第九章 中学校の国語科におけるローマ字の学習指導

 

まえがき

 

 国語教育としてのローマ字教育は、従来の、中等教育ではほとんど行われていなかった。しかし、以前と比べてローマ字がわが国の現在および将来に対して持っている意義は、はなはだしく変ってきた。現在、社会一般にローマ字の使用が行きわたっているとは言えないが、将来その使用範囲はもっと広まっていくものと思われる。したがって、現在、学校教育の中で、ローマ字の学習指導を行うことは重要な意義を持っている。

 ローマ字の基礎的能力は小学校で養われるから、中学校ではさらに進んで、その読み書きの能力を高め、日常生活に応用する範囲を広くし、そうして、国語・国字の問題についても関心を持たせるように指導すべきである。

 この章は、これから国語教育の一環としてローマ字の学習指導を行おうとする人たちのために特に設けられたものである。