(二) 高等学校生徒の書く経験には、どんな種類があるか

〔ひとの話を聞いて書く場合で、聞くことと結びついている。〕

 講義をノートする、講演の要点を筆記するなどの場合で、正しく聞き取ることと速く書くことが必要になる。

〔文章を見て書く場合で、読むことと結びついている。〕

 文章の必要な箇所を書き抜いたり、書式を見ながら願書・届書を書いたりする場合で、読むことのほうが主になっている場合である。

 研究・調査の過程において、あるいは読書をより効果的にするために、あるいは生活上の必要から、読むことと書くこととが結びついている場合がたびたびある。

〔相手に読んでもらうために、あるいは自己を表現するために、自分のことばを書く場合で、書くことの本質的な面である。〕

 実用的なものと創作的なものとの二種がある。また、まったく自分のことばをつづるものと、慣用文句をそのまま書くものとの間に、広い幅が考えられる。従来の作文は、この中にはいるけれども、生活上のいろいろな場合を広く考えていなかった。(第二章四の(二)参照)

 小字を速く書くに適しない毛筆は、右の第一の場合には、まったく用をなさない。しかし、第二、第三の場合には、毛筆の必要なこともある。