一 芸能科書道の学習指導と資料
芸能科書道における資料の性質は、次のようなものであることが望ましい。
1 学習指導の目標に到達させるために有効なもの。
2 生徒に豊かな経験を与えうるもの。
3 学習活動の媒介となるもの。
資料の選択にあたっては、次のような条件に注意しなければならない。
2 生徒の経験・興味・必要などに関連のあるもの。
3 生徒の文字の生活、書道の生活に即したもの。
2 書の芸術性を味得する上に必要な碑版法帖・古筆類。
広く書の美を鑑賞する上に適当な金文・碑版法帖・名家真跡類。
(三) その他の資料として
2 実用的効果をあげるに適当なもの。
3 生徒の作品。
(一) 技術習得のための資料
2 書体・書風一覧に便利なもの。たとえば「書道全集」など。
3 字彙(い)・字典。
4 書道史に関するもの。
5 文字学に関するもの。
6 書道に関する考証ならびに研究書。
7 謄写筆跡・ポスター(筆写文字を主とするもの)の類。
8 手紙・門札・看板の類。
9 生徒の作品など。
三 芸能科書道において教科用図書はどんな地位を占めるか
要するに、これからの芸能科書道の教科用図書は、芸能科書道の学習指導の目標を達成するに必要な経験を提供するものであり、生徒の身心の発達段階に合っていて、無理なく学習されるものであり、興味を持って、喜んで迎えられるものでなければならない。
教師は教科用図書をじゅうぶん活用するとともに、教科用図書をよく検討して、学習指導が、いわゆる教科用図書中心主義に陥らないように、書道の理解・技術・鑑賞・態度のそれぞれの学習にふさわしい各種の資料を教科用図書以外にも求めて、効果的な学習活動が行われるように、計画をたてなければならない。
芸能科書道の教科用図書を資料として用いる際には、次のような点に注意して、資料の適否を検討することが必要である。
1 教科用図書の単元の組織が生徒に適当しているかどうか。
2 内容が生徒の経験・興味・能力に合っているかどうか。
3 学習活動が、教育課程の目標にかなっているかどうか。
新しい傾向の芸能科書道の教科用図書は、こうした点において、それぞれ考慮が払われてはいるが、教師がめいめいの生徒の身心の発達段階や、芸能科書道の学習指導の目標に照して検討してみると、いかによい教科用図書であっても、いろいろな点において、資料として教科用図書だけにたよっているのでは、じゅうぶんでないということに気づくであろう。
四 資料を使いこなすための環境