1 電力調程の各学年において到達すべき具体的な目標
次に掲げる目標は,将来電力施設の現場に働く中堅技術者の養成を目的とした場合の例である。
2.旋盤の主要工作法を理解し,簡単な形体の仕上げができること。
3.ボール盤による主要工作法を理解し正しく使えること。
4.測定法を理解し,内外パス・直角定規・マイクロメータ・ノギス等で長さ・径・角度を正しく測定できること。
5.機械製作の大要を理解し,製品および材料の選定ができること。
6.直流回路を理解し,計算ができること。
7.各種抵抗の測定法を理解し,試料に対し適切な測定ができること。
8.抵抗の接統法を理解し,用途に応じ適切な測定ができること。
9.電熱器の設計・製作・試験ができること。
10.電池の原理・構造を理解し、蓄電池の充電保守ができること。,
ll.直流計器の原理・構造を理解し,正確な測定ができること。
12.簡単な工作図がかけること。
13.簡単な電気器具の構造図がかけること。
2.交流回路を理解し,計算ができること。
3.抵抗・インダクタンス・静電容量の測定ができること。
4.交流計器が正しく使え,簡単な修理・較正ができること。
5.計器および測定器の誤差について理解し,測定値の処理ができること。
6.真空管の特性を理解し,その応用ができること。
7.各種変圧器の原理・構造・特性を理解し,かつ特性試験ならびに適切な使用ができること。
8.小型変圧器の巻線ができること。
9.各種誘導電勤機の原理・構造・特性を理解し,かつ特性試験ならびに各種の用途に応じ適切な使用ができること。
10.三相誘導電動機の円線図の作図法に習熟し特性試験ができること。
11.誘導電動機の分解・組立・修理および巻線ができること。
12.水力発電における水力発生設備につき理解すること。
13.各種水車の原理・構造・特性および運転法を理解すること。
14.火力発電設備においてボイラ・復水器・蒸気タービン等の構造・種類・運転の大要につき理解すること。
15.内燃機関の原理・構造・運転の大要につき理解すること。
16.電気機器部分の工作図を正しく読みかつかくことができること。
2.同期電動機の原理・構造・特牲を理解し,かつ特性試験ならびに各種の用途に応じた適切な使用ができること。
3.各種直流電動機の原理・構造・特性を理解し,かつ特性試験ならびに各種用途に応じ適切な使用ができること。
4.各種直流発電機の原理・構造・特性を理解し,かつ特性試験ならびに運転ができること。
5.整流機器の原理・構造・特性を理解し,かつ各種の用途に応じ適切な使用ができること。
6.保護継電器の構造・動作・特性を理解すること。
7.発電所電気設備において運転・操作・故障・保護装置の大要を理解すること。
8.送電方式および送電線の電気的特性を理解すること。
9.変電所の構成および運転・保守につき理解すること。
10.配電方式および配電設備の一般を理解すること。
11.各種電燈の特性測定ならびに照明設計ができること。
12.工場事業場の電動力応用の大要を理解すること。
13.電気通信の大要を理解すること。
14.電気工事設計・配線工事・機器の取付けができること。
15.電気事業法・電気工作物規程等,電力関係法規の運用につき理解すること。
16.電気機械の組立図をかく事ができ,発・変電所の結線図を正しく読み,かつかくことができる。
17.仕事の手順を正しく決定し,作業計画をたてること。
18.工場事業場における災害防止についてじゅうぶん理解し,事故に際して適切な処置ができること。
19.工場事業場における現場にて作業計画・管理ができること。
20.不断の注意力と冷静な判断をもって研究的に作業を行う態度を養うこと。
21.電力技術者として旺盛な責任観念と実践力を持ち作業員の指導統率ができること。
2 電力課程の各科目の内容
(1)電気実習(15単位)
1.機械実習
2)旋盤作業
2)電熱測定 6)交流ブリッヂによる測定
3)電池特性測定 7)電力電力量測定
4)磁気測定 8)真空管特性測定
3)直流直巻電動機 4)直流復巻電動機
2)三相交流同期発電機 7)水銀整流器
3)三相交流同期電動機 8)回転変流機
4)三相交流誘導電勘機 9)継 電 器
5)誘導電圧調整器
2)屋内配線工事 4)電気機器取付工事
2)電気計器の修理 4)小型変圧器の巻線
2)形体の図示法 6)電気結線図
3)寸法の記入法 7)電気配線図
4)機械器具部品の構造工作図
2)電流の諸作用 8)交流回路
3)電流の化学作用 9)多相交流
4)磁 気 10)歪(ひずみ)波形
5)電気と磁気 11)電気および磁気材料
6)静 電 気 12)電 子 管
2)変 圧 器 5)整流機器
3)同 期 機
2)工作機械 5)材 料
3)機械製作法 6)材料力学
2)水力発生設備 10)電気応用
3)火力発生設備 11)光 源
4)発電所設備 12)照 明
5)送 電 13)電 熱
6)変電所電気設備 14)電気化学
7)配 電 15)有線通信
8)電動力応用 16)無線通信
2)作業研究 6)工場関係法規
3)工場管理 7)災害防止
4)賃金制度
3 電力課程学習指計導画の試案
(1)教科課程の一例
学 年
教 科 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
||
|
|
|
|||
|
|
|
|||
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
||
|
|
|
|
||
|
|
|
|||
|
|
|
|
||
|
|
|
|||
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
||
|
|
|
|||
|
|
|
|||
|
|
|
|||
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
||||||||||||||||
|
|
% |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
||||||
実 験 | 実習製図 | 電磁事象 | 電気機器 | 機械一般 |
|
|
(2単位70) | (2単位70) | ||||||||||
|
1 | 機械製作 | 70 | 25 | 平仕上作業 | 文学と線 | 37 | 機械製作法 | 33 | |||||||||
2 | 工作機械 | 70 | 25 | 旋盤穿孔作業 | 形体の図示法 | 34 | 工作機械 | 36 | ||||||||||
3 | 直流回路 | 66 | 24 | 抵抗測定 | 電気器具の製図 | 33 | 電気回路 | 33 | ||||||||||
4 | 電流熱および化学作用 | 18 | 6 | 電池の特性試験 | 電熱器の製図 | 9 | 電流の熱および化学作用 | 9 | ||||||||||
5 | 磁気回路 | 18 | 6 | 磁気測定 | 6 | 磁 気 | 10 | |||||||||||
6 | 電流磁気 | 40 | 14 | 直流計騒の較正 | 直流計器の修理実習 | 22 | 電気・磁気 | 18 | ||||||||||
|
280 | 100 |
|
40 | (2単位) | (2単位) | 140 | |||||||||||
|
||||||||||||||||||
|
7 | 静電気 | 19 | 4 | 静電電圧計 | 9 | 静電気 | 10 | 電気系統の構成
水力発生設備 火力発生設備 |
6
34 30 |
||||||||
8 | 交流回路 | 80 | 18 | 交流ブリッヂ | 電気器具工作実習および製図 | 39 | 交流回路 | 41 | ||||||||||
9 | 多相回路 | 71 | 16 | 電力電力量 | 配電盤製図 | 30 | 多相歪波交流 | 41 | ||||||||||
10 | 電子管 | 34 | 8 | 真室管特性 | 21 | 電子管 | 13 | |||||||||||
11 | 直流機 | 100 | 22 | 直流機特性 | 実地調査(制作工場)直流機製図 | 60 | 直流機 | 40 | ||||||||||
12 | 変圧機 | 81 | 18 | 変圧器特性と接続 | 変圧器巻線実習 | 51 | 変庄器 | 30 | ||||||||||
|
385 | 85 |
|
210 |
|
|
175 |
|
70 | |||||||||
|
||||||||||||||||||
|
13 | 同期機 | 90 | 14 | 同期機特性 | 実地調査(発電所)
発変電所結線製図 |
51 | 同期機 | 59 | 発変電所
電気設備 送電配電 電気応用 電気工事 |
左記関係法規
〃 〃 〃 |
50
50 50 60 |
生産と工場
作業研究 工場管理 原価計算 工場保健 工場関係法規 災害防止 |
10
10 10 10 10 10 10 |
光源
照 電熱 電気化学 有線通信 無線通信 |
10
10 10 10 10 20 |
||
14 | 誘導機 | 87 | 4 | 誘導機特性 | 誘導機分解組立巻
線実習製図 |
51 | 誘導機 | 36 | ||||||||||
15 | 整流機器 | 45 | 7 | 整流機器特性 | 実地調査(変電所) | 24 | 整流機器 | 20 | ||||||||||
16 | 電気工事 | 69 | 11 | 電気機器
絶縁試験 |
電気工事実習
工事配線設計製図 |
48 | 電気機器の保守運転 | 10 | ||||||||||
|
280 | 44 |
|
175 | 105 |
|
|
|
|
|
||||||||
|
|
A.単元の展開
|
|
|
|
|
1.同期発電機の原理構造 | 1.交流発電機の原理溝造
2.三相交流発電機の抵抗と絶縁抵抗の測定 |
|
2.同期発電機の巻線と誘起起電力 | 1.交流発電の巻線および誘起起電力
2.三相交流発電機の無負荷試験 |
|
|
3.同期インピーダンス | 1.交流発電機の電機子反作用と同期インピーダンス
2.三相交流発電機の同期インピーダンス測定 |
|
|
4.同期発電機の特性 | 1.交流発電機の各種特性
2.三相同期発電機の負荷試験 |
|
|
5.並行運転 | 1.交流発電機の並行運転
2.交流発電機の並行運転法 |
|
|
6.安全運転 | 1.交流発電機の安定運転
2.発電所実地調査図 |
|
|
7.同期電動機 | 1.原理構造
2.起動法 3.発電所結線製図 |
|
|
8.同期調相機の原理構造 | 1.原理構造
2.発電所結線製図 |
|
|
9.同相調相機の特性 | 1.特性
2.三相同期調相機の位相特性試験 3.発電所結線製図 |
|
|
10.同期周波数変換器 | 1.同期周波数変換器
2.発電所結線製図 |
|
|
||
|
|
|
1.同期発電機を準備する
2.同期発電機を運転する 3.同期発電機を試験する 4.同朗発電機の取扱保守 5.同期電動機を準備する 6.同期電動機を運転する 7.同期電動機を試験する 8.同期電動機の取扱保守 9.同期調相機を運転する 10.同期周波数変換器を運転する |
1.同期発電機の原理構造
2.同期発電機の種類・巻線・電圧・電流・周波数・力率・能率・励磁 3.同期発電機の電圧変動の原因・短絡・電流 4.同期発電機の用途・原動機 5.同期電動機の原理・構造・種類・回転力・力率・能率・励磁および用途 6.同期調相器の原理構造 7.同期周波数変換機の原理構造 |
1.同期機の歴史
2.同期発電機の生産 3.電気産業と発電所の関係 4.日本の発電地点の分布 5.発電機製作工場の名称 6.発電所に就職する機会 7.成功した電気技術者 8.発電所主任技術者となること |
Ⅰ 目 標
(2)同期インピーダンスを研究すること。
|
|
設 備
1.直流分巻電動機 2.三相交流発電機 3.直流電動機の運転用,励磁電流用電源 |
所要器具
1.二極開閉器 2.直流電圧計 3.直流電流計 4.交流電流計 5.加減抵抗器 6.起動抵抗器 |
1.結 線 2.電動機により発電機を規定周波数に応じた回転数にて運転し,以後これを一定に保つ。 3.界磁抵抗器としては,念のため装備の界磁抵抗器にさらに加減抵抗器を直列に附加して,じゅうぶん大なる抵抗値として界磁の開閉器を閉じ,極小の励磁電流を流して発電機を励磁し,励磁電流電機子電流を記帳する。以後は励磁電流が規定全員負荷電流の125%に達するまで励磁電流を順次増加し,その都度励磁電流電機子電流を記録する。 4.励磁電流と電機子電流の関係曲線を描く。 5.励磁電流に対する短絡電流()および無負荷誘導起電力()を求め,次式により算出する。 6.励磁電流に対する周期インピーダンスを描く。 |
1.直流電動機の運転
2.交流発電機の運転 |
すでに学習したとと | |
1.同期リアクタンス
2.電機子反作用 3.同期インピーダンス。 |
ここで新に学習する |
(4)生徒に記入させる実験報告書の用紙をつくる。
(5)生徒の自発的活動を刺激するものにはどんなものがあるかを研究する。
(6)生徒の活動に対してとれをまとめていくための協力方法を研究する。
(7)学習結果の考査について準備する。
(2)同期リアクタンスはどんなものから成るか調べる。
(3)電圧の変動はどんな時に生ずるか考えてみる。
(4)電機子反作用,同期インピーダンスにつき教師の説明を聞き図に描いてみる。
(5)同期インピーダンスの測定法につき教師の説明を聞き,測定値によりインピーダンスを計算してみる。
(6)各自の測定した測定値が正しいかどうか批評し合い,教師の批評を聞く。
(7)測定値からインピーダンスを計算し,その値が実用に供しうるか否かを批評し合う。
(8)測定値から曲線を描き研究してみる。
(9)実験報告書を作成する。
この進歩表に記録し評価すべき実験作業の要素は,次のようなものである。
1.計器の種類・容量の測定。
2.測定器具の種類・容量の選定。
3.結線図を描く。
4.結線用電線の選択。
5.器具の適切な配置。
6.結線を正確に早く行う。
7.機械器具を点検する。
8.原動機を起動する。
9.測定を正確に早く行う。
10.測定値を正確に記録する。
11.測定値の適否を判断する。
12.測定器具の整理点検をする。
13.実験報告書を整理する。
この進歩表は同期機においては実験作業の各要素の進歩を示すもので同期機の単元ならびに副単元の全般の進歩を示すものではない。
かつこの進歩表は同期機の単元として作製し,副単元ごとに作成するものではない。
電気工事実習および電気工作実習については,機械工作課程の進歩表に準ずるものとす。
(2)技術的知識については,実験中に口問口答させる方法や実験報告書,論文に基づき,記述尺度法によって評価する。
また次の様な客観的テストの問題によっても評価する。
技術的な知識と理解を調べる考査問題の例
1.記入 進み電流に対しては作用する。
遅れ電流に対しては作用する。
2.記入 電機子反作用によると純粋のリアクタ
ンス()と一つにまとめたものを,同期リアク
タンスという。
3.正誤 電機子捲線の純リアクタンスも電機子反作用ととも
に,電流の位相がおくれる程一定誘導起電力と一定
電流に対し,端子電圧を大きくするように働く。
4.正誤(べクトル図) | ただし:負荷電流
:誘導起電力 :端子電圧 :同期インピーダンス :電機子抵抗 :同期リアクタンス |
ただし:誘導起動力 :端子電圧
:端子電圧と負荷電流の位相角
:電機子抵抗 :同期リアクタンス
:誘導起動力と負荷電流の位相角
(3)実験の態度については実験に対する熱意,研究的であるかどうか,また他人とよく協同して作業を行うかどうかを,記述尺度法で評価する。
著 者
磯野達一郎 磯野達一郎 宮本茂業 山本 勇 高田勇次郎 山本忠興 電気学会 V.C.フリシクランド |
書 名
交流機及び変圧機 交流機通論 電気機械要綱 電気材料実験法 新選電気機械 電気機械 電気工学ポケットブック 職業分析 |
発 行 所
共 立 社 養 賢 堂 オーム社 オーム社 オーム社 大同評論社 電気学会 実教出版株式会社 |