四 文法学習指導の段階

 

〔中学校〕  中学校では、すでに小学校で習得してきた知識と能力とを整理しながら、次のような事項について基礎的理解を持たせる。 (一) 地域と言語。

(二) 社会と言語。

(三) ことばの移り変り。

(四) 言語表現のいろいろ。

 そうして、中学校初級では、前に内容として掲げた具体的な諸事項について理解させ、その能力を増すようにする。すなわち、 (一) 文の組み立て。

 首尾の整わない文、断続のはっきりしない文を見分ける。

 文は部分に分けられるということがわかり、文の成分としての主部と述部とを見分ける。

 こみいった主語と述語を見分ける。主語を用いない文があることに注意する。

 主部と述部、それぞれの中心語・修飾語、接続する語などに分けて、文の意味をはっきりさせる。

(二) ひとつづきのこみいった考えをまとめ、二つ三つの文をつないで一つの長い文とする。

 適当に句を結びつけて一つの文とする。

 いろいろの接続語を使う。

 単文と重文・複文などを見分ける。

 節と句の構造をさとる。

 くぎり符号を使って、わかりやすくする。

(三) 語の用法と意味。

 語の使い方を分類組織し、各品詞の役目を見分ける。

(四) むだなくり返しを省き、紛れやすいことばを除く。

 中学校上級では、特に次のような事項を理解させ、その能力をさらに増す。 (一) 筋のとおった話の進め方。

 一つの文章には、何か一つの主題が述べられている。その主題を中心として、話の進め方、文章の骨組、文章の段落などを明らかにする。

(二) ことばの効果的な使い方。

 意味を強めるために、口調をかえたり、また、文の構造に変化を与えて、人をひきつけるようなこばづかいとする。

 特に話のきっかけに注意する。

(三) わかち書きをしたり、段落のくぎりを示すような書き表わし方に注意する。

〔高等学校〕
 高等学校では、今までに学習した文法のすべてについて復習し、その知識と能力とを確かにし、これを深めていくとともに、さらに、体系的にことばの構造を明らかにする。

 言語と思考、言語と社会、外国語との比較、ことばの持つ使命などの事がらについても理解させるようにする。

 また、学習した古典から文例を求めて文語法の大要を知らせる。そうして今のことばと、昔のことばを照し合わせることができるようにする。