付録Ⅱ 発音記号・抑揚符および連音の諸問題
1.精密表記・簡略表記および最簡略表記の説明

 言語の研究には,単語や文に用いるべき発音がはっきり示されて,音についての疑問が全然起らないように書き表わされるならば,非常に便利である。しかし英語のつづりははなはだしく不規則である。英語では同じ文字がしばしば数個の異なる音を示すことがある。たとえば,hat,hate,hall,harm,などのaはそれぞれまったく別個の音に発音される。また,同じ音がいろいろな文字で示されることもある。たとえばbeeの母音はbeanではeaで,peopleではeoで,pieceではieで,receiveではeiで,beではeで,machineではiで示される。発音記号とは,単語間の区別を表わす音,すなわちフォーニーム(注)の一つ一つに対して,常に同一の記号を用いるように組みたてたアルファベット式の体系をいうのである。発音記号を用いることによって,伝統的なつづり字にたよって読みちがいをすることが避けられる。単語や文を発音記号で書きなおしたならば,そのような読みちがいが避けられるばかりでなく,耳の記憶力を助けることもできる。なんとなれば,発音記号は伝統的なつづり字よりもいっそう明確に視覚に訴えるからである。

 発音転写文で一つの記号が常に一つのフォーニームを表わすようにできている場合には,一つの記号がそのフォーニームの中のどれか一つの音を表わすのであるが,その一つの音がどの音であるかは,総括的にはっきり述べることのできる原則によって決定される。この種の発音転写,すなわち一フォーニームに一記号を用いる種類の発音転写を「簡略表記」と呼ぶ。

 発音を転写する場合に,上のように,一定の原則によってフォーニームの中の特定の音を選ぶ代りに,フォーニームの中の二つ以上の変種に異なる記号を当てることもできる。たとえば,littleの中の二つのlは,英語を話す多くの人は区別するのであるが,それは,[l]とで書きわけることができる。前者は母音の前に用いられ,後者は子音の前または語尾に用いられる。この種の発音転写,すなわち一フォーニームに二つ以上の記号を用いる種類の発音転写を「精密表記」と呼ぶ。

 簡略表記にも精密表記にも,それぞれ簡略,精密の程度にいろいろある。それで簡略表記は一つの国語に用いられるフォーニームと同数の文字を用いてもよい。また文字の数は,一つの文字に長音符やアクセント符をつけたり,他の文字と組み合わせることによって,「一フォーニームに一記号」の原則に反することなく,一つの文字を二つの以上のフォーニームに兼用することができる。「一フォーニ一ムに一記号」の原則を破ることなく,最も少ない数の文字を用いる発音転写を「最簡略表記」また「簡易化(簡略)表記」と呼ぶ。

 現在日本で最も広く用いられている発音記号は,Daniel Jones が制定し,同氏のAn English Pronouncing Dictionaryをはじめ,その他多くの著書に用いられているものである。同氏の発音転写は最簡略式のものではない。それはある見地から見て多少不便ないくつかの文字を除去することによっていっそう簡略化することができるものである。

 簡略表記,最簡略表記または簡易化表記は,近年その重要なことが認められてきた。そして外国語としての英語の学習指導という一般的な目的のためには,精密表記よりも簡略表記をとるようになってきた。精密表記の長所は,方言などの精密な区別を表わすのに更利である点を除けば,概して疑わしいと考えられている。その理由は,英米人はフォーニームの中の異なる音を使いわけるが,そのような微細な区別を発音記号に書き表わすことは,一般的に見て,簡略表記を用いて教える場合よりよい結果をあげなかったからである。最近発行されたある発音転写文集の序文の中で,Daniel Jones は次のように述べている。

 「この本のもう一つの推奨すべき点は,‘簡略表記’すなわち,特殊な発音記号を最少限度に用いる表記法を採用していることである。それはScott 著English Conversationに用いられているものと同じ表記法である。」(注)

 またBritish Council が発行している定期刊行物English Language Teachingが最簡略表記すなわち簡易化表記を用いていることも注意すべきことである。

 最簡略表記すなわち簡易化表記においては,の[e]はともに[e]で表わし,はともにで表わされる。こので表わすことは,英語を外国語として教えている教師の間に賛否の論争を起している。単に実際的な見地からすれば,を一つにすることはじゅうぶんに弁護できるようである。それはと[ⅰ]を[ⅰ]で表わすことやと[e]を[e]で表わすことと同じように,一方に置き換えても,単語の区別を生じないし,また,英国人も米国人も,個人的にも方言的にも,一方を他方に置き換えることが多いからである。

 フォーニームの本質とその用途をじゅうぶんに理解することは,きわめてたいせつであるから,次に Daniel Jones がある発音転写文集に寄せた序文から,ほとんどその全文を引用する。

 「この本は英語の正しい発音が,最も簡単な発音表記,すなわちすべての単語を他の語を区別して表しうる最少限度の記号を用いる方法,によって正確に転写された最初のものであると信じる。このような表記法には,29の文字と一つの長音符と一つのアクセント符と(まれに)一つの音節符が用いられている。外国人で英語を学ぶ者に対しては,英語の個々の音の出し方を教えた後にその正しい用い方を教えるのに,この表記法はまったく適切なものである。

 「ことばを転写するのに,正確で,しかもできるだけ簡単な発音表記を用いようとする考え方は決して新しいものではない。このように書くことの望ましいことは,実際的音声学の偉大な先駆者 Henry Sweet によってHandbook of Phonetics(1877)に指摘されている。そしてかれが,『話された英語の入門書』(Elementarbuch des Gesprochenen English)(1885初版)に用いた『簡略ローミック』(Broad Romic )は実際は最も簡易化された表記法の理想に非常に近いものであった。その表記法には,実はわずかに一つだけ余分の文字,すなわちが含まれていた。もしその代りにが用いられていたとすれば,──それは Sweet の表記法の他の部分とも一貫させることになったであろうが── Scott の表記法は,Sweet によって57年以前にその前例が示されていたことになったであろう。

 「Sweet 以後のたいていの音声学の著者たちは,私もそのひとりであるが,最も簡単な表記法から多かれ少なかれ離れてしまった。しかしながら,長年にわたってもっとも複雑な発音表記を行った後に,私は今では,まったく最少限度以上に記号を増すことが,有益であると考えるのは夢であるとの結論に到達した。また最も簡単な表記はほとんどあらゆる目的に対して,最もすぐれていて,特に外国の学習者に話しことばを教えるには最もよいものであるとの結論に到達した。」(注)

 次にかかげる比較表を研究されたい。  

 

比  較  表

精密表記

 (説明)[´]はアクセント符。[lは澄んだl(母音の前)。は,暗いl(子音の前または語尾)。気音を伴ったP半長音符。のi音が長い場合の長音符:の音質。[l]比較的ゆるんだ短いiの音質。

簡略表記

    

    
 (説明)[l]とはともに[l]で表わし,その区別は音の前後の関係でわかる。で表わし,その区別は音の前後の関係でわかる。は,それよりも狭いget]の[e]と異なる記号を用いる。High,howなどの重母音の初めの要素は低い前母音で,これを[a]で表わし,halfなどの低い後母音で長く発音されるの文字と区別する。humなどのアクセントのある母音にを用い,イギリスの標準発音で弱音節だけに用いられるあいまい音と区別する。

最簡略表記

 (説明)一つのフォーニ一ムに一記号の原則を厳密に守ろうとする。

 

2.いわゆるイギリス音とアメリ力音との比較

 英語の方言すなわちいろいろな種類に関する問題について,次の一般的な観察は役だつであろう。

 上述の考察から,日本の学生は,イギリス,アメリ力のどちらでも,いわゆる「標準以下」のことばを無視して,おのおのの国の教育ある人々のことばを学ぶことが望ましいということができる。ある特定の地域のことばを学んだ者が,それとは多少異なる種類のことばを話す他の地域の人々と接する際に,いくぶん理解しにくいことがあっても,それはやむを得ない。しかし,もし事情が許すならば,学生が将来実際に接触する人々が用いていて,不自然でないと考えるような種類の英語を学ぶことが望ましい。そうでなければ,どちらか一方の種類の英語を話す訓練をうけ,他の種類の英語も聞いて理解できるように訓練されることもよいであろう。

 イギリスの南部英語とアメリ力の一般米語との間の差異のおもなものをいくつか列挙すると次のようである。

 一般米語は17世紀ごろアメリカの植民が行われた時代のイギリスの標準語が伝わってできたもので,今日の南部英語から直接に発達してできたものではないことに注意すべきである。上にあげた差異の多くは,イングランドのことば,特にロンドンのことばが,以前の標準語とは大いに変化して,それが新たにイギリスの標準語と考えられるにいたり,以前の標準語は主としてイギリス北部とアメリ力で用いられたという事実によって生じたものである。イギリス北部およびイギリスの方言の多くが一般米語に著しく似ている理由は,以上の事実からわかる。そのような以前のイギリスとアメリ力の英語の類似点は南部英語からは消えたが,一般米語には保存されているのである。

 

3.発音記号の種類を示す比較表

 次の一覧表には,一つのフォーニームに対して一つの文字であろうと文字の組合せであろうと,とにかく一つの明確な記号を用いるという原を守った発音記号の数種の例を示してある。しかし,ここに示したもの以外の発音記号は,注意に価しないという意味ではない。どの記号も,それを用いる用途に対してはなんらかの特別の長所をもっているであろう。たとえば,Webster式記号は,伝統的つづり字に符号をつけて発音を示すのであるが,それは発音とつづり字との関係を示すのに便利であろう。しかしその欠点の一つは,いわゆるスペリング・プロナンスィエーションを奨励する結果になり,話される英語の自然なよい発音をそこなうことである。かな書き記号でも,もし英語の発音を日本語ふうにしてしまうことのないように適当な注意をするならば,最初の入門期における記憶の手がかりとして使ってよいといえるであろう。発音を表わすには,どんな文字でも,はっきり説明しそれを一貫させれば,用いることができるということは常識である。

 しかし,一般的に言えば,外国語学習の初期から国際音標文字を用いることが,音声学者や多くの進歩的な教師から賛成されている。すでに1921年 Harold E. Palmer は次のように述べている。

 「一つの国語を発音記号で読み書きすることを教えられた者は,そのような訓練を受けない者と同じ程度に,つづり字をよく覚えるという事実は実験的に確められている。多くの場合は,発音記号で訓練を受けた学生は,そうでない学生よりもつづり字をよく覚える。」(注)  それから26年をへて1949年に A.D. MacCarthy はある語学教育の雑誌に,入門期の学級で発音転写を使用する問題を論議した後に,次のように述べている。  「次の段階においては,普通のつづり字への移行が,すでに学んでいる言語材料をもう一度用いて,組織的に行われるのである。この期間の仕事は復習作業としての価値が大きい。その上,経験の示すところによると,このように,(すなわち準備期間に発音だけの訓練を受けて),英語のつづり字を学び始めた学生は,その移行によって混乱を起すどころか,実際はやがて最初から複雑な普通のつづり字にとびこまされた学生よりも,いっそうつづり字がよくできるようになる。(話す能力においてもすぐれていることはもちろんである。)これはおそらくうまく取り扱った組織的な移行法によって徐々に養われる明確な整然とした思考の習慣によるものであろう。」(注)  もし発音記号のつづりが,ある時期に普通のつづりを覚えるのに妨げとなると思う教師があるとすれば,そのような妨げは次のどれかの原因によるであろう。(1)発音記号転写を用いる自信と技能の欠乏および移行の不適当な取扱方から生じる拙劣な指導。(2)音声を主とした教え方に対する理解と興味の欠乏。(3)前項に伴って生じる生徒側の理解と興味の欠乏。(4)発音記号を教えることはまったく無関係な他の原因。しかし,たとえ普通のつづりを学ぶのに妨げになることがあっても,その困難にうちかつ骨折りは,よい発音の習得によってじゅうぶんにつぐなわれるであろう。そのうえ発音記号を学ぶ際の困難は,最簡略表記を用いれば最も少なくなるであろう。

 子音記号および母音記号の表は英文参照。(注)

Table Ⅰ Consonant Symbols


Key Words
Type Ⅰ
Type Ⅱ
Type Ⅲ
Type Ⅳ
Type Ⅴ
Type Ⅵ
pip
〔p〕
〔p〕
〔p〕
〔p〕
〔p〕
〔p〕
bob
〔b〕
〔b〕
〔b〕
〔b〕
〔b〕
〔b〕
tut
〔t〕
〔t〕
〔t〕
〔t〕
〔t〕
〔t〕
did
〔d〕
〔d〕
〔d〕
〔d〕
〔d〕
〔d〕
kick
〔k〕
〔k〕
〔k〕
〔k〕
〔k〕
〔k〕
gog
〔g〕
〔g〕
〔g〕
〔g〕
〔g〕
〔g〕
fife
〔f〕
〔f〕
〔f〕
〔f〕
〔f〕
〔f〕
valve
〔v〕
〔v〕
〔v〕
〔v〕
〔v〕
〔v〕
hin
〔θ〕
〔θ〕
〔θ〕
〔θ〕
〔th〕
〔θ〕
than
〕 
〕 
〕 
〕 
〕 
〕 
say
〔s〕
〔s〕
〔s〕
〔s〕
〔s〕
〔s〕
zoo
〔z〕
〔z〕
〔z〕
〔z〕
〔z〕
〔z〕
show
〔∫〕
〔∫〕
〔∫〕
〔∫〕
〔sh〕
〕 
azure
〕 
〕 
〕 
〕 
〔zh〕
〕 
how
〔h〕
〔h〕
〔h〕
〔h〕
〔h〕
〔h〕
church
〔t∫〕
〔t∫〕
〔t∫〕
〔t∫〕
〔ch〕
〕 
judge
〕 
〕 
〕 
〕 
〔j〕
〔j〕
mum
〔m〕
〔m〕
〔m〕
〔m〕
〔m〕
〔m〕
nun
〔n〕
〔n〕
〔n〕
〔n〕
〔n〕
〔n〕
king
〕 
〕 
〕 
〕 
〔ng〕
〕 
lull
〔l〕
〔l〕
〔l〕
〔l〕
〔l〕
〔l〕
way
〔w〕
〔w〕
〔w〕
〔w〕
〔w〕
〔w〕
whale
〔hw〕
〔hw〕
〔hw〕
〔hw〕
〔hw〕
〔hw〕
yet
〔j〕
〔j〕
〔j〕
〔j〕
〔y〕
〔j〕
rate
〔r〕
〔r〕
〔r〕
〔r〕
〔r〕
〔r〕

Table Ⅱ Vowel Symbols


bee
〕 

〔ii〕
〕 
〔i〕
〕 
〔ij〕
pity
〔i〕
〔i〕
〔i〕
〔i〕
〔i〕
〔i〕
bed
〔e〕
〔e〕
〔e〕
〔ε〕
〔e〕
〔e〕
bad
〕 
〔a〕
〕 
〕 
〔a〕
〔ε〕
palm
〕 

〔aa〕
〕 
〔a〕
〕 
〕 
watch(S.B.)
〔o〕
〔o〕
〕 
〕 
〔o〕
〕 
—(G.A.)
〔a〕
〔a〕
〔a〕
〔o〕
〔a〕
paw
〕 

〔oo〕
〕 
〕 
〕 
〕 
lord(S.B.)
〕 

〔oo〕
〕 
〕 
〕 
〕 
—(G.A.)
〕 
〕 
〕 
〕 
〕 
full
〔u〕
〔u〕
〔u〕
〔u〕
〕 
〔u〕
fool
〕 

〔uu〕
〕 
〔u〕
〕 
〔uw〕
bird(S.B.)
〕 
〕 
〕 
〕 
〕 
—(G.A.)
〕 
〔—〕
〕 
〕 
〕 
mother(S.B.)
〕 
〕 
〕 
〕 
〕 
〕 
—(G.A.)
〕 
〔—〕
〕 
〕 
〕 
cut
〕 
〔∧〕
〔∧〕
〔∧〕
〔u〕
〔∧〕
〔o〕(also for G.A.)
pay
〔ei〕
〔ei〕
〔ei〕
〔e〕
〕 
〔ej〕
by
〔ai〕
〔ai〕
〔ai〕
〔ai〕
〔i〕
〔aj〕
boy
〔oi〕
〔oi〕
〕 
〕 
〔oi〕
〕 
now
〔au〕
〔au〕
〔au〕
〔au〕
〔ou〕
〔aw〕
go
〔ou〕
〔ou〕
〔ou〕
〔o〕
〕 
〔ow〕
ear(S.B.)
〕 
〕 
〕 
〕 
〕 
〕 
—(G.A.)
〕 
〔—〕
〔ir〕
〕 
〔ijr〕
air(S.B.)
〕 
〕 
〕 
〕 
〕 
〕 
—(G.A.)
〕 
〔—〕
〕 
〔ar〕
〔ejr〕
four(S.B.)
〕 
〔O:〕
〕 
〕 
〕 
〕 
〕 
〕 
—(G.A.)
〕 
〔—〕
〕 
〕 
〔owr〕
poor(S.B.)
〕 
〕 
〕 
〕 
〕 
〕 
—(G.A.)
〕 
〔—〕
〔ur〕
〕 
〔uwr〕
art(S.B.)
〔a:〕
〔a:〕
〔aa〕
〔a:〕
〔a:〕
〕 
〕 
—(G.A.)
〕 
〔—〕
〔ar〕
〕 
〔ar〕

 

 「南部英語」(S.B.と略す)という用語は,ロンドンを含めて南部イングランドに住む教育ある人々の間に最も普通に話されている種類の英語を示すのに用いられる。それは少なくともイギリスでは最も地方的な特質を含まない英語である。またそれは大英国の他の人々も学ぼうと努力してよい英語である。南部英語のだいたいの地理的区域は Fuhrken(注7)によると,Warwick から東に一本線を引き,もう一つの線を南に引いた線によって示すことができる。

 Daniel Jones, Engish Pronouncing Dictionaryをはじめとして,イギリスで発行されたたいていの辞書はこの種の発音を記載している。Jones はその発音辞典に記録している発音が,「public school で教育をうけた南部イングランドの人々の家庭で日常最も普通に聞かれる」種類の発音であると信ずると言っている。‘public school’というのは,イギリスでは特殊な意味に用いられている。しかしそのような発音は,この種の人々ばかりでなく,その他の人々によっても用いられている。

 

 「一般米語」(G.A.と略す)という用語は,アメリカ合衆国の領土のほぼ5分の4ぐらいにひろがり,全人口の3分の2からなる人々によって最も普通に用いられている種類の英語を示すのに用いられる。地理的には A.C.Baugh によれば,中部大西洋諸州,すなわち New Jersey, Penusylvania および Hudson 川の西の New York 州全部を含む地域,昔の北西部諸州(Ohio, Indiana, Illinois, Michigan および Wisconsin),Mississippi 川の西の地域の大部分およびその他のいくつかの川を含んでいる。(注8)

 Webster 著 International Dictionary of the English Language (第2版)をはじめ,アメリカ合衆国で最近発行されたたいていの辞書はこの種のアメリ力英語の発音を記載している。Kenyon および Knott 共著のPronouncing Dictionary of American English (G.& C. Merriam Co., Springfield, Mass.,1944)には初めに一般米語の発音(北部米語と呼んでいる)を示し,もし他の地域の変種があれば,それらを次に示している。R.h. Gerhard は一般米語の発音について次のように言っている。

 「アメリカの英語はイギリスの英語に比して,はるかに広い地域に用いられているので,イギリスの英語に見られるような容易に示しうる単一な標準がありえないことが理解される。しかしこのような標準に最も近いものは『一般米語』の発音と普通に呼ばれているものである。」(注9)

  [備考]前表に示した記号は次のものによった。

 上記の一覧表を作るに際しては,特にその一つを推薦する意図をもっていない。しかし従来日本にも外国にも標準的な表記法が制定されていないことは残念である。やがてすべての辞書や教科書の編集者が用いるような統一された理想的発音記号ができることが望まれる。以下の記述においては,かりに第1類の記号を用いることとする。それは不必要な混乱をさけるためであり,また簡易化表記の必要をとなえる声が多いからでもある。

 

1.母  音

 母音は口腔(こう)内に作られる共鳴のぐあいによって差異が生じる。そしてこの共鳴のしかたは,主として母音を発音するときの口腔の形によって変化する。母音を,示す図形では,各母音の「位置」はそれを発音するときの舌の最高点が口腔内で占めるだいたいの位置を示すものである。英語のすべての母音は有声音である。日本語では「しかし」のように無声子音の前後で母音が無声化することが多いが,英語ではそのような場合に母音を無声化しないように注意しなければならない。

 

① 鼻 腔(こう) ② くちびる    ③ 歯ぐき

④ 硬 蓋(がい) ⑤ 軟 蓋     ⑥ 口 腔

⑦ 舌 先    ⑧ 前 舌     ⑨ 後 舌

⑩ 舌      ⑪ 咽(いん)頭   ⑫ 喉(こう)頭

⑬ 声 帯

        英語の短母音

 

2.子  音

 子音は発音にあずかる発音器官の部分とその働き方によって区別を生ずるものである。また息だけで発音するもの(すなわち「無声音」)と,いきと同時に声帯を振動させて発音するもの(すなわち「有声音」)とに区別することができる。どのような子音においても,英語の子音はそのあとに母音をつけないで発音できるようになることがたいせつである。また英語の習慣に従って子音と子音を続けて発音できるようになることもたいせつである。

  1.アクセントの示し方

「アクセントとはある音または音節を発音するときの強さの程度をいう。」(注11)多音節語においては通例アクセントに多くの度合が区別される。たとえばabilityという単語では,最も強いアクセントは第二音節にあり,最も弱いアクセントは第三音節にあり,それについで弱いアクセントは第一音節ある。これを数字で示すと,1が最も強く2が次に強いことにしてabilityは〔3─1─4─2〕のアクセントをもつといえよう。しかし実用のためには,このような細かな区別は不必要である。学生が単語を学ぶときに知りたいと思うのは,どの音節におもなアクセントがあるかということである。二つのアクセントをもつ単語は「グブル・アクセント」をもつという。時には強さの程度を三段階に区別して「主アクセント」「副アクセント」「アクセントなし」ということがある。たとえばexaminationという語の音節は「アクセントなし」「副アクセント」「アクセントなし」「主アクセント」「アクセントなし」のように構成されているという。

 発音転写においてアクセントを表示する一つの方法は,主アクセントに対して[´]を,副アクセントに対して[、]をつけるか,または主アクセントに対して[´]を,副アクセントに対して[、]をつけるかである。たとえばabilityはまたはとし,examinationはまたはとする。強音節の前に垂直線をつけるのは欧米のたいていの音声学者の習慣である。

 日本では以前から別のアクセント表示法が行われている。すなわち主アクセントに対しては[´]を,副アクセントに対しては[`]を,それぞれ強音節の母音の上につける方法が行われている。(注12)強勢の中心は常に母音の上にあるという事実から,また強勢は子音の途中から始まって,どこで音節を区別すべきかわからないような場合もあるという事実(注13)から,この表示法でよいといえる。なお重母音においては,初めの音の上につけることになっている。英語では重母音の第一要素は常に第二要素よりも強く発音されるからである。たとえば

 以上の他にもアクセントの表示法がある。Webster の表示法は,アクセントのある音節の前でなく,後に,主アクセントには[´]を,副アクセントには[`]をつける。アクセントの表示法に二つの正反対の位置を用いることはまぎらわしい。また強勢母音または音節に下線を引いたり,円で囲んだりすることも,アクセントをはっきり示す方法としてあげてよかろう。

 

 

2.単語のアクセントと文のアクセント

 英語のすべての単語は,単音節語でも,複音節語でも,それが単独に発音される場合には,強勢音節を少なくとも一つはもっている。たいていの辞書には単音節語にはアクセント符をつけていないが,それは単音節語には強勢がないという意味ではない。単語を独立に発音したときに聞かれる強勢を「単語のアクセント」と呼ぶ。

 英語の単語のもつアクセントは非常にたいせつなものである。それは簡単な規則で学ぶことができない。多くの場合アクセントの位置についての規則はない。たとえ規則を定めることができても,普通は多くの例外がある。それゆえ,個々の単語についてアクセントを学ぶことが必要である。

 単語が連なっている場合には,単語を個々に発音する場合と同じようには発音しない。ある語は全然アクセントをなくしてしまい,ある語は多少本来のアクセントを保存する。一般的にいって,連なっている単語の比較的の強さは,その単語の意味の比較的な重要さによってきまる。単語が重要であればあるほど強く発音される。通例,重要な意味を伝える単語は,いわゆる「内容語」すなわち,次の7種類である。

 通例,重要な意味をもたない語は「機能語」と呼ばれ,次の6種類である。  文のアクセントは決してすべての文脈に固定したものではない。話す人の注意が文脈に応じて移動するので,機能語といえども文のアクセントをもつことがある。

 例は英文参照。

 

3.イントネーションの本質

 イントネーションとは「連続することばにおける声の高低変化」をいう。(注15)

 いかなる国語もそれぞれ特有の調子,独特の音調,または近ごろの音声学の術語でいえば,「イントネーションの型」または「イントネーションの輪郭」(注16)というものをもっている。もし一つの国語を他の国語のイントネーションで話したならば,理解しにくくなったり,少なくとも聞きなれない感じ,不自然な感じを与えることになる。多くの国語では,特に英語では,イントネーションはいろいろ微妙な意味を添えるたいせつな役割をもっている。それは用いられた語句の辞書的な意味に対する話す人の態度を示すものである。

 日本語などのような音調語では,イントネーションは単語に固定している。たとえば,標準的な日本語で「橋」はどんな文脈中にあっても,最初の音節を低く発音し,後の音節を高く発音するが,「箸(はし)」はいつも最初の音節を高く発音し,後の音節を低く発音する。これに反して英語などのような強弱語では,イントネーションは決して文脈の中にある単語に固定していない。すなわち,文脈にしたがって自由に変化する。たとえばpencilという単語は“I have a pencil.”(普通の断定文)においては,文脈から切り離して言うときと同じように,最初の音節を高く(強くいうのと同時に)言うのであるが,“Have you a pencil?”(普通の疑問文)では,同じ単語の最初の音節は低く(強くいうのと同時に)いうのである。時には調子の変化(高い調子から低い調子になる場合にも,その逆の場合にも)は顕著であり,また時にはわずかである。また時には単なるしり上がり,しり下がりでなく,もっと複雑な形をとることもある。

 

 

4.イントネーションの表示法

 音声学者がかなり苦心している問題の一つは,イントネーションを実用的に表示するのにはどうすればよいかということである。理想としては,書きやすく,印刷しやすく,読みやすくなければならない。しかし,今日までのところ理想的な方法は発明されていない。

 次に示そうとする例は,いろいろな音声学者が考案した表示法の中,よく知られているもののいくつかである。それらはだいたい年代順に古いものからあげているが,あらゆる種類をあげつくしてもいなければ,正確な配列を行ってもいない。

 Henry Sweet(注17)は一つの方法を考案した。それは疑問文に聞かれるような上昇調を[´]で示して,たとえば´What?とする。疑問文に対する答に用いられるような下降調を[`]で示して,たとえばNo!とする。下降上昇調は[]で示し,たとえばTakecare!とする。また上昇下降調は[]で示し,たとえば皮肉の気持を含む感嘆詞をOh!とする。これらのイントネーション符はその音調をとることばの前につけた。文全体を示す音調である場合は,文の末尾につけた。もしイントネーション符が何もついていなければ,コンマや疑問符は上昇調を意味し,コロンやセミコロンは下降調を意味した。

 その後Daniel Jones(注18)は音楽の五線紙にことばの曲線を描くことによってイントネーションは絶えず動いていることを示した。Jonesは蓄音機にレコードをかけて,音節ごとに針をあげ,聞こえる音調を調べて,これらの曲線を得た。たとえば“Then he'll be here by twelve, and we'll have the service at a quarter past.”という文は次のように記録した。(注19)

 

 例は英文参照。  H.O. Coleman は Jones の曲線から暗示を得て,かれのいわゆる数字表示法(注20)を考案した。かれは音調の変化を9段階に区分して,おのおの音節に1—9の数字の一つまたは数個をあてた。かれはこの表示法を,めいりょうであり,じゅうぶんに正確であり,印刷上の困難もないものと考えた。その論文から少し例を改作して示そう。

 例は英文参照。

 Harold E.Palmerは1922年にそのEnglish Intonation(注21)の中で,文は一音節またはそれ以上よりなるいくつかの部分にわけ,その各部分が全体の音調を構成するそれ自身のイントネーションをもつことを示した。これらの部分はイントネーションの「核心」「頭」「尾」と名づけられた。「頭」に対しては水平または傾斜をなす線を用い,「核心」に対しては5,6種の矢印を用いて,Palmer は英語のイントネーションの多くの変種を記述することに成功した。そして,その符号は印刷に便利なものであった。その後(注22)1933年に同じ著者は最も役にたつイントネーションの型を6種選んで,それらをCascade(爆布型)Dive,(突込み型),Ski-jump(スキー・ジャンプ型),Wave(波型),Snake(へび型),Swan(白鳥型)と名ずけた。次に示す例は,後のほうの著作から引用した例である。

 

 例は英文参照。  Palmer の表示法については次の諸点に注意しなければならない。印のついていない文頭の音節や単語は中くらいの調子をもつ。また[→]または[]で示された下降調はその印のあとの強勢音節だけに現われ,その音節は,全部低い調子のまま継続される。また[‾]およびのあたまの部分の音調と[],[],[]の上昇調および下降上昇調の音調は,その印のあとにくる全部の音節に配分せられる。

 Plmer のEnglish Intonation が出た同じ年にWalter Ripmanはイントネーション符のついた資料を発表した。(注23)この表記法は前記H.O.Coleman のものに似ているが,その用いた数字は大部分1ないし3であって,4と5は,ごくまれにしかない。このRipman の表記法は英語のイントネーションを4段階に分析できることを示すものと見てよいであろう。かれの取り扱った文例は次に示すようなものである。

 例は英文参照。

 1926年にLillias E. Armstrong とIda C. Wardが従来のものとはまったく趣を異にする研究を発表したが,(注24)この研究は学界に大きな貢献をしたものである。この表記法は後にDaniel JonesのOutline of English Phonetics (1933年第3版)およびMaria SchubigerのRole of Intonation in Spoken English,Cambridge, 1935その他にも採用された。これらの人々は高い調子と低い調子を示す2本の線または中間の線を加えて3本の線の間に点と曲線を用いて一々の音節の音調を示し,また英語のイントネーションの基本的型式を2種に大別し,それぞれのおもな変種をあげた。次に示す例はJonesのOutline of English Phonetics (注25)第3章から採ったものである。

 例は英文参照。

 この表記法では大きいほうの点はアクセントのある音節に用いられていることに注意すべきである。

 最後に,最も新しい重要な研究で,Kenneth L. Pikeがアメリカ英語について行ったものをあげなければならない。(注26)かれはこの問題をいわばフオーニーム的な立場で研究し,イントネーションのさまざまな型のうち,外国の学生のために最も実用に役だち簡単に学ぶことのできるいくつかを選んだ。かれは,アメリカ英語のたいせつな音調を段階に区分できると考える。すなわち,

 実際のことばでは常に調子がいくぶん変化する。しかしこのような変化は重要ではない,すなわち言語的にはあまり意味をもたない。重要なのは音調が大きく変化する部分である。(注27)  Pikeはイントネーションを二とおりに表記しいる。一つは線を用いるもので,たとえば,

 例は英文参照。

もう一つは数字を用いるもので,たとえば,

 例は英文参照。

[°]の記号はその音節のところで「主要輪郭」すなわちPalmerなどのいわゆるイントネーションの核心が始まることを示している。数字の前または後のハイフェンは,その高さは一つの輪郭の一部分をなしていて,その前または後の音調と組み合わされることを示している。

 英語を外国語として指導する必要から,Pikeはの主要輪郭を選択した。

 これら四つの輪郭のどれにも,その前に3—の音調がつくこともある。次の例は以上の選択された輪郭を示すものである。

 例は英文参照。

 〔注意〕 線の表記法で,斜めの上下線はその音節内で音調が上昇または下降することを示す。数字の表記法で,1本の斜線はことばの切れ目を示し,2本の斜線は文の終結を示す。

 

5.いろいろなイントネーション表記法の比較表

 一つにはこの章のまとめとして,また一つには同一の音調変化に対する種々の表記法を比較するために,下降調と上昇調の文を一つずつ選んで,イントネーション符をつけ,一覧に便利なようにしておく。

〔注意〕上記の人々が共通に取り扱っている文を見つけ出すことができないので,ここには,それらの人々がつけたであろうと想像されるものを作ってみた。

 

6.いわゆる英米イントネーションの比較

 イギリスとアメリカのイントネーションの習慣の間には,相当の差異のあることは確かである。しかし両者の比較研究はほとんど行われてこなかった。また両者の比較ということは,とりわけ現在ではアメリカのイントネーションに関する文献が少ないので,容易な仕事ではない。

 英語と米語のイントネーションの型は,本質的には大差がないということは指摘されている。(注28)このことは,差異はあっても,「意義的」なすなわち意味に違いを生ずるほど重要なものはないということである。言い換えると英米のイントネーションの習慣は,いずれの国にも互に理解できるものである。

 多くの学者によって指摘されている一つの差異は,アメリカ英語ではイントネーションの高低の差がイギリス英語ほどに大きくはない。特に高い調子がイギリス英語のものよりも低いということである。これがアメリカ英語が,イギリス英語よりも,われわれの耳に単調に聞える理由の一つである。

 よく指摘されるもう一つの差異は,アメリカ英語では,主要輪郭の前の部分(precontour)すなわち語句の強勢をもたない頭の部分は,通常は中位または低位の調子を保ち,イギリス英語によく見られるような高い調子になることは非常にまれであるということである。H.E. Palmerがイギリス英語で高い調子の「頭」をもつといっている型(瀑布型と波型)は,アメリカ英語では通例はずっと低い─またしばしばもっと弱い力の調子で置き換えられるということができる。(注29)たとえば,

 例は英文参照。

   同様にPalmerの高い「頭」をもった「スキー・ジャンプ型」と「へび型」も,普通のアメリカのことばには用いられないようである。たとえば,

 例は英文参照。

 第三の差異としてあげうることは,イギリスのことばでは調子の変化は,特に主要輪郭においては,通例,推移すなわち継続的な上昇または下降をなして進行するが,アメリカのことばでは,主要輪郭が2音節以上の語または語句に現われる場合に,通例,跳躍または段階をなして進行することである。たとえば,

 例は英文参照。

 以上はいわゆるイギリス英語とアメリカ英語に多少とも顕著な特性をいくつか述べたのであるが,この二種の英語は大西洋によってはっきりとわかたれているというような速断を下すことは戒めなければならない。いずれの種類のイントネーションもそれぞれの国内に用いられているのである。

 

7.アクセントおよびイントネーション符をつけた文例

 

 Ⅳ.連音に関するその他の諸問題

1.音の長さ

 音の長さ,すなわち音が発音の時に占める時間の長さは,通例は発音の前後関係によって異なるものである。訓練された耳はその長さを多くの種類に区別することができるけれども,実用の目的には,長いものと短いものとの二種類に区別すればじゅうぶんである。その中間の種類を区別することが望ましい場合には,この中間の種類を「半長」と呼んでよい。(注30)

 

2.音の連接と語の連結

 音は通常は,連なった音声において近接する他の音に多かれ少なかれ影響されるものである。一つのフォーニームに属する変種を生ずるおもな素因は近接する音の性質にある。このことは次の数節中に例証されるであろう。音は,単語の中においても単語と単語との連接においても,二つ以上続けて発音される場合に,互に近接する音の間で影響し合うものである。音はまた単語中の位置により,発音のアクセントの程度により,またその他の理由によって影響を受ける。音にアクセントがない場合は舌の緊張がゆるむ。そのために音の変化が生ずるのである。

 

3.リズムと文のアクセントとの関係

 英語の連続したことばにおいては,アクセントの規則的なリズムに対する強い傾向が見られる。そのために,単語や音節のアクセントのつけ方が,普通の場合と異なることがある。次にそのおもなものをあげる。

4.単語の強形と弱形

 非常によく用いられ,その大部分は一音節よりなる英語のいくつかの単語は2種またはそれ以上の形に発音される。実際の発音にどの形を用いるかは,文中の位置,リズム関係,その他の原因によって定まる。これらの単語の一つの形を「強形」と呼び,他の形を「弱形」と呼ぶ。次の一覧表にはこれらのうち最もたいせつな約50語を示した。

 単語の強形とは,その単語をとりだして言う場合に普通に用いられる発音である。この形は,連続することばの中で,その語にアクセントのある場合に用いられる。たとえアクセントがなくても,ときどき気息群すなわちひと息にいわれる語群の初めや終りに用いられる。たとえば,

 例は英文参照。

 単語の弱形はアクセントのない位置にだけ用いられる。自然なことばではこれらの普通の単語の弱形はその強形よりも,はるかにひんぱんに用いられる。朗読体というものは,自然なことばよりも,はるかにおそいものであるが,やはり弱形を用いるほうが,強形ばかりを用いるよりも,一般に正常な感じを与える。

 これらの語の多くは,その弱形は南部英語では[]を,一般米語では[](またはつづり字にrを含む場合は[])をもっている。次に示す単語はこの種類に属するおもなものである。

 a,am ,and ,are ,as ,at ,can ,do,(子音の前),for ,from ,had ,has ,have ,of ,sir ,than ,that ,the (子音の前),them ,to (子音の前),was ,we (詳細は次の表を見よ。)

 いくつかの単語は,強形にはを,弱形には[i]をもっている。たとえばthe []は母音の前では,the others []のように[]という弱形をとる。次の単語はこの類に属するおもなものである。

 Be ,been ,he ,me ,she ,the (母音の前,時には[j]前にも),we beenの強形は一般米語では通例短く[bin]と発音される。

 二三の単語は,強形にはを,弱形には[u]をもっている。たとえばsomething to eat  のto は弱形[tu]をとる。この種のおもな単語は次の三つである。

 Do (母音および[w]の前),to (母音の前と気息群の初めに),you 弱形のうちには,母音をまったく含まないものもある。たとえばHow do you do ?の初めのdoがそれである。この類に属するおもな単語は次のとおりである。

am ,and ,do ,had ,has ,have ,is ,not ,Saint ,shall ,should us will ,would.

 

5.単語の強形弱形一覧表

 例は英文参照。