二 国語科でどんな資料が使われるか
〔国語科における使用に適した資料は、これを多方面から求めることが必要である。〕
生徒の能力や興味や必要に応じて、学習の目標に到達させるために、教師は豊かな計画が必要であり、学習の媒介となる資料は、これを多方面から求めなければならない。国語学習指導において、読むこと、書くこと、話すこと、聞くことは、それぞれ他と関係なく取り扱われるべきものではなく、教師は相互の関係を明らかに理解して、それぞれの学習にふさわしい資料を求めるべきである。次にあげるものは、国語科において使用しうる資料と考えられる。
1 教科書
2 辞書・参考書
3 生徒の作文や製作物
4 図書館の蔵書
5 新聞・雑誌・記録類
6 幻燈・写真・絵画・図表
7 ラジオ
8 レコード
9 映画・演劇
右のうち、教科書、図書館の蔵書、新聞・雑誌は、主として読むことの学習のための資料である。国語の学習において、教師がここにあげたような多くの資料を利用することができれば、社会的の事象に結び付いている豊かな教育課程が期待されよう。幻燈・写真・絵画・図表・ラジオ・レコード・映画その他の視聴覚教具は大いに利用されなければならない。ことにラジオは、どのような地方にあっても、比較的容易に活用できるものであるから、教師はラジオを使用して、効果的な指導をくふうしなければならない。これらのものの資料としての価値は、いずれも生徒に直接的に経験を与えることができる点にあるのである。
辞書・参考書は、生徒の自発的な学習活動を活発にするために必要な資料であって、その正しい使用法や選択について適切な指導が行われることが望ましい。
生徒の作文や製作物は、生徒の生活のうちから生れ出ているものであって、重要な資料である。生徒は資料を自分たちのものとして感じているから、教師はそれを用いて導入に利用できるし、その効果的な扱い方をくふうすべきである。
〔これらの資料をいろいろに組み合わせて、興味のある学習指導を行うことがたいせつである〕
これらの資料は、それぞれを単独に用いるよりも、学習の目標に応じて、配列し、相互に関係づけて用いることによって、学習の興味をいっそう増すことができよう。また、資料の選択にあたっては、学習の目標に照して、教師が生徒たちとともに研究し、生徒たちといっしょにこれを求めることによって、効果的な学習が期待されるであろう。