第Ⅷ章 図画工作教育と他の学習との関連

第1節 関連の必要

 学習指導は,生徒の興味・能力・必要をもとにして,知的・情緒的・社会的・身体的の各種の能力を円満に伸ばし,個人としてじゅうぶんに成長発展を遂げさせると同時に,社会人として好ましい資質をもつようにしてやることが,そのねらいであることはしばしば述べた。

 教育の一般目標に示されているところに,生徒が到着するためには,さまざまの経験を積むことが必要であるが,このために学習経験を組織して,計画的に学習指導をしやすいようにまとめたものがおのおのの教科や特別教育活動の組織である。

 図画工作教育は,主として色や形を通して,個人のもっている思想感情を表現し,また他人が色や形を通して表現したものや,自然の美しさを対象にして,創造的な表現力や鑑賞力を養い,知的・情緒的・社会的に円満な発達をさせることが,そのねらいである。

 しかし,生徒が色や形による表現力や鑑賞力のみを身につけていただけでは人として円満な発達を遂げたとはいえない。このため当然他の教科や特別教育活動のねらう目標によって,学習経験を積む必要がある。ここで,図画工作の教育計画をたて,これを実施し,生徒に有効な学習経験を積ませるには,他の教科や特別教育活動の教育目標を理解し,これを教育計画や指導の実際面に生かして,図画工作教育を望ましいものにすると同時に他の学習にも協力して一体としてよい結果に到達しなければならない。このためには,他の教科や特別教育活動とじゅうぶん関連をとり,不必要な重複や,抜けたところのないようにして,一体として教育を有効に進めなければならない。

第2節 関連の実際

 図画工作の教育計画をたて,これを展開していくとき,他の教科や特別教育活動などと関連をとる必要は,前節で述べたが,関連の実際については,教育計画の作成,教育計画の中にはいってくる教育内容,関連の時期の問題,方法上の問題,さらに地域差による問題,生徒の能力の問題などいろいろの場合を考慮して関連をとらなければならないが,以下主として,図画工作教育と他の教科・特別教育活動との関連についてみよう。

1 関連について

 1) それぞれの教科や,特別教育活動などで扱う指導題目が,図画工作で扱う題目と同一であり,また取り扱う時期も同一であるため,一体として指導する場合があり得るが,このようなときは,図画工作の指導目標やその他の教科や特別教育活動の指導目標によって指導計画や具体的な指導についてじゅうぶん検討し,重複したり,偏したり,抜けたところのないように関連をとる必要がある。

 2) 他の教科や特別教育活動の指導によって生徒の得た経験や能力をもとにして,図画工作の学習指導が進められる場合がある。すなわち,他の教科や特別教育活動で指導した経験や,それによって得られた能力が図画工作の指導に動機づけとなり,学習を有効に進める上に助けとなることが多いので,この点からも図画工作の教育計画をたて,指導を展開していく上には,じゅうぶん相互の関連をとることがたいせつである。

 3) 教育計画をたて,学習指導を展開するとき,他の教科や,特別教育活動で関連のある指導題目や内容を分担して指導する場合があるが,このとき図画工作で分担する題目や内容をいつ,どんな機会に指導するかは,指導計画の全体や,生徒の興味・能力・必要を考えて,適切な時間と機会をとらえて指導するようにすることがたいせつである。

 4) 図画工作の学習から発展して,他の教科,特別教育活動の指導目標を達成する内容に進む場合があるが,このような場合は,他の教科・特別教育活動の指導目標や,内容を理解して,指導者相互にじゅうぶんな関連をとることがたいせつである。

 5) 教育計画をたて,学習指導を進めていく上には,年次計画・月次計画やその他の細かい計画をたてるが,このときは学校全体の計画や,他の教科や特別教育活動とじゅうぶんに関連をとることがたいせつである。

 6) 1)〜5)までにあげたことは,主として教育計画をたて,学習指導を展開する上に必要な点について関連をとらなければならないことを述べたが,さらに学級あるいはその他のグループ指導において,指導結果をもとにして関連をとり将来有効な指導を進める上で考慮しなければならない。このためには,学級ごとの指導記録簿や,グループごとの指導記録簿を,他の教科や特別教育活動と関連をとって作成することは,望ましいことである。

2 他教科との関連

 前項1において,図画工作の指導と他教科・特別教育活動との関連の一般について述べたが,本項では,その考えに立って,他の教科との関連を具体的に述べる。

 1) 社会科との関連

 社会科で指導する内容のうち,図画工作に関連の多いものとしては,中学校・高等学校の一般社会・日本史,高等学校の世界史・時事問題である。

 社会科で扱うこれらの内容の中には,美術の部門を,あるときは,文化遺産として,また,地域地域の交流の文化財として,また,国際理解の資料としたり,レクリエーションの対象とするなど,広く指導するようになっている。

 たとえば,中学校一般社会,第一学年単元Ⅳ「世界の諸地域は,どのように結びついてきたか」の取扱として東西両文明とわが国との関係や,さらにこれを具体化して,東洋の文明地域はどのようであったか,わが国とどのような交渉をもっていたか,また中学校第二学年単元Ⅱ「近代工業はどのように発達し,われわれの日常生活に,どんな変化を与えたか」の取扱として,手工業と機械生産との相違,近代工業はどのようにして始まったかなど,中学校第三学年単元Ⅳ「われわれは文化遺産をどのように受けついでいるか」の取扱として,文化財の保護鑑賞・新しい文化の創造・芸術と人生との関係などについて,図画工作の指導に直接関係してくる造形文化の面にも密接な関連をもって扱われることが理解できる。

 また高等学校一般社会の単元Ⅴ「われわれの生活には,外国の文化や物資がどのように取り入れられているか」の取扱として,文化の世界性や国際性,わが国文化と外国の文化と関係,日本と外国との貿易の発達など広い範囲にわたって歴史的・地理的に扱うことになつているが,これらの中で,造形文化を扱うことが多いのである。

 中学校日本史においては,当然,原始・古代・封建・近代社会における美術工作についての造形的なものも,その対象になるわけである。たとえば,中学校の単元構成参考目標として「日本文化の発達には,外来文化の影響に負うところが多いこと」「封建社会の文化・芸能を理解,鑑賞する態度を養うこと」などに見られるように,造形文化の分野が多く扱われることを知るのである。

 高等学校日本史では,中学校の段階を高めて,指導するようになっているが,造形文化の分野を扱うことも中学校同様である。

 高等学校世界史においては,世界における造形文化の起りや,その発展,またそれぞれの造形文化が各地にどのような影響を及ぼしたかなども取り扱い,またその見地から,わが国の造形文化にも触れることになっている。

 高等学校の時事問題では,単元Ⅴ「文化はわれわれの生活の向上にとってどういう意味をもつか,また文化を高めるためには,どんな努力が必要か」の中で,造形文化の面にも当然触れてくるのである。

 以上述べたことでも明らかのように,社会科で扱う造形文化は,これが発展して,図画工作科で扱う分野とも,深い関係をもってくるのであるから,教育計画をたてたり,指導の展開においても,両科はじゅうぶん関連をとり,互いに協力して学習効果をあげるようにする必要がある。

 2) 家庭ならびに職業に関する教科との関連

 家庭ならびに職業に関する教科の教育目標は,実生活に役だつ仕事を中心にこれらに関連する家庭生活,職業生活に必要な知識・理解・技能などを養い,家庭生活や職業生活をじゅうぶん発展させようとするもので,中学校では職業・家庭科となり,高等学校では中学校における学習内容が専門化して,農業・工業・商業・水産・家庭・家庭技芸に分かれている。

 図画工作と主として関連するものは,中学校の職業・家庭科である。職業・家庭科においては,便宜その学習内容を次に示す4類を12項目に分けている。

 上にあげたもののうち,図画工作の教育計画をたて指導を進める上に関係の多いものは第二類の手技工作・機械操作・製図である。

 これらの指導内容には,図画工作で指導する内容と同一のものや類似のものが多いが,職業・家庭科が生徒の生活に即した各方面の仕事を中心にして計画をされているのであるから,当然図画工作の指導内容と密接な関係が出てくるわけである。このため図画工作科と職業・家庭科との指導内容のあるものははっきり区別することは困難である。しかし,図画工作科では,だれにも必要な色や形を通しての表現力・理解力・鑑賞力・技術力を身につけさせ,これを現在および将来の生活に役だつ造形的教育を高めるための指導がそのおもな目的であるに対して,職業・家庭科は生徒にいろいろな仕事を中心にする経験を積ませ,有能な職業人としての基礎を養い,生徒の適性によって,専門的に伸びうるような方向に指導を進めるのであるから,たとえ同一の題材を扱うにしてもそこに難易や重点の置き所その他について一応相違が出てくるのである。

 指導の実際にあたっては,指導者の問題,指導題材,指導の機会,指導の場所(おもに教室)などについて,種々の点に考慮を払わなければならないが,要は,重複を避け,抜けたところのないように指導計画をたて,指導を進め,両科の目標を達成するようにじゅうぶんな関連をとることがたいせつである。

 3) 理科との関連

 4) 国 語 科

 5) 音 楽 科

 6) 書  道

 7) 数 学 科

 8) 体育・保健体育科との関連

3 特別教育活動との関連

 特別教育活動は,教科の領域内で行われる以外の学校内外の諸活動をさすもので,これは学校における重要な活動の一環をなすものである。すなわち,特別教育活動は生徒が率先して自主的に諸活動を行うようにすることが本来の姿であるから,生徒の個性を好ましい方向に伸ばすには,限られた教室内におけるよりも多くの指導に適切な機会に恵まれている。

 このような意義をもつ特別教育活動では,次のような生徒の能力・態度・習慣や,社会性の発達を期待することができる。

1 生 徒 集 会

 生徒集会は,学校を運営していく上に,集団的に生徒が集合するものをいうものであるが,その集合の機会には次のものがあげられる。

などである。

 図画工作の指導上注意すべき点は,これらの諸会合を機会に,図画工作教育の徹底を計ったり,また生徒の研究の成果を発表する機会としたり,またこれらの会合を図画工作の面から分担して,諸会合を成功させることにある。

 このような観点から効果ある指導をすることによって,生徒の興味と適性に沿って,望ましい結果が得られ,また生徒の好ましい社会性の助長に役だてることができるわけである。

 以上あげた機会を通して,主として図画工作の指導上注意すべき点をあげると,次のものがあろう。

 などをあげることができる。要は,生徒の自発性を主体として,教師はそのよい相談相手や助言者としての役目を果すようにしなければならない。

2 年 中 行 事

 年中行事は,地域社会の年々行われるものや,学校の行事をいう場合とがある。

 社会の行事に対しては,この機会を通して,学校が社会の行事に協力して,学校と地域社会との関連をはかるよい機会であり,また学校内での行事には,職員生活が全員参加できる機会が多いので,全校が一致して行事に対して検討を加え,これをよりよく発展させるための基礎にする機会ともしたり,また生徒が自主的に行動できる機会に恵まれるようにすべきである。

 図画工作の指導の面からいうと,年中行事を成功させるために協力したり,また自主的に創案し,計画を実施する場合も多いことが考えられる。

 学校を主体にした年中行事としては,図画工作の面からそれをあげてみると次のものがあろう。

 ここにあげた行事には,それを計画し実施する上に,図画工作の指導上,適切な指導の要素と機会がある。

 学芸会は,その実施する目的や形式によって必ずしも一定はしていないが,普通舞台の装置と,演出とに大きく分けられる。

 舞台の装置は図画工作の立場から直接関係するものである。すなわち,舞台装置の良否が,各種の催物の成果に非常に大きな関係をもつものである。

 従来の学校で行う催し物は,その学校に,その方面に興味をもち,特別な指導力のある教師のいる場合は,相当の成果を納めているのであるが,その教師が他に転出して後継者のない場合は,急に低調になるのが事実であった。このことは教育の全体的な発展の立場からいって,望ましくないといえよう。この弱点を救うには,教師がその方面に関心をもって指導を進めると同時に,クラブ活動などを通して,生徒にその方面に関心をもたせ,継続的に研究を進めて効果ある表現ができるようにすることが望ましい。この目的を達するには教師が急所急所を指導して,生徒にむだなところに力を入れる労力を省くようにさせなければならない。

 校内の各種の展覧会およびバザーなどの計画や実施にあたっては,直接図画工作の作品の展覧会やこれに関係の深い作品の展覧会もある。これらの展覧会については会場の選択・会場の準備・展示方法,会場における各種の用品の配置配合,展覧会の通知のための方法(ポスター作成・看板の準備)など準備に必要な要件をじゅうぶんに研究し,実施することがよい。

 これらは直接展覧会の成果に及ぼす影響が大きいから,じゅうぶんの計画と,ぬかりのない実施がたいせつである。

 運動会やその他各種の競技を実施する場合でも,たとえば運動会のアーチを設け製作するとか,会場全体の配置をどのようにするかというようなことにも,直接図画工作と関連して,生徒がこれに積極的に参加協力したり,あるいは自主的に計画実施する面が多いのである。

3 クラブ活動

 1) クラブ活動の種類

 2) クラブの運営

 生徒の個性に添った活動は,特別教育活動中のクラブ活動に多く見られる。したがって,特別教育活動としての成果のいかんは,この活動の成果にまつところが多いということができる。しかしクラブ活動の前身とも見られる従来の校友会の活動の運営については,いろいろな問題があった。

 従来の校友会は,校友会としての各部の形は一応整っていて,学校の組織としては外見上みごとであったが,生徒の興味や適性や必要などを無視する傾きが多く,ために実際の運営の面では,必ずしも成功していたということはできなかった。これらの陥る悪い傾向を反省し,クラブ活動としてのあり方を検討して,そこに好ましい運営のしかたを発見しなければならない。

 次に好ましい運営と思われる要件を次にあげてみよう。

4 演  劇

 劇化はこれを大きく二つに分けられる。すなわち正式劇化と略式劇化である。

 正式劇化は,演劇における正式の手続や方法をとるものである。この方法をとって学校で上演する場合は相当の準備が必要となるが,略式劇化は,日常の学習活動の一部やもしくはこの発表で特別な衣装や装置は準備しなくて行うことができるものである。すなわち教室が舞台であり,級友が観衆である。

 劇化が中学校・高等学校における生徒の学習や指導で,どのような意義をもっているかを最初に検討して,図画工作教育上考慮すべき点に触れることにする。

 1) 劇化の効用

 2) 劇化の種類

 中学校・高等学校に利用できる劇化の種類は普通次のようなものがある。

 3) 普通の劇化

 普通の劇化といわれるものは,学校でしばしば行われるもので,演劇と演出者からなっている。

 演出は舞台に劇を創造して見せる技術をさしている。すなわち脚本をもとにして演技者とその演ずる技,舞台装置(大道具・小道具など),証明効果(音響・音楽もともに)舞踊など演技に結びついて,演劇を完成する助けをして,劇を舞台に創造して,観客に見せ,感動を与えるものである。

 この普通の劇化は,限られた図画工作の面が強調されるというよりは,統合的表現であるため,演出準備としての諸計画中に,図画工作の色や形の面からの参加が考えられる。これらについては,後で述べることにする。

 4) 公 共 劇

 公共劇は,大多数の観客のためにするもので,学校で実施するとすれば特別な催し物である。

 公共劇はおもに,動作・対話・仮装行列・舞踊・仮面・黙劇,合唱や朗読などから成り立っている。

 公共劇は一種の見世物であり,普通の劇化に比較して,せりふよりも,動作のほうがたいせつである。

 普通の劇化は,いくつかの場合が結合して一つの有機的な全体を構成しているが,公共劇は,各場面のふんい気や,ねらいどころの統一はなければならないが,場面と場面との間にそれほど緊密な結びつきは必ずしも必要とはしない。

 おもな目的は,公民精神の発揚,社会人としての望ましい態度の養成および,地域社会の文化の向上などである。

 5) 紙 し ば い

 紙しばいは,絵画と演技者のせりふと物語りから成り立っている。

 紙しばいは実際の姿をはっきりと表わすことができ,たやすく資料が得られ,また取扱も便利で,準備に要する費用もやすく演技は何度でもこれをくり返すことができる。

 紙しばいによって,視覚に訴えるどんなものでも,世界のどんな遠隔の地方の事物でも表わすことができるから,普通の劇化では取り扱うことのできない題材や,簡単であるが,実験ができないような題材でも紙しばいとして劇化することができる。

 紙しばいによって時間を節約したり,生徒の興味を起したり,指導の方法に変化を与えることができる。紙しばいによって事物の正確な基礎概念を与え,学習活動を豊かにし,学習や指導に活気を与えることができる。

 また生徒の研究調査などを紙しばいに仕組むことによって,その研究発表をいっそう興味深いものとして,生徒に深い印象を与えることができる効果をもっている。

 6) 人 形 劇

 人形劇は価価のある娯楽の方法でもあり,またこの実演には創造的で実際的な学習活動の機会に恵まれている。

 人形劇によっては実在の人間では演ぜられないようなもの等でも演ずることができる特色をもっている。

 人形劇には,次に示す種類がある。

 7) 黙劇および活人画

 この二つの劇はもっぱら視覚と情緒に訴えるものである。

 黙劇の俳優はしゃべらないから,その効果は俳優の律動的動作によるものであって,人間のこっけいな動作や,さまざまな性格や気分を表わすことができる。

 黙劇を引き立たせるためには,色彩と音楽を用いることが望ましい。

 活人画は適当な背景の前でまねごとをしたり,また一定時間,無言で静止して,あたかも絵画中の人物のように見せるものである。活人画は暗示的・象徴的であるから,歴史や伝説や文芸・科学の中の有名な場面を表わすに使うがよい。

 また時としては黙劇や活人画によって,歴史上,地理の有名な場面やできごとを題名を示さすに表わし,見物人に想像させることもおもしろいものである。

 以上あげたいくつかの劇化の種類は,主として,図画工作に関係あるものをあげたのであるが,図画工作の学習を進め,また指導にあたって,注意すべき点をあげてみよう。

5 学 芸 会

 学芸会は,一つの教科指導の立場から計画されたり,また各教科に関連して計画されたり,またこれらとは,別個に学校の行事の一つとして計画されたりする。いずれによるにしろ,舞台で演ずるのが普通である。

 この学芸会は,最も準備を必要としないものであっても,舞台と他の物的環境との関係を適切にするために,色や形の点から考慮することによって,学芸会の成果を高めるものである。たとえば,指導をちょっとくふうすることによって全体のふんい気を引き立ったり,背景に幕を張ることによって全体が落ち着くということなどはよくある例である。また学芸会を開くにあたって,報道用のポスターを作成したり,会場の準備で,図画工作の指導上,考慮すべき問題が多いのである。

6 校内展覧会およびバザー

 校内展覧会にもその種類や開催方法にいろいろあるが,主として図画工作に関連する校内展覧会について指導上注意すべき点を述べる。

 1) 校内展覧会

 図画工作の時間における指導や,クラブ活動を通して作成された図画工作の作品や,これに関連の深い手芸作品などの校内展示について,注意すべき点をあげることにする。

 2) バ ザ ー

 バザーは,商品陳列場・市場・商店街などということばにあたるが,普通には,社会公共の福祉や,慈善事業のために市場を開いて,物品を販売し,その利益をその方面に活用するのがその本来の姿である。

 しかし最近は,学校の復興とか,その内容の充実をはかるための資金をうることを目的として,学校で行われるのを見るのである。

 学校で行われるバザーは,その販売される対象品が,生徒の家庭や,地域社会の人々によって学校に寄贈されたものや,あるいはやすく学校に譲り渡された手技工作品・郷土の名産品・日用品・高級品・書画骨とうなどその数はきわめて多くのものがある。また生徒の製作品である手技工作品をその中に入れたり,また学校の復興や充実を望む熱意に出た同窓生の寄贈品や製作品などもその中に数えることができる。

 バザー実施にあたって,次の点を生徒に徹底しておく必要がある。

 なおバザー実施にあたっては,職業・家庭科との関連をじゅうぶんにとって,バザーの実施によって,その主旨が実現されると同時にこのバザー実施によって,他の方法では得られない経験を積ませるようにすべきである。