(四) 具体的目標  聞く力の実際は、容易にはつかめない。そのときどきの身体的、精神的条件に支配されることも多く、その場のふんい気が大きく影響する、長い話を聞いて、これを理解するためには、記憶の力によることが多い。したがって、注意を集中し、持続することのいかんが決定的なものになる。聞くことの好ましい習慣や態度は、学年が進むにつれてしだいにできてくるが、これを学年別にはっきり決めることはむずかしい。聞く力は、読む力と同様に個人差の幅がはなはだしいことが予想される。その学校、その学級に即した具体的目標を立て、全体として、聞く力の基盤である習慣・態度をよりよくして行くとともに、個人的な指導がじゅうぶんに行われることが望ましい。 1 会議に出席して、よくその場に適応するように聞く。

2 話す人の立場を理解して聞き、その気持や真意を聞き分ける。

3 終りまですなおに聞き、途中で発言したりしない。

4 報告を聞いて、順序や筋道を理解する。

5 研究発表を批判的に聞く。

6 適当な長さの講義・講演・演説を、注意を持続して聞く。

7 大意や要旨や重要な箇所を聞き取って、メモができる。

8 足りないところを補ったり、実際の様子を描きながら聞く。

9 せりおふのおもしろさ・美しさがわかる。

10 朗読の美しさが味わえる。

11 ラジオを聞いて、その場面を描くことができる。

12 話合いで、友人の意見の異同や正誤を聞き分ける。

13 司会者の意図を聞き取り、ただちに協力ができる。

14 映画の場面や会話の進行の妙味がわかる。

15 電話や放送の話の要点をはっきりつかむ。

16 意見発表を聞いて、論旨の発展や、根拠と結論との関係がしっかりつかめる。

17 劇や映画の正しい鑑賞ができ、よいものと悪いものとの区別ができる。

18 話合いで、他人の意見に対して自分の意見をまとめながら聞く。

19 話す人の意見を引き出しながら聞く。