二 国語科の評価はいつ行うか。何について、だれが行うか
〔国語科の評価は、学習の後だけでなく、学習の前にも、学習用にも行われる。〕
1 国語科の評価は、国語教育の改善のために行うのであるから、国語学習のいっさいの条件を考慮に入れる必要がある。学習の以前に行われる学習者の経験や国語の力、資料や環境の調査なども、評価の一つである。
2 国語科の評価は、学習の後にだけ行うのではない。学習の最中に、絶えず観察したり、記録したりすることがたいせつである。教科書のある部分の学習後、その内容について生徒の覚えていることを試験するというのは、ごく一部分の評価にすぎない。
〔国語科の評価は、知識・理解だけでなく、すべての国語の力について、その習慣・態度・技術・能力・鑑賞・理想を見なければならない。〕
1 国語科の評価で、学習後、生徒の国語の力がどれだけ伸びたかを、正しく測定することはもっともたいせつである。その際、学習の目あてに従って、いっさいの項目を考えなければならない。文字や語句の力だけでなく、聞くこと、話すこと、読むこと、書くことのすべてにわたって評価されなければならない。
2 評価の対象となる国語の力というのは、内容の暗記でなく、生活に結びついた習慣・態度・技術・能力・知識・理解・鑑賞・理想であるから、知識の面にかたよることなく、必要ないっさいを評価しなければならない。たとえば、読むことについても、内容の理解や読みの度だけでなく、読書の興味や習慣・態度・鑑賞・理想などについても評価しなければならない。
〔国語科の評価には、国語担任以外の教師や、父兄や生徒なども参加して行う。〕
1 国語科の評価は、その時期も、対象も、きわめて広い範囲にわたっている。特定の時期にだけ行ったり、国語の力の一部分についてだけ行うのではない。また、学習を成立させているいっさいの条件を考えるのであるから、生徒の成長に影響を及ぼす環境や資料について、調査と批判が加えられなくてはならない。この広い範囲の仕事を行うためには、多くの人の協力が必要である。
2 国語の学習は、いわゆる国語の時間だけに行われるのではない。学校内外のすべての学習活動に伴っている。そこで、学校行事や社会科、理科、職業・家庭科その他各教科活動やホームルーム・生徒会などの際に、学校長、他教科の教師などに評価に参加してもらうことが必要である。ことに、他教科の教科書その他の資料の漢字や語句の難易度や学習の結果について有効な資料を報告してもらうことは、国語の教育課程の改善のためぜひとも必要である。聞くこと、話すこと、読むこと、書くことはすべての教科で行われるから、これらの教科の教師もそのかぎり国語の教師でもあり、国語の評価を助けなければならない。
3 父兄や地域社会の人に、生徒の国語の力について観察したことを尋ねたり、一般的欠陥や望ましい方向についての意見を求めたりすることも有意義である。なお、それらの人の持っているいろいろな学習の資料を報告してもらったり、家庭や地域の言語環境の調査に協力してもらうことも、評価に協力することの一つである。
4 生徒の自己評価や相互評価は、中学校・高等学校の生徒には、有意義であり、たいせつである。学習の中や直後に、生徒自身その効果を反省することは、生徒の学習法の改良に資するだけでなく、指導計画や指導法の適・不適の判定に有力な資料を与えるものである。