第13節 森 林 土 木

 

第1.「森林土木」の性格と目標  「森林土木」は,伐木ならびに木材運搬を能率的に行い,また林地の荒廃を防上し,あるいはそれを復旧するための基礎的および応用的技術を学ぶ科目であって,その目標を細分すると次のようになる。 1.林地を測量する能力を養う。

2.木を伐ったり,運搬の施設をつくったり,運搬を行ったりする能力を養う。

3.荒廃地を復旧する工事を行う能力を養う。

4.森林を開発し,林業を機械化し,また,林地を荒廃から守ろうとする態度を養う。

 

第2.「森林土木」の具体的な到達目標

〔技  能〕
〔一般的な知識・理解〕
 (測 量)

1.見取測量・測鎖測量ができること。

2.平板測量・コンパス測量ができること。

3.トランシット測量ができること。

4.水準測量ができること。

5.スタデア測量ができること。

 

1.距離・方向・高低の関係を測るには,いろいろな器具・機械があり,測定の進め方にもいろいろな方法がある。

2.測量結果をまとめて,図面(地形図を含む)に表わしたり面積を求めたりするには,いろいろな方法がある。

3.測量の法の中には,三角測量や航空写真測量のような大規模のものもある。

 (森林利用)

6.木を伐り倒し,最も有利な長さの丸太や杣角(まかく)をうるように造伐することができること。

7.簡単な集材・運材ができること。

8.素材および製材の品等区分ができること。

 

4.木を伐るにはいろいろな方法があり,それに応じて道具も違う。

5.木材は一定の寸法に造材され,また記号を刻まれる。

6.木材を集めたり運んだりするには,昔から行われているいろいろな方法や機械を使う新しい方法がある。その方法の適否は,仕事の能率や安全に大きな影響がある。

7.貯材のためにいろいろな方法がある。

 (森林土木)

9.林道と簡単な橋の設計施行ができること。

 

8.林道にはいろいろな種類のものがある。

 (森林機械)

10.林業用の器具・機械の分解組立および取扱ができること。

 
 (砂 防)

11.荒廃地を復旧する計画を立てうること。

12.簡単なダムや谷止め,あるいは護岸工事のような渓間(けいかん)工事ができること。

13.山腹の地ならし,階段つくりなどのような山腹工事および砂防植栽ができること。

 

9.森林があると水源がかれず,ひでりのときでも川の水が絶えないようになる。

10.森林の取扱を誤ると荒廃地ができたり,土砂が流失し河床が高まって大水のもとになったりする。

ll.荒廃地を復旧するには,山腹と谷川との両力に工事を施さねばならない。

12.海岸に森林があると飛砂がおさえられる。そうして海岸に造林するには特別な方法がある。

 

第3.「森林土木」の教育内容  学校敷地の周囲測量と建物位置の測定,学校近くの森林の測量と地形図作成,伐木の抜根,造材と検知,集材・陸上運材・いかだ流し・くだ流し・貯材,林道設計と施工,橋の設計と施工,崩壊地と野渓(やけい)の調査,渓間工事の見学と設計,山腹工事と砂防植栽の実施,海岸砂防の見学と実行。

 

第4.地方の必要に応じた教育課程構成への適用

1.測量では,その方法だけでなく,使う機械の構造や検査・調整・取扱方法をよく理解させるようにする。

2.測量の学習に当って,適当なときに図面の復写・拡大・縮小や青写真のことを教える。

3.伐木は森林の更新に大きな関係をもつものであるから,「森林生産」と関連させて学習させる。

4.材木の生産費の中で最も大きな部分を占めるものは運搬費であるから,運搬技術の向上が林業経営上重要な意義をもつものであり,したがって,それが「森林土木」の眼目になることをよく理解させる。

5.技術は実地に当って体得させることがたいせつであるが,大きな工事は学校でこれを実施することはできないから,努めて見学の機会を与えるようにする。