1 金属工芸課程の各学年において到達すベき具体的な目標
次に掲げる目標は,将来各種製造工場の現場に働く金属工芸製作の中堅技術者の養成を目標とした場合の例である。
2.透視図がかけること。
3.板金展開図がかけること。
4.基礎図案が創作できること。
5.板とりが正しくできること。
6.手工具による板金の折曲接合・びょう接合等ができること。
7.軟および硬付作業ができること。
8.板金のつち起作業ができ,材料の燒鈍ができること。
9.諸工具が正しく使用でき,かつ手入れが適切にできること
10.砂を配合し,現型の型込ができること。
11.中子が造れ,適切に使用できること。
12.溶解注湯作業ができること。
13.造型作業ができること。
14.各種材料による原型の製作ができること。
15.材料の選定ができること。
2.工作図が正しくかけること。
3.簡単な機械要素のスケッチができ,組立分解図がかけること。
4.金風工芸図案が創作できること。
5.金風彫刻用のタガネの製作と,その焼入ができること。
6.金属彫刻の技術を修得し,適切に作業ができること。
7.打出し,象嵌等の作業ができること。
8.金型を彫刻し,焼入れができること。
9.貴金属・宝石等の性質を理解し,細工ができること。
10.おもな工作機械について,構造性質等を理解し,取扱方法を習得すること。
11.刀物および簡単な工具の設計製作ができること。
12.プレス機械の操作ができること。
13.プレス機械に型が正しく取り付けられること。
14.プレス機械による各種の工作ができること。
15.材料の変形および変形後の性質について理解すること。
16.へら絞り作業ができること。
17.非金属可塑性材料の加工を習得すること。
18.材料の研磨作業を習得すること。
19.メッキ・電鋳作業の原理を理解し,正しく作業ができること。
20.使用する電気機械および器具・化学器具の取扱が正しくできること。
21.薬品の取扱が適切にできること。
22.化学薬品取扱上の関係法規を理解すること。
23.金属の着色仕上ができること。
2.簡単な治具および取付具の設計・製作ができること。
3.縁巻機械・彫刻機械・型彫機械等による工作ができること。
4.簡単なプレス用型の設計製作ができること。
5.プレス用型の機構および材料の選定ができること。
6.ダイカスト機械の操作ができること。
7.金属の腐蝕による仕上げができること。
8.薬品による腐蝕彫刻ができること。
9.化学的防蝕法・電解研磨・アルマイト作業ができること。
10.薬品の分析調合ができること。
11.総合的な工作により製品がまとめられること。
12.七宝による仕上げができること。
13.ガスおよび電気溶接について理解すること。
14.日本・東洋・西洋の金属工芸品の様式の変化とその特徴を理解し,現代の金属工芸品の創案改良ができること。
15.各種薬品に対し,仕事の手順が正しく決定できること。
16.原価計算手続を理解し,簡単な場合には生産費の計算ができること。
2 金属工装課程の各科目の内容
1.金工実習
2)手工板金 7)機械工作
3)鎚 金 8)板金機械加工
4)宝石・七宝 9)型彫および型製作
5)彫 金 10)ダイカスト
2)手工板金 9)板金機械
3)鎚 金 10)ダイカスト
4)宝石・七宝 11)溶 接
5)彫 金 12)金属材料
6)表面処理 13)非金属材料
7)機械工作
2)形体の図示法 5)機械設計製図
3)寸法の記入法
2)図案と色彩 5)七宝図案
3)造型の構成 6)工芸品の図案とその製図
2)運動と力 5)原 動 機
3)材料の強さ
2)電 流 5)電動力の応用
3)電気測定 6)照 明
2)東洋工芸史 4)現代の工芸品
3 金属工芸課程学習指導計画の試案
(1)教科課程の一例
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鎚型作業 | 14 | 42 | 鎚型作業 | 28 | 鋳 型 | 14 | 平面図 | 6 | ||||||
中子製作 | 4 | 12 | 中子製作 | 8 | 中子とその用法 | 4 | 投影図 | 12 | |||||||
鎚造作業 | 6 | 18 | 鎚造作業 | 12 | 鋳 造 | 6 | 板金展開図 | 22 | |||||||
手工板金 | 11 | 30 | 手工板金 | 24 | 手工板金 | 6 | 透視図 | 10 | |||||||
板金の接合 | |||||||||||||||
鎚起作業 | 11 | 30 | 鎚起作業 | 24 | 鎚起と燒鈍 | 6 | 図案と構成 | 4 | |||||||
造型作業 | 20 | 60 | デッサン | 12 | 図案と色彩 | 8 | |||||||||
油工造型 | 30 | ||||||||||||||
石膏どり | 8 | 造型の構成 | 8 | ||||||||||||
金属材料 | 20 | ||||||||||||||
非金属材料 | 12 | ||||||||||||||
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彫金作業 | 13 | 64 | 彫 金 | 24 | 彫 金 | 8 | 彫金図案 | 20 | 機械の要素 | 8 | ||||
打出しと象嵌 | 12 | ||||||||||||||
金型彫刻 | 2 | 26 | 金属彫刻 | 18 | 金 型 | 8 | 文字と線 | 4 | |||||||
運動と力 | 14 | ||||||||||||||
貴金属宝石加工 | 5 | 26 | 貴金属宝石加工 | 12 | 貴金属と宝石 | 8 | 寸法記入法 | 10 | |||||||
材料の強さ | 20 | ||||||||||||||
研磨作業 | 4 | 20 | 研磨作業 | 2 | 研磨と表面処理 | 12 | 機械工作図 | 36 | |||||||
メッキ作業 | 6 | 28 | メッキ作業 | 16 | メッキ作業 | 12 | 機械設計と製図 | 40 | 工作機械 | 18 | |||||
電鎚作業 | 4 | 18 | 電鎚作業 | 12 | 電 鎚 | 6 | |||||||||
工芸品の図案とその製図 | 30 | 原動機 | 10 | ||||||||||||
着色作業 | 4 | 18 | 着色作業 | 12 | 金属着色 | 6 | |||||||||
機械工作 | 9 | 42 | 機械工作 | 30 | 機械工作
機械工具測定器 |
12 | |||||||||
プレスヘラ絞り作業 | 12 | 58 | プレス作業 | 15 | プレス作業 | 21 | |||||||||
ヘラ絞り作業 | 10 | プレス用型 | 12 | ||||||||||||
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治具・取付具 | 6 | 32 | 治具・取付具 | 38 | 治具・取付具 | 4 | 機械設計・製図
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20 | 日本工芸史 | 20 | 電気と磁気 | 6 | ||
板金機械 | 3 | 16 | 板金機械工作 | 14 | 板金機械 | 2 | |||||||||
機械彫刻 | 3 | 16 | 機械彫刻 | 14 | 彫刻機械 | 2 | 工芸品の図案とその製図 | 36 | 東洋工芸史 | 10 | 電 流 | 10 | |||
型彫作業 | 5 | 24 | 型彫作業 | 21 | 型彫作業 | 3 | |||||||||
型製作 | 12 | 63 | プレス用型製作 | 49 | 型設計と熱処理 | 14 | 西洋工芸史 | 20 | 電気測定 | 10 | |||||
ガス・電気溶接 | 11 | ||||||||||||||
ダイカスト作業 | 7 | 38 | ダイカスト作業 | 28 | ダイカスト | 8 | 現代の工芸品 | 20 | 電気機械器具 | 24 | |||||
腐食作業 | 3 | 18 | 腐食作業 | 14 | 腐 食 | 4 | |||||||||
アルマイト作業 | 3 | 18 | アルマイト作業 | 14 | アルマイト | 4 | 電動力の応用 | 10 | |||||||
電解研磨 | 5 | 27 | 電解研磨 | 21 | 電解研磨 | 6 | 照 明 | 10 | |||||||
防触作業 | 5 | 27 | 防触作業 | 21 | 防 触 | 6 | |||||||||
七宝仕上げ | 5 | 27 | 七宝仕上げ | 21 | 七 宝 | 6 | 七宝図案 | 14 | |||||||
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A.単元の展開
単元 |
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電型製作 | 原型準備
電型製作 |
3 |
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電極加工 | 2 | |||||
電 鋳 | 電鋳液調整 | 3 | ||||
電 鋳
電型調整 電 鋳 |
2
2 2 |
電鋳はこの間実習時間外に40〜50時間行う。 | ||||
仕 上 | 水 洗
剥離整型 |
1 | ||||
燒鈍
酸洗水洗 |
1 | |||||
研磨
仕上(メッキ着色) |
2 | |||||
合 計 18 |
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原型を準備する
電型用材料を配合する 原型より電型を作る 電型加工をする 電鋳液を調整する 電鋳を行う 一度液より出して調整する 再び電鋳を実施する 完了後水洗を行う 剥(はく)離調整する 燒鈍する 酸洗・水洗する 研磨する メッキまたは着色して仕上げる |
電型材料の性質
電型材料の種類 電型材料の配合 電型製作法 電導性材料の種類 電極加工の方法 電鋳液の調合製作 電鋳の方法 電鋳の試験 電鋳用諸機械 仕上げの方法 |
電鋳の原理
電鋳品の特性 電鋳の用途 電気化学の歴史 生産の電気化学 主なる電鋳製品 |
Ⅰ.目 標
(2)電極加工ができること。
工具と準備 材 料 (1)ガスコンロまたは電熱器 鑞鍋 (1)パラフィン (2)やすり ペンチ ヤットコ ナイフ (2)銅線 (3)黒鉛容器 厚紙 軟毛ブラシ (3)黒鉛からげ線付 (1)鑞煮 (2)からげ線付 (3)黒鉛塗布 a)パラフインをなべに入 a)石膏型の周囲にやす a)厚紙を敷き れ加熱し溶解さす。 り,ナイフで浅いみ 型を置く ぞを付ける。 b)ブラシで型
巻き付ける。 c)数箇所に銅線で吊下 をつける。 |
(3)前記作業票に従って,原型・工具・材料等を用意する。
(4)生徒に記入させる実習報告書を用意する。
(5)生徒の自発的活動を刺激するにどうしたらよいか,その誘導法を研究してみる。
(6)生徒の活動に対してこれをまとめて行く協力方法を研究する。
(7)学習結果の考査について準備する。
2)種々の加工法について調べる。
3)教師の説明を聞き,実施法を見学する。
4)定められた方法により電型を作る。
5)他人のものと比較し,教師の批評を聞く。
6)他の方法との長所・短所を比較してみる。
7)改良法を考えてみる。
8)実習報告書を作製する。
a)蝋煮……各生徒に交替させてやらせ注意力を見る。
(イ)パラフィンは常に型の3分の2くらいまでの高さになるように補充させる。
(ロ)パラフインの量により熱を調節し,なるべく高温にし,しかもこげて煙の立ち上らぬように注意する。
b)からげ線付け……個人ごとにやらせて良・不良を見る。
(イ)みぞがまっすぐに切れているか。
(ロ)みぞの深さ,幅が一様であるか。
(ハ)銅線をまっすぐに伸ばし,みぞにピタリとはめとんですきまのないように巻き付けてあるか。
(ニ)吊下線は型により,いちばん適当な所につけ,吊り下げたときに型が垂直になるかどうか。
c)黒鉛塗布……個人ごとに行わせ注意力と塗布後の良否を見る。
(イ)厚紙上の中央に型を置き黒鉛が周囲に散らぬようにする。
(ロ)ブラシには黒鉛を少量つけ何回もくり返す。
(ハ)塗布は軽くなでるようにし,長時間かけ,ブラシの傷等のつかぬようにする。
(ニ)黒鉛が全体一様に塗布されているか。
(ホ)型の面が黒く光沢を帯びてくるようにする。
(2)作業中の態度熱心さ等を観察する。
(3)実習報告書により,説明注意等からの技術の理解習得程度,応用への着眼等を見る。
(4)総体的な論文等により,報告書に記入せる以外の理解を考察する。
(5)次のような問題により,技術的知識・理解の習得の程度を調べる。
(1)正誤 石膏を蝋で煮るのは,鋳造性を増すためである(石膏
が電鋳液に浸されぬようにするため)。 (2)正誤 黒鉛塗布は光るほど行うのはやり過ぎである(光るほ どよい。密着しているため)。 (3)からげ線に用いる針金は線である。(銅) (4)電鋳によく用いられる金属は次の何々か○印を付せ。 (イ)金(ロ)鉄(ハ)銅(ニ)鉛(ホ)アルミニウム (へ)ニッケル(ト)銀 ((ハ),(へ),(ト)) (5)黒鉛を塗布するのは電型の表面にを与えるため である。(電導性) (6)電鋳完了後の仕上法について細かく説明せよ。 |