音楽科と他教科および学校の諸活動との関連
音楽科は,教育目標を達成するために,全体の教育課程の一環として計画され,実施されなければならない。すなわち,教育は,生徒が全人として円満に発達することを期待して行うものであるから,音楽科のみが孤立することは許されない。実際に音楽科のうちには,社会・理科・数学・国語・外国語その他あらゆる教科や科目の諸要素が含まれているのであって,それら諸教科の学習経験は,音楽学習に確実性を与え,諸教科の協力によって音楽学習経験は深さと幅を増すのである。また,その反対に,音楽科の参加によって他の教科の学習経験にも,豊かさと生気が与えられるだろう。このような関係は教科相互の間ばかりでなく,学校におけるあらゆる教育活動と音楽との間にも見いだされる。すなわち,音楽が教室内だけのものとならずに,あらゆる場所,あらゆる機会に有効に用いられるならば,音楽教育本来の使命達成の上にも,また,各種の教育活動の効果的な運営の上にも,益するところがきわめて大きいのである。以下,これらについて述べてみよう。
第1節 音楽科と他教科との関連
音楽科と他教科との関係について考えてみるならば,そのうちには次のような諸問題が含まれているだろう。
2) 音楽学習を進める上に,直接に必要とする他教科の要素。
3) 音楽学習を進める上に,教師が知っていなければならない他教科の知識理解。
4) 他教科の学習を進める上に役だたせる音楽の扱い方。
1 社会科との関連
社会科は,人間関係と自然関係など時間的発展においても,空間的配列においても,複雑多様な人間生活を学習の対象とした教科であるから,音楽も一応この社会科と関連をもっている。
音楽も,それを社会的所産として,時代的・民族的・地方的指導を考察の対象としようとする時には,社会科の学習対象ともなってくる。たとえば,一般社会科中学校第3学年単元4「われわれは文化遺産をどのように受けついでいるか。」で,音楽についてみるならば,次のような内容があげられよう。
a) 現在われわれがもっている音楽文化遺産には,どのような種類があるか。
b) それは,どのような個人的,社会的状態のもとに生れたか。
c) それは,どのように人々の生活のうちに利用されたか。
d) それは,どのようにして変化・発展したか。
e) 現在どのようにわれわれの生活に寄与しているか。
このような目標に対して,音楽科独自の立場から,その内容について考えてみるならば,次のような事がらが加えられよう。
b) 演奏形態は,どのような形をとって発展してきたか。
c) 楽器の機能は,どのような過程を経て進歩したか。
d) 一般芸術の中における音楽・音楽家の地位はどのようなものであったか。
2) 現在の音楽文化的社会施設
さらに,音楽文化が向上するためには,音楽文化施設が充実され,その機能が最大限に発揮されなければならない。そのためには,現在われわれが利用しているもの,あるいは利用しようと考えているものについてじゅうぶんな知識と理解をもたなければならない。このような考え方から,次にあげるような事がらについて調査・研究することが必要となってくる。
a) 音楽会にはどのようなものが多いか。
b) 人々は,どのような音楽を最も好むか。
c) 音楽施設には,どのようなものがあるか。
ニ) 映画製作会社 ホ) 演奏団体 へ) 作曲家団体
ト) 音楽研究団体 チ) 図書館 リ) 音楽関係出版物
ヌ) 音楽家養成機関 などの活動状況と利用状況
2 理科との関連
理科では,音楽の構成要素となるところの音に関するさまざまな問題が取り上げられる。それらは,直接間接に音楽学習と密接に関連づけられるだろう。
たとえば,中学校第3学年単元Ⅴ「通信に科学がどのように利用せられているか」では,次のような目標が掲げられている。
2) 蓄音器やトーキーが,音を再生する原理についての知識をうる。
3) ラジオ・電話のはたらく原理についての知識をうる。
4) 通信における音と電気との関係について理解する。
5) 音の性質をはっきりさせる実験を行う能力を高める。
6) ごく簡単なラジオ受信器について,これを組み立てたり,修理したり,はたらきを説明する技能を高める。
7) 電話やラジオ受信器をじょうずに取り扱う技能を高める。
8)——10) 省略。
音楽が,科学的要素を根底に置いているかぎりにおいては,このように,両科は無関係ではあり得ないし,それら要素に対する知識は,音楽理論・演奏・鑑賞・創作などの諸学習の基礎となって,学習活動を展開する上に豊かな資料を提供し,また展開途上におけるさまざまな問題の解決のかぎともなろう。
3 保健体育科との関連
音楽の要素であるリズムは,体育にとっても,また基礎的要素である。小学校低学年において音楽・体育ともに,リズムに対する身体的反応を重視している。このように,リズムを基礎として展開される音楽学習と,同様な過程を経る体育とは,当然深いつながりをもっている。
体育科のダンスはリズムを基調とし,それに身体的な動きによって美を表現し,創造活動を盛んにする。この美しさの中には,手足が描く線の美,フォオームによる均勢の美,一つの動きから他の動きに移るダイナミックの美,集団による構成の美などがあるが,これらは音楽の表現上の美についても言いうることである。実際にダンスは,音楽の助けを借りる場合が多く,また,音楽はダンスの協力によって,多くのダンス音楽を生んでいる。このように深い関連ある両者については,音楽をよく理解することによって,ダンスによる創造活動は活発になり,ダンスの活動の展開は,音楽に対する興味を増進する結果になるだろう。
2) スポーツと音楽
音楽学習における合唱・合奏などの活動は,個人の能力を最大限に発揮しながらも,全体の協力と調和とを保つことがたいせつである。このことはスポーツにおいてもおなじであって,チームワークのとれないグループでは,いかに個人の技能がすぐれても最良の効果を発揮することはできない。すなわち,両科とも個性の伸長と協調性の培養にとって最もよい場である。また,両者は学校生活・地域社会などにおいて,余暇善用のために利用される機会が最も多く,心の解放・健全娯楽などの共通点をもっている。したがって,この両科は互助性によって関連づけていくことがたいせつである。
3) 保健と音楽
音楽学習においては,多分に身体的な活動が要求される。楽器を演奏したり,歌ったりすることは,音楽学習の多くの部面を占めるのである。したがって,保健上の知識と理解は,音楽学習を順調に展開する上にたいせつなことである。たとえば,合奏で,ある楽器がどのような生徒に適しているかという選択は,生徒の音楽的能力の面ばかりでなく,身体的な諸事情からも考えねばならない。体質の虚弱な生徒に過重な負担のかかる楽器を与えないとか,呼吸器に欠陥のある生徒に吹奏楽器を与えることを避けるなどは,その例である。吹奏楽器を扱ったために,からだをそこなうということは,その指導法に欠陥があるための場合もあるが,事前にその生徒の体質をじゅうぶんに検討しなかった結果にあることも多い。また,歌唱指導において,変声という現象は,どのような時期にどのような原因からどのような過程を経て,どのような結果になるかということは,教師自身が知っていなければならないことでもあるし,生徒にも自覚させねばならない。また,生徒の中には,難聴者や発声の不自由な者もいる。このような生徒の多くは,耳鼻・咽喉(いんこう)科的失陥をもつ者であるから,教師は,その原因をつきとめて,治療を援助すべきである。さらに演奏や鑑賞などの活動の結果疲労を来たすまでの時間,その程度,回復の方法,回復までの時間などを考慮して,時間割の組み方,練習時間の割合などをくふうしなければならない。
3 国語科および外国語科との関連
声楽は必ず歌詞をもっているので,声楽に関係のある音楽学習では,国語科や外国語科と密接に関連する部面が特に多い。次に,それらの点について述べてみよう。
歌唱で,発声を正しく,発音を明確に歌うことが取り上げられている。このことは,国語科や外国語科の読むこと,話すことに直結し,基礎表現技能として重視せられる。歌曲を歌うにあたっては,正しい表現の裏づけとなるための詩の理解と鑑賞とがたいせつである。このような詩の理解や鑑賞の上に,自分の音楽的解釈が加えられて,はじめて身についた歌唱が成り立つのである。この条件が欠けると,よく見られるように,技術はすぐれていても音楽的につまらないという結果をひき起す。
2) 創作学習との関連
創作学習にあたって,詩に曲をつける場合,詩の内容を理解することはもちろん,詩としてのリズムの流れ・韻・抑揚などが生む美しい表現をつかむことがたいせつである。そしてさらに,ことばの正しいアクセント・フレーズなどに対する知識が,旋律を構成する上に実際に必要となってくる。アクセントに合わない旋律・フレーズの一致しない構成,詩のもつふんい気と音楽全体のニュアンスのくいちがいなどは,作品に音楽としての価値を失わせるものであるが,これらの基礎的な知識や理解は,いずれも国語科や外国語科で養われる。
3) その他の関連
音楽学習が進むにつれて,音楽理論や音楽史の研究などが必要になる。そうなると,生徒は,多くの参考書を自分で調べることが多くなるだろう。その場合に,ぜひ必要なのは,早く読み,かつ,書いてある事がらの要点をとらえることであるが,このような技能は,国語科や外国語科で養われるもので,音楽理論や音楽史の学習では,そのような技能が,大いに役だつのである。
4 図画工作科との関連
図画工作科における「日常生活を明るく豊かに営む能力・態度・習慣を養い,好ましい個人として,また好ましい社会人として,平和的文化的生活を営む資質を伸ばす」という目標は,音楽科の目標と一致するところであって,その指導目標の,美に対する感覚を鋭敏にし,表現技能を養うことによって自己表現力を高め,創造する力を養い,芸術文化財に対する鑑賞力を高めるなどの事がらは,両科に共通しているところである。このように,両科が,その目標に多くの共通点をもっていることは,両科ともに美を対照としているのであって,その現れ方が,一方では音という素材によって時間的に扱われ,他方では物によって空間的に扱われているだけである。
リズム・線・色彩・明暗・統一・調和・構成などは,両科において考察される美の対象である。また,図画・工作科において重視されている用も,音楽においても当然考えられることである。ただ図画工作では,用が生活に直接につながる場合と,間接につながる場合とがあるが,音楽では,間接の用が主体になる点が異なるだけである。
また,初歩の段階において,音楽の理解を具体的にするために,絵画や建築から引例する場合が多い。たとえば,形式の説明においては建築の様式と関連させ,和声の構成や楽器の組合せを色彩と関連させるなどである。このようなことは,両科が要素的に深い関連をもっているからである。
2) 芸術文化史の上からの関連
音楽と図画工作が密接な関係をもっていることは,芸術文化史の上から見て,時代的にはいくぶんのずれはあるとしても,相互にいかに多くの共通点をもって発展してきたかを知ることができる。それは,同一社会・同一時代の基盤の上に立つ共通の思想・感情が,両者の上に形を変えて表われてきたにすぎないからである。したがって,音楽をより深く知るためには,音楽を客観的立場に立ってながめ,他芸術と関連づけていくことが必要である。たとえば,ロマン主義音楽の傾向を知るためには,フランス革命を契機として全ヨーロッパに起ったロマン主義運動,それが絵画では,強烈な色彩と燃えるような情熱をもって,フランスではグロオ・ジェリーコ・ドロクロアなどの作品に現れ,音楽では,ドイツで重厚な和声的手法と力強い構成法によって,情熱的なベートーベンの作品に現れている。また,イギリスのコンスタブル・ターナーやフランスのコロー・ミレーなどの新しい感覚によって,自然を描く自然主義は,音楽でもシューベルトやシューマンの歌曲やメスデルスゾーンの管弦楽曲などの中にもうかがえる。このような現象は,彫刻や建築の上にも見られることである。わが国の芸術の発達についても同じことがいえる。たとえば,江戸時代に庶民芸術の盛んになったときには,造型芸術にも,音楽・その他の芸術の上にも同じ傾向が見られるのである。このような音楽の見方は,音楽経験の場を,さらに広め,深める結果となろう。
3) その他,音楽学習活動との提携による活動を展開させる事がら。
上述のほかに,図画工作科との関連のもとに音楽学習活動を展開させる事がらには,次のようなものがあげられよう。
a) 音楽鑑賞によって受けた印象を絵画によって表現してみる。
このような活動の価値は,鑑賞した楽曲の印象を強め,言語によって表現できない感動を線とか色彩によって表わすることにより,感受性を強め,創造力を高める。
b) 音楽会のポスターをかく。
校内,あるいは地域社会で催される音楽会を周知させるために,最も効果的で美しいポスターをかく。このような活動の意義は,音楽会の内容を端的に,しかも明確に表示する所にあって,その結果は多くの人々に,音楽に対する関心を高める。
c) プログラムの作成。
音楽会のプログラムを編修するにあたって,図案の文字の形,大きさ,全体の形式などによって,事前に聴衆に対して快い印象を与えるようにくふうする。
d) 音楽室の整備をする。
音楽室の整備のために,備品教具の配置や,それらのデザインをくふうして,壁の利用などを適当に行って,気持のよい環境内で学習ができるように考える。
e) 楽器の簡単な修理をする。
ピアノ・オルガン,その他の楽器の簡単な修理をする。これは,楽器の構造や性能などの科学的知識に基いて行うのであって,工作技能を習得する上にもよい経験となる。
f) 簡単な楽器を作ることを試みる。
これは,職業教育とも関連があるが,弦楽器・木菅楽器などのように,木工によってできる楽器を作ってみる。
g) 協力による表現活動。
図画工作と音楽その他が協力して,総合的な表現活動をなす場合,たとえば,音楽劇のようなものでは,それぞれの分野を分担して,演出効果を発揮する。
第2節 音楽科と学校の諸活動との関連
生徒の学校生活におけるさまざまな活動に対して,音楽と関連性をもつものには,次の二種類が考えられよう。
この中には,日々の学校生活内で計画されるものと,特に設けられた機会に計画されるものとの二つがある。
a) 放送の聴取。
実際に音楽学習時の中で,音楽放送を聴取することができれば,きわめて効果がある。特に良い放送があれば,全校生徒なり,ある学年の生徒全体を集めて聞かせることもよいだろう。
このように,生徒に放送を聞かせる態勢をとることもよいが,さらに,朝の始業前とか,休憩時間に,よい放送を拡声器によって校庭や校舎内に流すこともよい効果があるだろう。また,夜間に放送されるよい音楽を,家庭で聴取させるために,音楽放送の番組や鑑賞の要点や楽曲に対する予備知識を掲示することなども効果がある。
b) 校内放送の活用。
校内放送の中に音楽を織り込むことも,また有効である。始業前・中休み・昼食時間など適当な時に,レコードによって放送することは容易である。このような放送のためのプログラムは,週間ごとあるいは,月ごとに,事前に計画するのがよい。また,楽曲について,適当な機会に生徒たちの意見を求め,特に聞きたいと思うものや,聞いたものの中で最も印象の深かったものなどの調査をして,その希望や感想を,次の編成計画の中に生かすように考えることもよいだろう。場合によっては,レコードを使わず,生徒の独唱・合唱・独奏・合奏などを取り上げることも演奏活動によい刺激となるだろう。
c) 演奏の案内
地域社会で催される音楽会の案内を,校舎の掲示場に掲げ,聴衆のための便宜をはかる。このような場合,一応音楽会の内容を検討し,音楽学習のためにプラスになるものを選択することがたいせつである。
2) 音楽を中心とし,特に機会を設けて計画する事がらには,次のようなものがあるだろう
a) 校内演奏会
ある学級・あるいは学年を単位としたり,または有志の個人やグループによって,独唱・独奏・合唱・合奏などをする。この場合,コンクール形式によって生徒の演奏意欲を高めることもよいだろう。また,このような機会に合わせて,音楽を中心にした自由研究の個人発表やグループ発表を行うのもよい方法だろう。
b) 特別演奏会
外部から専門家を招いて,生徒やP.T.A.の会員を対照とする演奏会を開く。また,専門家と生徒との演奏を組み合わせることもよいだろうし,他校の参加を得て,合同で行うこともよいだうう。このような企画は,生徒の音楽に対する関心を高めると同時に,P.T.A.の会員を啓蒙する意味においても有意義である。音楽が家庭生活にまで浸透するのも,このような機会が動機となる場合が多い。
c) 音楽講座
教師が中心になったり,外部から専門家を招いて,音楽学習を補強するために,長期にわたる講座を開く。もちろん,この場合には,その学校の生徒のほかに他校の教師や生徒,地域社会の中で音楽に対して関心をもつ人々を加えることもよいだろう。このような講座の内容としては,音楽鑑賞を中心とした音楽史とか,演奏を加味した音楽理論とか,歌唱や楽器の演奏技術の指導などが考えられよう。
d) レコード コンサート
音楽をレコードによって系統的に聞くとか,余暇の善用として定期的にレコード コンサートを開くこともよいだろう。このような催しは,とかく主催者の一方的な趣味に陥る傾向が多いから,対象者の声を多く取り入れて企画することがたいせつである。
e) 演劇研究との協力
学級・学年,あるいはグループによる演劇研究会に,音楽を積極的に参加させ,生徒の選定による楽曲によって音楽効果をつける。この場合,生徒自身の手になる楽曲を使用するのもよいだろうし,また,生徒の合奏を利用することもよいだろう。このような企画には,はじめから連絡をとり,細部にわたっての打合せを行う。こうした活動には,生徒は喜んで参加するものであるから,創作活動や演奏活動を活発に展開させるのによい機会である。
f) 音楽や音楽施設の見学
特に優秀な演奏会は,全校生徒,あるいは学年を単位にしたり,また,有志だけをつのるようにして見学することはよい。このような場合,前もって曲目や演奏者について解説を与えておくといっそう有効である。
また,音楽に関するいろいろな施設,たとえば放送局とか,レコードや楽器などの製作所などを見学するのもよい。
学校の行事や作業に参加して,音楽効果により,その行事や作業がよい結果をうるようにする。この場合は,主として行事参加者の心の融和と解放によって,行事にふさわしいなごやかなふんい気を作ったり,心の緊張を解いて,仕事が順調に進むことをはかることや,疲労を少なくして作業を能率的にすることなどが考えられる。
これらの活動について例をあげるならば,次のようなものがあろう。
始業前の朝会に音楽を利用することは効果的である。たとえば,朝会の合図は決められた主題による音楽を校内放送することによって知らせ,集合したら,全生徒によって明るい歌曲を合唱する。また,朝会の場所からそれぞれの教室にはいる場合には,マーチによって行う。このような音楽利用の効果は,生徒の心をなごやかにさせ,一日の学校生活を明るく,愉快に開始させることができる。
2) 運動会・競技会
運動会・競技会に利用される音楽は,ふんい気を作るためのものと,ダンスや行進などに使われるものが考えられる。
ふんい気を作るために使用される楽曲は,開始前,進行中の前半・後半,終了時などの過程を考慮して,前もって選曲されるとよい。なぜならば,参加者の精神的・身的体な活動には波があるからである。
3) 展覧会・バザー
生徒の作品展覧会場に,よい音楽を準備し,静かな環境で鑑賞するためや,また,バザーなどの会場に明るく,楽しいふんい気を作るために利用する。
4) 研究集会・研究発表会
このような集会においては,とかく参加者の心が固くなりがちなものである。皆の気持をなごやかにし,溶け合わすためには,開始前によい音楽を聞くとか,合唱するとかの方法を取ると効果がある。また,会合が長い場合に,その途中で適当に音楽を利用することによって,疲労をいやし,緊張を解いて気分を転換することができる。
5) 儀式
学校におけるさまざまな儀式,たとえば入学式・修了式・卒業式などの音楽の利用効果は大きい。それは,式のふんい気を作り,参列者の心を融和させ,式の進行を助けるからである。
6) P.T.A.の会合
P.T.A.の総会などに,文化的な講演などを交え,生徒の独唱・独奏・合唱・合奏などを加えることは,会の進行をなごやかにする。また,このような企画は,父母の音楽に対する関心を高め,生徒の学校における音楽学習に対して理解を深める。前述のさまざまな会合におけると同様に,参加者全員が合唱することも,互の心の融和をはかる上に効果がある。
7) いろいろな作業
作業を,疲労を少なく能率的にするためには,リズミカルな音楽を聞きながら,あるいは歌いながらする。この効果は,多くの労働歌があることによって実証される。また,作業の間を利用して,歌ったり聞いたりすることも,疲労を早急にいやす効果がある。