(二) 中学校生徒の聞く経験にはどんな種類があるか
経験の広がりに伴って、中学校生徒の聞く経験の範囲は、次に述べるように広い領域にまたがっている。
第一は、ただ聞くだけの場合である。一定時間、相手の言うことに耳を傾けているのである。これはラジオ・蓄音器・スピーカーなどのように眼前にいない相手の声を聞くのと、直接眼前の相手から肉声を聞く場合とに分けても考えられる。それを内容によって分けると、説明・報告・講義・演説・講演・学術やニュースの放送などを聞く場合のように、知識や情報を得るためのものと、娯楽放送や、芸能会や発表会などの際に、朗読・演劇を聞く場合のように教養や楽しみを得るためのものとがある。
第二は、対話や会話の場合である。これは、さらに、電話のように相手が眼前にいない場合と、眼前に相手がいる場合とに分けることができる。また、内容によって分けると、紹介・あいさつ・交渉・問答・質疑応答・討議の場合などのように、知識や情報を得るためのものと、雑談・座談などの場合のように、教養や楽しみを得るためのものとに分けて考えられる。
中学校生徒は、成人と対等に話し合う機会も多い。各種の会合にも慣れてくる。生徒会・講演会・会見・討論その他学校内外の行事において聞くことが学習のおもな内容をなすような場面も多くなっている。