第3章 電力課程の指導計画

1 電力調程の各学年において到達すべき具体的な目標

 次に掲げる目標は,将来電力施設の現場に働く中堅技術者の養成を目的とした場合の例である。

第 1 学 年
第 2 学 年
第 3 学 年
 

2 電力課程の各科目の内容

(1)電気実習(15単位)

 1.機械実習

 2.測定実習  3.直流機実験  4.交流機実験  5.電気工事実習  6.電気工作実習  7.電気製図 (2)電磁事象(5単位) (3)電気機械(5単位) (4)機械一般(5単位) (5)電力(8単位) (6)工業関係法規(2単位) (7)工場経営(2単位)  

3 電力課程学習指計導画の試案

 (1)教科課程の一例
学  年

教  科

第1学年
第2学年
第3学年
 
 
 
国  語
社  会
 
10
数  学
   
理  科
 
 
体  育
小  計
16
11
11
38
 
 
 
電気実習
15
電磁事象
 
電気機械
 
機械一般
   
電  力
 
工業関係法規
   
小  計
13
14
35
 
 
英  語
   
数  学
 
 
工場経営
   
電  力
   
小  計
12
工業必修選択教科合計
13
16
18
47
合    計
29
27
29
85
 (2)学年の計画の一例
 
工 業 必 修 科 目(35単位)
選択科目(14単位)
 
単元名
電気実習(15単位525)
(12単位420)
(8単位280)
工場経営
電  力
実  験 実習製図 電磁事象 電気機器 機械一般
電  カ
法  規
(2単位70) (2単位70)
 
 
280
機械製作 70 25 平仕上作業 文学と線 37     機械製作法 33              
工作機械 70 25 旋盤穿孔作業 形体の図示法 34     工作機械 36
直流回路 66 24 抵抗測定 電気器具の製図 33 電気回路     33
電流熱および化学作用 18 電池の特性試験 電熱器の製図 電流の熱および化学作用    
磁気回路 18 磁気測定   磁  気     10
電流磁気 40 14 直流計騒の較正 直流計器の修理実習 22 電気・磁気     18
小  計
280 100
4単位
40 (2単位)   (2単位) 140
4単位
 
13
 
455
静電気 19 静電電圧計   静電気     10 電気系統の構成

水力発生設備

火力発生設備

 

34

30

       
交流回路 80 18 交流ブリッヂ 電気器具工作実習および製図 39 交流回路     41
多相回路 71 16 電力電力量 配電盤製図 30 多相歪波交流     41
10 電子管 34 真室管特性   21 電子管     13
11 直流機 100 22 直流機特性 実地調査(制作工場)直流機製図 60   直流機   40
12 変圧機 81 18 変圧器特性と接続 変圧器巻線実習 51   変庄器   30
小  計
385 85
6単位
210
3単位
2単位
  175
2単位
70
5単位
 
18
 
630
13 同期機 90 14 同期機特性 実地調査(発電所)

発変電所結線製図

51   同期機   59 発変電所
電気設備

送電配電

電気応用

電気工事

左記関係法規
 

50
 

50

50

60

生産と工場

作業研究

工場管理

原価計算

工場保健

工場関係法規

災害防止

10

10

10

10

10

10

10

光源

電熱

電気化学

有線通信

無線通信

10

10

10

10

10

20

14 誘導機 87 誘導機特性 誘導機分解組立巻

線実習製図

51   誘導機   36
15 整流機器 45 整流機器特性 実地調査(変電所) 24   整流機器   20
16 電気工事 69 11 電気機器
絶縁試験
電気工事実習

工事配線設計製図

48   電気機器の保守運転   10
小  計
280 44
5単位
175       105    
20
2単位
70
2単位
70
3単位
6単位
 (3)単元13「同期機」の具体的学習指導計画の例

A.単元の展開
単元
副 単 元
指 導 内 容
学習所要
時  間
 
 
 
 
 
 
 
 
1.同期発電機の原理構造 1.交流発電機の原理溝造

2.三相交流発電機の抵抗と絶縁抵抗の測定

2.同期発電機の巻線と誘起起電力 1.交流発電の巻線および誘起起電力

2.三相交流発電機の無負荷試験

3.同期インピーダンス 1.交流発電機の電機子反作用と同期インピーダンス

2.三相交流発電機の同期インピーダンス測定

4.同期発電機の特性 1.交流発電機の各種特性

2.三相同期発電機の負荷試験

5.並行運転 1.交流発電機の並行運転

2.交流発電機の並行運転法

6.安全運転 1.交流発電機の安定運転

2.発電所実地調査図

7.同期電動機 1.原理構造

2.起動法

3.発電所結線製図

8.同期調相機の原理構造 1.原理構造

2.発電所結線製図

9.同相調相機の特性 1.特性

2.三相同期調相機の位相特性試験

3.発電所結線製図

10.同期周波数変換器 1.同期周波数変換器

2.発電所結線製図

 
 
同期機
 
技術能力
技術的知識
一般的知識
1.同期発電機を準備する

2.同期発電機を運転する

3.同期発電機を試験する

4.同朗発電機の取扱保守

5.同期電動機を準備する

6.同期電動機を運転する

7.同期電動機を試験する

8.同期電動機の取扱保守

9.同期調相機を運転する

10.同期周波数変換器を運転する

1.同期発電機の原理構造

2.同期発電機の種類・巻線・電圧・電流・周波数・力率・能率・励磁

3.同期発電機の電圧変動の原因・短絡・電流

4.同期発電機の用途・原動機

5.同期電動機の原理・構造・種類・回転力・力率・能率・励磁および用途

6.同期調相器の原理構造

7.同期周波数変換機の原理構造

1.同期機の歴史

2.同期発電機の生産

3.電気産業と発電所の関係

4.日本の発電地点の分布

5.発電機製作工場の名称

6.発電所に就職する機会

7.成功した電気技術者

8.発電所主任技術者となること

B.副単元3 「同期インピーダンス」の学習指導細案 

 Ⅰ 目  標

 Ⅱ 教師の準備と活動  
三相交流発電機の同期インピーダンスを測定すること(所要時間3時間)
  設  備

1.直流分巻電動機

2.三相交流発電機

3.直流電機の転用,励磁電流用電源

  所要器具

1.二極開閉器

2.直流電圧計

3.直流電流計

4.交流電流計

5.加減抵抗器

6.起動抵抗器

作 業 順 序

1.結 線

2.電動機により発電機を規定周波数に応じた回転数にて運転し,以後これを一定に保つ。

3.界磁抵抗器としては,念のため装備の界磁抵抗器にさらに加減抵抗器を直列に附加して,じゅうぶん大なる抵抗値として界磁の開閉器を閉じ,極小の励磁電流を流して発電機を励磁し,励磁電流電機子電流を記帳する。以後は励磁電流が規定全員負荷電流の125%に達するまで励磁電流を順次増加し,その都度励磁電流電機子電流を記録する。

4.励磁電流と電機子電流の関係曲線を描く。

5.励磁電流に対する短絡電流()および無負荷誘導起電力()を求め,次式により算出する。

6.励磁電流に対する周期インピーダンスを描く。

   Ⅲ 生徒の活動  Ⅳ結果の考査 C.どの単元を研究するための参考書
 著  者

 磯野達一郎

 磯野達一郎

 宮本茂業

 山本 勇

 高田勇次郎

 山本忠興

 電気学会

 V.C.フリシクランド

 書  名

交流機及び変圧機

交流機通論

電気機械要綱

電気材料実験法

新選電気機械

電気機械

電気工学ポケットブック

職業分析

発 行 所

共 立 社

養 賢 堂

オーム社

オーム社

オーム社

大同評論社

電気学会

実教出版株式会社