第五章 習字の学習指導
ま え が き

 小学校では、ペンや鉛筆による硬筆書き方を「書き方」といい、毛筆による書き方を「習字」と呼んでいる。ここでいう習字は、毛筆による書き方のことである。習字の学習は、社会生活をしていく上に、どんな意義があるか。習字の学習指導の目標は、どこにおくか。また、その指導は、どう進めたらよいか。さらに、評価の体系をどのようにたてるかなどについて、具体的に考えていくのが、この章のねらいである。

第一節 習字の学習指導はどう考えたらよいか

 小学校においても、学年がだんだん進んで、高学年になると、たとえば、発表会の掲示やプログラムを書いたり、記録や文集の表紙を書いたり、壁新聞やポスターなどを書いたりする機会が多くなってくる。このような場合に、それに必要な文字をペンや鉛筆で書いたり、またクレヨンなどで書いたりするのよりは、筆で書いたほうが、いっそう効果的である場合がある。これは社会生活をしていく上にも考えられることで、習字の学習の必要性が、このようなところから生れてくる。

 それでは、習字の学習指導の意義はどこにあるであろうか。

 これによって情操を高め、日常生活を向上させることができる。

 

第二節 習字の学習指導の目標は何か

 習字は、国語科の一部分として行われる以上、習字の学習指導の目標は、一般的には、国語科学習指導の目標に添うものであることはいうまでもないが、用具としての毛筆の長所を生かして、書くことの効果的な技能を身につけさせることにある。これをさらに細かに分けて考えてみると、次の三つになる。

 
第三節 習字の学習指導はどう計画したらよいか

一 初期の段階

(一) 指導の目あてをどこにおくか

(二) どう指導したらよいか (三) どんな点に注意したらよいか 二 やや進んだ段階

(一) 指導の目あてをどこにおくか

(二) どう指導したらよいか (三) どんな点に注意したらよいか 三 さらに進んだ段階

(一) 指導の目あてをどこにおくか

(二) どう指導したらよいか (三) どんな点に注意したらよいか  
第四節 習字の学習指導における評価はどうしたらよいか

 習字の学習がそれぞれの段階と、それぞれの学年において、どれだけ指導の目標を実現し得たかについては、常に評価が行われなければならない。しかし、習字の技能は、特に個人差のはなはだしいものであるから、評価も、それぞれの児童の、進歩の程度に即して行うことが必要である。そうして、各児童の長所の育成に努めなければならない。

 評価の対象は、書かれた文字の巧拙が主であることはもちろんであるが、習字に伴う用具の使い方、姿勢や字の書き方の要領、学習への興味と必要、努力の程度など、広い範囲にわたって行われることが必要である。

一 初期の段階

二 やや進んだ段階 三 さらに進んだ段階