Ⅰ.指導計画をたてる場合の教師の仕事
理科の指導計画をたてる場合,まず,教師は理科指導は何を目ざして行わなければならないかを検討し,こどもがどのような能力をもち,どのような事がらに興味や必要を感じているか,また,どのような環境の中にあるかを調査研究することが必要である。
1.具体的な指導目標をつくる
第1章に掲げた理科の一般目標は,教育の目的や小学校の教育の一般目標を実現しようとして,理科は,主として,どんな分野を担当しているか,また,その学習の指導は,どんな点をねらいとして進めたらよいかを示したものである。したがって,これは一般的な目標であって,どの学校でも,これをそのまま指導目標としてとればよいというものではない。各学校,学級においては,それぞれの事情に即した具体的な目標をつくる必要がある。そのためには,だいたい次の手順が考えられる。
それには,
(b) 教育の一般目標と,理科の指導目標の間に,どのような関係があるかを考える。
(3) 自分の受持のこどもに照して,これらの指導目標のうち,どの点に力を入れるかを決める。
(4) このようにして自分の受持のこどもに適した具体的な指導目標をつくる。
2.自分の学校(または学級)のこどもは,どのような生活をしているかを調べる
(b) 学習内容の範囲と排列の順序を決めるため。
(c) 学習活動を選ぶため。
(d) 学習の材料を決めるため。
(e) 指導の方法を決めるため。
(b) こどもの科学的な能力はどうか。
(c) こどもの科学的な態度はどうか。
(d) こどもは,どのようなことに興味や関心をもっているか。
(e) こどもたちはどんな要求をもっているか。
(f) こどもは,これまでにどのような経験をしているか。また,どのような遊びをしているか。
(b) 問を出して,これに答えさせる。
(c) 調査カードを用意して,記入させる。
(d) 成績品(報告・製作物・ノート・作文など)を調べる。
(e) 調べた結果をまとめる。(第2章 こどもの発達と理科学習 参照)
調査は,なるべく多方面にわたらないように簡単にし,一つの調査では,一つのことをねらうというように計画することが望ましい。
次に興味調査の一例を載せる。これは,学習指導要領中学校理科編を編集するのに必要な資料を得るために文部省が昭和24年6月に実施したものである。
調査の方法は
ⅱ 各校では,各学年について男女を含む1学級ずつ計3学級について行う。特に興味や才能のある生徒だけについて調べることのないようにする。
ⅲ 調査用紙は無記名とし,男女別・学年別を記入させる。
ⅳ 調査時間は15分間とする。書くことを思いつかない生徒には,むりに書かせない。
(調査用紙)
男・女・学年を○でかこんでください 男 女 学年 1 2 3
あなたが理科のことで,知りたいこと・しらべたいこと・おもしろいと 思ったことがあったら,いくつでも書いてください。 (何々の何というように,くわしく書いてください。
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ⅱ 上の6とおりのおのおのは5種(生物・空と土・機械と道具・保健・薬品)の集計用紙にまとめる。
ⅲ 調査用紙に記入した生徒の答を,集計用紙の各項に従って分類・集計し,その数を集計用紙の各欄に算用数字で記入する。
中学校生徒の興味調査の集計用紙
生物に関するもの
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年
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名
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年月日 |
昭和 年 月 日
午前 時 〜 時
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集 |
て る |
・ 構 造 |
活 |
殖 |
芽 か ・ ら 成 親 長 ま で |
用 |
伝 |
化 |
胞 |
の 他 |
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(は虫類) |
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(両棲類) |
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の 他 の 動 物 |
陸にすむもの | |||||||||||||
ま水にすむもの | ||||||||||||||
海にすむもの | ||||||||||||||
そ の 他 | ||||||||||||||
物 |
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の樹木) |
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の 他 |
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関係を除く) |
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3.こどもの環境を調査する
家庭・学校・社会・自然環境は,こどもと切り離すことのできない関係にある。こどもは,そこで,いろいろな問題をつかみ,研究や作業を展開し,また日常の生活の中に起るいろいろな問題を実際に処理している。
それで,指導の目標,その他指導上の諸計画は,これらの環境の条件によく合ったものでなければならない。
たとえば,季節の変化に適応した計画をたてるとか,いろいろな行事を適切に取り入れていくとかいうことが必要になってくる。
どのような機会に,どのような有効な生活経験が発展していくかを考えて,計画をたてることがたいせつである。
指導計画を立案するにあたって,こどものどのような環境を調査したらよいか,そのおもなものを次に掲げる。
家庭菜園の有無・飼育動物の種類・家庭に備えてある道具や機械・衛生施設・健康の習慣・栄養など
行事(季節的な行事・一般社会の行事・学校の行事など)
天然記念物
季節の移り変り(春・夏・秋・冬の生物の生活,天象・気象の変化など)
そして,それらの調査,または連絡した機関や場所については,これを次のような表にまとめ,必要に応じ活用できるように準備しておくことが肝要である。地図をこれに添えれば,いっそう有効であろう。
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距離・時間等 |
○○山
○○電機
○○牧場
○○郵便
○○○
○○国立
○○天文
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1,2,3
5,6
4,5,6
5,6
4,5,6
5,6
5,6 |
生物の生活・自然
の変化 機械と道具のはた らき 生物の生活・自然
機械と道具のはた
生物の生活・自然
健康な生活
天体の動き
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植物(野草)・動
物・岩石・地層 電球の制作 牛・やぎの飼育・
通信施設
海浜の動植物・
病院の施設・伝
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○○○○○
○○○○○
○○○○○
○○○○○
○○○○○
○○○○○
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電車1時間
徒歩30分
電車45分
徒歩15分
電車1時間
電車1.5時間
(以下略) |
鳥・虫・かえるなどの出現の日とか,開花の日とかは年によって一定していないけれども,何年間かの観測値を平均しておくと,だいたいの標準をたてることができる。種まき・植付け・収穫等の日を決めるには,雨・霜・雪などの気象要素とともに,これらの生物暦を研究しておくことがたいせつである。
このような研究は,測候所の統計的な研究資料を利用するばかりでなく,学校でも,その土地で観測した事がらを報告発表すれば,広く社会に貢献することにもなる。これらの変化は,土地の高さ・地形等の影響を受けるから,測候所発表のものが,同じ県内でもそのまま利用できるとは限らない。
季節の移り変りに見られる生物の生活や気象の変化などについて,日ごろから研究しておかないと,野外観察を計画しても,実際にその場所にいってみると,花の時期が過ぎていたり,虫のよく鳴く時期が過ぎていたり,虫の姿がもう見られなかったりして,期待したような学習ができないことがある。
行事についての記録例 (ある年のある学校)
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4月1日より7日まで
4月4日 4月8日 4月10日 4月11日 4月20日 4月下旬 4月27日より 4月29日 |
緑の週間(西日本 3月1日〜7日,中部日本 4月1日
〜7日,東日本5月1日〜7日) 始業式 入学式 花まつり 1年生歓迎会 メートル法公布記念日 逓信記念日 学校身体検査 結核予防週間 天皇誕生日 |
5月1日
5月2日 5月3日 5月4日 5月5日 5月上旬 5月11日より16日まで 5月11日 |
メーデー
八十八夜 憲法記念日 サマータイム始まる こどもの日(端午の節句) 遠 足 バード・ウィーク(愛鳥週間) 母の日(感謝学芸会) |
6月3日より
6月4日 6月10日 6月11日 6月22日
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動物愛護週間
虫歯予防デー 時の記念日 入 梅 夏 至 (以下 略)
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季節の移り変りについての記録例(東京附近)
月 |
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5 |
下
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○ こぶし・れんぎょう・ゆきやなぎ・あせびなどの花
咲く。 ○ つくし・ぎしぎし・せりなどの摘草ができる。 ○ むぎ40cmぐらいに伸びる。 ○ とうもろこし・いんげん・しゅんぎくなどの種をま く。 ○ おたまじゃくしがたくさん見かけられる。 ○ 霜が降りたり,みぞれの降ることがある。 ○ 強い南風が砂ほこりを巻き上げて吹くことがある。 ○ 夜は4°ぐらい,昼は13°ぐらいの気温の変化がある。 ○ そめいよしの満開。 ○ じゃがいもの芽が出る。 ○ びろうどつりあぶ・きあげは・もんしろちょう・も んきちょう・ひおどしちょう・るりたてはなどが飛ん でいる。 ○ つばめの姿を見る。 ○ へびいちご・かきどおし・たねつけばな・なずな・ すみれ・きじむしろなど咲いている。 ○ とのさまがえるの鳴き声を聞く。 ○ そめいよしの散って,さとざくら咲きだす。 ○ へびを見かける。 ○ あしながばち巣をつくりだす。 ○ さなえとんぼ・かわとんぼ羽化しはしめる。 ○ 雑木林の新緑が美しい。 ○ とのさまがえるが出てくる。 ○ 野には,じゅうにひとえ・きらんそう・れんげ・た んぽぼ・すみれ・かきどおし・きじむしろ・へびいち ご・さぎごけなどが咲いている。 ○ もんしろちょう15cmぐらいに伸びたキャベツの葉 に産卵している。 ○ おにぐも・くさぐも・あしながぐもの子が小さな巣 をはりだす。 ○ とのさまがえるの鳴き声うるさいほどである。産卵 する。 ○ やえざくらの花盛り。 ○ たけのこ出さかる。 ○ もくれん・はなずおう咲く ○ もんしろちょうの卵採集によい。 ○ かわとんぼ・さなえとんぼ・こおにやんま飛んでい る。 ○ なす・きゅうりの苗を植える準備をする。 えんどう・そらまめの花咲きだす。 ○ とのさまがえるのおたまじゃくしを採集するによい ○ 露地のチューリップ美しく咲いている。 ○ むぎの穂出る。 ○ 苗代作業はじまる ○ はい活動しはじめる。 ○ 雑木林の新緑美しく,春は盛りである。 ○ あげは・きあげは・くろあげは飛ぶ。 ○ 畑に雑草の芽ばえ出はじめる。 ○ ふじの花咲きだす。 ○ まつの花咲く。 ○ くまばち・すずめばち・はなむぐりなど花をたずね て,とびまわっている。 ○ 学校の「いねつくり」の学習のために稲の種まきを する。 ○ よしきり鳴いて新緑の世界美し。 ○ 毎日おだやかな天気がつづく。よく晴れた朝など薄 氷のはるようなこともある。 ○ 畑には,キャベツをそろそろまきはじめようとして いる。 えんどうの実がつきはじめている。 そらまめも実がつきはじめる。 とうもろこしの芽出る。 ○ じゃがいもの土よせをする。 ○ キャベツの葉につくもんしろちょうの青虫も大きく なって,さなぎになりはじめる。 ○ むぎわらとんぼの姿を見かける。 ○ 雑木林には,きんらん・ぎんらん・かなびきそう・ つちぐり・おにたびらこ・きんぽうげ・すいばなど花 をつけている。 ○ 南風がよく吹く。日中は20°ぐらいになることがあ る。 ○ きゅうり・なす・トマトの苗を植えつける。 ○ かまきりの卵がかえって,幼虫が出てくる。 ○ だいこん・菜の類に,せすじさるはむし・だいこん さるはむしがついたので消毒をする。 ○ むぎの穂出そろう。 ○ やつでの実が黒く熟して,「いろぞめ」などの学習に 使える。 ○ 春の野草多く咲きそろい,植物採集会を開くのによ い。 ○ もんしろちょうの1回目の発生を終り,成虫の姿が まれになった。 ○ 潮干狩にいく。 ○ 水田の仕事盛り,苗代には稲が1.2cmぐらいに伸 びている。 ○ はなしょうぶ・あやめ咲きはじめる。 ○ はるぜみの鳴き声を聞く。 ○ さつまいもの苗を植えるために,畑の整地をする。 いんげん・トマト・きゅうりなどに支柱を立ててやる。 ○ かが出てくる。 ○ はいがうるさく飛びまわる。 ○ じゃがいもつぼみをつけ,さといも芽を出しはしめ る。 ○ いろいろな毛虫が出て,葉を食べている。毛虫を飼 育して,こん虫の育ち方を調べるのによい。 ○ さつまいもの苗を植える。 ○ こうほね・すいれん・じしばり・うつぎ・あかしや・ えごのきの花が咲いている。 ○ あわふきむし・しおからとんぼ・むぎわらとんぼ・ おはぐろとんぼ・いことんぼなど見られる。 ○ つばめ巣をつくり,卵をあたためている。 ○ せせりちょう・ひかげちょうの類が飛ぶのを見る。 ○ 高尾山で,あおげら・あかげら・こげら・かわがら す・さしば・ひよどり・せんだいむしくい・かわせみ・ きせきれい・しじうがら・めじろ・おおるり・えなが・ きびたき・いわつばめ・おなが・やまがら・ほおじろ・ ちごもず・こじゅけい・やぶさめ等の鳥の姿や嗚き声 を聞く。 ○ もんしろちょう第2回目発生する。 ○ どくだみ・ひるがお・かにつりぐさ・かもじぐさの 花咲き,初夏らしくなる。 ○ 梅雨模様の天気が続く。 (以下 略) |
4.理科指導のための施設の充実
教師は,学校環境を,学習指導のための適切な場として役だてるように常に心がけ,これを整備しなければならない。
理科に特に関係の深いものをあげれば次のとおりである。
Ⅱ 年間指導計画のたて方
学習指導の計画をたてる場合,これを1年またはそれ以上にわたる長期の学習計画(年間計画)と月または週を単位とした比較的短い期間の学習計画とに分けて考えることができる。
年間計画は,毎日の計画をたてる場合の基礎になるものである。理科の年間指導計画はいうまでもなく,その学校の全体の教育計画の一部であるから,その学校の実情に合致したものでなければならない。無批判に他校の計画を模倣しても,その学校の教育の目標を適切に具体化したものにはならないであろう。
1.年間指導計画は,なぜ必要か
(2) 予定計画外の問題がこどもから出た場合,それをどのように取り上げたらよいか,また,どのような目標をもって,その学習を指導したらよいかを判断し,全体として調和のとれた指導をするために。
(3) 他教科と調和のとれた指導をするために。
(4) 学年が進んだ場合に,前学年とそれに続く学年の,学習の体系を保つために。
(5) 担任教師が途中で変っても,指導が中断されないようにするために,長期にわたる指導の見通しが必要である。
2.どのようにして年間指導計画をたてるか
年間指導計画をたてる場合の手順をあげれば,次のとおりである。
(b) 指導目標に合うかどうかを調べて選択する。
(c) 学年のこどもの発達に合うかどうかを考えて整理する。
(b) 単元を季節や行事などを考えに入れて,年間に配当する。
(c) 単元は,どのような目標を含むかを吟味する。
(d) おもな学習活動を選択する。
(e) 単元の指導を行うために必要な環境を考え,資料を調べる。
(f) 単元の評価の方法や資料について調べる。
単元の目標
おもな学習活動
指導期間,または指導時数
指導の行われる環境
必要な資料や施設
他教科との関連
評価の資料
次に年間指導計画表の一例を掲げる。ここに想定した学校は人口10万ぐらいの東京に近い中都市の小学校である。
この年間指導計画表は第3学年のものであり,便宜上(Ⅰ)表と(Ⅱ)表とに分けてある。(Ⅱ)表は一つの単元について,記述するにとどめ,他の単元については,これを省略した。
(Ⅰ)表中,単元に合む問題は,本書の性質上,特に理科の問題をとり出したのである。(Ⅱ)表についても,理科の問題について記述するにとどめた。これらの単元に関連のあるその他の問題については,他の教科の学習指導要領を参照されたい。
第3学年 年間指導計画表 (Ⅰ)
単元
月 |
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春になった
ことは,どの ようなことで わかるでしょ う |
1.天気はどのように変ったでしょう。
2.草木はどのように変ったでしょう。 3.学級園には,どんな草花や作物を植え,どんなに世話したらよいでしょう。 4.生き物は,どのようにしているでしょう。 |
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からだをじ
ょうぶにする には,どうし たらよいでし ょう |
1.身体検査でどんなことがわかったでしょう。
2.いしゃはわたくしたちのからだを,どのように守ってくれるでしょう。 3.どんな食べ物や食べ方が,からだによいでしょう。 4.運動するときには,どんなことに気をつけたらよいでしょう。 5.からたや,きものをきれいにしておくには,どうしたらよいでしょう。 6.教室をどのようにしたら,きれいになるでしょう。
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潮干狩をす
るには,どの ようにしたら よいでしょう |
1.潮干狩には,いつごろいったらよいでしょう。
2.海べは,どんなになっているでしょう。 3.貝やかになどは,どんなところに,どのようにしているでしょう。 |
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飼っている
動物を,どの ように世話し たらよいでし よう |
1.飼ってある動物には,どんなものがあるでしょう。
2.動物を飼うには,どのよらなことに気をつけたらよいでしょう。 3.飼っている動物は,どのようにして大きくなるでしょう。 |
つゆどきに
はどんなこと がみられるで しょう |
1.雨はどのくらい降り続くでしょう。
2.降った雨は,どこへいくでしょう。 3.主き物は,どのようにくらしているでしょう。 |
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夏になった
ことは,ど なことでわか るでしょう |
1.天気はどのように変ったでしょう。
2.空には,どんな形の雲が見えるでしよう。 3.昼の長さは,どのように変るでしょう。 4.草木は,どのように変ったでしょう。 5.空には,どんな星が見えるでしょう。 |
夏を,どの
ように暮した らよいでしょ う |
1.夏には,どのようにしたら,からだのためによいでしょう。
2.野山や梅に,どんなものが見られるでしょう。 3.学級園は,どのように手入れをしたらよいでしょう。 |
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虫は,どの
ように暮して いるでしょう |
1.このごろは,どんな虫がいるでしょう。
2.鳴く虫は,どんなところに,どんなにしているでしょう。 |
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川はどのよ
うになってい るでしょう |
1.川はどこから流れて,どこへいくでしょう。
2.水は,どのように流れているでしょう。 3.石ころには,どんなものがあるでしょう。 |
秋になった
ことは,どの ようなことで わかるでしょ う |
1.草木は,どのように変ったでしょう。
2.秋になると,どんなやさいや,くだものがとれるでしょう。 3.生き物は,どのようにしているでしょう。 4.天気は,どのように変ったでしょう。 5.星は,どのように見えるでしょう。 6.田や畑の様子は,どんなに変ったでしょう。 |
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荷物をどの
ようにして運 んでいるでし ょう |
1.重い物を楽にあげるには,どんなくふうをしているでしょう。
2.重い物を運ぶには,どのようにしたらよいでしょう。 3.車を使うと,どのように便利でしょう。 |
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冬になった
ことは,どん なことでわか るでしょう |
1.草木は,どのように変ったでしょう。
2.生き物は,どのようにしているでしょう。 3.天気は,どのように変ったでしょう。 4.昼の長さは,どんなに変ったでしょう。 5.田や畑の様子は,どうなっているでしょう。 |
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冬にはどの
ようにしたら からだによい でしょう |
1.外で遊ぶときには,どんなことに気をつけたらよいでしょう。
2.しもやけや,ひびができないようにするには,どうしたらよいでしょう。 3.火ばちやストーブを使うときには,どんなことに気をつけたらよいでしょう。 |
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おもちゃや
道具には,ど んなくふうが してあるでし ょう |
1.おもちゃには,どんなくふうがしてあるでしょう。
2.うちや学校では,どんな道具や機械を使っているでしょう。 3.道具や機械を使うと,どんなに仕事がはかどるでしょう。 4.道具や機械を使うときには,どんなことに気をつけたらよいでしょう。 |
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冬から春に
なっていくこ とは,どんな ことでわかる でしょう |
1.草木は,どのように変ったでしょう。
2.生き物は,どのようにしているでしょう。 3.天気は,どのように変ったでしょう。 4.田や畑の様子は,どうなづているでしょう。 5.春・夏・秋・冬の違いは,なにによってわかるでしょう。 6.太陽の出る方向は,どのように変っていくでしょう。 7.方角は,どのようにして決めるでしょう。 |
第3学年 年間指導計画表 (Ⅱ)
単元 春になったことは,どのようなことでわかるでしょう 12時間
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資 料
施 設 |
導 入
(1時間)
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話合い
春になって,天気や生 物の様子がどのように変 ってきたか話合い,学習 の目的をはっきりつかむ 計 画 学習のしかたを話し合う |
春の様
子を表 わした 絵・写 真
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天気はど
のように変 ったでしょ う (2時間) |
理 解
1.季節には春・夏・秋・冬 がある。 2.天気は季節によって特徴 がある。 ○ 春ほ暖かく,夏は暑く 秋は涼しく,冬は寒い。 ○ 気温はいつも同しでは ない。 ○ 春には,薄曇りの日が 多い。 ○ 春にはかすみがなびい たり,かげろうがたった りする。 能 力 1.事実をありのままに見る 能力 ○ 暖かく,かすみがたな びいたり,かげろうがた ったりする春の天気の特 徴を認めることができる 2.比較観察する能力 ○ いろいろな場所の気温 を調べることができる。 3.数量的にみる能力 ○ 気温の高低を寒暖計で はかることができる。 4.機械器具を使う能力 ○ 気温をはかるのに,寒 暖計の度の目もりまで読 むことができる。 態 度 1.環境に興味をもつ態度 ○ 季節おりおりの天気の 様子をみることに興味を もつ。 2.注意深く正確に行動する 態度 ○ 温度計を注意深く使っ て,気温を正しくはかろ うとする。 |
話合い
どういうふうに調べた らよいか話し合う。 測 定 1.へやの内外,建物の北 側・南側,その他いろい ろな所の気温をはかって みる 2.日々の気温(10時ころ) を期間を決めて測定する 観 察 かすみのたなびく様子 や,かげろうのたつ様子 を観察し絵にかく。 報 告 期間を決めて日々の気 温のグラフをつくって報 告する。
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温度計
グラフ 用紙 |
草木はど
のように変 ったでしょ う (3時間)
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理 解
1.植物は成長して葉が茂り 花が咲き,実を結ぶものが あるが,それらの時期は植 物によってだいたい決まっ ている。 ○ さくら・ももなどは春 になると花が咲き,葉が 茂る。 ○ 菜やだいこん・えんど う・むぎなどは,春にな ると急に成長する。 ○ 寒いときには植物はよ く育たないが,暖かいと きにはよく育つ。 能 力 1.事実をありのままに見る 能力 ○ 植物の発芽・成長・開 花・結実などの変化の様 子に気づく。 2.記録・図表をつくる能力 ○ 草花や作物の育つ様子 を絵や文にかき表わすこ とができる。 態 度 1.環境に興味をもつ態度 ○ 春になっていろいろ な花が咲いたり,草木が 伸びたりすることに興味 をもつ。 2.生命を尊び生物を愛育す る態度 ○ 草木や野菜などをむや みにとったり,踏み荒し たりしないで,よく世話 をしょうとする。 3.自然の美・調和や恵みを 感得する態度 ○ 季節の移り変りに従っ て,植物の育ちがだんだ ん変っていく自然の調和 を感得する。 |
観 察
1.このごろの学校園・学 級園の作物や草花の様子 を観察する。 2.校庭で,木の様子を観 察する。 野外学習 公園や畑などで,草木 や作物の様子を観察する 話合い 冬から春にかけて草木 の変ってきた様子を話し 合う。 作 業 花や草などを教室にか ざる。 記 録 期間を決めて,学校園 の草木の様子や,世話し たことなどの絵日記をか く。 |
学校園
学級園
校庭
公園 畑
花びん
|
学級園に
は,どんな 草花や作物 を植え,ど んなに世話 したらよい でしょう (2時間)
|
理 解
1.花の咲く時期と咲いてい る期間は,種類によって違 う。 ○ まつばぼたん・えぞぎ く・あさがお・ほうせん か・ひまわりなどは,春 に芽を出し成長して,夏 になると花が咲き実を結 ぶ。 ○ コスモス・ダリヤ・き くなどは秋花が咲く。 2.植物には種でふえるもの がある。 ○ せんにちそう・きんれ んか・へちま・かぼちゃ・ とうもろこし・だいこん などは種でふえる。 3.草花や作物を作るには, 種を選ぶ必要がある。 4.植物には,根やつるや球 根でふえるものがある。 ○ さといも・じゃがいも・ ダリヤなどは,いもや球 根でふえる。 ○ きく・さくらそうなど は根でふえる。 ○ いちごなどはつるでふ える。 5.植物には,さし木でふや すことのできるものがある ○ きく・ばら・やなぎな どは,さし木でふやすこ とができる。 6.水と光と熱とは,植物の 成長にたいせつである。 ○ 種は水と熱とがなけれ ば,芽を出さない。 ○ 日のあたらない所では 草花はよく育たない。 7.植物がよく育つには肥料 がいる。 8.狭い場所に生物がたくさ ん集まると,育ちが悪い。 ○ 間引きをしないと,草 花や,やさいはじょうぶ に育たない。 能 力 1.事実をありのままにみる 能力 ○ 発芽・成長・開花・結 実などの事実が認められ る。 ○ さし木・根分けなどで 芽が出たり,根が出たり する事実が認められる。 2.比較観察する能力 ○ 日あたり,日のあたら ない所,暗い所での芽ば えの形の達いに気づく。 ○ 肥料を与えた植物と与 えないものの育ちの違い が比べられる。 3.栽培する能力 ○ 種をまいたり,苗や球 根を植えたりできる。 ○ 間引いたり,草取りを したりできる。 4.記録する能力 ○ 絵や文で育ちの変化が かき表わせる。 態 度 1.根気よく物事をやり遂げ る態度 ○ 草花の世話や観察を飽 きないで続けて行おうと する。 2.生命を尊び,生物を愛育 する態度 ○ 草花をむやみにとった り,踏み荒したりしない でよく世話しようとする 3.協力する態度 ○ グループや友だちと仲 よく栽培や世話をしよう とする。 |
観 察
学級園に植えてあるも のや,その育つ様子を観 察する。 話合い 1.学級園に植える草花の 種類 2.草花の種のまき方,苗 の植え方等 栽 培 1.学級園の手入れをする 2.まつばぼたん・ひまわ り・コスモス・せんにち そう・へちま・とうもろ こし等の種をまく。 3.ダリヤ・さといもなど のいもや球根を植える。
4.きく・ばらなどのさし 木をする。 話合い 1.草花の手入れのしかた 2.草花の育ちの記録のし かた 栽 培 1.間引きをする。 2.水や肥料をやる。 記 録 1.草花や作物の育ちの様 子を記録する。 |
学級園
移植ご て くわ ほうき 種子
球根
苗
肥料
ノート |
生き物は
どのように しているで しょう (3時間) |
理 解
1.動物の成長や活動は,季 節によって違う。 ○ 春になって暖かくなる と,つばめ・おたまじゃ くし・あおむしなどがよ く活動する。 2.子は決まった発育をして 親になる。 ○ おたまじゃくし・あお むしは,大きくなると形 が変る。 能 力 1.事実をありのままに見る 能力 ○ つばめが巣をつくり始 めたり,あおむしが畑で 盛に葉を食べたりする動 物の活動に気づく。 2.飼育する能力 ○ あおむし・おたまじゃ くしなどを箱や水そうで 飼うことができる。 態 度 1.環境に興味をもつ態度 ○ 動物の巣や集まる場所 に興味をもつ。 2.自然の美,調和や恵みを 感得する態度 ○ 季節の移り変りに従っ て,動物の活動がいろい ろに変る調和に気づく。 3.根気よく物事をやり遂げ る態度 ○ 生物の活動の様子を続 けて観察し,記録しよう とする。 4.生命を尊び生物を愛育す る態度 ○ 飼っている動物にえさ を与えたり,水をかえた りして熱心に世話しよう とする。 |
話合い
1.このごろみられる動物 の種類と,その活動の様 子について話し合う。 2.つばめの巣や,飛んで いる様子を話し合う。 野外学習 1.庭や畑で,ちょう・は ち・が等やその幼虫を観 察する。 2.池や小川などで,かえ る・おたまじゃくし・ざり がになどを観察したり, 採集したりする。 飼 育 1.あおむしをびんや箱で 飼う。 2.かえるの卵やおたまじ ゃくし・ざりがになどを 水そうに入れて飼う。 |
つばめ あおむ し・お たまじ ゃくし 等のス ライド 学校園 学級園 畑 池 小川
飼育び ん 飼育箱 水そう |
ま と め
(1時間) |
話合い
春になって目だった天 気・植物・動物の様子に ついて話し合う。 計 画 今後,天気・植物・動 物などがどのように変っ ていくかの調べ方を話合 い,分担を決める。 |
上に述べた年間指導計画は,新しい学年の始まる以前に立案するのが普通である。しかも,この計画は,だいたいの筋を通した程度のものである。
指導をするにあたっては,この年間計画よりもっと細かな計画が,単元ごと,あるいは各課についてつくられなくてはなるまい。このような部分ごとの計画を学習指導案というのである。
指導案をつくるときに考慮すべきことは,年間計画を作るときとほぼ同じであるが,指導の時期がいっそう近づいているから,指導案はそれだけ実際にあてはまりやすいものになるはずである。
この立案にあたって,こどもの実際の必要なり,興味をよくつかむことが第一に必要なことであって,これを無視して,年間計画のほうにしばられることがあってはならない。
指導案のうちで,各単元,あるいは各課で実際化する目標や学習活動の順序や配当の時間などについての細かな計画がたてられる。
これらの詳しいことには,この本では触れないことにする。
(2) 単元に含む問題は,理科の指導目標が達せられるよう考慮されておらなければならない。
(3) 単元は,こどもが実際に参加し,または これを自分から企画して成果をあげるようにつくられなければならない。
(4) 単元には,多数のこどもによって行われるすべての活動が用意されなければならない。
(5) 単元は,こどもが学習しようと勇気を振い起すにたるものでなければならない。
(6) 単元は,こどもの理解できる材料によって構成されていなければならない。
(7) 単元は,学級や,ひとりひとりのこどもに,その特性や個人差に応じて,多方面的な活動を導くことのできるように,豊富な内容をもっていなければならない。
(8) 単元の系列は,こどもの発達に合い,その学年のこどもの必要な能力を,しだいに伸ばすように,有機的な関係によって一貫していなければならない。
(9) 年間指導計画には,学習指導案を立案するに必要な事がらが盛ってあって,日々役だつものでなければならない。
(10) 年間指導計画には,季節や行事が考えられていなければならない。
(11) 各単元や各問題の指導に配当される時間は,学習内容を考えて,適切に定められていなければならない。
(12) 年間指導計画には,他教科との調和のとれたつながりが考慮されていなければならない。
(13) 年間指導計画は,弾力性をもち,実施の過程において,こどもの関心や問題の発展に応じて,修正しうるものでなければならない。