1 木材工芽課程の各学年において到達すべき具体的目標
次に掲げる目標は将来木工場の現場に働く中堅技術者の養成を目的とした場合の例である。
2.刀物が正しくとげ,のこぎりの目立ができること。
3.鋸挽,かんな削り、穿孔(せんこう)等木工の基本作業が確実にできること。
4.基本の接手ができること。かつその応用について理解すること。
5.簡単な器物の工作ができること。
6.製図用具の扱い方を理解し,かつ正しく使用できること。
7.基本の用器画法に習熟すること。
8.木工小品図案および家具の工作図がかけること。
9.くぎや木ねじが正しく使え,かつその保持力を理解すること。
10.のりとにかわが正しく使え,かつその接着状態を理解すること。
11.わが国および世界における木材資源についてその概況を把握しうること。
12.木材の生育・状採・搬出・製材等について理解すること。
13.木材の組織・性状等について会得すること。
14.木材の種類を識別し得られ,かつ適材の選択ができること。
15,木材のきずおよび規格を理解すること。
2.挽物および彫刻の技法を理解し,簡単なものを工作しうること。
3.挽抜,象嵌(がん)および寄せ木の技法を理解し,簡単な器物に応用できること。
4.練付や曲木の作業を理解し,簡単なものを工作しうること。
5.いすの張り方を理解し,簡単ないす張りができること。
6.竹工の基本を理解し,簡単な工作ができること.
7.工芸品や家具の実測図・模写・透写に習熱すること。
8.家具の原寸図がかけること.
9.家具および工芸品に対する審美眼を高めること。
10.家具の機能を理解し,かつ標準寸法を会得すること。
11.日本・東洋および西洋における各時代の建築・工芸・美術の様子の変化とその特徴とを理解すること。
12.木材乾燥の必要性と理解し.かつ装置ならびに操作を会得すること。
13.木材の比重・含水率・収縮率等が測定できること。
14.天然乾燥や人工乾燥の簡単なものについて実験しうること。
15.単板や合板の製作と利用とについて理解し,適所に使用できること。
16.各種接着剤の組成や性質を理解し,これが正しく使用できること。
17.装飾用織物の種類と製法とを理解し,用途に適合するものを選定できること。
18.金具の種類と性能とを理解し,これを正しく取り付けられること。
19.各種塗料の組成や性質を理解し,塗装の技術を修得すること。
20.電気機械ならびに電気設備と理解し,木工場内の電気に関する一般取扱ができること。
2.簡単な冶具および取付具の工作ができること。
3.作業の手順を正しく決定し,日程計画がたてられること。
4.木工機械の操作を理解し,機械作業に習熟すること。
5.木工機械の構造を理解し,分解組立ができること。
6.木工機械の故障の発見と修理ができ,危害の防止が計れること。
7.機械の刀物の研磨(ま)・目立などができ,帯鋸が継げること。
8.ベルトが張れ、かつ継げること。
9.塗装の技術を修得し,噴附塗装・特殊塗装に熟練すること。
10.家具・木製品の設計ができること。
11.建築内外の一般構造を理解し,簡単な建物の計画ができること。
12.各室の機能を理解し,室内の装飾について適当な計画がたてられること。
13.簡単な機械製図がかけること。
14.木材の防腐・耐火および強化について理解すること。
15.室内造作の工作について理解すること。
16.船舶・鉄道車両・自動車等における木部の工作について理解すること。
17.材積の計算ができること。
18.圧縮・引張り・曲げ・剪断等の強度を理解し,大工試験片を作ってこれらの強度試験ができること。
19.高周波応用による木材の乾燥および接着について理解すること。
20.塗装材料および接着剤の試験ができること。
21.仕様書を読解し,かつその作製ができること。
22.図面・仕様書により見積書の作製ができること。
23.工場経営の大要を理解し,資材・作業・業務・管理について修得すること。
24.簡単な原価計算ができること。
25.工場関係法規について理解すること。
2.木材工芸課程の各科目の内容
1.木工実習
2)かんな削り作業 8)薄板貼村作業
3)穿孔作業 9)家具組立作業
4)接合作業 10)塗装作業
5)小品工作 11)木工機械作業
6)接手工作 12)材料測定および試験
2)工芸品図案図 4)建築製図
5)室内製図 6)機械製図
2)工芸意匠 5)室内意匠
3)家具および木製品意匠 6)機械すえつけ
2)木工機械および設備 10)附帯材料
3)基本工作 11)木材乾燥
4)工芸技法 12)木材処理
5)家具工作 13)塗装工具および設備
6)木製品工作 14)塗装工作および材料
7)藤竹および藤竹材 15)材料測定および試験
8)木 材
2)東洋工芸史
2)交 流 6)交・直流変換機器
3)電気測定 7)電動力応用
4)電燈・照明・電熱
2)工場管理 5)原価計算
3)労務管理 6)工場関係法規
3 木材工芸課程学習指導計画
(1)教科課程の例
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3
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9
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14
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2
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7
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2
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2
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4
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2
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3
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3
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8
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2
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2
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25
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25
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23
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73
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3
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3
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2
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2
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5
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5
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5
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2
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5
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30
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28
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85
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工 作 | 材 料 | |||||||||||||||||||||
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1 | 鋸 挽 | 20 | 6 | 鋸挽作業 | 24 | 鋸,規矩用具 | 木材の組織 | 8 | 平面図形 | 12 | |||||||||||
2 | かんな削り | 37 | 5 | かんな削り作業 | 24 | かんな砥石削台 | 木材の性 | 13 | 投影図 | 24 | ||||||||||||
3 | 穿 孔 | 15 | 5 | 穿孔作業 | 12 | のみ・錐・槌 | 3 | 陰影図および透視図 | 18 | |||||||||||||
4 | 接 合 | 30 | 9 | 接合作業 | 12 | 接合用具および接合 | 接合材料 | 18 | ||||||||||||||
5 | 小品工作 | 78 | 25 | 小品工作 | 44 | 雑工具 | 木材の識別と選択瑕瑾,規格 | 10 | 木工小品図案 | 24 | ||||||||||||
6 | 接 手 | 81 | 26 | 接手工作 | 36 | 接手およびその応用 | 木材資源,伐採搬出、製材 | 18 | 家具工作図 | 27 | ||||||||||||
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7 | 工芸技法 | 128 | 23 | 工芸作業 | 45 | 工芸技法 | 工芸材料 | 15 | 工芸図案 | 18 | 一般図案工芸意匠 | 50 | 日本工芸史
東洋工芸史 西洋工芸史 |
36
4 30 |
電気と磁気
交流 電気測定 電燈照明,電熱 交・直流電気機器 交・直流変換機器 電動力応用 |
14
14 6 10 14 6 6 |
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8 | 練付合板 | 24 | 4 | 薄板貼付作等 | 12 | 薄板貼付 | 単板・合板・接着剤 | 12 | ||||||||||||||
9 | 家具工作 | 185 | 33 | 家具組立作業 | 78 | 家具工作 | 家具用木材付帯材料 | 35 | 家具実測図模写,原寸図 | 52 | 家具意匠 | 20 | ||||||||||
10 | 藤竹工 | 8 | 1 | 藤竹材 | 藤竹材 | 5 | ||||||||||||||||
11 | 塗装工作(1) | 55 | 10 | 塗装作業 | 30 | 工具・設備 | 塗装材料 | 25 | ||||||||||||||
12 | 木材乾燥 | 20 | 4 | 材料測定(含水率,収縮率) | 10 | 木材乾燥 | 10 | |||||||||||||||
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13 | 組立工作 | 244 | 41 | 家具組立作業 | 78 | 家具木製品工作材積計算仕様見積 | 木材の防腐耐火・強化 | 29 | 家員木製品設計 | 16 | 家具木製品意匠 | 16 | 木製品組立作業冶具および取付具工作 | 105 | 6
14 14 6 16 14 |
工場組織
工程管理 労務管理 賃金制度 原価計算 工場関係法規 |
6
14 14 6 16 14 |
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14 | 木工機械 | 55 | 7 | 木工機械作業 | 25 | 木工機械および設備 | 10 | 機械製図 | 10 | 機械すえつけ | 10 | |||||||||||
15 | 塗装工作(2) | 77 | 13 | 塗装作業 | 52 | 塗装工作 | 塗装試験 | 25 | ||||||||||||||
16 | 材料試験 | 35 | 6 | 材料試験 | 20 | 木材と接着剤の試験 | 15 | |||||||||||||||
17 | 建 築 | 48 | 8 | 建築構造 | 建築材料 | 20 | 建築製図 | 14 | 建築意匠 | 14 | ||||||||||||
18 | 室内設計 | 66 | 11 | 室内造作 | 6 | 室内設計 | 30 | 室内意匠 | 30 | |||||||||||||
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2単位(70時) | ||||||||||||||||
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2単位(70時) |
A.単元の展開
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1.かんな削りの準備 | (1)かんな削り用具
(2)刀の研ぎ力 (3)木材の性伏 |
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2.かんな削り作業 | (1)穂の調整と姿勢
(2)削り方 |
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3.かんなの修理作業 | (1)裏出し
(2)台直し |
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合 計 37 |
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かんな刀を研磨する
穂の調整をする 柾目板を削る 板目板を削る 木口を削る 裏出しを行う 台直しを行う |
かんなの機能と種類
砥石の種類と性質 削り台と定規 木 理 色沢とかおり 木材の含有水分 比塵と硬度 |
かんなの歴史
鉄および鋼 諸外国のかんな削法 |
収縮と膨脹
木材の強度 木材と熱電気および音響の伝導 |
Ⅰ.目 標
(2)削り方の順序がわかること。
(3)正確な平板と角棒が作れること。
工具と設備 材 料 (1)工作台 (7)直角定規 材種 せんまたはたも (2)木口台 (8)下端定規 寸法 板…10×15×30cm (3)荒仕上かんな (9)罫引き 棒…5×5×30cm (4)中仕上かんな (10)白 書 数量 板目板 2枚 (5)上仕上かんな (11)玄 能 柾目板 1枚 (6)指 金 角棒 1本 板削りの場合 (1)板の表面を荒削りおよび中仕上する。 (a)木裏は木理の末を手前に向けて削る。 (b)木表は木理の本を手前に向けて削る。 (c)柾目は木端の木理の本を手前に向けて削る。 注意;──荒削りは面の凹凸を削り取る心持で行う。 (2)一側面を荒削りおよび中仕上する──板面と直角になること。 (3)幅を測って他の側面を中仕上まで行う。 (4)厚さを測って裏面を中仕上まで行う──下端定規を当てて平面を調べる。 (5)両木口の中仕上まで行う。 注意;──板を木口台にのせ,板面に対し,かんなを傾斜させて削る。 左の手でしつかりた板を押さえる。 板の手前になる部分の角隅をわすか削り取り裂けぬように する。 (6)各面の仕上げをする。 注意;——仕上げかんなでごく薄く1〜2回削る──何回も削らぬこと。 かんなくずは薄くかつ長く連続して出ること。 角棒削りの場合 板削りの場合に準ずる。 |
木削りに必要な技術的知識
かんなの機能と種類
削り台および定規の種類と使い方 木理・色沢・かおり・含有水分.硬度 |
すでに学習したこと。 | |
木理と削り方との関係
逆目の原因とその対策 そった板の削り方 |
ここで新たに学習すること。 |
(4)生徒に記入させる実習報告書の用紙を作る。
(5)生徒の自発的活動を刺激するにはどんなものがあるか,その誘導の方法を研究する。
(6)生徒の活動に対してこれをまとめていくための協力の方法を研究する
(7)学習結果の考査について準備する。
(2)濶(かつ)葉樹と針葉樹,辺材と心材につき材質上の相違,加工の難易を調べる。
(3)一枚かんなや二枚かんなはどんなときに使ったらよいかを研究する。
(4)教師のかんな削り作業を見学し,話を聞く。
(5)各自が研究的に削った結果と,指導票に基づいて削った結果とを比較してみる。
(6)各自の削った平板について批評し合い,教師の批評を聞く。
(7)幅広い長い板の削り方について研究してみる。
(8)乾燥材と未乾燥材とについて削りぐあい・色沢・かおり等を調べる。
(9)反り・ねじれ等のある板はどうして削ったらよいかを研究する。
(10)八角棒・丸棒を削ってみる。
(11)実習報告書を作成する。実習経過やその結果について発表し合う。
進歩表およびその記入要領は機械工作課程に準ずる。
(2)技術的知識の修得については口問口答・論文・実習報告書その他に基づいて記述尺度法により評価する。──機械工作課程参照。
(3)作業中の態度・習慣・注意力等を観察し,記述尺度法によって評価する。
著 者 書 店 発 行 所
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