1 電気通信課程の各学年において到達すべき具体的な目標
次に掲げる目標は将来電気通信施設の現場に働く中堅技術者の養成を目的とした場合の例である。
2.旋盤の主要工作法を理解し,簡単な形体の仕上げができること。
3.ボール盤の性質を理解し正しく使えること。
4.測定法を理解し,内外パス・直角定規・マイクロメータ・ノギス等で,長さ・径・角度を正しく測定できること。
5.機械製作の大要を理解し,製品によって製作法および材料の選定ができること。
6.直流回路を理解し計算ができること。
7.各種抵抗の測定法を理解し,試料に対して適切な測定ができること。
8.抵抗の接続法を理解し,用途に応じ適当な抵抗器の使用ができること。
9.電熱器の設計製作試験ができること。
10.電池の特性を理解し,正しく使用できること。
11.直流計器の原理・構造を理解し,正確な測定できること。
12.簡単な作図が描けること。
13.簡単な電気器具の構造図がかけること。
2.交流回路を理解し,計算ができること。
3.抵抗・インダクタンス・キヤパシタンスの測定ができること。
4.交流計器が正しく使え,簡単な修理・較正ができること。
5.計器および測定器の誤差について理解し,測定値の処理ができること。
6.真空管の特性を理解し,用途に応じて適切な真空管を選定できること。
7.各種電信方式および電信機の性能を理解し,初歩の通信ができること。
8.電話機の構造動作を理解し,簡単な修理ができること。
9.電話交換方式および中継方式を理解し,接続図が読めること。
10.通信線路の種類・構成・用途を理解すること。
11.伝送回路につきその主要特性を理解すること。
12.通信機器部品の工作図ならびに結線図を正しく読みかつかくこと。
2.増幅器の設計・組立・試験ができること。
3.発振器の特性を理解し,組立ができること。
4.復変調器の原理特性を理解し,組立ができること。
5.空中線の特性を理解し,その定数が測定できること。
6.音響機器の構造および種別を理解し,その特性の簡単な測定ができること。
7.ラジオ受信機の設計・組立・総合試験ができるとと。
8.特殊通信機器およびテレビジョンの大要を理解し,部品の組立・試験ができること。
9.搬送通信の搬送方式,主要機器の動作原理を理解すること。
10.工業上における高周波応用の大要を理解すること。
11.直流および交流機の起動運転ができること。
12.変圧器の接続ならびに運転ができること。
13.整流機器の運転および二次電池の充電保守が理解できる。
14.電気通信施設局における構成・装置・保護方式の概とを理解すること。
15.通信機器の組立図,および通信装置の結線図を正しく読みかつかくことができること。
16.通信関係法規の運用につき理解すること。
17.仕事の調順を正しく決定し,作業計画がたてられること。
18.工場事業場における災害防止につきじゅうぶん理解し,事故に際し適切な処置ができること。
19.工場事業場における現場の作業計画と管理が理解できること。
20.不断の注意力と冷静な判断を持って研究的に作業を行う態度を養うこと。
21.通信技術者として強い責任観念と実践力を持ち,作業の指導統率ができる能力を養うこと。
2 電気通信課程の各科目の内容
(1)電気実習(15単位)
1.機械実習
2)旋盤作業 4)プレス作業
2)電熱測定 7)電力電力量測定
3)電他特性測定 8)真空管特性測定
4)磁気測定 9)周波数測定
5)直流電位差計による測定
2)増 幅 器 7)直流発電機
3)検 波 器 8)変 圧 器
4)変 調 器 9)誘 導 機
5)発 振 器 10)整 流 器
2)電信電話器の分解・組立 6)ラジオ受信機組立
3)小型変圧器製作 7)発振器の組立
4)コイル巻作業
2)形体の図示法 6)通信装置結線図
3)寸法の記入法 7)電気配線図
4)機械部品図
2)電流の熱作用 8)交流回路
3)電流の化学作用 9)多相交流
4)磁 気 10)歪(わい)波交流
5)電気と磁気 11)電気および磁気材料
6)静 電 気 12)電 子 管
2)電 話 機 6)空 中 線
3)交 換 機 7)搬送機器
4)無線受信機 8)電気機器
2)機械製作法 5)材 料
3)工作機械 6)材料力学
2)電子管回路 7)照明電熱
3)高周波測定 8)写真電送
4)電波伝播 9)テレビジョン
5)搬送通信 10)高周波応用
(6)法規(2単位)
2)作業研究 6)工場関係法規
3)工程管理 7)災害防止
4)賃銀制度
3 電無通信課程学習指導計画の試案
(1)教科課程の一例
学 年
教 科 |
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|
|
|
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3
|
3
|
3
|
9
|
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5
|
5
|
10
|
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|
5
|
5
|
|||
|
5
|
5
|
|||
|
3
|
3
|
3
|
9
|
|
|
16
|
11
|
11
|
38
|
|
|
|
4
|
6
|
5
|
15
|
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2
|
3
|
5
|
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|
2
|
4
|
6
|
||
|
2
|
3
|
5
|
||
|
2
|
2
|
|||
|
2
|
2
|
|||
|
8
|
13
|
14
|
35
|
|
|
|
5
|
5
|
||
|
3
|
3
|
|||
|
2
|
2
|
|||
|
2
|
2
|
|||
|
5
|
3
|
4
|
12
|
|
|
13
|
16
|
18
|
47
|
|
|
29
|
27
|
29
|
85
|
学
年 |
|
|
||||||||||||||||||
|
|
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|||||||||||||||||||
|
機械製作 |
68
|
24
|
手仕上作業 | 基本製図 |
34
|
機械製作法 |
34
|
||||||||||||
工作機械 |
72
|
26
|
旋盤穿孔作業 |
|
36
|
工作機械 |
36
|
|||||||||||||
直流回路 |
66
|
24
|
抵抗測定 | 電気器具工作図 |
34
|
電気回路 |
32
|
|||||||||||||
電流の熱および化学作用 |
18
|
6
|
電池の測定試験 | 電熱器製図 |
8
|
電流の熱および化学作用 |
10
|
|||||||||||||
磁気回路 |
16
|
6
|
磁気測定 |
8
|
磁 気 |
8
|
||||||||||||||
電流と磁気 |
40
|
14
|
直流計器の較正 | 直流計器の修理 |
20
|
電気と磁気 |
20
|
|||||||||||||
小 計 |
280
|
100
|
|
140
|
|
70
|
|
70
|
||||||||||||
|
静電気 |
22
|
6
|
静電気実験 |
12
|
静電気 |
10
|
|||||||||||||
交流回路 |
77
|
20
|
交流ブリッヂオシログラフ | 電気器具工作図 |
42
|
交流回路 |
35
|
通信術 |
30
|
|||||||||||
多相回路 |
66
|
17
|
電力電力量 | 配電盤工作図 |
36
|
多相歪波交流 |
30
|
|||||||||||||
電子管 |
66
|
17
|
真室管特性 | 真空管電圧計組立較正 |
36
|
電子管 |
30
|
|||||||||||||
電信電話機 |
77
|
20
|
音響器現字器
継電器特性 |
電話機の分解組立 |
42
|
電信電話機 |
35
|
伝 送
線 路 |
20
20
|
|||||||||||
交換機 |
77
|
20
|
交換機結線図 |
42
|
交換機 |
35
|
||||||||||||||
小 計 |
385
|
100
|
|
210
|
|
105
|
|
70
|
|
70
|
||||||||||
|
検波器 |
40
|
14
|
検波器特性
LCM測定 |
コイル巻作業 |
25
|
検波器 |
15
|
高周波回路および測定 |
32
|
|
|
生産と工場 |
10
|
照明電熱 |
20
|
||||
受信機 |
72
|
26
|
無線受信機の特性 | 無線受信機の設計・組立・製図 |
45
|
無線受信機 |
27
|
搬送通信 |
28
|
作業研究 |
10
|
配 電 |
20
|
|||||||
送信機 |
56
|
20
|
波長計 | 送信機の設計・製図・組立 |
35
|
無線送信機 |
21
|
特殊通信 |
24
|
工場管理 |
10
|
電気機器 |
20
|
|||||||
電 波 |
32
|
11
|
電界強度の測定
空中線測定 |
空中線指向性図 |
20
|
空中線 |
12
|
電波伝機局の設備 |
16
20
|
原価計算 |
10
|
|||||||||
電源設備 |
80
|
29
|
電機器特性 | 通信局結線図 |
50
|
電気機器 |
30
|
高周波応用 |
20
|
工場保険 |
10
|
電動力応用 |
10
|
|||||||
工場関係法
規災害防止 |
10
10
|
|||||||||||||||||||
小 計 |
280
|
100
|
|
175
|
|
105
|
|
140
|
|
|
|
70
|
|
70
|
||||||
|
1155
|
266
|
|
|
175
|
|
210
|
|
210
|
2単位 |
|
|
|
|
70
|
|
70
|
A.単元の展開
単元 |
|
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1.直流検波器(鉱石検波,二極管検波器)
2.三,多極管検波器 3.ヘテロダイン検波器 4.検波器設計 5.検波器製作 6.検波器特性測定 |
|
|
|
1.高周波増幅器
2.中問周波増幅器 3.低周波増幅器 4.増幅器の設計 5.増幅器の製作 6.増幅器の特性測定 |
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1.返結合発振回路
2.発振周波数の測定 |
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1.音響機器の構造
2.周波数特性測定 |
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|
1.整流器
2.整流特性測定 |
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受信機の総合特性 | 1.放送受信機の構成
2.ストレート受信機とスーパ受信機 3.音質補償回路AVC,AFC回路,負饋還回路 4.受信機の総合特性測定 5.短波,全波受信磯の構成,その特質 |
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4 |
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(1)
1.工具.材料.真空管の特性表を準備する。 2.検波器の組立を計画する。 3.検波器を組み立てる。 4.検波器の特性を試験する。 5.増幅器の組立を計画する。 6.増幅器を組み立てる。 7.増幅器を試験する。 8.発振周波数を測定する。 9.スピーカーの周波数特性を測定する。 10.整流器の試験をする。 11.受信機を組み立てる。 12.受信機を調整する。 13.受信機の総合特性をとる。 |
(2)
1.検波回路の種類・特性 2.検波器の設計 3.増幅回路の種類・特性 4.増幅器の設計 5.発振回路 6.発振周波数の安定 7.音響機器 8.整流回路 9.受信機の構成 10.受信機の雑音・歪 11.受信機の総合特性 |
(4)
1.受信機の発達 2.受信機の生産 3.内外通信施設の現況 4.主要な通信機製作工場 5.通信事業場に就職する機会 6.成功した通信技術者 7.通信技術者資格試験 8.通信関係法規 |
(3)
受信機の部品試験法 受信機の部品製作法 |
(2)は実習作業に直接必要な知識。
(3)は実習作案に直接必要はないがさらに啓発するための知識。
(4)は知っているほうがよく,主た役にたつが,間接的な知識。
(1)と(2)は結合して一人の教師で指導する。
(3)とは実習と別の教師が指導してもよい。
B.副単元2.「増幅器」・「プッシュプル増幅器」の学習指導細案
〔プッシュプル増幅器の設計・製作・試験をなすグループの場合〕
Ⅰ 目 標
(2)プッシュプル増幅器の製作ができる。
(3)プッシュプル増幅器の試験ができる。
Ⅱ 教師の準備と活動
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(1)ドライバ,ラジオペンチ (8)スケール (2)ニッパ,ナツトまわし (9)ピンセット (3)金切ばさみ,シャーシパンチ (10)テスタ (4)やすり,ハンマ (11)真空管試験器 (5)ドリル (12)メガー (6)ラジオこて (13)真室管電圧計 (7)万力 (14)配線図 |
シャーシ 真空管 入力トランス 出力トランス スピーカ 抵抗コンデンサ 配線用電線 |
(1)シャーシに孔をあける。 (2)ソケット,トランスを取り付ける──発振せぬよう,配線が短くなるよう配置する。 (3)抵抗・コンデンサその他を取付け配線する──こては適当な温度とし,早く,かつ美麗に配線する。 (4)誤配線があるかないが検討する。 (5)電源電圧を調べ,異状がなければ真空管を挿(そう)入する。 (6)各球のプレート・スクリ一ン・カソード電圧をテスタで調べる──テスタの適当なレンヂを使用。 (7)規定電圧で規定プレート電流となるようスクリ—ン電圧を調整する。 (8)調整がすんだら低周波電圧を入れ,波形または音量・音質を調べ,適当に調整する。 |
電圧増幅回路の設計・製作──すでに学習したこと
プッシュプル増幅器の設計
プッシュプル増幅器の調整 |
──ここで新たに学習する。 |
(4)生徒に記入させる実習報告書の用紙をつくる。
(5)生徒の自発的活動を刺激するにはどんなものがあるか研究する。
(6)生徒の活動に対して,これをまとめていくための協力の方法を研究する。
(7)学習結果の考査について準備する。
Ⅲ.生徒の活動
(2)プッシュプル増幅器の特長を考えてみる。
(3)表からプッシュプル用の真空管を選んでみる。
(4)プッシュプル増幅器の種々の回路を比較してみる。
(5)なにゆえ音質が改善され音量が増大するかを考えてみる。
(6)教師のプッシュプル増幅器の説明をきく。
(7)プッシュプル増幅器の設計法につき説明をきき,自分で設計してみる。
(8)指導票に基づき,設計したプッシュプル増幅器を製作してみる。
(9)各グループのつくつた設計について批評し合い,教師の批評をきく。
(10)各グループのつくった増幅器について批評し合い,教師の批評をきく。
(11)違った種類のプッシュプル増幅器を比較して表につくってみる.
Ⅳ.結果の考査
この進歩表に記録し評価すべき作業の要素は次のようなものである。
1.結線図をえがく。
2.真空管を選ぶ。
3.部品を試験する。
4.部品を適当に配置する。
5.結線をする。
6.ろう付をする。
7.導通試験をする。
8.各部の直流電圧を測定する。
9.動作状態を試験する。
10.各部の調整をする。
11.測定結果の整理をする。
12.巻線の点検整理をする。
(2)技術的知識──実習報告書・論文や実習の場における質疑討論などに基づいて記述尺度法によって評価する。
また次のような客観テストの問題によっても評価する。
技術的知識と理解を調べる考査問題の例
1.正誤 プッシュプル増幅器では奇数次高周波は互に打ち消されて出力には現われない。
2.正誤 プッシュプル増幅器の出力変圧器は直流励磁がないため,鉄心にgapを設ける必要がある。
3.正誤 B級プッシェプル増幅器では自己偏倚(へんき)と固定偏倚では,前者のほうがよい。
4.正誤 B級プッシュ増幅器は,陽極電流の変化がA級より小さいから,電源としては後者に比べ電圧変動率の小さいことが必要である。
5.( )B級プッシュプル増幅器の入力変圧器の変圧比は(逓昇型逓降型無変化型)である。
6.正誤(結線図) |
著 者
浜田成徳 武田行松 ターマン 日本電波協会 電気学会 V.C.フリックランド著
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書 名
真空管工学 無線工学 ラジオエ学 無線工学ポケットブック 電気工学ポケツトプツク
職業分析 |
発 行 所
コロナ社 共 立 社 日本放送協会 オーム社 オーム社 実教出版株式会社 |