1 造船課程の各学年において到達すべき具体的目標
次に掲げる目標は将来造船所の規場に働く中堅技術者の養成を目的とした場合の例である。
2.のこぎり・かんな・のみ・等の木工具が正しく使え,かつ手入れができること
3.木工旋盤・鋸盤・鈎盤等の木工機械によって簡単な工作ができること。
4.造船用木材の材質と等級による使用区分がわかること。
5.木材の乾燥について理解すること。
6.水材接合・基本作業ができること。
7.木材の蒸し曲げ作業ができること。
8.製作品の材料の石数がわかり見積りができること。
9.固着くぎの種類と用途がわかり,固着工作ができること。
10.填絮材料を理解し,かつ木船の水密工作ができること。
11.索具および帆布の種類と用途を理解すること。
12.製図の基本を理解し,簡単な図面がかけ,かつ読めること。
13.船体線図の基本を理解すること。
14.オフセットにより現図の基本がかけること。
15.木船の一般配置を理解すること。
16.木船の中央横断面図が読めること。
17.肋骨の斜角が出せること。
18.肋骨の型板を理解し,かつ工作ができること。
19.浮体の基礎理論を理解すること。
2.簡単なけがき作業ができること。
3.船台木工作業を理解すること。
4.一般配置の設計ができること。
5.簡単な梁における引張・圧縮・剪断および曲げの各応力について理解すること。
6.船体線図から排水量計算ができること。
7.排水量曲線図およびボンジャン曲線がかけること。
8.進水計算・進水曲線および進水工事を理解すること。
9.鋼船現図の基本作業ができること。
10.揚錨繁留に使用する各種艤装品の作用を理解し,その強度および疲労程度がわかること。
11.操舵装置の種類とその機構および性能の特質を知り,簡単な故障原因がわかり,かつ修理ができること。
12.船舶の揚貨装置の機構を理解し,力学計算ができ,強度に適した艤装ができること。
13.居住設備に必要な建具木工工作と通風採光暖房および冷房装置等の概要を理解すること。
14.船舶における諸管系統図とポンプ装置を理解すること。
15.船舶の各区画とその閉鎖装置を理解するとと。
16.隔壁図がかけること。
17.船舶属具とその取付けについて理解すること。
18.静的および動的復原性を理解し,その計算ができ,かつ各曲線がかけること。
19.静水中および波浪中の船の動揺とその軽減法を理解すること。
20.船型水槽試験を理解すること。
2.薄鋼板の歪取・曲げ・切断および接合の基本作業ができること。
3.びょう接および熔接に必要な条件を理解し,簡単な基本作業ができること。
4.内業加工を理解し,使用機械の基本操作ができること。
5.鋼鋼の水密工作を理解し,その基本作業ができること。
6.鋼船の船首材・龍骨・船尾骨材および外板等の接合法を理解し,かつ構造図面がかけること。
7.鋼般の中央横断面図がかけること。
8.舶体を梁として船舶に作用する応力の計算ができること。
9.船舶の各部分に起る応力を理解すること。
10.外板および二重底縁板の現図の展開ができること。
11.船舶用塗料の種類と使用区分がわかり,途装ができること。
12.船舶の旋回と船型との関係を理解すること。
13.推進器の作用とその効率を理解すること。
14.船舶の抵抗と抵抗曲線がわかり機関の所要馬力の計算ができること。
15.舶用機関および補機の構造と修理の概要を理解すること。
16.船舶の検査と試験の概要を理解すること。
17.船舶関係法規を理解すること。
18.造船所および船舶に使用されて電気機械・電気器具について理解すること。
19.造船所の組織と工員の職種について理解すること。
20.造船所の工場配置および機械配置と作業能率との関係について理解すること。
2 造船課程の各科目の内容
1.造船実習
2)造船工事調査 8)肋骨度出し
3)木工作業 9)線図設計
4)木船線図模写 10)排水量曲線図
5)一般配置図模写 11)復原性曲線
6)木船基本現図 12)進水曲線
13)鋼船基本現図 21)中央横断面図
14)一般配置図 22)縁板展開
15)肋骨山形鋼度出L 23)鋼材配置図
16)隔 壁 図 24)材料実験
17)しない取および型取 25)外板展開
18)船首材図 26)見 取 図
19)鋼材加工作業 27)現場作業
20)船尾骨材と舵図 28)工場配置図
2)木 材 10)しない取型取およびけがき
3)木 工 事 11)鋼材加工
4)木船工作 12)塗装と防蝕
5)船具工作 13)鋲接と溶接
6)線図と現図場 14)現場工事
7)現図と展開 15)検査と試験
8)進水工事 16)造 船 所
2)木材接合 10)横強力構造
3)固着くぎ 10)隔壁構造
4)船内配置と船用具 12)船首構造
5)木船構造 13)船尾構造
6)主要寸法 14)船底構造
7)排 水 量 15)縦強力構造
8)復 原 性 16)外板構造
2)梁(はり) と 柱 4)軸
5)進水計算 8)船体の部分強度
6)舵(かじ)と旋回力 9)抵 抗
7)船体に働く力 10)推 進
2)操舵(だ)装置 6)通風と暖房冷房装置
3)揚貨装置 7)属 具
4)居住設備
2)船舶積量 5)船舶区画規定
3)船舶満載吃水線規程 6)漁船特殊規程
2)電気測定 5)交・直流変換装置
3)電燈照明と電熱 6)電動力応用
2)蒸気タービン 6)甲板機器
3)蒸気機関 7)補助機器
3 造船課程学習指導計画の試案
(1)教科課程の一例
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1
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28
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基本製図 |
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造船工事調査 |
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材料と用途 |
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船 舶 |
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木工作業 |
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木 材 |
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木材接合 |
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木造船 |
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木船線図模写 |
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木工事 |
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固着釘 |
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一般配置 |
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一般配置図模写 |
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木船基本現図 |
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船員工作 |
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船内配置と船用具 |
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木船構造 |
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中央横断面図模写 |
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肋骨度出し |
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木船工作 |
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木船構造 |
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初期設計 |
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線図設計 |
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鋼 船
基本現図 |
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線図と現図場 |
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主要寸法 |
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応力と歪 |
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船舶蟻装 |
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排水量 |
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排水量曲線図 |
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断水量 |
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揚錨繋留装置
操舵装置 揚貸装置 居住設備 諸管装置 通風と暖房装置 属 具 |
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復原性 |
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復原性曲線 |
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現図と展開 |
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復原性 |
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進 水 |
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進水曲線 |
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進水工事 |
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進 水 |
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進水計算 |
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肋骨と梁 |
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一般配置図 |
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肋骨山形鋼
開閉度出し |
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非鉄金属 |
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横強力構造 |
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梁と柱 |
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隔 壁 |
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隔壁図 |
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しない取および型取 |
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しない取型反およびけがき |
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隔壁構造 |
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板 |
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船首部 |
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船首材図 |
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鋼材加工作業 |
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鋼材の加工 |
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船首構造 |
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軸 |
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船舶法規 |
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船尾部 |
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船尾骨材と舵図 |
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船尾構造 |
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舵と旋回力 |
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船舶安全法 |
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基礎理論 |
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内燃機関
蒸気タービン 蒸気機関 ボイラ 軸 系 甲板機器 補助機器 |
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船底部 |
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中央横断面図 |
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縁板展開 |
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塗装と防蝕 |
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船底構造 |
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船体に働く力 |
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船舶積量 |
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電気測定 |
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縦強度 |
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鋼材配置図 |
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材料実験 |
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鋲接と溶接 |
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縦強力構造 |
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船舶満載
吃水線規程 |
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電燈照明と電熱 |
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外 板 |
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外板展開図 |
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外板展開 |
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現場工事および検査と試験 |
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外板構造 |
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船体の部分強度 |
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船舶設備規程 |
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交・直流電気機器 |
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現 場 |
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見取図 |
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現場作業 |
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抵 抗 |
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船舶区画規程 |
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交・直流変換装置 |
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工場管理 |
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工場配置図 |
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造船所 |
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推 進 |
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漁船特殊規則 |
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電動力応用 |
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1295時 |
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A.単元の展開
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1.肋骨心距と配置 | 1.区画
2.単底と二重底 3.機関室 4.船艙 5.甲板および甲板室 6.材料一般 |
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3
3
3
3
9
3
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2.船体の曲面 | 1.外板と肋骨
2.甲板の舷弧と梁失 3.肋骨山形鋼の開閉度出し 4.斜肋骨 |
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4
5
16
3
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3.横強力 | 1.肋骨
2.梁 3.肘板と梁住 |
28
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10
8
10
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合 計 |
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Ⅰ.目 標
(2)肋骨および梁の外板および甲板に対する強度的関係の概念がわかること。
(3)舶舶の長さおよび幅に応じて舷弧および梁失がわかること。
(4)肋骨山形鋼の開閉度出し作業ができること。
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現図使用器具類を準備する。
曲線の順整を検討する。 肋骨を正面線図に記入する。 肋骨の度出し位置を定める。 肋骨山形鋼の開閉度を出す。 度板を作製する。 度板の度を型板に移す。 |
主要寸法
線 図 舷 弧 梁 失 略宇・略符号 引透線・平行線・直角線 びょう接と水密 しない取りと型取り |
流体の摩擦波渦
流 線 型 船型の歴史 |
用器画法
排水量 浮 力 肥瘠係数 船体各部の名称 しない型板の作製およ び使用範囲 |
Ⅰ.目 標
(2)度板の作り方について研究すること。
(3)山形鋼のびょう孔中心の決め方,びょう配置等を理解すること。
工具と設備 (所要時間16時間) (1)金づち(二種) (6)バッテンくぎおよび (1)白墨 (2)墨つぼおよび墨さし バッテンハンマ (2)ろう石 (3)曲尺・英仏折尺 (7)T型定規 (3)白亜鉛華 (4)チョークライン (8)直角定規 (4)アラビアゴム末 (5)バッテン (9)自由金 (5)朱粉・黄粉 (10)「バッテン」くぎ類 (6)墨じゅう (1)一肋骨心距の平行線を現図場の任意の場所にかいておく。 (2)度を出そうとする肋骨を決める。 (3)肋骨線と外板縦縁線との交点を確認する。 (4)交点において定規または墨糸で水平線をかく。 (5)交点において丁型定規を用い,肋骨曲線にノルマルに墨さしで線を引き次の肋骨曲線との交点を求める。 (6)交点間の長さを定規にとる。 (7)一肋骨心距の平行線上に交点間の長さをとった定規をあてがい,長さをうつす。 (8)一肋骨心距,交点間の侵さを二辺とする直角三角形の斜辺を引く。 (9)斜辺の角度を度板にうつしとる。 |
肋骨山形鋼の開閉度出しに必要な技術的知識
線図の理解
主要寸法 舷 弧 梁 失 |
すでに学習したこと。 | 略字略符号
平行線直角線 直角三角形の応用 |
ここで新たに学習すること。 |
(4)生徒に記入させる実習報告書の用紙をつくる。
(5)生徒の自発的活動を刺激するにはどんなものがあるか,その誘導方法を研究する。
(6)生徒の活動に対してこれをまとめていくための協力的方法を研究する
(7)学習結果の考査について準備する(詳細は別項にある)。
(2)船体のどの部分の肋骨に度出しが必要か調べる。
(3)肋骨の度出し方にどんな方法があるか調べる。
(4)教師の肪骨度出し作業を見学し,話を聞く。
(5)任意の肋骨の度出しをやって実物あるいは模型があれば比較してみる。
(6)各自の出した角度について批評し合い教師の批評を聞く。
(7)場所を換えてやや複雑と思われる箇所の度出しをやってみる。
(8)各作業の誤差について研究してみる。
(9)実習報告書を作成する。
(2)度板のつくり方などの研究については実習報告書によって調べる。
(3)作業中の観察によって態度や習慣を記述尺度法などで測定する。
(4)技術的な知識と理解の程度については,実習報告書や論文や生徒の話合いを通じて記述尺度法などで測定したり,また次のように問題によつても測定する。
技術的な知識と理解を調べる例
1.正誤 現図場の床板は比較的柔軟質のものがよい。
2.正誤 現図場の床板は柾目よりも板目のほうがよい。 3.正誤 現図の正確さは基準線の多少に比例する。 4.正誤 肋骨山形鋼の開閉度は曲面の緩急に比例する。 5.( ) 鋼板で曲りあるも展開可能で簡単な形のものには (1)定規 (2)平型 (3)曲型 (4)箱型 (5)切断型 (6)横型 (7)見透型 を使用する。 6.現図で基準にする線には……………………がある。 |
久保田圭右 高等平面図学
高木剛三 平面図学
溝口好忠
溝口好忠 立体図学(上・下)
福田正雄 高等図学(平面・立体)
平山 嵩 最新高等図学(平面・立体)
中根孝治 図学(平面・立体)