1 窯業課程の各学年において到達すべき具体的目標
次に掲げる目標は陶磁器を主とした工業的な課程で将来陶磁器工場の中堅技術者を養成することを目的とした場合の例である。
2.陶磁器の歴史および現在の状況を理解し特に日本の地位を理解会得する。
3.窯業製品の種類を理解し,鑑別ができること。
4.各窯業製品の特性および用途を会得する。
5.窯業製品と他の工業製品との関係を会得する。
6.陶磁器の種類を理解し,鑑別ができること。
7.陶磁器原料はいかなるものか会得する。
8.他の岩石と窯業原料の関係を会得する。
9.窯業原料の生成過程を会得する。
10.窯業原料の分布を会得する。
11.陶磁器の簡単な製品ができること。
12.簡単な器物の成形ができること。
13.窯業機械の種類を会得し,その取扱ができること。
14.原材料の調製および取扱ができること。
15.燒成の原理と方法を会得する。
16.釉およびその種類を理解し,調製できること。
2.下絵付と上絵付の区別ができること。
3.着色材の種類をおぼえ,応用ができること。
4.素焼ができること。
5.窯の種類を理解し,その区別ができること。
6.鉱物岩石の種類・性質を会得する。
7.各原料のそれぞれの作用を理解し,その調製ができること。
8.鉱物顕微鏡の使用ができること。
9.各原料の鑑別ができること。
10.原材料の物理的試験ができること。
11.各原料の素地および釉薬に及ぼす影響を会得する。
12.素地と紬薬との関係を理解し,その調節ができること。
13.ガラスの製造法を会得する。
14.ガラス素地の缺点を理解し,その改善法を会得する。
15.セメントの製造法を会得する。
16.琺瑯(ほうろう)の製造法を会得する。
2.各種耐火物の特性を理解し,その用途を会得する。
3.耐火原料およびそれが製品に及ぼす影響を会得する。
4.窯炉が陶磁器製造および経営にいかに関係するかを会得する。
5.固体燃料を理解する。
6.石炭の品質試験ができること。
7.液体燃料を理解する。
8.気体燃料を理解し,生成法を会得する。
9.燃料の使用に関する計算ができること。
10.窯の設計図が読めること。
11.窯の設計図ができること。
12.焼成技術を会得する。
13.定性分析ができること。
14.定量分析の基本ができること。
15.珪酸塩の分析ができること。
16.ガス分析ができること。
17.陶磁器工場における原価計算ができ,能率や生産高が計算ができること。
18.工場経営能力を会得する。
19.工場関係法規を理解する。
20.労務管理を理解し,作業の監督ができ,能率増進を計りうること。
2 窯業課程の各科目の内容
1.窯業実習
2)調製作業 13)顕微鏡実習
3)ろくろ実習 14)耐火度試験
4)模型実習 15)窯詰作業
5)釉(うわぐすり)調合実験 16)焼成作業
6)素焼作業 17)計器使用
7)陶画実習 18)燃料試験
8)上絵実習 19)物理試験
9)素地実験 20)粒度試験
10)着色実験 21)泥漿試験
11)ガラス溶融試験 22)陶磁器工場
2)原 料 10)着 色 剤
3)素地土調製 11)ガラス琺瑯
4)成 形 12)セメント
5)乾 燥 13)物理的性質
6)紬 14)組織と構造
7)素 焼 15)窯業理論化学
8)下絵装飾 16)工場設置
2)地質作用 7)鉱物各論
3)地 史 8)造岩鉱物
4)粘土鉱物 9)光 学 性
5)鉱 物 10)顕 微 鏡
2)耐火れんが 7)燃焼理論
3)窒 炉 8)燃料各論
4)窒炉計算 9)燃料装置
5)焼成理論
2)定性分析 6)珪(けい)酸塩の分析
3)重量分析 7)ガス分析
4)容量分析
2)形体の図示法 6)窯炉計算
3)寸法の記入法 7)築 窯 図
4)斜 傾 図
2)電気測定 5)交・直流変換機器
3)電燈照明と電燈 6)電動力応用
2)素 描 4)構 図
5)生物写生 7)人物写生
6)風景写生
3 窯業課程学翌指導計画の試案
(1)教科課程の一例
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導 入 |
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工場見学 |
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概 説 |
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原 料 |
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粉砕粉製 |
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原 料 | 地球・地史
地質作用 |
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素 地 |
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調成作業 |
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素地土調成 | 粘土鉱物 |
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ろくろ |
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ろくろ実習 |
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成 形 |
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模 型 |
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横型実習 |
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乾 燥 | |||||||||||||||
紬 |
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釉調成試験 |
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釉 |
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素焼作業 |
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素焼作業 |
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素 焼 |
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文字と線 |
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基礎理論 |
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下絵付 |
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陶画実習 |
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下絵装飾 |
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形体の図示法 |
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電気測定 |
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上絵付 |
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上絵付実習 |
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上絵装飾 |
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寸法の記入法 |
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電気照明と電熱 |
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素地実験 |
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素地実験 |
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鉱物・岩石 |
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傾斜図 |
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交・直流電気機器 |
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着色剤 |
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着色実験 |
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着色剤 | 鉱物各論 |
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機械工作図 |
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交・直流変換機器 |
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ガラス・琺瑯 |
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ガラス溶融試験 |
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ガラス・琺瑯 | 造岩鉱物 |
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窯炉計算 |
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電動力応用 |
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セメント |
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耐圧試験 |
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セメント |
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築窯図 |
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顕微鏡 |
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顕徴鏡実習 |
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光学性顕徴鏡 |
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耐火物 |
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耐火試験 |
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耐火物の原料煉瓦製法 |
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分析理論 |
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生産と工場 |
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窯 炉 |
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窯詰作業 |
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窯 炉 |
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定性分析 |
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作業研究 |
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焼 成 |
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焼成作業 |
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窯炉計算燃焼理論 |
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電量分析 |
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製造管理 |
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熱管理 |
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計器使用 |
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熱管理 |
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容量分析 |
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賃金研究 |
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燃 料 |
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燃料試験 |
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燃料理論
燃料各論 |
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工業分析一般 |
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原価計算 |
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物理試験 |
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物理試験 |
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物理的性質 |
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珪酸塩分析 |
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工場関係法則 |
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構造と性質 |
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粒度試験 |
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組織と構造 |
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ガス分析 |
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泥試験 |
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泥試験 |
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窯業理論化学 |
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工場設置 |
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A.単元の展開
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(1)ろくろ準備作業 | 1.ろくろに必要な工具
2.粘土の成分と選定 3.土練り |
1
3
5
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(2)平物成形作業 | 1.玉土の引伸し方
2.工具の使用 3.小ざらの造り方 4.仕上げ |
5
4
10
10
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(3)機械ろくろ作業 | 1.適当な回転数
2.茶わん・湯飲みの造り方 |
2
10
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(1)
必要工具を作る 土練りをする 寸法を造る こてへらの手入れ 玉土の引伸し しった造り 小物平ざらの成形 仕上げ |
(2)
粘土の性質 〃 種類 〃 水分加減 半成素地乾燥具合 素地不良の原因対策 乾燥 ろくろ機械 |
(4)
ろくろの歴史 製品統計 ろくろ工場の機械配置 |
(3)
ろくろの構造 各種型 粘土の試験法 成形法の種類 |
(2)は実習作業に直接必要な知識。
(3)は実習作業に直接必要はないがさらに啓発するための知識。
(4)は知っているほうがよく,主た役にたつが必要でない知識。
B.副単元(2)「平物成形作業」3「小ざらの造り方」
Ⅰ.目 標
(2)小ざらが作れること。
(3)乾燥ぐあい,削り加減の研究。
平物小ざらを造る (所要時間10時間)
工具と設備 材 料 (1)ろくろ (7)グライング (1)粘土 (2)練板 (8)貯蔵室 (3)こて・へら (9)モロ板 (4)しっぴきためし (10)水がめ および寸法 (11)万力 (5)曲り・水はけ (12)金づち (6)やすり 作 業 の 順 序 (1)土を取り練板の上に置く—— (6)ろくろを回転させる。 練板をきれいにしておく。 (7)水をつけて回転の中心に土を合 (2)土の粗練りをする。 わせる。 (3)土の大押し。 (8)土取りをする。 (4)土の稔押しをする。 (9)のた割をする。 (5)ろくろの上へ玉土をすえる。 (10)荒延しをする。 (11)だいたいの小ざらの形を作る。 (19)半成素地を貯蔵する。 (12)こてへらをあてて形を整 (20)鋼板を曲げてグライング,やす える。 りで曲りを作る。 (13)なめし皮でふちを摘みき (21)しったを作る。 れいする。 (22)半成素地の乾きぐあいを見る。 (14)寸法を合わせる。 (23)しったをろくろの中心にのせ回 (15)しっぴきで切る。 転しても振れをなくする。 (16)モロ板にのせる。 (24)半成素地をしったの上にのせる (17)のた造りの練習をする。 (25)曲りを使う。 (18)しっぴきをじょうすに使 (26)削って寸法を合わせる。 う練習をする。 (27)はけできれいに化粧する。 |
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粘 土 | 乾 燥 | ||||
粘土の種類・成分・性質
ろくろ機械 成型 |
既習の知識。 | 粘土の水分加減
生素地乾燥具合 不良対策 |
ここで学習する。 |
(4)生徒に記入させる実習報告書の用紙を作る。
(5)生徒の自発的活動を刺激する誘導方法を研究する。
(6)生徒の活動に対してこれをまとめていくための協力の方法を研究する
(7)学習結果の考査について準備する。
(2)機械ろくろとの相違を比較検討してみる。
(3)手作り型成形と比較してみる。
(4)玉土の伸しとの関係を調べてみる。
(5)教師のろくろ作業を見学し話を聞く。
(6)指導票に基づいてこれを検教してみる。
(7)各自の作った小ざらを批評し合い教師の批評を開く。
(8)小ざらを作ってみる。
(9)乾燥程度について研究してみる。
(10)実習報告書により,実習経過やその結果について発表し合う。
進歩表は機械工作課程の例に準する。
(2)技術的知識について実習の場における課題について口問口答させる方法や実習報告書に基づいて記述尺度法により評価する。
また次のような問題によって評価する。
技術的な知識と理解を調べる例
1.正誤 ろくろは回転数が速い程作業が早い
2.正誤 仕上げは生素地がよく乾燥したほうがよい。
3.正誤 粘度は木節が多いほど大きい。
4.正誤 粘土は鉄分が少いほどよい
5.( )ろくろでは次のような形のものをおもに形成する
(1)さら (2)湯飲み (3)花びん (4)小碍管
(5)人形 (6)徳利 (7)土びん
6.土練りには……………………の方法がある。
(3)実習の態度については実習に対する熱意,研究的であるかどうか,他人とよく協同して作業するか等を記述尺度法で評価する。