第4章 電気通信課程の指導計画

1 電気通信課程の各学年において到達すべき具体的な目標

 次に掲げる目標は将来電気通信施設の現場に働く中堅技術者の養成を目的とした場合の例である。

第 1 学 年
第 2 学 年
第 3 学 年
 

2 電気通信課程の各科目の内容

(1)電気実習(15単位)

 1.機械実習

 2.測定実習  3.通信機器実験  4.通信術実習  5.電気工作実習  6.電気製図 (2)電磁事象(5単位) (3)通信機械(5単位) (4)機械一般(2単位) (5)電気通信(8単位) (7)工場経営(2単位)  

3 電無通信課程学習指導計画の試案

 (1)教科課程の一例
学 年

教 科

第1学年
第2学年
第3学年
 
 
 
国  語
社  会
 
10
数  学
   
理  科
 
 
体  育
小  計
16
11
11
38
 
 
 
電気実習
15
電磁事象
 
電気通信
 
通信機械
 
機械一般
   
工業関係法規
   
小  計
13
14
35
 
英  語
   
数  学
 
 
工場経営
   
電  力
   
小  計
12
工業必修選択教科
合      計
13
16
18
47
合      計
29
27
29
85
 (2)学年の計画の一例

 

 
工 業 必 修 科 目 (35単位)
選択科目(4単位)
単元名
電 気 実 習
電磁事象
通信機械
電気通信
機械一般
工場経営
電  力
実  験
実習製図
 
 
 
機械製作
68
24
手仕上作業 基本製図
34
            機械製作法
34
           
工作機械
72
26
旋盤穿孔作業
36
            工作機械
36
直流回路
66
24
抵抗測定 電気具工作図
34
電気回路
32
           
電流の熱および化学作用
18
電池の測定試験 電熱器製図
電流の熱および化学作用
10
       
磁気回路
16
磁気測定  
磁  気
       
電流と磁気
40
14
直流計の較正 直流計器の修理
20
電気と磁気
20
       
小  計
280
100
4単位
140
2単位
70
       
2単位
70
 
 
 
静電気
22
静電気実験  
12
静電気
10
                       
交流回路
77
20
交流ブリッヂオシログラフ 電気器具工作図
42
交流回路
35
    通信術
30
   
多相回路
66
17
電力電力量 配電盤工作図
36
多相歪波交流
30
       
電子管
66
17
真室管特性 真空管電圧計組立較正
36
電子管
30
       
電信電話機
77
20
音響器現字器
継電器特性
電話機の分解組立
42
    電信電話機
35
伝  送

線  路

20
20
   
交換機
77
20
交換機結線図
42
    交換機
35
小  計
385
100
6単位
210
3単位
105
2単位
70
2単位
70
   
 
 
 
検波器
40
14
検波器特性
LCM測定
コイル巻作業
25
    検波器
15
高周波回路および測定
32
   
70
生産と工場
10
照明電熱
20
受信機
72
26
無線受信機の特性 無線受信機の設計・組立・製図
45
    無線受信機
27
搬送通信
28
作業研究
10
配  電
20
信機
56
20
波長計 送信機の設計・製図・組立
35
    無線送信機
21
特殊通信
24
工場管理
10
電気機
20
電  波
32
11
電界強度の測定
空中線測定
空中線指向性図
20
    空中線
12
電波伝機局の設備
16
20
原価計算
10
   
電源設備
80
29
電機器特性 通信局結線図
50
    電気機器
30
高周波応用
20
工場保険
10
電動力応用
10
工場関係法
規災害防止
10
10
   
小  計
280
100
5単位
175
   
3単位
105
4単位
140
   
2単位
70
2単位
70
2単位
70
総    計
1155
266
15単位(525)
 
5単位
175
5単位
210
6単位
210
2単位
70
2単位
70
2単位
70
2単位
70
 (3)単元14「受信機」の具体的学習指導計画の例

A.単元の展開
単元
副 単 元
指 導 内 容
学習所要
時  間
 
 
 
 
検 波 器
1.直流検波器(鉱石検波,二極管検波器)

2.三,多極管検波器

3.ヘテロダイン検波器

4.検波器設計

5.検波器製作

6.検波器特性測定

20
増 幅 器
1.高周波増幅器

2.中問周波増幅器

3.低周波増幅器

4.増幅器の設計

5.増幅器の製作

6.増幅器の特性測定

22
発 振 器
1.返結合発振回路

2.発振周波数の測定

音響機器
1.音響機器の構造

2.周波数特性測定

整 流 器
1.整流器

2.整流特性測定

受信機の総合特性 1.放送受信機の構成

2.ストレート受信機とスーパ受信機

3.音質補償回路AVC,AFC回路,負饋還回路

4.受信機の総合特性測定

5.短波,全波受信磯の構成,その特質

 
18
 
 

合                    計             72
 註 副単元検波器・増幅器の設計製作試験は生徒を若干のグループに分け,適当な異なった型の機器の設計製作を行わしめ,試験はみずからのグループの作品と他グループの作品若干について行い,比較検討により理解と設計製作能力の向上を期待する。
 
受 信 機
 
技術能力
技術的知識
一般的知識
(1)

1.工具.材料.真空管の特性表を準備する。

2.検波器の組立を計画する。

3.検波器を組み立てる。

4.検波器の特性を試験する。

5.増幅器の組立を計画する。

6.増幅器を組み立てる。

7.増幅器を試験する。

8.発振周波数を測定する。

9.スピーカーの周波数特性を測定する。

10.整流器の試験をする。

11.受信機を組み立てる。

12.受信機を調整する。

13.受信機の総合特性をとる。

(2)

1.検波回路の種類・特性

2.検波器の設計

3.増幅回路の種類・特性

4.増幅器の設計

5.発振回路

6.発振周波数の安定

7.音響機器

8.整流回路

9.受信機の構成

10.受信機の雑音・歪

11.受信機の総合特性

(4)

1.受信機の発達

2.受信機の生産

3.内外通信施設の現況

4.主要な通信機製作工場

5.通信事業場に就職する機会

6.成功した通信技術者

7.通信技術者資格試験

8.通信関係法規

  (3)

受信機の部品試験法

受信機の部品製作法

 
 (1)は実習で行う仕事。

 (2)は実習作業に直接必要な知識。

 (3)は実習作案に直接必要はないがさらに啓発するための知識。

 (4)は知っているほうがよく,主た役にたつが,間接的な知識。

 (1)と(2)は結合して一人の教師で指導する。

 (3)とは実習と別の教師が指導してもよい。

B.副単元2.「増幅器」・「プッシュプル増幅器」の学習指導細案

 〔プッシュプル幅器の設計・製作・試験をなすグループの場合〕

 

 Ⅰ 目  標

 

 Ⅱ 教師の準備と活動

 
プシュプル増幅器を製作する (所要時間4時間)
工具と設備

(1)ドライバ,ラジオペンチ    (8)スケール

(2)ニッパ,ナツトまわし     (9)ピンセット

(3)金切ばさみ,シャーシパンチ  (10)テスタ

(4)やすり,ハンマ        (11)真空管試験器

(5)ドリル            (12)メガー

(6)ラジオこて          (13)真室管電圧計

(7)万力             (14)配線図

材  料

シャーシ

真空管

入力トランス

出力トランス

スピーカ

抵抗コンデンサ

配線用電線

作 業 順 序

(1)シャーシに孔をあける。

(2)ソケット,トランスを取り付ける──発振せぬよう,配線が短くなるよう配置する。

(3)抵抗・コンデンサその他を取付け配線する──こては適当な温度とし,早く,かつ美麗に配線する。

(4)誤配線があるかないが検討する。

(5)電源電圧を調べ,異状がなければ真空管を挿(そう)入する。

(6)各球のプレート・スクリ一ン・カソード電圧をテスタで調べる──テスタの適当なレンヂを使用。

(7)規定電圧で規定プレート電流となるようスクリ—ン電圧を調整する。

(8)調整がすんだら低周波電圧を入れ,波形または音量・音質を調べ,適当に調整する。

   

 Ⅲ.生徒の活動

 

 Ⅳ.結果の考査

C.この単元を研究するための参考書
  著  者

 浜田成徳

 武田行松

 ターマン

 日本電波協会

 電気学会

 V.C.フリックランド著
 長谷川 淳訳

  書  名

真空管工学

無線工学

ラジオエ学

無線工学ポケットブック

電気工学ポケツトプツク
ジユニアー版
 

職業分析

 発 行 所

コロナ社

共 立 社

日本放送協会

オーム社

オーム社

実教出版株式会社