ起ってくる。また,教師はこうしたこどもたちの問題と関連して,ドッジボールと健康,ゲームの方法,勝敗に対する正しい態度,施設用具の管理などについて指導しなければならない諸点が生じてくる。
(2) 力試しの運動について
ドッジボールは,校内大会を目ざすクラスの組織的な活動について,教科時外を通して約5週間にわたって展開されるが,この間,教科時でこのドッジボールと組み合わせる題材としては,鉄棒運動・スタンツ・徒手体操を取り上げたい。これは活動の特性として個人運動であること,季節的に好適であること学習時間が短くてすむこと,などの関係で,ドッジボールとよくつり合う諸運動であるからである。
これらの運動は,教科時で,年間を通して系統的に指導しているのであって,技能の到達基準は,こどもたちひとりひとりに目標をもたせている。それゆえ,指導の扱いとしては,ドッジボールとは関連なく,教師中心・技術中心に展開していく。
B,クラス仲よく楽しく運動しよう。
C,ドッチボール・鉄棒運動・スタンツ・徒手体操がじょうずになりたい
(B)ボール運動には,どんな型のものがあり,どんな特徴があるか。
(C)パス・キヤッチ・シュートの要領
(D)ルール
(E)攻防の作戦のたて方
(B)友人の中に,規約を守らないものが出たとき,どうしたらよいか
(C)友人の中に,技能が低く,楽しめないものがいたとき,どうしたらよいか。
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男 |
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女 |
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パ ス | ○相手方をひきよせるようなパスができる | ○相手方にとられないようにパスできる |
キャッチ | ○キャッチしてすぐ投げる姿せいがとれる | ○からだで受けとめない,手で受ける |
シュート | ○キャッチしてすぐシュートできる | ○ねらったところヘシュートできる |
逃げ方 | ○いつでもボールをとれる姿せいになっている | ○いつでもボールの方にむいている |
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鉄棒運動 | ともえ | 腕立て前・後廻転 | さか上がり,足かけ上がり |
スタンツ | とび込み前転 | 後転の連続 | 前転の連続 |
4 計画の要点
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教科時外の活動 | 教科時の学習 | |||
児童会の活動 | 他教科との関連 | 行事と関連する学習 | その他の活動 | ||
1週 | ○校内大会までの練習計画をたてる
・日程 ・練習法 ・注意事項 ・グループわけ |
○ボール運動は健康の増進とどのような関係があるか
・どこに関係するか ・どのように練習するのがよいか ・これだけではどんな運動が不足か 鉄棒運動・スタンツ・徒手体操との関連に触れる ・日常生活の暮し方をどうしたらよいか |
○各グループごとのパスの練習
○AチームとBチームとの練習ゲーム(男女別) |
○能力別グループのパス練習
○A−Bのゲーム(男女合併) |
○体操
・ラジオ体操 (リズミカルに) ○鉄棒 ・さか上がり (ともえ) ・足かけ上がり |
2週 | ○練習上の反省と改善
・練習法 ・グループの編成 ・注意事項 |
○攻防の基礎練習
○A—Bのゲーム(男女別) |
○体操
・徒手体操 (柔軟体操を主に) ○マット運動 ・前転後転 |
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3週 | ○練習上の反省と改善
・練習法 ・グループの編成 ・注意事項 |
○ボール運動にはどんな種類があるか
べースボール バスケットボール バレーボール サッカー について話し合う ・いろいろなボール運動について話してやる ・おもなルールを発表し合う |
○攻撃と防御の基礎練習
○AチームとBチームとの練習ゲーム(男女別) |
○体操
・徒手体操 (リズミカルに) ・倒立(男) ・平均運動(女) ○鉄棒 ・上 ともえ ・中 腕立て前後廻転 ・下 さか上がり 足かけ上がり (個人ごと自由練習) |
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4週 | ○試合のための計画
・攻撃の主力をきめる ・防御上の要について話し合う |
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5週 | ○試合のときの注意について話し合う
・ルール ・チームワーク ○反省会を開く ・練習法 ・注意事項 |
・作文を書いて話合う | ○他クラスと練習試合をしてみる
○グループごとの基礎練習 ○校内大会
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○パスの練習
・攻防の基礎練習 ・ゲーム ・投力測定をする
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○体操
・徒手体操 (リズミカルに) ・倒立(男) ・平均運動(女) ○鉄棒 ・上 ともえ ・中 腕立て前廻転 ・下 さか上が 足かけ上り (個人ごと自由練習) |
児童会週1回(30分)
理科(3時限)国語(2時限) |
昼(20分)放課後(週2回50分) | 毎週3時限
毎時30分 |
毎週3時限毎時10分 |
5 本時の指導(第五週)
ドッジボールと徒手体操
(2) 本時のねらい
こどもたちが校内大会を目前にして“優勝しょう”と練習するこの時限を,とらえて,次の諸点について指導したい。
(A)基礎練習のとき,各自,自分の技術段階に応じて,それを高めるため,積極的にくふうして練習しているか。
(B)ゲームのとき.ルールを理解してよく守っているか。
(C)楽しく,正しいゲームを行うためにどのようなところに着眼しているか。
B 徒手体操
(A)からだが正しく極限まで動かされているか。
(B)教師の呼称に合わしてリズミカルに動かさているか。
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1 集合
2 徒手体操 上下下肢→体側→腹背→跳躍→腕立伏臥→上肢 3 ドッジボール ○基礎練習 (1) パスの練習 (2) 攻防の練習 ・上クラスの8人が4人ずつ紅白に分れてゲームをする ・中クラス以下の者は男対女子のゲームをする ○ゲーム(男女合併) 紅白の試合 ・審判(児童2名)の指示に従ってゲームをする 4 解散 |
○よくできたこどもに演校させて正しい要領を示す
○よくできない点は,生理的な理由を示しながら正しい要領を教える。 ○パスの正しい要領をよく守っているものに演技させてみんなに見せる ○よい練習方法をしているグループのやり方を示して各自にくふうさせる ○じょうずなこどもの動き方や技術をみんなに解説してやる ○仲よくゲームをすすめるために,注意している行動をほめる ○審判のしかたについて話し合わせる ○失敗率,成功率を調べておいて,時間後に評価してやる |
15分 自由開列
15分
ボール4個
20分 ボール1個
コート 9m×18m |