五 漢文学習指導の段階

 

 漢文学習の目標に対する学習活動は、次のような段階に従って行われる。

(一) 中学校

1 漢字・漢語、漢文口調の言語・文章など、漢文学習の基礎となるような学習をしだいに高めていく。

2 特に単元を設けて、語いを豊富にし、表現形式を簡潔にするなど、国語の理解、使用に役だつ漢文的な知識や技術を身につける。

3 社会科などの学習において、東洋文化の内容に触れることがしだいに多くなるから、これらの学習に伴って、漢文への興味・関心を深めていく。

 この点から考えて、次のようなことが要求される。

1 漢和字書が活用できる。

2 漢字・漢語の使用法を身につける。

3 漢文口調の文章が読める。

4 日本人に親しまれている漢詩がだいたいわかる。

5 日本人がよく使う格言・故事の意味がわかる。

6 漢字・漢語・漢文の国語・国文学や日本文化に及ぼした影響を理解する。

(二) 高等学校

1 中学校での漢文的なものの学習をさらに発展させて、われわれの生活の中に現れてくる漢文で書かれた古典や詩文などを学び、文学の鑑賞に役だて、生活を豊かにする。

2 漢文の原文を学習する場合には、生徒は自分たちの興味と能力とに応じて、さらに漢文の特質を理解し、それによって、その読解能力を高める。

3 東洋古来の文化と隣邦への理解と関心とを深めて、わが国古今の文化を正しく評価できるようにする。

 この点から考えて、次のようなことが要求される。

1 訓点のつけ方がわかる。

2 訓点のついた漢文が読める。

3 漢語・漢文の構造がわかる。

4 漢文の文体や漢詩の形がだいたいわかる。

5 漢文の文章や詩の鑑賞ができる。

6 漢語・漢文が国語・国文学に及ぼした影響を正しく理解する。

7 漢語・漢文がわが文化に及ぼした影響を正しく理解する。