六 読むことの学習指導

 

 ローマ字の学習指導は、ローマ字教育が国語教育の一環として行われるかぎり、国語科の学習指導の原則によるべきものである。したがって、ローマ字文を読むことの学習指導も、話すこと、聞くこと、書くことなどとの有機的なつながりの中で、行われなければならない。特に、ローマ字は、その簡単な文字組織さえ知っていれば、どんな文でも読むことができるから、読み方の学習指導には重要な使命がある。

1 調査・研究のための読書、教養・娯楽のための読書の場合にも、ローマ字文の資料の利用ができ、しかも、漢字の負担がないから、やや高い程度の内容のものでも読むことができる。

2 読むことの技術としてはいろいろあるが、ローマ字学習においては、すらすらと読めるようになることがたいせつである。すらすらと読むことによって、多くのものを読み、理解を深め、正確に批判し、思想を向上させていくことができる。ローマ字文の読みの速さを増すには、一目見て語形で意味のとれることばの数をだんだん多くし、また、瞬間に読みとる範囲を広げていく。

 内容のわかりやすい文をはじめて読む場合には、一分間百五十語以上の速さで容易に読めるように指導する。

3 読解力を高めるために、特に注意すべきことは次のようである。

(1) ローマ字文には独得の符号の使い方がある。この符号を理解することによって、内容を速くたやすく読みうる能力を高めるようにする。

(2) ローマ字文では漢字を媒介とすることなく、音を聞いてすぐにその意味がとれることが必要である。特に抽象的な語を理解するには、それがどんな場合に使われているか、何をさしているかをじゅうぶんに理解する必要がある。

(3) 文の基本的構成、修飾的語句の位置、句の接続関係をはっきり理解するようにする。