(六) 学習指導上の注意

 一般的な注意としては、

1 声量、声の性質・調子など、個人個人の長短を明らかにし、その長所を助長することに努める一方、その短所の治療を急いではいけない。自分で反省するように導いて、みずから直させるようにする。

2 ふめいりょうな発言、終りのはっきりしない発言をさせないようにする。みんなが了解するまで、二度でも三度でもくり返させる。また、姿勢を正して、堂々と発言させるようにする。

3 自分の発言に責任を持たせる。実行すべき性質のものについては、最後まで見とどける。

4 必要の場に立たせるようにする。必要の場に立たされ、責任を持たされれば、口の重いものでも発言する。

5 話合いでは、落伍者のないように、それぞれに発言させるようにする。また、発言を特定の者に独占させてはならない。

6 まとまった独話の場合には、じゅうぶんの準備を整えさせる。材料を豊かに用意し、相当の練習を積んで自信を持って臨ませるようにする。失敗しないように援助して、話し終った喜びと、話しうる自信とを持たせるようにする。

7 詳しい評価の基準を設け、互に批評し合う機会を多くする。自分の長短を考慮した各自の評価用紙を持たせることが望ましい。

8 話すこととつづることとは本質的に相似たところがあるのであるから、ことばを選ぶこと、文の構成に気をつけること、順序だて、筋道をつけること、個性の豊かな話をすることなど、話すことの学習がつづることの学習にそのまま役だつようにする。

9 無用な感動詞や接続詞を無くし、むだを無くするようにさせる。同時に、ひとりがてんや言い足りないところがないようにさせる。

10 特別教育活動の諸会合を話すことの学習に役だてる。話す経験が話す力を伸ばすことを自覚させ、進んで話す機会を持たせるようにする。相手がどのように聞いているかを絶えず観察しながら話し、臨機に話し方を変えたり変化のある話をするようにさせる。

11 もしできれば、すべての生徒の声を録音して、自分自身の声を聞かせる。そしてことばの調子・アクセント・声量などの欠陥を直す練習をさせる。

 成人の社会に仲間入りして、青年らしく率直に、かつ相手に好感を与えるような話し方を身につけさせたいものである。