(五) 各学年の学習指導上の注意
第一学年
1 社交的な手紙を書くことを学校内外の諸行事に関連して多く設ける。
2 視野を広めることを心がけ、日常生活のことを日記ふうにつづることを勧めるとよい。
3 日常の届などを自分で書かせるようにする。
4 会議などを利用して、記録をとる練習をさせる。
5 聞き流し、読み流しにしないで、考えを必ず文にするようにする。そのためにノートや感想録を作らせて、見てやるとよい。
6 実生活で使われているポスターやビラ・広告などに注意させる。
7 いろいろなノートなどについても、適切な指導を加える。
8 自分の書いたものについて、絶えず反省させる。
9 個人・グループ・学級などの文集を作ることを奨励する。
10 当用漢字別表については、単に教室内などに表示しておくだけでなく、常にその利用を試みる。
11 学友と、書いた文を交換し合って、漢字の書き方、整った表記のしかたなどを反省させる。
12 生徒が使っている書写用具をよく調べて適当に指導する。
第二学年
1 家庭とも連絡していろいろの手紙を書く機会を与える。
2 社会科、職業・家庭科などと関係づけて、実用的な手紙を書く。
3 効果的な文章表現について理解するために、必要な参考書を集めて研究し合うことを勧める。
4 いろいろの公の記録を書く機会を与える。
5 各種の発表会を盛んにして、書く機会を多くする。
6 聞きながら速書きする学習を興味深く行ってみるのも効果がある。
7 学級新聞・文集などの編集にあたって、校正をさせてみる。
8 文学的な芽ばえのある生徒については、グループ活動などで、じゅうぶん伸ばしてやる。
9 他校と学校新聞の交換をさせる。
10 学校・学級の行事に、毛筆を使って効果的に宣伝・発表などをさせるようにくふうする。
第三学年
1 実用的な手紙については、各種の実際の手紙を集めて利用する。
2 無責任な執筆を避けるため、材料や資料をはっきり付記させるようなくふうが望ましい。
3 書式については、その伝統的様式に慣れて理解するだけでなく、その改善についても相談させる。
4 家庭生活の中にある、書く場面をおちなく取り上げて利用し、いろいろのものを書かせる。
5 地域社会の人と連絡して効果的な文章による宣伝について学習の場面を与える。
6 文字美について関心を持つようにし、掲示の美しい書き方を研究させる。
7 書いたものを、いつも正しい表記の面から反省させる。
8 創作を楽しむ習慣をつけるために、休日・休暇の機会を利用する。
9 手紙や日記などについては、特に、個性のあふれた文を認めてやる。
10 各種の用具を必要に応じて使いうるように、謄写版の使い方やプログラムの作り方などを経験させる。
このほかに、書くことの指導には、なお多くの注意が必要であるが、(第八章参照)一般的に、
1 文学的作文を重んじすぎることも、また、実用面を重んじすぎることも、適当でない。
2 役にたって、独創的な文が理想であるが、これに達するには、なんといっても、書くことの自然な機会をなるべく多く見つけてやって、適当な指導を加えなければならない。
3 特に書くことの学習は、聞くこと、話すこと、読むことの学習に合致させていくことが効果的である。