第5節 蚕  業

 

第1.「蚕業」の性格と目標

 「蚕業」は,その地方の環境に応じて合理的に養蚕・蚕種製造や製糸を行う上に必要な実際的な能力を養おうとする科目であって,その目標を細分すると次のようになる。

1.郷土の自然的・社会的・経済的環境と養蚕,蚕種製造・製糸との関係を理解する。

2.桑の栽培,蚕の飼育,蚕種製造,製糸や副産物の利用等の技術の根拠となる科学的な知識・理解および,これを改善するために必要な知識・理解を養う。

3.養蚕・蚕種製造・製糸の経営に関する社会的・経済的な知識,理解を養う。

4.桑の栽培,蚕の飼育,蚕種製造,製糸や副産物の利用等の技能を養う。

5.養蚕・蚕種製造および小規模の製糸の経営を計画し,実行する能力を養う。

6.蚕業関係の職業を選択する能力を養う。

7.蚕糸は,衣料として国家的にも国際的にも重要な役割をもっていることを理解し,これに打ち込む態度を養う。

8.蚕業の技術や経営を改善しようとしてくふうする態度を養う。

9.蚕やくわを愛育する態度を養う。

 なお,「蚕業」の具体的な到達目標や教育内容はほとんど全部「総合農業」の■に出ているので,ここにあげることを省略した。

 

第2.地方の必要に応じた教育課程構成への適用

1.蚕業に関する学習内容のうち,必修の時間に学ぶべきものは,「総合農業」にまとめて他の教育内容と一体として指導し,選択の時間に学ぶべきものはこの科目で独立に指導するがよい。

2.選択の時間などに「蚕業」として指導する場合には,総合農業の到達目標の「蚕業に関するもの」,「農業経営に関するもの」などを参考にするとよい。