(五) 各学年の指導上の注意 第一学年

1 まだ唇読をしている生徒を急速に黙読に移らせる。

2 文章読解の際、文法的な反省をさせるようにする。

3 小学校での読書経験をよく調べた上で指導する。

4 読みの速度を自分から進んでいっそう高めるように自己評価させる。

5 身近の掲示・広告・手紙などに注意させる。

6 新聞・雑誌などを利用して、多種多様な文に慣れさせるようにする。

7 グループ学習などでなるべく多くの書物を利用するような指導をする。

8 個人の趣味を調べて、それに合った読書指導をする。

9 読書日記や読後の感想文などを作らせる。

10 小学校のときより進んだ各種の辞書や参考書を使うような場面を与える。

11 読んでいる間に見いだした新しいことばに気をつけさせる。

12 読書衛生に注意させる。

13 読もうとする意欲に乏しい生徒に注意し、よく適した読み物を与える。

14 他教科の読み物についても調べておく。

15 絶えずテストをして、読みの速度を向上させる一方、詳しく確実に読むこともゆるがせにしない。

第二学年

1 新聞や雑誌などの重要な点を速く読みとる練習をさせる。

2 作品の具体的理解に必要な作者研究などもする。

3 小説の世界に触れさせるため、内外の各種の小説を中心とした学習をすること。この際、人生観について多少とも触れさせるように導く。

4 読書カードや読後の感想文を作らせる。

5 詩歌・脚本などに特殊な能力のある生徒を伸ばすような助言をする。

6 巧みな言いまわしやすぐれた語いの使用に気づかせるようにする。

7 好きな作品について発表会などをする。

8 読書に興味を失っていく生徒もあるから、スポーツ記事や少年少女雑誌などを利用して、興味ある学習をさせるようにする。

9 ホームルームなどの時間を利用して読後感を発表するようにさせる。

10 図書館の利用については正しい習慣をつけておかなければならない。

11 理科・社会科その他の学習における参考図書の利用のしかたについても指導する。

12 ローマ字で書かれた書物も与えるようにする。

第三学年

1 読むことに関心を持たせるために、新聞・雑誌の記事などを、常に話題にする。

2 実用的な各種の文について、すばやく読みとる練習をさせる。

3 文学作品の鑑賞や批評は、生徒の力に応じてすべきで、とかく高い程度のものになりやすいから注意する。

4 対外公演や校内発表の劇や朗読などに参加させることによって、深く読む機会を多くする。

5 新聞の社説・論文などを学習の材料にする。

6 古典については、特に生徒の実態に即して選んだり与えたりする。

7 詩や物語・脚本などの朗読によって、文章の鑑賞力を深める。

8 映画や演劇などを、脚本・シナリオと結びつけて鑑賞させる。

9 必要な図書の貸し借りの方法を指導して、広い読書を助けてやる。

10 国語の表記を理解させるために、学校新聞や一般の新聞などを利用する。

 なお一般に、読むことの指導には次のような注意が必要である。 1 個人個人に注意する。 (1) 各人に評価のための表や、目録・カードなどを持たせて、絶えず進歩を測定することがよい。

(2) 図書館を充実して、個人差に応ずる資料を多く準備すること。

(3) 父兄や、他教科の教師などと連絡して、読書の傾向を常によく注意している。

2 読むことの学習の準備を重んずる。 (1) 資料を整備して、おのずから読みたくなるようにすることが望ましい。

(2) 日常の話合いを常に読書に関連づけて剌激する。

(3) 映画・劇・ラジオなどと文学作品とを関連させる。

(4) 読む上の抵抗(難語句、特殊なことばなど)を取り除いてやる。

3 読書環境の設定や読書衛生に注意する。 (1) 図書館だけでなく、教室の机の位置や採光に注意すること。

(2) 学校図書館の運営に参加させるほか、公共図書館や、小学校・高等学校の図書の交換利用をも試みるとよい。

(3) 自由な読書の時間、定期的な読書会などを計画したり、読書クラブを作るように勧める。

4 特殊生徒の指導に力を入れる。 (1) 読めないものの原因をよく調べて適切な治療的措置を講ずる。

(2) 読みの力がじゅうぶんでない生徒には、基礎的な技術をまずじゅうぶんに身につけるような指導がたいせつだからといって、機械的な練習をさせて、読書への興味を減らしてはならない。

5 黙読に力を入れる。

 中学校ではいろいろな読み方を学ぶのであるが、実生活で必要なのは黙読であるから、音読よりも黙読に力を入れなければならない。