Ⅱ 音楽と児童の生活との関係

 

 音楽と児童の生活とはどのような関係にあるだろうか。

1 すべての児童は,生得的に備えている音楽的感受性・音楽へ反応・外的な環境の刺激その他によって,すでにある程度に音楽的である。  歴史的にふりかえってみても,音楽は自己表現の独特な面として,人類と同じ古さをもっている。たとえば世界の各国には,その地方独特の民謡がはぐくまれ,音楽が常に人間生活とともにあることを示している。 2 音楽は児童の生活に密接な関係をもっている。  児童は,日常生活の会話や読書とまったく同様に,歌ったり,演奏したり,身体的なリズム表現をしたりして楽しんでいる。児童が遊んでいる状態をよく観察すると,このことがよくわかる。このような音楽的な生活経験は,そのまま音楽的能力や興味の背景となり,しかも,より高い音楽への欲求を生み,高しょうな音楽の理解へ導いていく。児童自身はもちろん自覚はしないが,こうしたことが自然のうちに児童の生活を向上させているのである。