第14節 林 業 経 済

 

第1.「林業経済」の性格と目標  「林業経済」は,材業とはいかなるものであるかということを知り,その経営方法を学び,これに関連する国の林業政策や法規について理解させる科目であって,その目標を細分すれば次のようになる。 1.林業を経済的に管理・経営する能力を養う。

2.わが国の林業政策を理解し,運営する能力を養う。

3.社会における林業の役割を理解し,その意義を自覚し,これに打ち込む態度を養う。

 

第2.「林業経済」の具体的な到達目標

〔技  能〕
〔一般的な知識・理解〕
 (林業通論)  

1.森林には次のようないろいろの効用がある。

(1) 経済的効用

(2) 国土保全的効用(水源涵養(かんよう)および防災)

(3) 厚生的効用(公衆の保健衛生あるいは風致など)

2.郷土の自然的・社会的・経済的環境と林業との間にはいろいろな関係がある。

 特に農村における林業と農業との間には,森林それ自身およびその生産を通じて相互関係がある。(森林は労力・肥料・飼料・燃料あるいはまた水源涵養・防風林・牧野樹林などとして農業経営に関連をもつことが多い)。

3.木材を取り扱ったり利用したりする場合に便利なために規格が決められている。

 (測  樹)

1.測高器や輪尺を使って,木の高さや直径を測定しうること。

2.求積式や区分求積法によって木の材積を求めうること。

3.胸高形数法・地方材積表あるいは目測によって材積を求めうること。

4.標準木法や標準地法によって森林の材積を求めうること。

5.樹幹解析ができること。

 

4.丸太・立木および森林の材積をはかるには,いろいろな方法がある。

5.樹幹解析を行ったり収穫表を利用したりすることによって,材積成長量などを知ることができる。

 (森林評価)

6.立木価格を算定しうること。

7.林産物を正しく有利に販売しうること。

 

6.森林を評価するにはいろいろな方法がある。林産物の取引には,市場や取引の方法について知っている必要がある。

 (森林経理)

8.経営計画を立てうること。

9.林業簿記をつけうること。

 

7.森林から毎年一定の収穫をうるには,保続作業を行う必要がある。

8.森林の伐期はいろいろな方法によって決められる。

9.林業を計画的に営むために経営案が編成され,それによって事業が実行される。

10.林業経営にも簿記が必要である。

 (林 政)  

11.林業にはいろいろな所有形態・経営形態があり,それぞれの目的に従って経営され,また管理されている。

12.国有林は国営によって模範的に経営されている。私有林の中にも昔からの優良林業地がたくさん見いだされる。

13.小面積の私有林は,協同的に経営されることによって有利になる場合が多い。

14.林業は社会的・経済的事情の変遷に伴って発展してきている。

15.国家は法制を設けて森林を保護助成をしてきている。

16.林業技術の向上と林業知識の普及をはかり,学校植林なども奨励している。

17.わが国の林業は世界の林業の一環として存在しているから,各国と貿易の上で結びついてくる。また,世界の林業資源は限られたものであるから,その活用については各国が協力しなければならない。

 

第3.「林業経済」の教育内容  材積単位と木材規格,丸太材積の測定,立木材積の測定,林分材積の測定,立木価格の算定,林木の評価,林地の評価,経済計画,林産物の取引,林業簿記,林業の所有別,民有林の実態(特に郷士の林業),農用林,森林組合,国有林の管理経営,森林の経済的効用(特に木材の用途),森林の国土保全的効用と保安林,森林の厚生的効用と風致的取扱,世界の森林資源,日本の森林資源とその利用の現況,営林奨励,営林の助長と監督,森林刑法。

 

第4.土地の必要に応じた教育課程構成への適用

1.「森林生産」・「森林土木」・「林産加工」の各科目で,個別的に学ばれる知識・技能を総合して林業を有利に経営することができるように指導すること。

2.林業は収益を目的とする土地生産業であることはいうまでもないが,そのほかに公益性があることをよく理解させ,私益と公益とをいかに調和させるかを考えさせるようにすること。