Ⅱ 中学校 日本史の単元(C)案の展開例
第1単元 石器や貝塚をのこした人々は,どのようにして,生活を切り開いていったか。
要 旨
目 標
「理解」
2.人間と動物とはちがっていること。
3.原始社会の人々は,自然や動物と戦い,しだいに努力して,それらを克服していったこと。
4.原始社会は人類の最も初めの社会であること。
5.原始社会は,そのしくみが,現代の社会と非常にちがっていたこと。
6.原始社会は非常に長かったこと。
7.共同の生活がしだいに進んで来て,原始社会が終っていったこと。
8.日本の原始社会も世界のどこの原始社会にも似たところを持っていること。
9.原始社会の生活を調べるには,考古学や人類学などのいろいろの学問の力によること。
10.現在のわれわれの生活の中にも,原始社会の姿がのこっていること。
「態度・技能」など
2.神話や伝説を正しく批判する態度。
内 容
2.石器や貝塚とはどんなものか。
3.人々は,初め,地球のどの辺に住み始めたか。
4.わたくしたち日本人の先祖は,どのようにして,この列島に住みはじめたか。
5.大昔の人たちののこしたと思うものに何があるか。
6.大昔に,日本列島とよその国や土地とは,関係があっただろうか。
7.世界各地の原始社会と,日本の原始社会とはちがっているだろうか。
8.原始社会と今の社会は,どこがちがっているのだろう。
9.原始社会は,どのように変っていったろうか。
学習活動の例
2.赤ん坊の時から今までに,社会はどんなに変っているか,生れた時からの自分の年表と,社会の年表とを作ってみよう。それからどんなことを感じるか皆で話し合おう。
3.歴史の勉強は,どうやったらよいか,クラス全体で話し合おう。先生からいろいろ話を聞いて研究してみよう。
4.近くに貝塚があったら,そこへ行って,どんな所にあるか,どんなものが出るか,を共同で調べてみよう。そして先生から話を聞こう。
5.人間が最初に文明を持った土地を,世界地図の上で調べ,なぜその土地が早く開けたかを考えてみよう。
6.地球上にはじめて現れた人間の顔や姿をかいたものや,写真があったら,集めて,今の人々とどんなにちがうか話し合おう。
7.人間と動物は,どんな点でちがいがあるかを考え,それを表にしてみよう。
8.日本列島はどのようにして成立したかについて,先生から話を聞こう。
9.日本の周囲には,どんな民族が住んでいるかを調べて,その分布図をつくってみよう。
10.世界の未開の地方に住んでいる諸民族の生活を,書物や写真などによって調べ,これを大昔の人々の生活と比較して考えてみよう。
11.皆が,日本列島のまわりの大陸や島に住む人だったとしたら,どんな時に,どんな方法で,日本列島に行くかを考えて,皆で話し合おう。
12.いろいろな神話や伝説を集めてみて,それを信用してよいものかどうか,皆で討論会を開いてみよう。
13.学者は,日本人はどこから来たと言っているか,本で調べたり,先生に話を聞いてみよう。
14.世界各国人の写真を集めて,日本人と比べて,気がついたことを報告しよう。
15.貝塚や住居址(し)を見学して,そのころの生活を想像したレポートを提出しよう。
16.石器や土器のいろいろな実物や絵や写真を集めて,何に使ったか調べてみよう。
17.土器の形や文様をできるだけ多く模写して,これを一室に展示しよう。
18.日本の地図や郷土の地図で,貝塚や住居址の多い地方を調べてみよう。
19.太陽や山の神などは,どうして尊敬されたりするようになったか考えてみよう。
20.人間の使う道具の材料には,どんなものがあるか調べて,昔と比べてみよう。そして気がついたことを発表しよう。
21.農業を営むには,何が必要か,できるだけ多く列挙し合ってみよう。
22.自分が石器時代に暮らしているものと仮定して,ある季節を選んで,10日間の日記を書いてみよう。
23.土器や銅鐸(たく)にかかれた絵を模写して,原始人の表現と,幼児の創作とを比較してみよう。
24.原始時代の女性は,毎日どんな仕事をしていたかを想像し,皆で話し合ってみよう。
25.繩文式や弥生式文化の時代に使われていたもので,今も続いているものがあったらこれをあげてみよう。
26.繩文式文化と弥生式文化との相違を事項別にして,比較表を作ってみよう。
たとえば,石器・土器・生業・墳墓・集落・住居・信仰・風俗等。
27.竪(たて)穴住居について,こういう住居は,はたして住みよいかどうかを,降雨・風あたり・屋内温度(冬・夏)・風通し・明るさ,および湿度などについて調べてみよう。
28.日本で人々が生活を営み始めた時に,世界の様子はどうだったか,本で調べたり,先生から話を聞いたりして,発表しよう。
29.日本と海外の土地と,大昔に交通があったことを証明することがらを表にしてみよう。
30.西暦紀元前後から,4世紀ごろまでの世界の文化を示した年表をつくり,その時の日本の状態を考えてみよう。
31.大昔の日本の状態をしるした大陸側の文献を,先生から読んでもらって,話を聞こう。
32.農耕生活と,狩猟生活とを比較して,その特質について,意見を発表し合おう。
33.原始社会の特徴だと思うものを選び出し,それを各自で,一覧表にして展示会・批評会を開こう。
34.スライドがあったら映写してみよう。
評価の例
2.現代の社会と原始社会のちがいを表にして提出させ,そのしくみのちがいが理解できたかどうかを判定する。
3.土器や石器を集めさせて,陳列展を行い,遺跡や遺物を科学的に取り扱い,尊重しようとする態度が養われたかどうかを観察評価する。
4.文字を使わないで,お互に行動させたり,石や木の道具で,猛獣と戦う方法を述べさせて,先祖の生活をたかめるための努力が,理解できたかどうかを判定する。
5.神話や伝説だけが原始社会を知る材料だったとしたら,どんなことになるか話し合わせ,考古学や民族学,その他の諸科学の総合が原始社会の理解を導くのに役立つことを生徒が理解できたかどうかを評価する。また神話や伝説を批判的に取り扱う態度ができたかどうかを判定する。
6.家庭内で,いろいろな資料を集めたり,また,質問が父兄に対してなされるかどうかを,父兄から聞き,原始社会に対する興味や理解が深まったかどうかを評価する。
7.ノートを調べて,その記録や書きこみ,整理の具合などにより,歴史に対する興味や,学習の態度が養われたかどうかを調べる。
8.次の重要概念が歴史的に理解できたかどうかテストする。
石器時代・未開と文明・貝塚・竪穴住居・神話等。