第Ⅲ章 各学年の指導目標と指導内容

 

Ⅰ 幼稚園ならびに第1学年

 

歌   唱


指導目標
学習活動の例
資   料
1.歌唱の楽しさを味わわせる。

2.たくさんの歌を歌わせたり聞かせたりすることによって,音楽的背景を豊かにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

3.歌唱の能力を伸ばす。

○軽い頭声で

○正しい調子で

○正しい発音で

○正しい息つぎで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


4.フレーズに対する感覚を伸ばす。

 

 

 
 

5.歌曲の感じを表現する能力を伸ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6.みんなでいつでも歌える歌曲の数を多くする。

 
 

7.読譜や記譜に関する背景を豊かにし,準備を整える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8.よい習慣を養う。

○注意して聞く。

○よい姿勢をとる。

 

○たくさんの暗唱歌を歌う。

○家庭で楽しんで歌っている歌を,学校でも歌う

○学校で楽しんで歌っている歌を,家庭でも歌う。

○歌遊びをする。

○歌を劇化する。また,劇の伴奏として歌う。

○クラス全体で歌ったり,小さなグループで歌ったり,個人で歌ったりする。

○学校行事その他特別な機会などに歌う。

○体育科・社会科・理科などと関連して歌う。
 

○他人の歌うのを気をつけて聞く

○特に軽く美しい発声に気をつけて聞く。

○出しやすい音域で作られた歌を歌う。

○すわって歌ったり立って歌ったりする。

○旋律に合わせて手を上下に動かす。

○いろいろなしるしで,音の動きを黒板に書いてみる。

○朝のあいさつを節(ふし)にして歌う。

○他人の歌うのを気をつけて聞いて歌う。

○いろいろな声音を聞き比べる。

○歌で問答して遊ぶ。

○次のような練習をする。

*音をじゅうぶん延ばす。

*一息で一つの句を歌う。

○たこ・風船・雪などを想像しながら,軽い頭声の発声をする。

○先生の口型をまねて歌う。

○明りょうな発音と正しいくぎり方で歌詞を読む。

○一くぎりごとに,ひとりまたは,小グループで歌う。

○フレーズのくり返しを注意して聞く。

○個人やグループで一くぎりずつ歌っていくのを聞きながら,似かよっているフレーズを選び出す。

○音楽をよく解釈して,表情深く歌う人々の歌を聞く。

○歌の気分や,リズミカルな流れや,美しさなどを感じながら聞く。

○自分の気持のままに解釈して歌う。

○歌詞の内容について話し合う。

○次のような対照について話し合ったり,身体で表現したりする。

*高い——低い

*強い(大きい)——弱い(やわらかい)

*速い——遅い

*元気——静か

○音楽をどんなふうに感じたかについて話し合う。
 

○得意な歌を毎日練習する。

○知っている歌で小音楽会を開く。

○階名模唱で音階を歌う。

○「ラ」や「ル」などで知っている歌を歌う。

○階名でいろいろな旋律型を歌う。

○いくつかの簡単な歌を階名模唱で歌う。

○「ラ」や「ル」などで知っている歌を歌う。

○先生が「ラ」や「ル」などで歌った旋律や歌の名まえをあてる。

○歌の音符の長さに合わせてステップをふむ。

○アクセントや拍子に反応する。

○歌詞または「ラ」や「ル」などで歌われた歌や楽句を注意して聞いて,階名に直して歌ってみる。

○心に一つの目的をもって聞く。そして聞いたあとで答える。

○すわって歌う時,また,立って歌う時のよい姿勢について話し合う。

○本をもって歌う時の正しい姿勢について話し合う。

○時々自分の姿勢に注意する。

教  材

1.児童の発達段階に即した聴唱法による教材

年間16曲以上 2.調子 自由。ただし,長音階,日本音階によるもの 3.拍子 2・3・4拍子 4.リズム 単純なもの 5.曲態 単音のもの 6.音域 7.歌詞 口語体で平易なものを主体とする。内容は児童の生活から取材したもので,具体的かつ興味の多いもの。
〔教  具〕

1.調子笛(音又)

2.ピアノ(オルガン)

3.蓄音機・ラジオ

4.レコード

(レコード表参照) 5.メトロノーム

6.掛図類

7.参考書

(参考書の部参照)

 

 

器   楽


指導目標
学習活動の例
資   料
1.音楽的表現の手段として,リズム楽器を使用する能力を伸ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
2.音楽会で演奏する能力を伸ばす。

 

3.楽器の組合せをくふうする能力を伸ばす。

 

 

 

4.よい習慣を養う。

○歌や楽器の演奏を注意深く聞く。

○楽器を正確に演奏する。

○楽器の手入れや取扱に注意する。

 

○リズムや音の効果,ならびに演奏の方法に注意して音を出してみる。

○いろいろな楽器を比べてみる。

○個人またはグループが作つたリズムの伴奏として,リズム楽器を用いる。

○レコードやけん盤楽器(ピアノ・オルガン・アコーディオンなど)で演奏された音楽のリズム打ちをする。

○リズム音楽で歌唱の伴奏をする。

○リズム楽器でいろいろな活動(行進・かけ足・スキップの伴奏をする。

○リズム楽器で拍子打ちをする。

○リズム楽器でいろいろなリズム型を作る。

○一つまたはいくつかの楽器を使って演奏する。

○リズム,バンドで演奏する。

○学級や学校の音楽会に,リズムバンドで参加する。

○歌ったり演奏したりするのを聞いて,楽器の組合せをくふうする。

○くふうした楽器の組合せを聞いて話し合う。

○いろいろな組合せを試み,最もよいものを選ぶ。

○身体的な反応をしながら注意して聞く。

○楽器でどんな音が出るかいろいろな音を出して実験をしてみる。

○そして,どんな効果が生じるかについて話し合う。

○他人の演奏を注意して聞く。また演奏の態度を観察する。

○楽器の演奏に関する絵をみる。

○楽器で演奏するしたくをする。

○楽器をどのように取り扱たらよいかについて話し合う。

○楽器の手入れをする。

教  材

歌唱教材を用いる。

 

 

 

楽  器

大太鼓

タンブリン

トライアングル

カスタネット属

児童・教師のくふうした楽器

 

 

鑑   賞


指導目標
学習活動の例
資   料
1.よい音楽の鑑賞力を伸ばす。

 

 
2.注意深く識別して,しかも想像に富んだ聞き方の習慣を養う。

3.純粋に楽しむために,音楽を静かに聞く習慣を養う。

 
 

4.いろいろなリズム型に対する感覚と識別力とを伸ばす。

 

 
5.リズムに対して自発的に反応する喜びを味わわせる。

 
 
 

6.音楽は表現の手段であることを理解させる。

(音楽の描写力をも理解させる)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7.見ても,音を聞いただけでも,何の楽器がわかる能力を伸ばす。

 

 
 

8.音楽は美しい音でできていることを理解させる。

 

 

 

9.音のよさを聞き分ける能力を伸ばす。

 

○教室での音楽活動のあらゆる面に関連して聞く。

○声楽・器楽(学級で歌う歌唱も含む)のよいものをたくさん聞く。

○聞いた音楽について話し合う。

 

○喜びや楽しみのために,短い美しい歌を聞く。

○身体的反応をするために音楽を聞く。

○歩いたり,走ったりスキップしたり,その他の運動によってリズム型に反応する。(2/4,3/4,4/4)

○アクセントに注意し,何拍子の曲かを聞き当てる。

○聞きながら身体を動かして反応する。

○リズム楽器で拍子をとる。

○リズム バンドで演奏する。

○歌や器楽の一部分を劇にする。

○音楽の感じを話し合う。

(楽しい感じ・悲しい感じ・静かな感じなど) ○次のような対照について話し合う。 *高い——低い(音高)

*強い——弱い(強弱抑揚)

*速い——遅い(速度)

*元気——静か(感じ)

○聞きとらえられる描写音楽の物語を聞く。

○音楽を説明する絵をかく。

○音楽を聞いて思いついたことを粘土細工で作ってみる。

○絵画・物語・詩にふさわしい音楽を選び出す。

○音色を知ったり,演奏法を知るために,楽器で音を出してみる。

○楽器をよく調べたり,楽器の絵をかいたりする。

○何の楽器の音色かをはっきりさせるために注意深く聞く。

○歌や器楽曲の美しさに耳を傾ける。

○対照的な音を聞く。

*大きい(強い)——柔らかい(弱い)

*高い——低い

○おもちゃの楽器によるオーケストラを聞く。

○知っている曲の特徴をとらえるために注意深く聞く。

○旋律を「ラ」や「ル」などで歌うために注意して聞く。

○よく演奏され何度も歌われている,音楽の名まえと特徴とを理解するために注意深く聞く。

教  材

1.リズミカルで明るいもの

2.親しみ深いもの

3.比較的短いもの

4.レコードによる場合の具体的な曲目は,レコード表を参照すること。

 

教  具

1.蓄音機

2.レコード

3.ラジオ

4.楽器類

5.音楽家・楽器・演奏形態などの写真や掛図など。

 

 

創造的表現


指導目標
学習活動の例
資   料
1.各人の解釈力を伸ばす。

 

 

 

 

 

 

 

2.児童の生活をとりまく音楽的な音響やリズムに気づくようにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3.新しいものを創造しようとする意欲と能力とを伸ばす。

○その音楽がどんな感じがするか,注意しながら聞く。

○音楽の感じを自由に解釈して歌う。

○自由なからだの動きによって,音楽のリズムを解釈する。

○音楽による劇化や黙劇化(たとえばお客さまごっこなど)をくふうする。

○適当と思われるリズム楽器を選択し,それを使っていろいろなリズムを表現する。

○演奏会で演奏する。

○オーケストラに編曲された親しみ深い歌を聞く。

○声や楽器を使って,音響的な効果とリズムとをくふうする。

○いろいろな音やリズムを注意深く聞く。

○周囲の音を模倣する。

*ねずみの鳴き声

*小鳥の歌

*犬のほえる声

*自然の音(雨・風・波など)

*その他

○周囲のリズムを模倣する。 *おもちゃの出すリズム(玩具類)

*汽車のリズム(機械類)

*雨のリズム(自然の音)

*その他

○会話・問答・あいさつ・短文などを歌ったり吟誦(しょう)したりする。

○知っている遊戯の伴奏をするために,いろいろな節(ふし)を口ずさむ。

○簡単な旋律を作る。(通常二フレーズ)

教  村

1.歌唱教材

2.器楽教材

3.鑑賞教材

4.リズミカルな短いことばや問答句

5.擬音や擬声

 

 

リズム反応


指導目標
学習活動の例
資   料
1.音楽によって目ざめた感情を,リズム活動で表現する能力を伸ばす。 ○各個人の解釈で表現する。

○反応に対して先生から示唆を受ける。

2.簡単なリズム型に対して反応する能力を伸ばす。 ○基本的なリズムに反応する。

(拍手・歩行・スキップ・駆け足・行進その他)

○基本的リズムを遊戯や劇化に利用する。

○リズム楽器を利用して基本的なリズムを表現する。

3.拍子と速度を正しく守ってリズム バンドで演奏する能力を伸ばす。

 

 

 

 

 

4.周囲で感じるリズムを模倣させる。

 

5.音符および休符の長さに対して,身体的反応をする能力を伸ばす。

○ピアノ・オルガン・レコードなどによって演奏されるリズムに反応する。(各人の自由な想像力に訴えて)

○各人が自分で反応する。

○他人の反応を観察する。

 

○音楽によって暗示される一定の運動で反応する。

*手の遊戯

*腕やからだの運動

*全身的な運動

○創造的な遊戯・歌遊び・劇化などに参加する。(各人の想像に訴えて)

○リズム型をいろいろな楽器で打つ。

 
 

○簡単なリズム楽器で,歌唱の伴奏をしたり,音楽を聞きながらそれに会わせて打ったりする。

*教師の範唱に伴奏する。

*ともだちの歌唱に伴奏する。

*けん盤楽器やレコードで演奏される音楽に伴奏する。

*歌やピアノ曲を伴奏するのに適当な楽器を選ぶ。

○ことばのリズムを表現する。

○自然や作業や遊戯などに関するリズムを表現する。

○演奏されたり歌われる音楽につれて歩行し,駆け足をし,足踏みをし,休息をする。

教  材

1.ピアノ(オルガン)で演奏される親しみ深い作品

2.児童の想像性を刺激し,理解できるようなレコード音楽

3.ラジオ放送による音楽

4.その他

歌唱教材

器楽教材

鑑賞教材

教師,児童の作品

 

教  材

1.ピアノ(オルガン)

2.蓄音機

3.レコード

(レコード表参照) 4.ラジオ

5.メトロノーム