生徒は学習の資料に、課外の読み物に、文学書や古典を読む場合が多い。それらの中には、漢文的語いは、日常生活において触れる文字の中よりもはるかに多く使われている。中には、漢詩・漢文を引用したり、書き下したり、翻訳したり、翻案したりしたものもかなり多い。西洋文芸の訳本には、漢語がかなりはいっているものである。
家庭・社寺などの掛物・額・聯(れん)などには、漢詩・漢文が書かれていることが多く、書道展・博物館・陳列館などを見にゆけば、必ず漢詩・漢文の内容に触れる機会がある。
生徒の家の中には、漢文で書かれた書物もあろうし、本文は国語で書かれていても、序文や題詞が漢文であるものもあろう。石碑・墓誌などは漢文で書かれたものが多く、社寺の蔵書・古文書、郷土の偉人の伝記なども漢文体のものが多い。
生徒は日常生活において漢字・漢語・漢文に接する機会が少なくないし、習字・書道の学習や、社会科特に郷土研究の場合などには、そのような機会が多いのであるから、漢語・漢文の構成上の特質などをよく説明し、漢和字書の引き方を学習させ、国語学習の効果を増すようにする一方、教師みずからが漢文に理解と興味とを持たなければならない。
漢文体の文章はもとは外国の古典であるから、生徒の興味と理解とを増すには特別な計画が必要である。むずかしいからといっても、高等学校の生徒の思想内容はかなり発達しているのであるから、資料は、つとめて、形式はやさしくて、内容は深いものを選ぶ必要がある。朗読・朗吟も時には試みるのがよい。各時代・各作家の詩文を選んで学習することはもちろんよいが、学習の効果を得られるのならば、一つの丸本(選本でないもの)、ひとりの作品集を資料に用いてもよい。必ずしも原形漢文だけによらずに、書き下し文、かなまじり文のものを使ってもよい。
四書・詩経・礼記・左伝など。
2 史書
二十四史・国策・資冶通鑑・十八史略など。
3 子書
荘子・荀子・韓非子・説苑など。
4 名家の散文
八家文・やさしい駢(べん)文など。
5 伝奇小説
6 その他の散文
蒙求・小学・近思録・日記故事など。
7 古今の有名な詩
日本書紀・大日本史・近古史談など。
2 名家の文章
3 その他の散文
慎思録・言志録など。
4 漢詩
5 漢字ばかりで書かれたもの
古事記・風土記・吾妻鏡・明月記・往来ものなど。
2 漢文口調の詩文
2 漢文学習の背景をなす国語で書かれた文