第6節 商業地域女子向き課程の例

 都市商業地域では,多くの商店をはじめ銀行・会社などが並んで,いわゆる市街地を構成し,そこに住宅もあるのが普通である。そこで店を経営しながら営む家庭生活は,仕事の時間や労力や物の節約を計り,すまいの狭いところを利用して気特よく暮らす等,衣食住の各方面にわたって,能率をあげる能力や技能を身につけることが第一に考えられる。そうして,忙しい中にも,家族の人々が,互によく理解して,尽し合うふんい気がいこいともなり,成長のもとともなるのである。また庭の楽しみのないかわりに,季節の花のはち物や,切花等を飾って,なごやかな気分を味わうようなくふうについても,とりあげて研究すべきことである。

 このような家庭における家族の一員である生徒としては,朝夕に店の手伝をすることが,一つの重要な仕事となる。計算や記帳,客の応待や商店の飾りつけなど,日々の体験をとおして技能を身につけ,職業を理解するように導く。また店に働く人々をどうして気持よく働いてもらうか,働く人々のために尽す態度を養うことも肝要である。

 なお商業地帯としては,共同して家庭の向上を計るための社会的な施設の促進,たとえばこどものためのよい遊び場や公園などに関心を持ち,地域全体を発展させるための婦人の任務を自覚させることも必要である。

 以上述べたように,女生徒にとっては,家庭生活学習が中心であるが,一方珠算に習熱しようとする者も,記帳の技術を身につけたい者も,店の販売諸般にわたって興味を持ち,理解しようとする生徒もでてくるであろう。このような生徒のためには,特に選択の時間において,深く希望の学習をさせることが望ましい。

 この例では,全体で15単元を設定したが,実際指導にあたっては単元と単元とがよい連絡のもとに指導されるような計画が肝要である。

 第1.この学校の環境

 この例に想定した学校の環境は,中等程度の商店をはじめ,各種の会社や銀行・信用組合などが並んでいる。そこに住宅も相当数ある商業地域で,学校は15学級編成のやや小高い丘の上の緑に包まれた校舎である。

 第2.単元一覧表

       第 1 学 年            140時間

   1.わたくしの家庭              35時間

   2.よ い 身 な り            40時間

   3.朝 食 と 弁 当            45時間

   4.幼い家族のせわ              20時間

        第 2 学 年           140時間

   1.家 庭 と 職 業            25時間

   2.季 節 と 食 物            35時間

   3.わたくしに似あう服装           45時間

   4.快いすまい・休養             20時間

   5.家 庭 看 護              15時間

        第 3 学 年           140時間

   1.よい暮し方の計画             25時間

   2.これからの衣生活             35時間

   3.食生活の改善               35時間

   4.これからの住まい             10時間

   5.正 し い 保 育            20時間

   6.家 庭 と 社 会            15時間

 

 第3.第1学年の学習指導

   A.第1学年の学習指導

 第1学年は児童後期から青年前期にはいり,自己を認識し始め,主観的要求が現れてきて,反抗期に入る。しかし自分の家庭における役割ははっきり自覚するようになる。興味の中心はようやく論理的なものや物事を組み立てることに移ってくるから,計画的な生活に導きやすい。

 そこで第1学年は計画的,民主的な家庭生活を中心課題とした。そうして家族の一員としての自分の立場を理解し,兄弟姉妹とのおり合いや友だちとの和合に努め,その間柄をいっそうよくする態度を養い,あわせて奉仕的精神を養う。

 金銭にも興味を持ち,持物などは自分で選択し,自分の財布から買うことを望む。またこづかいは節約によって,自分の貯金としてたくわえることも楽しむようになるから,じょうずな金の使い方やこづかい帳のつけ方や珠算の技術を学習するのによい時期である。また自分の身なりに関心をもつようになるから,年齢相応の身だしなみを知り,服装の整え方や自分の被服の製作を学ぶによい時期である。かねて仕事を能率的にするために,ミシンの操作,手入れ,分解修理などもあわせて習得する。

 商家では特に家族の協力が必要であることを理解し,自分の力に応じた仕事の一つとして朝食や弁当の用意を進んでするように導く。特に商業地域では,加工食品・半加工食品を用いることが多いから,六つの基礎食品をもとにして,栄養的に食事をととのえうるようにする。同時に,食事の作法・給仕・応待の要領をも知らせる。また家庭内のふんい気を明るくするために,草花のはち植や簡単な生け花についてもよい指導が望ましい。

 また幼い者へ関心を持つようになるから,「幼い家族のせわ」の単元に発展する。弟や妹の世話は単に遊ばせるのではなく,その生活を観察し,よく導こうとする態度と能力を養うようにする。同時に家族への協力となる喜びも感じるように導く。

 この指導方針に基いて計画し,これを組織して,単元から単元へは発展的に学習をすすめる。なお,将来,女子の職業へ伸展すべき素地を作ることも一面の指導目標であり,各単元には家庭生活並びに職業生活の社会的,経済的知識・理解の内容を織り込むことはいうまでもない。

 

第1学年 商業地域

   B.単 元 の 主 眼
 
単 元 名
主        眼
1.わたくしの家庭  家庭における自分の役割を自覚し,また家族の役割を理解して家庭と職業との関係や家庭生活のあり方を知る。そうして家族への援助と奉仕をする心掛けで物の買い方や扱い方を知り,珠算の技術を習得し,こづかい帳などの現金出納帳をつけ,じょうずな消費をはかる態度と習慣を養う。
2.よい身なり  身なりの整え方に関心をもちはじめるこの時期に,自己のみなりを中心に,身体や被服の清潔・整髪・姿勢・動作・表情などについて自身を反省させ,みなりを整えるための各方面の注意を喚起し,よい身なりについて理解させ,夏の日常着の型・色・材料を選択し,型紙を選び,これを体に合わせ,補正する能力と裁縫抜術を習得し,またミシン操作と簡単な手入れ・分解・修理の能力を養う。
3.朝食と弁当  一日の中で軽んじられがちな朝食と,弁当を主題として,正しい食生活とは,六つの基礎食品群を正しく組み合わせることであることを理解し,基礎的調理技術と調理用具を正しく使う能力を養い,進んでわが家の朝食・弁当の用意を手伝う態度と能力を身につけ,加工食品や半加工食品の利用とその選び方やじょうずな買い方を知り,あわせて食事の作法・給仕・応接の要領を会得する。またいろいろくふうして花をつくり,あるいは野菜を栽培して家人を楽しませ,生活にうるおいを特たせる態度を養う。
4.幼い家族のせわ 幼児のせわを通じて幼児を観察し,幼児のせわのしかたを理解し,家族に協力する態度を養い,簡単なおやつの作り方や幼児用の編み物の基礎技術を習得する。

 

   C.単 元 の 構 成

 (表中の太数字は年間時数,かっこ内の数字は知識・理解の内容の番号を示す)


 

項目

単元

第  1  類
第  2  類
第  3  類
第  4  類
社会的,経済的

知 識・理 解

栽 培
飼育
食品

加工

手 技 工 作
機械操作
製 図
文書

事務

経 営 記 帳
計算
調 理
衛生保育
わたくしの

家庭

 

 

 

 

35

            ・生花

 

 

 

 

 

  ・日常取引記帳簿

 (こづかい帳)

・家庭管理

・電話

・応対

・給仕

15

・珠算

 (加法

 減法

 乗法

 除法)

 

18

    ・家庭生活のあり方 (1)(2)

・家族関係 (1)

・家庭経済 (1)

・わが国の産業と職業 (1)

よい身なり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

40

        ・裁縫

 (ワイシャツまたは

 ひとえ長が着)

・つくろい

・湿式洗たく

 (丸洗い・部分洗い)

・仕上げ

 (アイロン仕上げ)

・手入れ

 (しきのし・ブラシ

 かけ)

35

・裁縫機械

 (裁縫ミ

 シン)

・電熱器具

 (アイロ

 ン)

 

 

 

 

 

            ・衣食住の計画・管理

    (1)(3)(4)

朝食と弁当

 

 

 

 

 

45

・野菜

 (小松菜)

・花

 (草花)

 

 

20

      ・木工

 (かましき台)

 

 

 

 

  ・製図

 (かまし

 き台)

 

 

 

  ・給仕

 (食卓給仕・

 食事の作法)

 

 

 

  ・主食

 (飯・パン類)

・副食

 (汁物・煮物・

 酢の物・生物・

 焼物)

13

  衣食住の計画・管理

    (5)(6)(7)

幼い家族の

せわ

 

 

 

20

        ・裁縫

・ししゅう

・編み物

・染め物

 

10

          ・主食

・副食

・菓子類

 (幼児の食物)

 

・乳幼児の

 せわ(着

 せ方・抱

 き方・遊

 ばせ方)

・家庭と保育 (2)
140
20
     
50
 
20
18
17
 
140
20
59
38
23
 

  備考 この学年の社会的,経済的知識・理解には時間を配当していないが,適当な時間をこれに当てる必要がある。

 

 第4.第2学年の学習指導

   A.第2学年の学習指導

 本学年は心身ともに著しく発達し,大きな飛躍を見せる時期で,男女ともに性的自覚を生ずる。知能の発達はこれまでのように外に向っての盛んな求知心は見られないが,内面的に充実してくる。物の考え方はいっそう論理的になり,自然界ならびに家庭生活の諸問題についても観察が鋭くなってくる。ここで第2学年は感受性に関係の深い自然環境と家庭生活の設計を中心課題とした。すなわち,家庭は慰安・休養の場であり,更生の最善の場所であることをいっそうよく理解し,季節の移り変りを巧みにとらえて,家庭生活を豊かに楽しくすることに努めるようにする。商業地域においては,季節的感覚が農村ほど強く感じられないから,朝夕の食事に,一輪の花に,四季の趣を楽しむような心づかいがほしい。それで食品の山盛り,栄養,好みなどについて学び,四季の献立や調理の技術を習得する。

 次に季節に関連して四季おりおりの服装が問題となってくる。

 またいっそう身なりに関心を持つようになるから,「わたくしに似合う服装」を取り上げた。そこで自分の特徴を知り,自分にふさわしい服装を選び,季節に応じた新鮮な感覚を表現するようにさせたい。なおこの年齢では運動機能の発達も著しいので,有効適切な技術の指導が必要である。続いて季節に密接な関係を持つすまいを,快く便利で安全なすまいとするようにくふうし実行する。さらに室内装飾から簡単な店舗装飾に発展することが望ましい。すまいについても休養を考慮し,特に安らかな睡眠ができるようにくふうする。また,余暇をじょうずに作り,有効に使う能力も養う。

 次に自然環境はさまざまの問題を招来し,ここに災害や病気の子防あるいは家庭看護が課題となってくる。看護の内容は家庭看護の基礎でよいが,さらにこの分野の職業についての理解を持たせたい。

 この時期は今まで外界に求めた断片的な知識を組織づけ,体系づける傾向が見られるから,家庭生活と職業生活との調和的発展に導こうとした。すなわち,店の運営のために応接・電話・応対などの方法を身につけ,また実際の仕事に協力できるように,珠算の技術もいっそう習練する。

 

   B.単 元 の 主 眼
 
単 元 名
主        眼
1.家庭と職業  家庭生活と職業生活の関係を知り,家庭がよい家庭人,有能な職業人育成の重要な場であることを理解し,また,最もよい慰安・休養の場であり,かつ明日の労働力蓄積のため欠くことのできないものであることを理解する。そうして店の運営のために電話・応対・書類作成などの方法を身につけ,また実際の仕事に協力できるよう,珠算の技術を習練する。
2.季節と食物  季節の食品をじょうずに利用して食卓にうるおいを与えることは,栄養的であり,経済的であることを理解し,これを六つの基礎食品にあてはめてよい献立を作りうる能力を養い,これに伴う食物調理の方法を習得する。またレクリエーションにおける食事の役割を理解し,その献立・調理・給仕・食卓作法などを身につける。
3.わたくしに似合う服装  この学年ではいっそう身なりに興味を特つようになるから,自分に似合う服装を中心に,日常服についての理解を深める。すなわち活動に便利で着る人を感じよく見せることがたいせつな条件であることを理解し,日常服としての材料の選び方,仕立て方,着方,手入れなどについての技術を習得し,型紙補正の能力を養う。また裁縫・手入れ・仕上げなどに使用する器具・機械の使い方,修理のしかたを学習する。
4.快いすまい・休養  すまいの衛生上,能率上の諸条件について理解させ,これを実現しようとする態度を養う。またうるおいのある生活を目標とし,家具や器物の選び方,配置,室内の整理,飾り方,簡単な店舗装飾のしかたなどについて理解し,これを実行するように導く。特に都市生活における休養の重要性を理解し,家族がじゅうぶん慰安・休養・睡眠ができるように環境を整え,あるいはくふう計画する能力を養う。
5.家庭看護  日常起りやすい事故とその応急手当,病気の発見と症状の理解,正しい手当と看護の方法を習得する。また病人食の条件を理解し,それを整え,病室・病衣・薬品・家庭看護用具などの取り扱いを正しく処理しうる能力を養う。

 

   C.単 元 の 構 成

(表中の太数字は年間時,かっこ内の数字は知識・理解の内容の番号を示す)


 

項目

単元

第  1  類
第  2  類
第  3  類
第 4 類
社会的,経済的

知 識・理 解

栽培
飼育
食品

加工

手 技 工 作
機械操作
製 図
文書事務
経営

記帳

計算
調 理
衛生保育
家庭と職業

 

 

 

 

25

              ・通信文(照会文)

・取引関係書類

 (領収書・小切

 手・手形・証書

 類・注文書)

  ・珠算

 

 

 

 

10

    ・雇用と職業の安定(4)

・能率と休養 (1)(5)

・家庭生活のあり方(1)

 

 

季節と食物

 

 

 

 

 

 

35

                    ・主食(パン類・めん類)

・副食(汁物・煮物・焼

 物・蒸物・酢物・和

 え物・浸し物)

・菓子類(もち菓子・あ

 め・糖衣菓子・ゼ

 リー)

28

  ・衣食住の計画・管理

 (6)(7)

・わが国の産業と職業

 (4)

 

 

 

わたくしに

似合う服装

 

 

 

 

 

 

 

45

        ・裁縫

 (ブラウス・ス

 カート)

・湿式洗たく

 (解き洗い・部

 分洗い)

・仕上げ

 (板張仕上げ・ア

 イロン仕上げ)

31

・裁縫機

 械

 (裁縫ミ

 シン)

 

 

 

 

 

            ・衣食住の計画・管理(2)

・個性と適職 (2)

 

 

 

 

 

 

 

快いすまい

休養

 

 

 

 

 

20

        ・裁縫

 (ねまき)

 

 

 

 

 

・電熱器

 具

 (電熱器)

・照明器

 具

 (電燈)

 

・室内装飾

 (家具装

 置品取

 付・配

 置・生

 花)

・建物設計

          ・衣食住の計両・管理(9)

・能率と休養 (2)

 

 

 

 

 

家庭看護

 

 

 

15

                    ・主食(病人の主食)

・副食(病人の副食)

 

 

・家庭看護

 (体温・脈はく・呼

 吸の計り方・救急処

 置・薬の扱い方)

・能率と休養 (2)(3)

 

 

 

140
       
36
 
10
32
35
140
 
51
17
37
35

 

 第5.第3学年の学習指導

   A.第3学年の学習指導

 第3学年は男女ともにようやく成熱期にはいる時期にあり,自我意識がますます発達してくる。そうしてある程度おとななみの取り扱いを望み,おとなぶろうとする。社会意識は単純であって,自我の中にある理想により,空想を描き,これをいろいろの形をもって実現させようとし,理想の家庭生活を夢みるようになる。そこで本学年においては家庭生活の改善を中心課題とした。1・2学年で習得した知識・技能・態度を基礎としてさらによりよい家庭生活を建設していくために,「よい暮し方の計画」の単元を設けた。家族の人格を尊重し,おのおのの立場を理解し,人々とのよい関係を作り,協力の精神と態度とを育成する。また地域社会の向上発展に寄与する心がまえを作りたい。具体的には従来の家庭や社会における風俗や習慣で改めるべきところを反省し,検討して,生活の充実向上を計るように計画する。商家においては,多忙のあまり,食事の支度もなおざりになり,加工食品をもってまに合わせ的な食生活をすることも多い。かような場合は特にこれを取り上げて正しい食生活へと指導する必要がある。

 また,台所や便所が顧みられない傾向もあるから,じゅうぶんな関心をもって,改善の方法を講ずるようにしたい。

 なお,衣・食・住・家具などについては,常に選び方・買い方・使い方・手入れ・保存などを経験的に学習させて,その改善と管理の方法を体得させる。したがって家庭管理では時間と金銭の問題を取り扱うことになる。第1学年で取り扱ったこづかいから発展して家討についても,関心をもつようにしたい。

 家庭生活の改善は家族の協力が必要で,また実行するところに価値がある。そこでホームプロジェクトにより,いっそうの成果を上げることが望ましい。

 いずれの単元においても,社会生活ならびに職業生活と密接な関連をつけながら,学習させる。

 家庭生活の向上はすなわち社会生活の向上であることを認識するとともに,家庭生活のみに閉じこもることなく,社会奉仕の機会を得て,社会の向上発展に寄与する心がまえを助長することもたいせつである。

 

   B.単 元 の 主 眼
 
単 元 名
主        眼
1.よい暮し方の計画  よい家庭生活は家族相互のよい関係を作るにあることの理解をいっそう深め,家庭におけるときや,金のよい管理の習慣を身につけ,計画ある生活とじょうずな消費のしかたを理解し,家庭生活の正しい運営のために家計簿や生活記録をつける習慣を養う。
2.これからの衣生活  衣生活の現状とその改善の方向を理解し,その認識のもとに,被服の選択・更生・改造をくふう創作し,衣類製作の能率化整理の合理化を推進する能力,さらに家族の被服計画,新興材料の利用,流行についての正しいはあくの能力を習得することを目標とする。
3.食生活の改善  地域社会の食生活の実情,食習慣の現状を検討し,栄養的,経済的見地から,献立の立て方,食品の選択調理法の合理化,配ぜんの能率化,美化などの諸点を改善し得る能力を養い,常備食品,加工食品,強化食品の利用,炊事の共同化,機械化など食生活の簡易化,合理化をくふうし,実行するように導く。
4.これからのすまい方  地域社会の住宅の実情を認識し,特に衛生上,保安上の見地から改善の諸問題を検討し,これを実行に移しうる能力を養う。さらに住宅の共同化,共同施設等に関心を深め,協力しようとする態度を養う。
5.正しい保育  女子の天職を認識し,乳幼児の心身の発育要求を理解して,その食物・被服を調製し,幼い時期に生活の良習慣をつけるように注意深い助力をする能力を養う。また,乳幼児のための社会施設に協力する態度を養う。
6.家庭生活と社会  家庭生活と社会生活との緊密な関係に基いて,家庭生活の総合的な改善方法について理解し,招待・贈物は,ま心本位とし,吉凶事に伴う行事などの旧習を打破し,明るい生活を建設する態度を養う。

 

   C.単 元 の 構 成

(表中の太数字は年間時数,かっこ内の数字は知識・理解の内容の番号を示す)


 

項目

単元

第  1  類
第  2  類
第  3  類
第  4  類
社会的,経済的知識・理解
栽培
飼育
食品

加工

手 技 工 作
機械

操作

製 図
文書事務
経営記帳
計算
調 理
衛生保育
よい暮し方

の計画

 

 

 

 

 

 

 

25

                ・日常取引記帳簿

 (家計簿・現金出

 納帳・仕入帳・売

 上帳・伝票)

・家庭管理

 (時間の配分・労

 力の配分・仕事の

 計画)

・金融

10

・珠算

 

 

 

 

 

 

 

 

10

    ・家庭生活のあり方 (3)

・家庭経済 (2)〜(4)

・家族関係

 

 

 

 

 

 

これからの

衣生活

 

 

 

 

 

35

        ・裁縫(ジャケット・

 仕事着・洋裁デザ

 イン)

・湿式洗たく・乾式洗

 たく(部分洗い・解

 き洗い)

・手入れ(しみぬき)

28

              ・衣食住の計画・管理(2)(4)

・わが国の産業と職業 (4)

 

 

 

 

 

食生活の改

 

 

 

 

 

 

35

                    ・主食(飯・パン類)

・副食(副食調理数

 種)

・菓子類(ようか

 ん・もち菓子)

・飲み物(清涼飲

 料)

 鳥類・魚介類

27

  ・衣食住の計画・管理 (7)

・能率と休養 (1)

 

 

 

 

 

 

これからの

すまい方

 

 

 

 

10

            ・建物設計(居間・

 台所・便所・排

 水)

・店舗装飾(商品

 配置・陳列窓・

 照明)

          ・衣食住の計画・管理

  (8)(10)

 

 

 

 

正しい保育

 

 

 

 

20

        ・裁縫

 (乳幼児の被服)

 

 

 

          ・主食・副食

 (離乳期食)

 

 

 

・乳幼児のせ

 わ

(授乳・乳児

 の食物・遊

 ばせ方)

・家庭と保育 (1)〜(3)

 

 

 

 

家庭生活と

社会

 

 

 

 

15

        ・(贈物の作り方)

 

 

 

 

 

    ・通信文

 (履歴書)

 

 

 

 

    ・(接客料理)

・(食卓作法)

・(招待)

 

 

 

・(集会とレ

 クリエーシ

 ョン)

 

 

 

・家族関係 (1)〜(3)

・雇用と職業の安定

        (1)〜(3)

・個性と適職 (1)(3)(4)

・各種産業における職業人

       (4)(5)

140
       
36
 
10
10
33
35
140
 
43
22
40
35

 

   D.選択教科の運営

 大要は農村女子向き課程の選択にならう。

 第1学年は大体農村の要領でよい。

 第2学年では野ら着の代りにへや着としてスモックを選べば,上っぱりにもなる。また簡単なジャケットを選んでもよい。保存食は都市にはあまり必要がないから,簡単な集会の料理など,ランチの練習として取り扱うのもよいであろう。被服ははんてんを省いてスェーター各種(そでなし・半そで・長そでなど)にする。

 第3学年ではあわせ羽織・あわせ長着の代りに,ジャケット・スカート・ブラウス・ワンピースドレスなどにしてもよい。農繁期の食事の代りには,誕生日や,友だちを招くときなどの調理を練習させる。

 

 第6.単元展開の一例

   A.単元名 わたくしに似合う服装  第2学年  50時間

   B.単 元 の 主 眼

 この学年では,いっそう身なりに興味を持つようになるから,自分に似合う服装を中心に,日常服についての理解を深める。すなわち活動に便利で着る人を美しく見せることがたいせつであることを理解し,日常服としての衣材料の選び方,仕立て方,着方,手入れなどの基本的技術を習得し,型紙補正の能力を養うとともに,裁縫・手入れなどに使用する器具機械の使い方,修理のしかたを学習する。

   C.単 元 の 展 開
 
学習内容
学習活動
時間
準備と資料
評  価
1.わたくしに似合う服装について学習するにはどのような計画をたてればよいだろうか。
(1)特色ある顔

 やスタイルの

 関係を現わす

 図

(1)わたくしに

 似合う服装の

 計画がたてら

 れたか。

  (1)生徒との話し合いによ

 って計画をたてる。

 
2.わたくしに似合うブラウス・スカートのスタイルの選び方
 

(1)スタイル図

 

(2)ブラウス・

 スカート

組合せ切抜図

 (実物大)

 

(1)自分に似合

 うスタイルを

 選ぶことがで

 きたか。

(2)ブラウスと

 スカートの関

 係が理解でき

 たか。

 

(1)日常服とし

 ての材料とス

 タイルの関係

 が理解できた

 か。

(2)日常服の備

 うべき条件が

 理解できたか。

 

 

 

 

(1)材料とスタイ

 ルとの関係

  ○色と柄

  ○材料とスタ

   イル

(2)日常服とし

 て具備すべき

 条件

  ○活動

  ○衛生

  ○経済

  ○美

(1)顔や体格とスタイルの

 関係について話し合う。

(2)ブラウスとスカートと

 の関係について話し合う。

(1)材料とスタイルについ

 て研究する。

 

 

 

(1)日常服はどんな条件が

 たいせつであるかについ

 て話し合う。

(2)日常用の服やスタイル

 ブック等により,日常服

 の具備すベき条件にかな

 った被服をえらぶ。

 
3.採寸と型紙の選び方
   
  (1)各自の寸法を互いに計

 り合う。

(2)各自の寸法に合う型紙

 を選ぶ。

  (1)巻尺 (1)寸法を計る

 ことができる

 ようになった

 か。

4.型紙の補正
   
  (1)ブラウスの型紙を自分

 の体に合うように補正

 する。

(2)スカートの型紙を補正

 する。

  (1)ブラウス・

 スカートの型

 紙

(1)型紙の補正

 のしかたが理

 解できたか。

5.裁ち方
   
(1)用布の見積

 り

 

 

(2)地直し

 

 

(3)裁ち方

(1)各自の型紙を組み合わ

 せて用布の見積りをす

 る。

 

(1)地なおしをする。

 木綿物・交織物・毛織物

 など。

(1)型紙どおりにしるしを

 つける。

(2)縫い代をつけて裁つ。

  (1)ブラウス・

 スカートの材

 料

(2)アイロン・

 アイロンぶと

 ん・霧吹き

(1)用布の見積

 りがむだなく

 できるか。

(1)地質に応じ

 た地なおしが

 できるか。

(1)縫い代のつ

 けかたが理解

 できたか。

(2)裁つことが

 できるか。

6.仮り縫い
   
  (1)仮縫いをする。

(2)ブラウスはからだに合

 うように虫ピンなどを

 利用してなおし合う。

(3)スカートは,はいて胴

 まわり・腰まわりをから

 だに合わせ,すそが平均

 の高さになるようになお

 し合う。

  (1)裁縫用具 (1)からだに合

 うようになお

 せるか。

7.ミシンの手入れ,ミシンの調節
   
  (1)ミシンを掃除して油を

 さす。

(2)糸の調子,針目の調節

 をする。

  (1)ミシン (1)ミシンの手

 入れ,調節が

 できるか。

(2)ミシンが正

 しくかけられ

 るか。

8.縫い方
20
   
(1)ブラウス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(2)スカート

 本縫をする。

(1)明きのしまつをする

 (前・後・肩)

(2)肩・わきの縫合せ。

(3)えり付とえりぐりのし

 まつをする。

(4)そでを縫う。

(5)そで付の仮り縫いをし

 て,互になおし合う。

(6)そでをつける。

(1)前布と後布を作る(ひ

 だのある場合はひだを

 とる)

(2)わき縫いをする。

(3)わき明きの始末をする。

(4)すそのしまつをする。

(5)インサイドベルトをつ

 ける。

  (1)前明きしる

 し

(2)えりの各種

 標本

 

 

 

 

 

 

(1)わき明き標

 本

(2)インサイド

 ベルトのつけ

 方標本

(1)ブラウスの

 そでやえりの

 つけ方が理解

 できたか。

 

 

 

 

 

 

(1)スカートの

 インサイドベ

 ルトのつけ方

 が理解できた

 か。

(2)すその始末

 ができるよう

 になったか。

9.仕 上 げ
   
  (1)仮り縫いの糸やしつけ

 をとる。

(2)アイロンをかける。

(3)附属品をつける。

 (カギホック・ボタン・ス

 ナップ)

(4)穴かがりをする。

  (1)穴かがり標本  
10.着 つ け
   
  (1)各自着つけして互に観

 察し批評し合う。

     
11.いつも清潔な服を着ているにはどうしたらよいか。
10
   
(1)洗たくの必

 要

 

 

 

(2)部分洗い

 

 

 

 

 

 

 

 

(3)解き洗い

  ○解き方

 

 

  ○洗たく物の

  分類

   △繊維上

   △色合上

   △用途上

 

 

 

  ○洗たく

 

 

 

 

 

 

 

  ○仕上げ

(1)洗たく材料を持ちよる。

(2)汚れた衣類を着ること

 はなぜいけないか。その

 わけについて話し回う。

 

(1)どんな時に家庭で部分

 洗いをするか,それには

 どんな洗たく剤が使われ

 るか調べる。

(2)どのような部分洗いを

 しているか,調べて話し

 合う。

(3)部分洗いを実習する。

 

 

(1)家庭にある解き洗いの

 材料を持ちより,解き方

 の順序を話し合う。

(2)解き物実習

 

(1)洗濯をする材料を分け

 なけれならないことに

 ついて話し合う。

(2)洗濯物を分ける。

 

 

 

(1)家庭でどのような洗た

 く用具・洗たく剤が使わ

 れているか調べる。

(2)繊維に応じた洗たく剤

 と方法によって洗たくを

 する。

 

(1)どんな仕上げの方法が

 あるか,家庭で行ってい

 ることを話し合う。

(2)衣材料とのりの関係に

 ついて調べる。

(3)のりを作る。

(4)板張りをする。

(5)干してはがす。

(6)用具のあとしまつをす

 る。

   

 

 

 

 

(1)洗濯用具

(2)筆刷毛

(3)ま綿

(4)洗たく剤

 揮発油

 ベンジン

 

 

 

 

(1)はさみ

(2)解き洗いの

 材料

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(1)身じたく

 前かけその他

(2)洗たく用具

(3)炭酸ソーダ

(4)高級アルコ

 ール

(5)洗剤

 マルセルせっ

 けん

(6)亜美剤

 さく酸

 グリセリン

(7)のり剤

 しょうふ

 コンスターチ

 ふのり

(8)張り板

(1)洗たくの必

 要が理解でき

 たか。

 

 

(1)簡単に汚れ

 を落すことが

 できるか。

 

 

 

 

 

(1)解き洗いの

 材料を順序よ

 く解けるか。

(2)解いたあと

 の布や糸の整

 理はできるか。

 

(1)布の材料の

 見分けができ

 るか。

(2)色合いの分

 類の必要が理

 解できたか。

 

(1)動物性繊維

 はどんな洗た

 く剤がよいか

 理解できたか。

(2)繊維別によ

 る洗い方がで

 きるか。

 

 

(1)のりが適度

 にむらなく作

 れるか。

(2)布にむらな

 くのりがつけ

 られるか。

(3)布の裏表が

 まちがいなく

 張られるか。

14.反省
   
  (1)家族の批評と自分の反

 省を話し合う。

    (1)どんな仕事

 で家族に協力

 することがで

 きるようにな

 ったか。