第1節 教育課程における音楽科の地位
教育は,平和的民主社会の形成者として,真理と正義を愛する心身ともに健康な人格者の養成を目的としている。この目的は,小・中・高等学校等,それぞれの児童・生徒の知的,身体的,社会的,情緒的発達の程度に応じて,具体的には多少異なるが,究極の目ざす方向は同じである。
このような教育目的,言い換えると,人類が共通にもつ人間としての資質を円満に発達させるために,各学校では,児童・生徒の発達に合うような教育目標がたてられる。それらの目標は,中学校および高等学校では,程度の相違はあっても,だいたい,次のように要約することができる。
1 社会的,公民的資質の向上
2 職業的能力の発達
3 個人的能力の発達
次に,これらと音楽との関連を明らかにし,教育における音楽の任務について考えてみたい。
(Ⅰ) 社会的公民的資質の向上と音楽
社会的,公民的資質の向上とは,言い換えると,生徒が,大なり小なり民主的社会のよい形成者になるように,他人との関連において,個人の生活態度や,能力を発達させることである。この目標を果すためには,民主的社会・公民生活のいろいろな経験を重ねなければならない。その場合に音楽は,さまざまな観点から,この目標の達成に貢献するだろう。とりわけ情緒的な面での働きは,きわめて重要である。次に,それらのおもな点について述べてみよう。
1 音楽は自由の精神を養うことに協力する。
音楽は,すべて,聞くにしても演奏するにしても,その人の審美的な良心,つまり,音楽的な美しさを追求する純粋,かつ,自由な心がもとになる。もしも,この場合に,審美的な良心が,非社会的,非公民的な目標のために左右せられるならば,芸術は成り立たないだろう。それゆえ,生徒たちが,心から音楽を愛し,音楽を経験するならば,自由の精神はおのずから体得せられることになる。
2 音楽は自他の人格に対する尊敬心の養成を助ける。
生徒には,知能の高いものも低いものもある。しかし,知能の高低のみによっては,人間としての価値はきまらない。それゆえ,学校では,知能と同じく,他の能力や素質も重んじなければならない。特に,音楽・美術・文学などの芸術的な才能をもつ生徒に対しては,じゅうぶんな敬意を払うことがたいせつである。いまかりに,音楽ですばらしい才能を発揮する生徒があって,その生徒に対して最大の尊敬が払われ,その才能を発揮する機会が与えられるならば,その生徒は,自分の能力に自信をもち,卑屈になることなく,自他の尊敬,つまり,人格の尊重ということを身をもって学ぶことになる。
3 音楽経験は責任を果すことを教える。
斉(せい)唱・合唱 合奏などでは,各人が受持を完全に遂行しなければならない。
もしも,ひとりでもふじゅぶんな演奏をする生徒があれば,その演奏は不完全なものとなる。それゆえ,演奏の経験は,グループが協力して,民主生活でたいせつな,責任を果すことを教えるのである。
4 音楽は心の融和ができ,協力心を養う。
各人が,心をひとつにして協力するところに,よい演奏が生れる。こうしてできたよい演奏は,各人の融和をさらに密にし,協力心をいっそう高める。その経験は,民主的生活できらわれる利己的,排他的な考えや行動を避け,協調してものごとを計画したり,遂行したりする基礎になる。
5 音楽は生徒の民主的生活経験を有効に進める。
生徒は,民主的生活の意味を理解するばかりでなく,それについて実際の経験をもたねばならない。たとえば,集会や行事・レクリエーションなどを計画したり実施することに参画し,学年や人格としての完成の度合に応じて,できるだけの責任をとることが許され,また,奨励されるのである。
このような場合に,生徒が音楽を愛し,豊かな音楽経験をもっていたならば,それらの民主的生活は,きわめて円滑に,かつ,楽しく進めることができるであろう。たとえば,一同で合唱してから計画にとりかかるとすれば,それからの話合いは,なごやかな気持で進められる。また,生徒が,いろいろな音楽を知っておれば,計画中に,音楽が有効に取り入れられて,計画の内容は,多彩で豊かなものとなる。
6 音楽は,生徒の住む地域社会と,それより大きな舞台との関係,ならびに,地域社会における生徒の地位や任務を理解するのに役だつ。
音楽は,時代精神や風俗・習慣などをはっきり反映していて,しかも,言語・風俗・習慣を異にする人々の心にも直接訴える。それゆえ,音楽を利用すると,それぞれの土地の風俗・習慣などの特徴がとらえやすい。それに,それらの音楽の交流の状況を調べることによって,相互の地域の関係も明らかにされるだろう。
7 音楽は,生徒が,他人に喜びを与えることの価値と責任とを悟る手助けとなり,生徒に,その仲間たちの希望と要求とを考える習慣をつけるに役だつ。
8 グループによって演奏され,あるいは,経験される音楽は,そのグループ全員に,余暇を健全な方法で費す方法を教える。音楽はまた,グループの緊張を緩和するのにつごうのよい手段を提供する。
(Ⅱ) 職業的能力の発達と音楽
職業課程は,一般に,農業・工業・商業・水産・家庭の五つに分けられている。しかし,音楽が盛んになり,その職場も広くなった現在では,将来,音楽に関する職業を選択する生徒も出てくるだろう。そのような生徒にとっては,音楽は特に重要なものとなる。それゆえ,中学校では,音楽的天分のある生徒は,特にその天分を伸ばしてやり,高等学校では,必要に応じて,音楽の専門教育を施す用意も必要になる。
また,音楽以外のどのような職業を選ぶにしても,一般的教養を高める意味で,音楽はきわめて高い価値をもっている。ある特定の職業につくとすれば,その職業に関するじゅうぶんな知識と,すぐれた技能とを必要とすることはいうまでもないが,同時にまた,好ましい社会人としての教養ももたねばならない。つまり,個人が,好ましい社会人として完成されることが望まれるのである。このことは,前項の「社会的公民的資質の発達と音楽」および,次項の個人的能力の発達と音楽」とで明らかになるだろう。
(Ⅲ) 個人的能力の発達と音楽
中学校および高等学校の教育目標の他の一つは,個人的な能力と,特別な興味とを,最大限度に発達させ,かつ,各個人が,均衡のとれた人間として成長するように助けてやることである。
個人としての発達という目標は,さらに,いろいろな小目標や領域に分けることができるであろう。しかし,ここでは,特に音楽と関係の深い,次のような各領域の発達に分けて,それらと音楽との関係や,音楽の立場を明らかにしてみたい。
2) 文化財の理解と鑑賞。
3) 性格の発達。
4) 身体および精神の健康と情緒の安定。
5) レクリエーションについての能力と習憤の発達。
6) 幸福な家庭生活の営み。
知的資質を高める上に,最もたいせつなことは,生徒の知的興味を刺激することである。生徒が,ある事がらに対して興味をもち,自分たちの学習や作業を計画したり,目標づけることを,自分でやるようになれば,それは,やがて,知能の発達を,きわめて好ましく,強力に展開していくことになる,このような場合に音楽は,ほとんどあらゆる知能の発達に,有効に協力することができる。たとえば,世界の各民族の風俗習慣は,各国の民謡の研究によって,いっそうはっきり知ることができるだろう。いうまでもなく,各国に,その国のことばがあるように,その地理や社会や政治の状態は,おのずから,その国の民謡や踊りにも影響して,独特なリズムや旋律を生み出している。それゆえわたくしたちは,それらの音楽を注意して聞き,それぞれの国の風俗習慣について読書したり絵を見たりすれば,風俗習慣はいっそうはっきりつかめるのである。その上音楽は,言語のように具体的な内容を述べることはないが,言語では表すことのできない感情までも,総括的に強くわたくしたちに伝えるのである。したがって,民謡の研究は,このような場合に,大きな力を発揮する。
また,音楽の素材となっている音やリズム,あるいは,和声・対位法などは,いずれも,数学や理科に理論上の基礎が置かれている。詩歌は,究極において,音楽にまで発展する傾向をもっている。このように考えると,音楽は,わたくしたちの,ほとんどあらゆる知的活動に関係し,知能の発達に協力することがわかるのである。
2 文化財の理解と鑑賞
わたくしたちは,今日,精神的な文化財として,多くの美しい音楽を受けついでいる。これは,とりもなおさず,わたくしたちの個人および社会生活において,美の形成の必要であることの,りっぱな証明になる。それは,食物が,身体に必要であると同じく,音楽を情緒に必要とする証拠である。
音楽は,人生を楽しいものとし,生活を豊かにする。そして,音楽は,美しい形で,自己表現をする満足を与えるとともに,その経験をとおして発達する機会も与えるのである。それゆえ,価値ある文化財としての音楽の理解鑑賞は,教育においては,きわめて高く評価されなければならない。
3 性格の発達
人間の性格は,他人を含む環境におけるかれの行動に現れる。他人の権利と幸福とを,自分のそれと同様に尊敬するときに,その性格はよいとされる。このようなよい性格の発達を助長するのは,一つの教科でするのではなく,あらゆる教科,あらゆる時や場所で行われなければならないが,これは,説明によるよりも,自分自身の幸福より,もっと大きな目標をもって,他人と民主的に協力する経験が,より有効に性格教育を進めることができるのである。
このような意味における性格教育に,音楽は,どのような価値と使命とをもつものであろうか。元来,音楽は,美の世界を共通の目標として追求するのであるが,そこには,各人の心からの協調がある。たとえば,演奏について考えてみるに,演奏は,演奏者と聞く人とによってなりたつ。すなわち演奏者は,作曲者の意図をくみとり,それに創意を加えて,自分のものとして演奏する。そして,その演奏をとおして,自分の感情を聴衆に伝えるのである。多かれ少なかれ,演奏者と聴衆とは,その楽しみを分け合い,音楽ということばによって,お互の感惰を語り合う。つまり,そこでは,演奏者と聴衆とが,音楽によって完全に結ばれるのである。
協調のもとは,各人の心の融和であるが,それは,音楽のハーモニーによって育てられる。合唱や合奏の楽しい体験,それは,とりもなおさず,社会生活でたいせつな協調への導入となり,性格の発達を助成することになるだろう。軽快なリズムに乗って労働をしたり,運動をしたり,あるいは,ともに歌い,ともに踊って,楽しいひとときを過ごすのも,すべて,各人の協調心につちかうゆえんである。このようにして,音楽は,各人のよい性格の発達に,なくてはならない協調という,価値ある経験を積むよい機会を提供することになる。
4 身体および精神の健康と情緒の安定
個人の身体ならびに精神の健康と,情緒の安定をはかることも,また,個人的能力の発達には欠くことのできない項目である。これを達成するには,いろいろな方法があろう。しかし,どのような方法をとるにしても,音楽は,それに参加して,大きな効果をあげる助けとなる。その理由は次のとおりである。
音楽は,直接,強くわたくしたちの情緒に作用する。音楽を聞いて,意識的であると,無意識的であるとを問わず,私たちを楽しませたり,緊張をゆるめたり,気持の表現を助けたりする。音楽を聞いて,ときに消化がよくなったり,あるいは,飢えやかわきを覚えたり,姿勢にまで影響を及ぼすのはこのためである。このように,音楽が,神経の統御に作用して,情緒の状態を左右することは,重視すべきであって,ここに,身体および精神の健康と情緒の安定に音楽が強く作用する根本的な理由がある。
情緒が,野生のままに現れることは,きわめて危険であるが,音楽的な経験は,その情緒を統御し,訓練する助けになる。また,芸術の形として情緒は清められ,粗野な情緒の爆発のいかなる傾向からも,完全に守られる。
音楽のこのような特性,つまり,音楽が,わたくしたちを楽しくさせたり,情緒を統御したりする力をもっていることは,音楽が治療に利用せられるゆえんでもある。
また,音楽が,身体や筋肉の両面に及ぼす影響は,特に体育で,その価値が高く評価されている。したがって,体育では,音楽が盛んに用いられるのである。
このように音楽は,わたくしたちにとって,有効な情緒的経験,楽しい経験,好ましい経験となるものであるから,文字どおりに,あらゆる身体的組織の強壮剤であるとともに,精神の健康,情緒の安定にきわめて有効に作用するのである。
5 レクリエーションについての能力と習慣の発達
余暇を有効に楽しく利用する能力を養い,それを発達させることも,個人的な能力の発達をはかり,特別な興味を増進することになる。
レクリエーションは,時間の空費ではない。気分の転換をはかり,疲労を回復するとともに,次の活動に備える精力を養うために,なくてはならぬものである。
このような意味のレクリエーションにおいて,音楽は,どのような働きをし,また,どのような地位を占めるのであろうか。
楽しく歌ったり,ひいたりすれば,精神的な倦怠(けんたい)は,一変して新しい活力となる。また,レクリエーションとしてのダンスにも,音楽は,なくてはならぬものであるし,あらゆるパーティーにも音楽は付きものである。そのうえ,よい音楽を歌ったり,ひいたり,聞いたりする習憤をつけることは,よい趣味を養うことになり,レクリエーションそのものの教育にもなるのである。
このように考えると,音楽は,レクリエーションにおいては,きわめて重要な地位を占め,大きな価値をもっていることが,容易にわかるであろう。
6 幸福な家庭生活の営み
わたくしたちにとって家庭生活は,社会生活の第一歩であり,幸福な家庭生活は,やがて好ましい社会生活へと発展する。家庭生活を幸福にするためには,生徒は,いろいろな経験をしなければならない。しかし,その中に,音楽が取り入れられるならば,その経験は,いっそう楽しく豊かなものとなるだろう。食後に,一家そろって合唱や合奏をしたり,ともに音楽を聞く機会が与えられ,また,そのような機会を進んでつくることができるならば,家庭生活の楽しさは,いちだんと増すであろう。
わが国では,このようなことは,あまり行われていないが,幸福な家庭生活を営む上には,大いに奨励されなければならない。
(Ⅳ) 道徳教育ならびに国際理解と音楽
Ⅰ 道徳教育と音楽
道徳的態度は,徳目の観念的理解や,徳目の盲目的実行によっては育成されない。批判力と実践力に富んだ自主的・自律的人間の形成によって,はじめてこれが期待されるのである。
このような人間形成のために,音楽の貢献する分野は少なくない。すでに述べたように,音楽は,社会的公民的資質の向上に大いに役だつ。すなわち,次のような諸点で,特にその力を発揮する。
3) 責任を果すことの実践。 4) 協力心の養成。
5) 民主的生活経験の発展。 6) 余暇の善用。
2) 身体および精神の健康と情緒の安定。
3) レクリエーショシについての能力と習慣の発達。
4) 幸福な家庭生活の営み。
Ⅱ 国際理解と音楽
音楽は,国際理解を深める上に効果が多い。なぜかというに,すでに述べたように,音楽は,時代精神や風俗・習慣などをはっきり反映する。しかも,それらは,言語・風俗・習慣を異にする人々にも直接訴えるのである。それゆえ,各国の音楽を学習することによって,言語・風俗・習慣などを異にする諸民族の間に,いっそうよい理解を得ることができる。
音楽学習の当面の目標として,国際理解が掲げられることは,必ずしも常に行われることはないであろう。しかし,中等学校のように,各国のすぐれた音楽文化財を主要教材とする場合には,その学習を高度に進めるために,その音楽の背景となる民族生活や文化の交流などについて,おのずから触れることになる。すなわち,声楽・器楽・鑑賞・創作・音楽史・理論などで,国際理解を推進する上に役だつ事がらが,数多く取り扱われるのである。これがなくては,各国の音楽文化財の真の学習は成立しない。それゆえ,教師は,このことをよく認識して,教育課程の構成や学習指導の実践において,国際理解を常に念頭に置き,国際理解を深めるのに役だつ学習とすることがたいせつである。
以上述べたことによって,教育において,音楽の果すべき任務の重大さが,ほぼ了解されるであろう。
すなわち,全教育計画をとおして,音楽に正しく接触し,音楽を正しく経験する機会が与えられないならば,教育の文化的目的は,果し得ないことが明らかになる。
したがって,音楽教育では,本章の第2節以下で述べるような,態度・技能・鑑賞・理解その他の,広範かつ深い教育目標が掲げられるのである。
第2節 音楽教育の一般目標
これまでに述べたような,教育目標と音楽との関係に照らして,中学校および高等学校における音楽教育の目標は,次のように約言することができる。
この目標を達成するために,具体的には,次のような事がらが,一般目標としてあげられる。
1 民主主義社会において,より能率的な生活を営みうる準備となるような音楽経験を得る。
2 音楽経験(歌唱・楽器の演奏・鑑賞・創作)をとおして,いろいろな音楽を知り,いっそう音楽を愛好するようになる。
3 音楽の表現技能を養い,音楽による自己表現力を高める。
4 音楽的な創造力を豊かにし,創作力を養う。
5 よい音楽を鑑賞し,音楽鑑賞の好ましい態度を養う。
6 教養ある社会人としてもつべき,音楽に関する知識を得る。
7 あらゆる種類の音楽活動に関する能力と興味とが,各人の能力に応じて極限にまで発達する機会を得る。
8 音楽に対する,高い水準の趣味および技能を得て,それを個人生活・家庭生活・地域社会生活に利用し,個人およびグループの日常生活を楽しく豊かにするとともに,余暇の利用を有効適切にする。
9 各国の音楽を学習することによって,言語・風俗・習慣などを異にする諸民族の間に,いっそうよい理解を得る。
第3節 中学校の音楽教育目標
Ⅰ 表 現
1 歌 唱
a) 変声前・変声期・変声後の声を正しく使って歌う技能。
b) 美しく明確な発音で歌う技能。
c) 各人の能力に応じた声域の拡張。
2) リズム・拍子・音程・和声などの音楽的な要素に対する,正しく美しい歌唱技能を高め,また,形式や詩の内容を理解して歌うことによって,音楽的な表現に習熟する。
3) 視唱力を高め,楽譜を見て音楽を感じ取る力を養う。
4) 聴唱力を高める。
5) 斉唱・輪唱・合唱(同声および混声)などを盛んにして,その楽しさを味わい,歌唱への興味を増進するとともに,それらの歌唱技能を養い,歌唱による自己表現力を高める。
6) 全生徒に,音楽的な刺激や霊感を与える音楽活動としての,グループ合唱や集団合唱・学校合唱団の発達をはかる。
7) 唱歌や平易な芸術的歌曲を学習し,あらゆる機会に,それらを利用することによって,いっそう歌唱の楽しみを増し,日常生活を豊かなものとするとともに,余暇を楽しく過ごす。
2) けん盤楽器演奏の基礎技術を習得して,楽器による基本的な音楽表現能力を養う。
3) 各種楽器の簡単な編成による合奏や吹奏楽の合奏をして,合奏の技能を養うとともに,合奏の楽しさを味わう。
4) 簡単な楽曲を演奏して,いろいろな音楽を知り,器楽に対する興味を高めるとともに,楽器演奏への自発活動を活発にする。
5) あらゆる機会に楽器を演奏することによって,生活を楽しく豊かにするとともに,余暇を楽しく過ごす。
6) 合奏のグループが,学校や地域社会で公開演奏または,演奏行進を行うことによって,演奏者および聴衆に,音楽的文化経験を与える。
2) 音楽を味わいながら聞く習慣をつける。
3) 人声の種類(ソプラノ・アルト・テナー・ベース)の特徴を聞き分けそれらの組合せの美しさを味わう。
4) 楽器の音色を聞き分け,それらの組合せの美しさを味わう。
5) 声楽および器楽の演奏形態の特徴をとらえ,それらの音楽を鑑賞する。
6) 音楽の形式や様式(古典・ロマン・近代・現代)の特徴をとらえ,それらの音楽を鑑賞する。
7) ラジオや演奏会でよく聞く,通俗的な名曲を鑑賞する。
8) わが国および外国の民謡を鑑賞する。
2) 唱歌形式による旋律を作る。
3) 伴奏を作る。
4) 詩に旋律をつける。
5) 合奏のための編曲をくふうする。
2) 音楽用語ならびに,諸記号の用い方を理解する。
3) 音程・音階を理解する。
4) 主要三和音・属七の連結,終止形,簡単な転調の方法を理解する。
5) 旋律の重ね方(対位法)について初歩知識を得る。
6) 基本的な形式(唱歌形式・複合三部形式・ロンド形式・ソナタ形式)を理解する。
7) オーケストラや吹奏楽に用いるおもな楽器の構造・性能・音色・用途などを理解する。
8) 人声の種類,特徴を理解する。
9) 演奏の形態と,その音楽の構成・様式を理解する。
10) 各時代の著名な音楽家の一生と,その作品の特徴を理解する。
11) 各国の民謡や民族音楽と,民族楽器ならびに,社会生活との関連を理解する。
12) わが国の音楽と,著名な作曲家について知識を得る。
ここにあげた,表現・鑑賞・創作・理解などは,互に分離したものでもなく,また,学習の順序によるものでもない。互に密接に関連し合いながら,学習されなければならないものである。
この目標には,指導の内容や学習活動が含まれていて,そのようなものを便宜上の目標とするのであるが,その背後には,一般目標に掲げた諸目標が,最終目標となっていることを忘れてはならない。
第4節 高育等学校の音楽教育目標
Ⅰ 表 現
1 歌 唱
a) 変声後の声を正しく使って歌う技能とその発達。
b) 美しく明確な発音で歌う技能。
c) 各人の能力に応じた声域の拡張。
2) 独唱・斉唱・輪唱・重唱・合唱(同声及び混声)などを盛んにして,その楽しさを味わい,声楽への興味を増進して,声楽に対する自発活動を活発にするとともに,それらの歌唱技能を養い,歌唱による自己表現力を高める。
3) 平易な各種の声楽曲(リード・アリア,歌劇・オラトリオなどの中の重唱や合唱その他)に習熟して,生徒のレパートリー(習得している曲目の範囲)を豊富にし,日常生活を楽しく豊かなものにするとともに,余暇の利用を有効適切にする。
4) グループや学校の合唱団を組織し,また,集団合唱を盛んにして,学や地域社会の音楽的文化生活の向上に貢献する。
2) 各種楽器の独奏・重奏・合奏(オーケストラを含む)などを盛んにして,その楽しさを味わい,器楽への興味を増進して,楽器の演奏に対する自発活動を活発にするとともに,それらの演奏技能を養い,自己表現力を高める。
3) 平易な各種の器楽曲に習熟して,生徒のレパートリーを豊富にし,楽器をひくことによって,日常生活を楽しく豊かにするとともに,余暇を楽しく有効に過ごす。
4) グループや学校の合奏団を組織し,学校や地域社会に公開演奏を行うことによって,演奏者および聴衆の音楽的文化生活の向上に貢献する。
2) 各種の声楽曲の形式・構成・様式・演奏形態などの特徴をとらえて,それらを鑑賞する。
3) 各国・各時代の代表的な音楽を鑑賞する。
4) 演奏における個人的な解釈の特徴をとらえて,音楽を鑑賞する。
5) 音楽界のできごとに関心をもち,それらに対する興味を高める。
2) 唱歌形式・複合三部形式による旋律をつくり,それに和声づけをする。
3) 詩に作曲をする。
4) 簡単な器楽曲をつくる。
5) 実際的な初歩の対位法を加味して,合唱曲や合奏曲をつくる。
6) 編曲をする。
2) わが国および西洋音楽の発達を理解する。
3) 楽器ならびに演奏の発達を理解する。
4) 楽器ならびに演奏の発達と,音楽の発達との関係を理解する。
5) 音楽の発達と音楽理論の発達との関係を理解する。