言語の研究には,単語や文に用いるべき発音がはっきり示されて,音についての疑問が全然起らないように書き表わされるならば,非常に便利である。しかし英語のつづりははなはだしく不規則である。英語では同じ文字がしばしば数個の異なる音を示すことがある。たとえば,hat,hate,hall,harm,などのaはそれぞれまったく別個の音に発音される。また,同じ音がいろいろな文字で示されることもある。たとえばbeeの母音はbeanではeaで,peopleではeoで,pieceではieで,receiveではeiで,beではeで,machineではiで示される。発音記号とは,単語間の区別を表わす音,すなわちフォーニーム(注1)の一つ一つに対して,常に同一の記号を用いるように組みたてたアルファベット式の体系をいうのである。発音記号を用いることによって,伝統的なつづり字にたよって読みちがいをすることが避けられる。単語や文を発音記号で書きなおしたならば,そのような読みちがいが避けられるばかりでなく,耳の記憶力を助けることもできる。なんとなれば,発音記号は伝統的なつづり字よりもいっそう明確に視覚に訴えるからである。
発音を転写する場合に,上のように,一定の原則によってフォーニームの中の特定の音を選ぶ代りに,フォーニームの中の二つ以上の変種に異なる記号を当てることもできる。たとえば,littleの中の二つのlは,英語を話す多くの人は区別するのであるが,それは,[l]とで書きわけることができる。前者は母音の前に用いられ,後者は子音の前または語尾に用いられる。この種の発音転写,すなわち一フォーニームに二つ以上の記号を用いる種類の発音転写を「精密表記」と呼ぶ。
簡略表記にも精密表記にも,それぞれ簡略,精密の程度にいろいろある。それで簡略表記は一つの国語に用いられるフォーニームと同数の文字を用いてもよい。また文字の数は,一つの文字に長音符やアクセント符をつけたり,他の文字と組み合わせることによって,「一フォーニームに一記号」の原則に反することなく,一つの文字を二つの以上のフォーニームに兼用することができる。「一フォーニ一ムに一記号」の原則を破ることなく,最も少ない数の文字を用いる発音転写を「最簡略表記」また「簡易化(簡略)表記」と呼ぶ。
現在日本で最も広く用いられている発音記号は,Daniel Jones が制定し,同氏のAn English Pronouncing Dictionaryをはじめ,その他多くの著書に用いられているものである。同氏の発音転写は最簡略式のものではない。それはある見地から見て多少不便ないくつかの文字を除去することによっていっそう簡略化することができるものである。
簡略表記,最簡略表記または簡易化表記は,近年その重要なことが認められてきた。そして外国語としての英語の学習指導という一般的な目的のためには,精密表記よりも簡略表記をとるようになってきた。精密表記の長所は,方言などの精密な区別を表わすのに更利である点を除けば,概して疑わしいと考えられている。その理由は,英米人はフォーニームの中の異なる音を使いわけるが,そのような微細な区別を発音記号に書き表わすことは,一般的に見て,簡略表記を用いて教える場合よりよい結果をあげなかったからである。最近発行されたある発音転写文集の序文の中で,Daniel Jones は次のように述べている。
「この本のもう一つの推奨すべき点は,‘簡略表記’すなわち,特殊な発音記号を最少限度に用いる表記法を採用していることである。それはScott 著English Conversationに用いられているものと同じ表記法である。」(注2)
またBritish Council が発行している定期刊行物English Language Teachingが最簡略表記すなわち簡易化表記を用いていることも注意すべきことである。
最簡略表記すなわち簡易化表記においては,の[e]はともに[e]で表わし,はともにで表わされる。このをで表わすことは,英語を外国語として教えている教師の間に賛否の論争を起している。単に実際的な見地からすれば,とを一つにすることはじゅうぶんに弁護できるようである。それはと[ⅰ]を[ⅰ]で表わすことやと[e]を[e]で表わすことと同じように,一方に置き換えても,単語の区別を生じないし,また,英国人も米国人も,個人的にも方言的にも,一方を他方に置き換えることが多いからである。
フォーニームの本質とその用途をじゅうぶんに理解することは,きわめてたいせつであるから,次に Daniel Jones がある発音転写文集に寄せた序文から,ほとんどその全文を引用する。
「この本は英語の正しい発音が,最も簡単な発音表記,すなわちすべての単語を他の語を区別して表しうる最少限度の記号を用いる方法,によって正確に転写された最初のものであると信じる。このような表記法には,29の文字と一つの長音符と一つのアクセント符と(まれに)一つの音節符が用いられている。外国人で英語を学ぶ者に対しては,英語の個々の音の出し方を教えた後にその正しい用い方を教えるのに,この表記法はまったく適切なものである。
「ことばを転写するのに,正確で,しかもできるだけ簡単な発音表記を用いようとする考え方は決して新しいものではない。このように書くことの望ましいことは,実際的音声学の偉大な先駆者 Henry Sweet によってHandbook of Phonetics(1877)に指摘されている。そしてかれが,『話された英語の入門書』(Elementarbuch des Gesprochenen English)(1885初版)に用いた『簡略ローミック』(Broad Romic )は実際は最も簡易化された表記法の理想に非常に近いものであった。その表記法には,実はわずかに一つだけ余分の文字,すなわちが含まれていた。もしその代りにが用いられていたとすれば,──それは Sweet の表記法の他の部分とも一貫させることになったであろうが── Scott の表記法は,Sweet によって57年以前にその前例が示されていたことになったであろう。
「Sweet 以後のたいていの音声学の著者たちは,私もそのひとりであるが,最も簡単な表記法から多かれ少なかれ離れてしまった。しかしながら,長年にわたってもっとも複雑な発音表記を行った後に,私は今では,まったく最少限度以上に記号を増すことが,有益であると考えるのは夢であるとの結論に到達した。また最も簡単な表記はほとんどあらゆる目的に対して,最もすぐれていて,特に外国の学習者に話しことばを教えるには最もよいものであるとの結論に到達した。」(注3)
次にかかげる比較表を研究されたい。
比 較 表
精密表記
簡略表記
(説明)[l]とはともに[l]で表わし,その区別は音の前後の関係でわかる。で表わし,その区別は音の前後の関係でわかる。のは,それよりも狭いget]の[e]と異なる記号を用いる。High,howなどの重母音の初めの要素は低い前母音で,これを[a]で表わし,halfなどの低い後母音で長く発音されるの文字と区別する。humなどのアクセントのある母音にを用い,イギリスの標準発音で弱音節だけに用いられるあいまい音と区別する。
最簡略表記
2.いわゆるイギリス音とアメリ力音との比較
英語の方言すなわちいろいろな種類に関する問題について,次の一般的な観察は役だつであろう。
(2) 地域的なことばの差異は教育の程度が低いほど著しくなる。
(3) 地域的なことばの差異は教育の程度が,高いほどめだたなくなる。
(4) 教育の普及と声による通信の発達はすべての地域においてことばの社会的な種類を統一しようとする傾向を示している。
(5) イギリスでは,北部英語よりも,南部英語のほうに多くの共通な特性をもつ種類の英語を話す人々が,教育があると考えられている。
(6) アメリ力では,イギリスの南部英語よりも,北部英語のほうに多くの共通な特性をもつ種類の英語を話す人々が,最も普通と考えられるようである。
(7) イギリスおよびアメリ力もおいて,それぞれ,教育ある人々のことばと考えられる二種の英語は,著しい差異をほとんどもたない。それゆえ,すべての英語国ではどちらも同じように通用する。
イギリスの南部英語とアメリ力の一般米語との間の差異のおもなものをいくつか列挙すると次のようである。
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(1) [r]は母音の前にあるときだけ発音する。 | (1) つづり字にあるrはすべて発音される。南部英語のはすべて[r]が加味されるのでcolonelのlは反転音[r]と発音される。 |
(2) half,last,path,danceなどの母音はfatherなどの母音と同じ音である。 | (2) half,last,path,danceなどの母音はbadなどの母音と同じ音である。 |
(3) stop,hatなどの母音はtalkなどの母音を短くしたものと質が似ている。 | (3) stop,hotなどの母音はfatherなどの母音(初めの方)を短くしたものに似た音である。 |
(4) take,madeなどの母音,およびnote,roadなどの母音は,一般米語におけるよりも,重母音としての性質が著しい。 | (4) take,madeなどの母音,およびnote,roadなどの母音は南部英語におけるほど,重母音としての性質が著しくない。 |
(5) new,tune,due,whenの類の単語を,[j]を入れて発音する方が普通である。 | (5) new,tune,due,suitの類の単語を,[j]を入れないで発音するほうが普通である。 |
(6) what,which,whenなどの単語を,[h]を入れて発音する方が普通である。 | (6) what,which,whenなどの単語を,[h]を入れて発音することが比較的に多い。 |
(7) once,henceなどの単語の[n]の次に[t]をいれることがまれである。 | (7) once,henceなどの単語の[n]の次に[t]を入れることが多い。 |
(8) dictionary,cemetery,dormitoryなどの単語に第二アクセントをつけない。 | (8) dictionary,cemetery,dormitoryなどに第二アクセントをつける。 |
3.発音記号の種類を示す比較表
次の一覧表には,一つのフォーニームに対して一つの文字であろうと文字の組合せであろうと,とにかく一つの明確な記号を用いるという原理を守った発音記号の数種の例を示してある。しかし,ここに示したもの以外の発音記号は,注意に価しないという意味ではない。どの記号も,それを用いる用途に対してはなんらかの特別の長所をもっているであろう。たとえば,Webster式記号は,伝統的つづり字に符号をつけて発音を示すのであるが,それは発音とつづり字との関係を示すのに便利であろう。しかしその欠点の一つは,いわゆるスペリング・プロナンスィエーションを奨励する結果になり,話される英語の自然なよい発音をそこなうことである。かな書き記号でも,もし英語の発音を日本語ふうにしてしまうことのないように適当な注意をするならば,最初の入門期における記憶の手がかりとして使ってよいといえるであろう。発音を表わすには,どんな文字でも,はっきり説明しそれを一貫させれば,用いることができるということは常識である。
しかし,一般的に言えば,外国語学習の初期から国際音標文字を用いることが,音声学者や多くの進歩的な教師から賛成されている。すでに1921年 Harold E. Palmer は次のように述べている。
子音記号および母音記号の表は英文参照。(注6)
Table Ⅰ Consonant Symbols
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pip |
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bob |
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tut |
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did |
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kick |
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gog |
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fife |
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valve |
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hin |
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than |
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say |
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zoo |
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show |
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azure |
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how |
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church |
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judge |
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mum |
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nun |
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king |
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lull |
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way |
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whale |
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yet |
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rate |
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Table Ⅱ Vowel Symbols
bee |
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〔ii〕 |
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pity |
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bed |
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bad |
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palm |
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〔aa〕 |
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watch(S.B.) |
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—(G.A.) |
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paw |
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〔oo〕 |
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lord(S.B.) |
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〔oo〕 |
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—(G.A.) |
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full |
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fool |
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〔uu〕 |
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bird(S.B.) |
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—(G.A.) |
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mother(S.B.) |
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—(G.A.) |
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cut |
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〔o〕(also for G.A.) |
pay |
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by |
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boy |
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now |
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go |
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ear(S.B.) |
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—(G.A.) |
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air(S.B.) |
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—(G.A.) |
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four(S.B.) |
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|||||
—(G.A.) |
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poor(S.B.) |
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—(G.A.) |
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art(S.B.) |
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〔aa〕 |
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—(G.A.) |
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Daniel Jones, Engish Pronouncing Dictionaryをはじめとして,イギリスで発行されたたいていの辞書はこの種の発音を記載している。Jones はその発音辞典に記録している発音が,「public school で教育をうけた南部イングランドの人々の家庭で日常最も普通に聞かれる」種類の発音であると信ずると言っている。‘public school’というのは,イギリスでは特殊な意味に用いられている。しかしそのような発音は,この種の人々ばかりでなく,その他の人々によっても用いられている。
「一般米語」(G.A.と略す)という用語は,アメリカ合衆国の領土のほぼ5分の4ぐらいにひろがり,全人口の3分の2からなる人々によって最も普通に用いられている種類の英語を示すのに用いられる。地理的には A.C.Baugh によれば,中部大西洋諸州,すなわち New Jersey, Penusylvania および Hudson 川の西の New York 州全部を含む地域,昔の北西部諸州(Ohio, Indiana, Illinois, Michigan および Wisconsin),Mississippi 川の西の地域の大部分およびその他のいくつかの川を含んでいる。(注8)
Webster 著 International Dictionary of the English Language (第2版)をはじめ,アメリカ合衆国で最近発行されたたいていの辞書はこの種のアメリ力英語の発音を記載している。Kenyon および Knott 共著のPronouncing Dictionary of American English (G.& C. Merriam Co., Springfield, Mass.,1944)には初めに一般米語の発音(北部米語と呼んでいる)を示し,もし他の地域の変種があれば,それらを次に示している。R.h. Gerhard は一般米語の発音について次のように言っている。
「アメリカの英語はイギリスの英語に比して,はるかに広い地域に用いられているので,イギリスの英語に見られるような容易に示しうる単一な標準がありえないことが理解される。しかしこのような標準に最も近いものは『一般米語』の発音と普通に呼ばれているものである。」(注9)
[備考]前表に示した記号は次のものによった。
第2類 ロンドン大学 N.C. Scott の「簡易化発音記号」と呼ぶもので,Daniel Jones の賛成を得ている。南部英語を転写する目的で作られている。
第3類 D. Jones, An English Pronouncing Dictionary,Dent, 1937. 簡略記号。南部英語を転写したもの。
第4類 G.S. Kenyon & T.A. Knott, A Pronouncing Dictionary of American English,Merriam, 1944. 精密記号。
第5類 E.L. Thorndike, Thorndike Century Beginning Dictionary,Scott, Foresman, 1945.
第6類 Leonard Bloomfield, Language,Henry Holt, New York, 1933.
母音は口腔(こう)内に作られる共鳴のぐあいによって差異が生じる。そしてこの共鳴のしかたは,主として母音を発音するときの口腔の形によって変化する。母音を,示す図形では,各母音の「位置」はそれを発音するときの舌の最高点が口腔内で占めるだいたいの位置を示すものである。英語のすべての母音は有声音である。日本語では「しかし」のように無声子音の前後で母音が無声化することが多いが,英語ではそのような場合に母音を無声化しないように注意しなければならない。
① 鼻 腔(こう) ② くちびる ③ 歯ぐき
④ 硬 蓋(がい) ⑤ 軟 蓋 ⑥ 口 腔 ⑦ 舌 先 ⑧ 前 舌 ⑨ 後 舌 ⑩ 舌 ⑪ 咽(いん)頭 ⑫ 喉(こう)頭 ⑬ 声 帯 |
英語の短母音
前母音 | 中央母音 | 後母音 | |
閉 |
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半開 |
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開 |
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[e]は日本語の短いエに似ているが,それよりもゆるくのびて,口の開き方がいっそう大きい。
[]は日本語のエとアとの間の音で,舌の両横を少し上げて発音するので「ひらったい」「浅い」ひびきになる。この音を発するときに口の両端を後方へ引くようにすることもよい。
[]は少し日本語のアに似ているが,舌の中央部が高くあがり,あいまいな奥まった感じのする音である。アクセントのない場合には,この音は非常に短く,非常にあいまいなひびきになる。アクセントのある場合には,舌の位置がいくぶん低くなり後退する。また口の開きも広くなる。
[]は日本語のどの母音とも全然異っている。この母音の一つの発音法は舌先を口の天井に向かって高くし,それを多少後の方へ巻き気味にする。この場合に舌先を口の天井に接触させてはならない。もう一つの発音法は,舌の中央を口の天井に向かって高くする。この二種の発音法のいずれの場合にも咽(いんとう)頭の筋肉がかなり緊張する。この音は南部英語の発音には用いられない。南部英語では通例この音のかわりに[]を用いる。
[]は日本語のアによく似ているが,舌はもっと後退して,咽頭がかなり広がる。口の開きも通例は他のどの母音よりも大きい。短い[a]は通例部英語の発音には用いられない。
[o]はいくらか日本語のオに似ているが,もっと開いた音である。この音はくちびるを丸めて発音するが,そのくちびるの丸みをとれば,[a]の音になる。
[u]は日本語のウによく似ているが,くちびるは丸められ,その両横は口笛を吹くときのように引きよせられる。
は[]よりも長く,力を入れて発音する。この時舌の中央部はもっと口の天井に近ずき口の開きはもっと狭くなる。この音は通例一般米語の発音に用いられない。
は[]よりも少し舌が高くなり力を入れて,長く発音される。口の開きは非常に狭い。この音は南部英語の発音には用いられない。
は[]に非常によく似ているが,もっと長い。舌は日本語のアーよりも後退する。また咽頭がもっと広くなる。
は日本語のオーに似ているが,もっと口の開きが大きい。舌の後部は短い[o]の場合よりも高くなる。このことは南部英語のほうが一般米語よりも著しい。またくちびるはもっと丸められる。この音を出すときには舌や口を動かしてはならない。
は[u]に似ているが,もっと力がはいり,長く発音される。くちびるはもっと丸められ,両横をいっそうひきよせる。
〔注意〕[]の長い変種はときどき[]で表記される。[e]の長い変種はときどきで表記される。この二つはただ変種として用いられるだけであるから,ここにはあげなかった。
英語の重母音は二つの母音記号で表わすが,事実は単音節の移動音であって,前の母音の位置から次の母音の位置に向かって移動する。その移動の初めの部分はあとの部分よりもめいりょうに発音される。すなわち初めの文字で表わされる部分は完全な母音として発音されるけれども,後の記号で表わされる部分は単に移動の方向を示すだけである。それゆえこれらの二つの文字は一つ複合の記号と考えなければならない。以上の一般的な説明と,舌の相対的な前後・高低の位置を示す図解とで,重母音についてはだいたいのことがわかるはずである。
[ei]と[ou]はそれぞれ短い[e]と[o]よりもかなり高い舌の位置から始まる。また[ou]は英語のほうが米語よりも通例出発点が中央寄りになって少し低い。 |
[i]と[u]では通例短い[]よりも舌がいくぶん前寄りの位置から移動し始める。
[]に向かって移動する母音は一般米語の発音には用いられない。一般米語でも[i]の連結が時おり用いられるけれども,それは二つの母音が並んだ二音節として発音される。たとえばideaの[]は南部英語では重母音をなすけれども,一般米語では[]と[]が二部節をなすように発音される。 |
[]に向かって移動する重母音は南部英語の発音には用いられない。[]に向かって移動する重母音,すなわち[i],
[e],[],[o],[u]のどれにでも,母音が伴う場合には,これらの重母音はその初めの母音と[r]の連結,すなわち[ir],[er],[r],[or],[ur]とは一般米語では実質上同じように発音される。 |
たとえばhairy[hei]と[vri]の[e]と[er]は同じに発音される。しかし前者の表記法は,very基本語が[]で終っていて,次に続く母音が基本語に付加した語尾である場合に適当であるように思われる。たとえばpoorerは[pu]bearingはとする。しかしruralは,burialはとする。
2.子 音
子音は発音にあずかる発音器官の部分とその働き方によって区別を生ずるものである。また息だけで発音するもの(すなわち「無声音」)と,いきと同時に声帯を振動させて発音するもの(すなわち「有声音」)とに区別することができる。どのような子音においても,英語の子音はそのあとに母音をつけないで発音できるようになることがたいせつである。また英語の習慣に従って子音と子音を続けて発音できるようになることもたいせつである。
[p],[t],[k]は無声音で,[b][d][g]は有声音である。これらの音は日本語の場合とだいたい同じであるが,英語で語尾に破裂音があるときに,日本語のように母音をつけないように注意しなければならない。また[g]が[g]と発音すべきところを鼻音とすることも,日本人に多い誤りである。
[p]と[b]ではくちびるを強く閉じ,[t]と[d]では舌先を上歯ぐきにつけ[k]と[g]では後舌部を軟ロ蓋(がい)につける。これらの音はすべて,のどびこは上がって鼻腔への息の通路はふさがる。
(b) 鼻 音[m],[n],
[m],[n],の三つは鼻から出る有声音である。[m]ではくちびるを閉じ,[n]では舌先を上歯具ぐきにつけ,では後舌部を軟ロ蓋につける。母音がそのあとにつづく場合には,[m]はマ行,[n]はナ行の子音と似ている。または単語の途中にあるガ行の多くの日本人の発音,たとえば「はがき」[]に似ている。語尾にある場合は,これら三つの鼻音はいずれも日本語のホン[]のンとは根本的に異なっている。の音は英語の単語の初めに用いられることはない。
(c) 側 音[l]
[l]は舌を左右からせばめ,舌先を上の歯ぐきにつけて,舌の両横から出す有声音である。この音を出す場合に後舌部は口の天井に向かって高く上げることも,または低くすることもできる。音のひびき方からいうと,前の発音法では多少日本語のウに似た「暗い」音ができ,後の発音法では「明るいまたは「澄んだ」音ができる。たいていの人は母音の前には「明るい」ほうのlを用い,子音の前または語尾ではたいてい「暗い」lを用いる。
(d) 摩擦音[f][v];[θ],;[s],[z];[∫],;[h]
[f],[θ],[s],[∫],[h]の五つは無声音で,[v],,[z], の四つは有声音である。摩擦音はすべて,口腔の中,または[h]の場合は声門の中で非常に狭くした通路から呼気を出して作られる。摩擦音は呼気の続くかぎり引きのばすことができる性質をもつゆえに,時には「継続音」または「続く音」と呼ばれることがある。
[f],[v]は上前歯と下くちびるの間で出す摩擦音である。
[θ],は舌先と上前歯の間の摩擦音である。
[s]は日本語のサ,ス,セ,ソの無声子音と同じで,呼気が中舌部の上に作られた狭い通路を通り,舌べりと上の歯ぐきの辺に特殊の摩擦音を発する音である。[z]はその有声音で,その点を除けば[s]と同じである。
[∫]は日本語のシの無声子音に似ているが,それよりも強い摩擦を伴う音で,その摩擦は前舌部と硬口蓋の前部との間から出される。
は有声音で,その他の点では[∫]と同一である。
[t∫],[]は破裂音と摩擦音との結合したものであるために,時には「破擦音」と呼ばれることがある。これらの音は,初めに舌先を上の歯ぐきに接触させてそれぞれ[t][d]の破裂音を出すと同時に[∫]およびに移るように作られる。
[h]は声門の無声摩擦音で,声帯を部分的に閉じて,狭められた通路から呼気を送り出して作る。それゆえ,日本語のハ,へ,ホの無声子音と同じであるが,ヒとフの子音とは異なっている。ヒの子音は,舌を口の天井に向かって高くあげて,その間から摩擦させた音であり,フの子音は,くちびるを丸めた間から摩擦させた音である。[h]は英語の語尾につづりとしてhを用いていても発音されることはない。
(e) 半母音[j],[w],[r]
英語の半母音は有声の移動音である。すなわち,音声器官は一つの母音の位置から次にくる他の母音に瞬間的に動いていくときに出る音である。それは常に短い音で,音節を形成せす,常に他の母音の前に用いられる。
[j]は高い緊張した[i]から動きはじめる半母音である。この音が[i]の前に用いられる場合,すなわち[ji]の連続においては,他の場合よりも高い,いっそう緊張した位置から動き始める。
[w]は高い緊張した[u]から動き始める半母音である。この音が[u]の前に用いられる場合,すなわち[wu]の連続においては,他の場合よりも高い,いっそう緊張した,くちびるをいっそう丸めた位置から動きはじめる。
[r]は高い緊張した[]から動きはじめる半母音である。この音が[]の前に用いられる場合,すなわち[r]の連続においては,他の場合よりも高い,いっそう,緊張した位置から動きはじめる。南部英語の発音では母音の前で通例摩擦音として発音される。この発音では舌べりは上の歯ぐきに近く上がる。
「アクセントとはある音または音節を発音するときの強さの程度をいう。」(注11)多音節語においては通例アクセントに多くの度合が区別される。たとえばabilityという単語では,最も強いアクセントは第二音節にあり,最も弱いアクセントは第三音節にあり,それについで弱いアクセントは第一音節ある。これを数字で示すと,1が最も強く2が次に強いことにしてabilityは〔3─1─4─2〕のアクセントをもつといえよう。しかし実用のためには,このような細かな区別は不必要である。学生が単語を学ぶときに知りたいと思うのは,どの音節におもなアクセントがあるかということである。二つのアクセントをもつ単語は「グブル・アクセント」をもつという。時には強さの程度を三段階に区別して「主アクセント」「副アクセント」「アクセントなし」ということがある。たとえばexaminationという語の音節は「アクセントなし」「副アクセント」「アクセントなし」「主アクセント」「アクセントなし」のように構成されているという。
発音転写においてアクセントを表示する一つの方法は,主アクセントに対して[´]を,副アクセントに対して[、]をつけるか,または主アクセントに対して[´]を,副アクセントに対して[、]をつけるかである。たとえばabilityはまたはとし,examinationはまたはとする。強音節の前に垂直線をつけるのは欧米のたいていの音声学者の習慣である。
日本では以前から別のアクセント表示法が行われている。すなわち主アクセントに対しては[´]を,副アクセントに対しては[`]を,それぞれ強音節の母音の上につける方法が行われている。(注12)強勢の中心は常に母音の上にあるという事実から,また強勢は子音の途中から始まって,どこで音節を区別すべきかわからないような場合もあるという事実(注13)から,この表示法でよいといえる。なお重母音においては,初めの音の上につけることになっている。英語では重母音の第一要素は常に第二要素よりも強く発音されるからである。たとえば
以上の他にもアクセントの表示法がある。Webster の表示法は,アクセントのある音節の前でなく,後に,主アクセントには[´]を,副アクセントには[`]をつける。アクセントの表示法に二つの正反対の位置を用いることはまぎらわしい。また強勢母音または音節に下線を引いたり,円で囲んだりすることも,アクセントをはっきり示す方法としてあげてよかろう。
2.単語のアクセントと文のアクセント
英語のすべての単語は,単音節語でも,複音節語でも,それが単独に発音される場合には,強勢音節を少なくとも一つはもっている。たいていの辞書には単音節語にはアクセント符をつけていないが,それは単音節語には強勢がないという意味ではない。単語を独立に発音したときに聞かれる強勢を「単語のアクセント」と呼ぶ。
英語の単語のもつアクセントは非常にたいせつなものである。それは簡単な規則で学ぶことができない。多くの場合アクセントの位置についての規則はない。たとえ規則を定めることができても,普通は多くの例外がある。それゆえ,個々の単語についてアクセントを学ぶことが必要である。
単語が連なっている場合には,単語を個々に発音する場合と同じようには発音しない。ある語は全然アクセントをなくしてしまい,ある語は多少本来のアクセントを保存する。一般的にいって,連なっている単語の比較的の強さは,その単語の意味の比較的な重要さによってきまる。単語が重要であればあるほど強く発音される。通例,重要な意味を伝える単語は,いわゆる「内容語」すなわち,次の7種類である。
(2) 本 動 詞(すなわち,他の動詞の前で補助的な役割をもたない動詞)
(3) 形 容 詞
(4) 時,所,しかたの副詞
(5) 指 示 詞
(6) 疑 問 詞
(7) 不定代名詞
(2) 助 動 詞(他の動詞の前に用いられたもの)
(3) 前 置 詞
(4) 連 結 語(接続詞,関係代名詞など)
(5) 冠 詞
(6) 度合の副詞
例は英文参照。
I think it will be quite warm tomorrow.
(注14)
This express train often arrives late.
He told me that that that boy used was right.
3.イントネーションの本質
イントネーションとは「連続することばにおける声の高低変化」をいう。(注15)
いかなる国語もそれぞれ特有の調子,独特の音調,または近ごろの音声学の術語でいえば,「イントネーションの型」または「イントネーションの輪郭」(注16)というものをもっている。もし一つの国語を他の国語のイントネーションで話したならば,理解しにくくなったり,少なくとも聞きなれない感じ,不自然な感じを与えることになる。多くの国語では,特に英語では,イントネーションはいろいろ微妙な意味を添えるたいせつな役割をもっている。それは用いられた語句の辞書的な意味に対する話す人の態度を示すものである。
日本語などのような音調語では,イントネーションは単語に固定している。たとえば,標準的な日本語で「橋」はどんな文脈中にあっても,最初の音節を低く発音し,後の音節を高く発音するが,「箸(はし)」はいつも最初の音節を高く発音し,後の音節を低く発音する。これに反して英語などのような強弱語では,イントネーションは決して文脈の中にある単語に固定していない。すなわち,文脈にしたがって自由に変化する。たとえばpencilという単語は“I have a pencil.”(普通の断定文)においては,文脈から切り離して言うときと同じように,最初の音節を高く(強くいうのと同時に)言うのであるが,“Have you a pencil?”(普通の疑問文)では,同じ単語の最初の音節は低く(強くいうのと同時に)いうのである。時には調子の変化(高い調子から低い調子になる場合にも,その逆の場合にも)は顕著であり,また時にはわずかである。また時には単なるしり上がり,しり下がりでなく,もっと複雑な形をとることもある。
4.イントネーションの表示法
音声学者がかなり苦心している問題の一つは,イントネーションを実用的に表示するのにはどうすればよいかということである。理想としては,書きやすく,印刷しやすく,読みやすくなければならない。しかし,今日までのところ理想的な方法は発明されていない。
次に示そうとする例は,いろいろな音声学者が考案した表示法の中,よく知られているもののいくつかである。それらはだいたい年代順に古いものからあげているが,あらゆる種類をあげつくしてもいなければ,正確な配列を行ってもいない。
Henry Sweet(注17)は一つの方法を考案した。それは疑問文に聞かれるような上昇調を[´]で示して,たとえば´What?とする。疑問文に対する答に用いられるような下降調を[`]で示して,たとえばNo!とする。下降上昇調は[∨]で示し,たとえばTake∨care!とする。また上昇下降調は[∧]で示し,たとえば皮肉の気持を含む感嘆詞を∧Oh!とする。これらのイントネーション符はその音調をとることばの前につけた。文全体を示す音調である場合は,文の末尾につけた。もしイントネーション符が何もついていなければ,コンマや疑問符は上昇調を意味し,コロンやセミコロンは下降調を意味した。
その後Daniel Jones(注18)は音楽の五線紙にことばの曲線を描くことによってイントネーションは絶えず動いていることを示した。Jonesは蓄音機にレコードをかけて,音節ごとに針をあげ,聞こえる音調を調べて,これらの曲線を得た。たとえば“Then he'll be here by twelve, and we'll have the service at a quarter past.”という文は次のように記録した。(注19)
例は英文参照。
例は英文参照。
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(The capitals indicate sentence stress.) |
例は英文参照。
I‾ don't think it's | true. | ||||||||
It's a piece of | chalk. | ||||||||
It | Looks quite | different. | |||||||
Do‾ you like | oysters? | ||||||||
It would be‾ difficult to | prove such a theory. | ||||||||
Good | morning.(used when parting.) |
Plmer のEnglish Intonation が出た同じ年にWalter Ripmanはイントネーション符のついた資料を発表した。(注23)この表記法は前記H.O.Coleman のものに似ているが,その用いた数字は大部分1ないし3であって,4と5は,ごくまれにしかない。このRipman の表記法は英語のイントネーションを4段階に分析できることを示すものと見てよいであろう。かれの取り扱った文例は次に示すようなものである。
例は英文参照。
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3 1 | ||||
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fellow-men. | ||||
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例は英文参照。
Tune 1 | |
Tune 2 |
最後に,最も新しい重要な研究で,Kenneth L. Pikeがアメリカ英語について行ったものをあげなければならない。(注26)かれはこの問題をいわばフオーニーム的な立場で研究し,イントネーションのさまざまな型のうち,外国の学生のために最も実用に役だち簡単に学ぶことのできるいくつかを選んだ。かれは,アメリカ英語のたいせつな音調を段階に区分できると考える。すなわち,
No.2=高 調
No.3=中 調
No.4=低 調
例は英文参照。
例は英文参照。
英語を外国語として指導する必要から,Pikeはの主要輪郭を選択した。
(2) °2—3
(3) °3—2
(4) °2—4—3
例は英文参照。
5.いろいろなイントネーション表記法の比較表
一つにはこの章のまとめとして,また一つには同一の音調変化に対する種々の表記法を比較するために,下降調と上昇調の文を一つずつ選んで,イントネーション符をつけ,一覧に便利なようにしておく。
例は英文参照。
Sweet: | It's been a :very nice day. | ||||||
Jones(1): | |||||||
Jones(2): | |||||||
Coleman: |
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3-1 | |
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day. | ||
Palmer: |
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day. | |
Ripman: |
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2-1 | |
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day. | ||
Pike(1): | It's been a very nice day.
3- 2- -4// |
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Pike(2): |
例は英文参照。
Sweet: | Can you tell me the time, please? | |||||||
Jones(1): | ||||||||
Jones(2): | ||||||||
Coleman: |
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5-7 | |
Can | you | tell | me | the | time, | please? | ||
Palmer: | Can | you | tell | me | the | time, | please? | |
Ripman: |
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2-3 | |
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please? | ||
Pike(1): | Can you tell me the time, please?
3- 3- -2// |
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Pike(2): |
6.いわゆる英米イントネーションの比較
イギリスとアメリカのイントネーションの習慣の間には,相当の差異のあることは確かである。しかし両者の比較研究はほとんど行われてこなかった。また両者の比較ということは,とりわけ現在ではアメリカのイントネーションに関する文献が少ないので,容易な仕事ではない。
英語と米語のイントネーションの型は,本質的には大差がないということは指摘されている。(注28)このことは,差異はあっても,「意義的」なすなわち意味に違いを生ずるほど重要なものはないということである。言い換えると英米のイントネーションの習慣は,いずれの国にも互に理解できるものである。
多くの学者によって指摘されている一つの差異は,アメリカ英語ではイントネーションの高低の差がイギリス英語ほどに大きくはない。特に高い調子がイギリス英語のものよりも低いということである。これがアメリカ英語が,イギリス英語よりも,われわれの耳に単調に聞える理由の一つである。
よく指摘されるもう一つの差異は,アメリカ英語では,主要輪郭の前の部分(precontour)すなわち語句の強勢をもたない頭の部分は,通常は中位または低位の調子を保ち,イギリス英語によく見られるような高い調子になることは非常にまれであるということである。H.E. Palmerがイギリス英語で高い調子の「頭」をもつといっている型(瀑布型と波型)は,アメリカ英語では通例はずっと低い─またしばしばもっと弱い力の調子で置き換えられるということができる。(注29)たとえば,
例は英文参照。
British: | I‾ don't think it's | true. | |||
American: | |||||
British: | ‾Are you | there? | |||
American: |
同様にPalmerの高い「頭」をもった「スキー・ジャンプ型」と「へび型」も,普通のアメリカのことばには用いられないようである。たとえば,
例は英文参照。
British: | How | strange it is! | |
American: |
例は英文参照。
British: | |
American: |
7.アクセントおよびイントネーション符をつけた文例
例は英文参照。
(音標文字に改められた)
例は英文参照。
Ⅳ.連音に関するその他の諸問題
1.音の長さ
音の長さ,すなわち音が発音の時に占める時間の長さは,通例は発音の前後関係によって異なるものである。訓練された耳はその長さを多くの種類に区別することができるけれども,実用の目的には,長いものと短いものとの二種類に区別すればじゅうぶんである。その中間の種類を区別することが望ましい場合には,この中間の種類を「半長」と呼んでよい。(注30)
英語の音の長さに関するおもなことは,次の規則に示されている。(注31)
規則1.「長母音」と呼ばれ,ある種の表記法で[:]の長音符を用いて書かれる母音,および重母音は,同じような発音の前後関係においては,他の英語母音よりも長い。たとえばbead,bard,board,food,bird,bowedの母音はbid,bed,lad,rod,good,budの母音よりも長い。
一般米語においてはpit,pet,put,nutの4母音は他の母音よりも短い。他の母音,たとえばglass[gls],box[baxs],dog[dog]の母音は,通例は記号で書き表わす場合に長音符をつけなくとも,かなり長く発音される。(注32)
規則2.長母音も短母音も,すべての英語母音は無声音が伴う場合のほうが,語尾にある場合または有声音を伴う場合よりも短い。たとえばseat,pierce,hitのそれぞれの母音は,それに対応するsee,seed,pier,beard,hidの母音よりも短い。
規則3.長母音も重母音も短母音も,すべての英語母音は,強いアクセントをもつ音節においては,アクセントのない音節がそのすぐあとに伴う場合には多少短くなる。たとえばreaderの初めの母音はreadの母音より短く,runningの初めの母音はrunの母音よりも短い。
規則4.長母音も重母音も短母音もアクセントのない音節においては,強いアクセントのある音節におけるよりも短い。たとえばalthough,partake,idea,untilのアクセントのない音節の中の母音は,それに対応するalso,party,island,underの母音よりも短い。いわゆる「あいまい音」[]は,ある種の表記法で[∧]で示される音と区別したふめいりょうな母音を表わす場合は,アクセントのない音節においては,とりわけ短く,また時には全然なくなることさえある。たとえばof courseやhistoryのごとくである。アクセントのある音節に同じ母音を用いることは,イングランド北部およびアメリカ合衆国では普通であるが,(注33)この「あいまい音」はイギリスの標準音では,アクセセントのある位置には決して用いられない。 B.英語子音の長さ
規則5.語尾の子音は,その前に短母音がある場合のほうが,長母音または重母音がある場合よりも長い。たとえば,[n]はpenにおけるほうがpainやseenにおけるよりも長く,[l]はhillにおけるほうがheelやholeにおけるよりも長い。
規則6.[m],[n],[l]の三つの子音は,有声子音を伴う場合のほうが,無声子音を伴う場合よりも長い。たとえば[m]は,numberにおけるほうが,jumperにおけるよりも長く,[n]は,windにおけるほうが,winkにおけるよりも長く,[l]は,holdにおけるほうがbeltにおけるよりも長い。
2.音の連接と語の連結
音は通常は,連なった音声において近接する他の音に多かれ少なかれ影響されるものである。一つのフォーニームに属する変種を生ずるおもな素因は近接する音の性質にある。このことは次の数節中に例証されるであろう。音は,単語の中においても単語と単語との連接においても,二つ以上続けて発音される場合に,互に近接する音の間で影響し合うものである。音はまた単語中の位置により,発音のアクセントの程度により,またその他の理由によって影響を受ける。音にアクセントがない場合は舌の緊張がゆるむ。そのために音の変化が生ずるのである。
一つの破裂音の次にそれと同じ破裂音または別の破裂音もしくは[t∫],[]のどちらかが続く場合は,音声器官は初めの破裂音の発音を完了しないうちにその次の破裂音の位置をとる。それゆえ,最初の子音の破裂がきわめて弱くなるか,まったく聞こえないか,あるいは同じ破裂音または似た調音の破裂音が続く場合は,器官の閉鎖は最初の破裂音の初めから次の破裂音の開破まで継続する。これを図示すれば
>────────<とする。
例は英文参照。
lamp-post | ([p]lengthened) | |
went down | (Vocal cords begin to vibrate in the middle of the stop.) | |
bed-time | (Vocal cords stop vibrating in the middle of the stop.) |
破裂音の直後に鼻音がくる場合,たとえばにおけるような場合に,その破裂音は普通とは異なった発音になる。すなわち,このような場合の破裂音は呼気が口腔(こう)からではなく,鼻腔から急激に出て発せられる。日本人はこの種の破裂音も普通の方法で発音しがちである。するとその破裂音と鼻音との間に[]をはさむ結果となり,正しい発音ではなくなる。
[t]と[d]が直後に側音[l]を伴う場合,たとえばlittle ,middle におけるような場合に,その破裂音は普通とは異なった発音になる。すなわち,このような連音における破裂音は,舌先を歯ぐきにおし当てたまま舌の両横から急激に呼気を出して発せられる。もしこれらの破裂音を普通の方法で発音すると,日本人の発音によく見られるように,その結果は母音[]を入れがちとなって,正しい発音ではなくなる。
英語では,有声破裂音[b],[d],[g]および有声摩擦音[v],[z],,は他の二つの有声音にはさまれたとき以外は,完全な有声音として発音されない。語頭および語尾の位置では,常に多かれ少なかれ「無声化」される。これを示すためにbirds[]という単語を例にとって図に表わすと,次のようになる。(注36)
図は英文参照。
Articulation
begins |
Articulation
ends |
|
日本人の中には,部分的に無声化した子音を用いるべき場合に,完全な有声音を用いがちな人が多い。そのような発音では語尾の有声子音のあとによけいな[]の音が聞こえる。なお,この無声化の程度は個人により,話し方により,音の前後関係により,一様ではない。人によっては有声子音,特に有声摩擦音は,あたかも無声音であるかのように聞こえることが少なくない。
有声子音の部分的無声化は,[p],[t],[k]のいずれかの次にあり,強く発音される母音の前にある[l]と[r]の発音にも行われる。たとえば,play,try,cryは,子音の長さは別として,それぞれ と表記することができよう。(注37)図に示すと,これらの単語は次のように表わすことができる。
図は英文参照。
(1) 脱落とは「音のなくなること」(注38)をいう。単語を単独に言う場合には用られるのに,その単語が他の単語と連なる場合に脱落する音がある。その現象がどのような音の連続に現われるかを知ることはたいせつである。
このような脱落の種類は多く,それらは英語を学ぼうとする外国人が気づかないでいることが多い。脱落の程度とひん度の大小は主として話し方の速度による。話し方が早ければそれだけ脱落の程度が大であり,いっそうひんぱんに行われる。次の例は普通の(早くない)ことばによく行われる並置音の脱落を示すものである。
kind man | ([d]の脱落) | |
sit down | ([t]の脱落。人によって聞かれるもの) | |
take care | ([k]の脱落) |
ていねいなことばでは,このような並置音の脱落は比較的に少ない。
(2) 同化とは,「単語や文の中で,一つの音がそれに近い他の音の影響で,別の音に置き換えられること」(注39)をいう。ある特定の音の連続において,一つの音がその隣の音のために,どのように同化されるかを知ることはたいせつである。
同化にはいろいろな種類がある。最も重要なのは,(1)無声子音が有声子音に,また有声子音が無声子音に変る同化と,(2)子音を発音する場合の音声器官の位置が変る同化とである
同化の例。
(1) (a) isおよびhasの短縮形
例は英文参照。
Tom is here. | |
Tom has been here. | |
Jack is here. | |
Jack has been here. |
例は英文参照。
Of. faces, roses, houses.
(Possessives) girl's , girls’, Boy's[bobz].Mary’s cook's[koks], cooks[koks], Jack's, Bett's [bets].
Of .horse's, horses', fox's,foxes', Jones's, Jones'.
Note: The ending-sof the Third Person Singular Present Verb is treated in the same way as that of the noun.
(c) 語尾の-edの発音
例は英文参照。
Of. wanted, banded.
例は英文参照。
Compare | The knife was used to cut it.
I used to cut it with a knife. |
例は英文参照。
I have to do it.
Note: In ‘have to’the pronunciationis common in ordinary speech in both the United States and england.
例は英文参照。
(f) その他
例は英文参照。
Compare | the news in the paper
the newspaper(注41) |
It cost fivepence.
例は英文参照。
horse-shoe | |
this shop | |
Yes,she is. | |
Does she? | |
butcher's shop |
英語では,母音で始まる単語や音節は,連続したことばの中では,前の単語や音節の最後の音と連結するのが普通である。しかるに日本人のうちにはこの簡単な規則を守らないものが多い。そのために入れてはならないところに声門破裂音[?]を入れる結果となる。(注42)たとえば,It is on an armchair.はとなるべきであるのにそのような発音ではとなる。
つづり字の語尾に-r(e)をもつ単語の直後に母音で始まる単語が続くときは南部イングランドの発音では通例[r]をはさむ。たとえば,farはそれだけでは南部イングランドの発音では[]であるが,次にawayが続くと,つなぎの[r]を入れてという。
しかし,語尾の-r(e)が連続するときに発音されない場合がある。そのおもな場合は,(1)その-r(e)直前に[r]が発音されるとき,たとえばthe Empexor of Japan,nearer and nearer ,(2)この二つの単語は切って言ってもよいような場合(たとい実際には続けて言う場合でも),たとえばhe shut the door and went away のdoor andの間などである。
南部イングランドの発音では,つなぎの[r]を入れることは必ずしも絶対に必要なことではない。つなぎの[r]を入れない人々も多いのである。(注43)一般米語ではつづり字中のすべてのrを発音するのであるから,南部イングランドの発音におけるようなつなぎのrは不必要である。
3.リズムと文のアクセントとの関係
英語の連続したことばにおいては,アクセントの規則的なリズムに対する強い傾向が見られる。そのために,単語や音節のアクセントのつけ方が,普通の場合と異なることがある。次にそのおもなものをあげる。
(2) 一つの単語が他の単語を修飾する場合は,そのいずれにもアクセントをつけるのが普通である。たとえばBank Holiday ,New York ,north wind のように言う。しかし,このような語群が,そのどちらかのアクセントを失うことがある。たとえばlast Bank Holiday ,he went to New York City ,the strong North Wind, said のように言う。
通例これらの動詞も副詞もアクセントをもつ。たとえばcome in ,sit down のように言う。しかし,特殊なリズム関係においては,そのアクセントのどちらかがしばしば消失することがある。たとえばDo come in! ,I can’t sit down ,He put his hat on ,しかしHe put it on のように言う。
非常によく用いられ,その大部分は一音節よりなる英語のいくつかの単語は2種またはそれ以上の形に発音される。実際の発音にどの形を用いるかは,文中の位置,リズム関係,その他の原因によって定まる。これらの単語の一つの形を「強形」と呼び,他の形を「弱形」と呼ぶ。次の一覧表にはこれらのうち最もたいせつな約50語を示した。
単語の強形とは,その単語をとりだして言う場合に普通に用いられる発音である。この形は,連続することばの中で,その語にアクセントのある場合に用いられる。たとえアクセントがなくても,ときどき気息群すなわちひと息にいわれる語群の初めや終りに用いられる。たとえば,
例は英文参照。
Can anyone speak English?
Yes, I can.
これらの語の多くは,その弱形は南部英語では[]を,一般米語では[](またはつづり字にrを含む場合は[])をもっている。次に示す単語はこの種類に属するおもなものである。
a,am ,and ,are ,as ,at ,can ,do,(子音の前),for ,from ,had ,has ,have ,of ,sir ,than ,that ,the (子音の前),them ,to (子音の前),was ,we (詳細は次の表を見よ。)
いくつかの単語は,強形にはを,弱形には[i]をもっている。たとえばthe []は母音の前では,the others []のように[]という弱形をとる。次の単語はこの類に属するおもなものである。
Be ,been ,he ,me ,she ,the (母音の前,時には[j]前にも),we beenの強形は一般米語では通例短く[bin]と発音される。
二三の単語は,強形にはを,弱形には[u]をもっている。たとえばsomething to eat のto は弱形[tu]をとる。この種のおもな単語は次の三つである。
Do (母音および[w]の前),to (母音の前と気息群の初めに),you 弱形のうちには,母音をまったく含まないものもある。たとえばHow do you do ?の初めのdoがそれである。この類に属するおもな単語は次のとおりである。
am ,and ,do ,had ,has ,have ,is ,not ,Saint ,shall ,should us will ,would.
5.単語の強形弱形一覧表
例は英文参照。
(注1) 単語間の区別を表わす音,すなわちフォーニームとは,一つの国語の異なる単語を区別しうる音をいう。国語の音はそれぞれの個人によって,またひとりの個人でも一つの音の前後にある音のぐあいやその他の条件によって,相当に相違しうるものである。しかしその発音の相違は,聞く人にとって理解の障害とならないならば,通常無視される。発音の上で多少異なっていても,心理的には同じであって,決して単語の意味の区別をしないような一群の音をフォーニームと呼ぶ。それで,“lフォーニーム”といえば,ある個人のことば,または一つの方言に用いられるすべての種類のlを総括していうもので,それらの音は前後の音の関係やその他の条件によって使いわけられるが,「同一の音」と考えられるものである。なお上に述べたような抽象的なものとしてのフォーニームは人によって多少異なる説明がなされている。(W.F.Twadell, On Defining the Phoneme,Language Monographs,Vol.16.Baltimore, 1935 参照)
(注2) E. Leonard Tibbitts, A Phonetic Reader for Foreign, Heffer & Sons Ltd., Cambridge, 1946
(注3) N.C.Scott, English Conversation,Preface, Heffer & Sons Ltd., Cambridge, 1942
(注4) Harold E. Palmer The Principles of Language Study, George G. Harap & Co. Ltd., London 1921, p.153
(注5) P.A.D.MacCarthy, “Phonetic Transcriptlon and the Teaching of Pronunciation,”in English Language Teaching,Vol. II. No.1, The British Council, 3 Hanover Street, London W. 1, September 1947, p.18
(注6) この記号は気音化した音を用いる人々の発音に用いる。そうでない場合は[w]を用いる。
(注7) G.E. Fuhrken, Standard English Speech,Cambridge University Press, 1982, p.15
(注8) Albert C. Baugh, History of the English Language D. Appleton-Century Company, 1935,p.448. 発行所の許可により引用。
(注9) Robert H. gerhard, A Handbook of English and American Sounds shimizu Shoin, Tokyo, Copyright,1949, p.86
(注10) この部分はR.H.Gerhard の許可を得て,同氏の書いた材料によったところが多い。
(注11) D.Jones, An Outline of English Phonetics,W.Heffer and sons Ltd., Cambridge, 1936, p.227
(注12) 市河三富(編),An English Pronouncing Dictionary,研究社,東京,1926および A. S. Hornby, E. V. Gatenby, and A. H. Wakefield, Idiomatic and Syntactic English Dictionary,開拓社,東京,1942 参照。
(注13) G. E. Fuhrken, Standard English Speech, Cambridge, 1932 参照
(注14) BeとHaveとを本動詞として用いた場合は,例外であって,しばしばアクセントをもたない。
(注15) D. Jones, An Ontlinc of English Phonetics W.Heffer and Sons Ltd. Cambridge, 1936, p.255
(注16) Daniel Jones やHarold E. Palmer やその他の人々はPattern(型)という用語を用いている。多分心理学から借りた用語であろう。Kenneth L. Pike は,そのIntonation of American English Michigan, 1947で‘contour’(輪郭)という用語を用いている。
(注17) H. Sweet, A Primer of Spoken English Clarendon Press, Oxford, 1890, pp. 32-32 参照。
(注18) D. Jones, Intonaiion Cwrves, Leibzig and Berlin, 1909 参照。
(注19) The Pronunciation of English, Cambridge, 1919,p,96(第2版)のIntonation Curve 参照
(注20) H.P. Coleman, “Intonation and Emphasis”in Miscellanea Phonetica Association Phonetique Internationale, 1914, pp. 6-26 参照
(注21) H.E. Palmer, English Intonation With Systematic Exercises, Cambridge, 1922 参照
(注22) H.E. Palmer, A New Classification, of English Tones, The Institude for Research in English Teaching, 東京,1933, pp. 6,11,14,18,25,and 30
(注23) Walter Ripman, Good Speech, Dent & Sons, London, 1922, pp. 59-73
(注24) Armstrong and Ward, A Handbook of English Intonation, Teubner, Leipzig, and Heffer, Cambridge, 1st Edition, 1926, 2nd Edition, 1931
(注25) D. Jones Ibid pp. 259, 262
(注26) Kenneth L. Pike, The Intonation of American English, University of Michigan Press, 1945参照
(注27) Charles C. Fries, Teaching and Learning English as a Foreign Language Universityof Michigan Press, 1947, p.21参照
(注28) Robert. H. Gerhard, “Brief Notes on A New Classification of English Tones'(by H. E. Palmer)with special reference to American Intonation,”The English Review(東京文理科大学),1945年10月号,p.357参照
(注29) R. H. Gerhard, op.cit., p.358参照。
(注30) D. Jones, An Outline of English Phoneties., pp.216-220参照
(注31) D. Jones, Ibid., pp.216-220参照。
(注32) Leonard Bloomfield,“The Stressed Vowels of American English,“Language”Vol. XI, No.2, June, 1935, p.101参照
(注33) Robert H. Gerhard, A Handbook of English and American Sounds, Shimizu Shoin, 1949,p.118,Daniel Jones, Differences between Spoken and Written Language, Association Phonetique Internationale, 1948, p.7およびCharles C.Fries, Teaching and Learning English as a Foreign Language, University of Michigan Press, 1947.p.12参照
(注34)D.Jones, Outline of English Phonetics W.Heffer and Sons. Ltd., Cambridge, 1936, pp.143-4およびP.A.D. MacCarthy, English Pronunciation, Heffer, 1947, pp.114-5参照。
(注35) D.Jones, Outline of English Phonetics, W.Heffer and Sons Ltd,.Cambridge, 1936,pp.144-5参照。
(注36) P.A.D MacCarthy, op cit.,pp/99-100参照
(注37) 発音記号の下の[。]の記号は,その音の無声化したことを示す。
(注38) D.Jones, An Outline of English Phonetics, W. Heffer and Sons Ltd., Cambridge, 1935, p.214
(注39) D.Jones, op. cik., p.202
(注40) Kenyon & Knott, A Pronouncing Dictionary of American English Merriam, 1944, p.198参照
(注41) アメリカではも用いられる。
(注42) 「英語学辞典」,研究社,東京,1940,1949,“Glottal stop”の項およびDaniel Jones, An Outline of English Phonetics W.Heffer & Sons Ltd., Cambridge, 1936, p.138参照。
(注43) D.Jones, An Outline of English Phonetics,W.Heffer and Sons Ltd., 1936,p.182 参照。
(注44) 他の例については上書,pp.240以下参照。