(二) 中学校国語科の計画を立てる上の一般的注意  右に述べた、手続のほかに、中学校として、特に注意しなければならないことをあげると、次のようである。 〔国語科の教育計画を、学校全体の教育計画と調和させること。〕  どの教科においてもそうであるが、特に国語のように、他のすべての学習活動の中に深くはいりこんでいるものは、学校全体の教育計画に合うようにしなければならない。たとえば、ある種の国語学習計画を重点的に一定期間実施して、他の学習のために役だつようにするとか、他教科の内容と連関して、時を同じくして、ある単元を学習させるとかの計画が必要である。

 国語科は、教育課程の上に、特殊の地位を占めるものであるから、右のように、相関的に考えると同時に、中学校の使命にかんがみて、必要な独自の学習を計画すべきである。

〔学習指導は、具体的な経験に即して行われるのであるから、孤立した言語経験やあまりに分析的な言語研究をもとにして計画をたててはならない。〕  中学校では、ややもすれば、国語の技能の一面を取り出して、形式的な練習を重ねるような、学習計画を立てがちである。たとえば、語句を覚えること、漢字を書くことなどをあまりに孤立的に行い、読みは読みだけ、話は話だけ、というように分けて考えることは、実際的でない。

 文法・習字なども、その点から、当然、ある単元の中にくり入れられ、一体となって学習されるように実施されることが望ましい。そうすることによって、文法や、漢字・漢語使用の能力、習字の技術などが高められるものである。

 文学は鑑賞され、享受されるべきものであって、全生徒に対してあまりに深い理解を求めたり、文章や文体の分析に長い時間をかけるような計画をすることは適当でない。

〔学習指導計画を立てるには、あらゆる機会と、環境を有効に利用しなければならない。〕  小学校で、せっかく、生活に即する、豊かな国語学習を行っても、中学校で急に狭くなり、教室と教科書とノートに局限されてしまってはいけない。中学校は、小学校以上に、広い生活の上に立って、変化に富む有効な学習を展開するように計画すべきである。

 生徒が自分自身の責任において学習を進めるように剌激すること、実生活の行事、学校内外の生活の現場を利用すること、諸種の印刷物、視聴覚教材を利用することなどがたいせつである。