(五) 各学年の学習指導上の注意
第一学年
1 自然な態度で、じゅうぶん聞きとるような基本的練習をさせる。話合いなどのおり、適切な指導を加える。
2 主眼点や要点をノートにメモさせることによって聞きとりを確実にさせる。
3 生徒の報告などを聞いた直後に、聞きとったことについて必ず反省させる。
4 話す人の心持を察し、じっと聞きいる態度を養う。発表会・講演会などを利用する。
5 聞く力の評価表を作り、グループどうしで相互に評価させる。
6 放送設備をじゅうぶんに利用する。
7 好きな文学作品を朗読によって発表し合うような機会をつくる。
8 ニュース映画・文化映画などを活用する。
第二学年
1 学校を訪問した人を応待する機会を与える。
2 あらかじめその内容を指導しておいて、生徒にかわるがわる話をさせ、その聞き方を練習させる。
3 話ぶりを文法の立場から批判させるようにする。
4 地域社会の人を招いて話を聞かせる。
5 話合いの主題を高めるような助言を与える。
6 相手にも、ものを言わせるような態度をつくるように指導する。
7 学校放送やラジオ番組中の物語放送を学習の中心に取り上げる。
8 劇や映画を見たときの話合いを指導する。
第三学年
1 社会生活のいろいろな場面における聞くことの必要を自覚させる。
2 相手の話の根拠を注意深く聞きとるように指導する。
3 聞きっぱなしにしないで、書きとめたり、念を押したり、不審な点を確かめたりさせるとともに、原拠にあたって調べたり、別の研究に役だたせていくようにすること。
4 すばやい、しかも正確な聞き方を伸ばすために、校内放送などを利用する。
5 話のあとで必ず批判させ合ったり意見を求めたりする。
6 朗読が、内容の表現として批評されるようにする。
7 劇や映画について自分たちで批評し合うだけでなく、批評家の批評なども参考にする。
8 聞く力というものは注意力・記憶力・感受性・観察力・組織力などに深く関係するものであるから、調査するには、それらを考慮に入れて適当なテストや観察を行うべきである。
9 実用的な聞く力の学習、つまり会見・面接・交渉・伝言・紹介・宣伝などの場合の聞き方についての指導を重視する。社会科、職業・家庭科と関係を保たせ、特別教育活動などの機会を利用しなければならない。
右のほか、一般的実態から考えて、指導者は、次のことを考える必要がある。
1 生徒の持っている興味ある話題に即して、いっそうそれを高めるような機会を与えてやるようにする。ことに話すことと密接に関係するから、話すことの学習計画と関連して、絶えず聞くことを伸ばすようにすること。
2 聞く態度の向上については、社会科その他の学習のときにも注意し、よく連絡をとってやる必要がある。自由気ままに流れないように、よく学習の意欲を自覚させるようにすること。
3 聞く力の伸長を学習者に自覚させるようにし、耳からはいる知識・情報や楽しみがたいせつなものであること、生活に非常に役だつものであることを考えさせること。