一 指導にはどんな方法が考えられるか
聞くこと、話すこと、読むこと、書くことという分け方は、言語活動の上で、便宜的に分けたものであるから、国語学習指導の具体的な方法を考える場合に、その一つ一つを孤立させて指導する方法は、望ましくない。しかし、この四つの言語活動を、いつも、その時間内にまんべんなく取り入れた、総合的な方法だけでやらなければならないという性質のものでもない。四つの言語活動を有機的に関係づけつつ、題材の性質に応じて、重点のおき方を考え、一年間を通じて、国語能力表の要求するところに適応するような方法が望ましい。
学習指導の具体的な方法は、いろいろあるが、大きく分けると、既成の教科書を採用し、それに準拠しながら学習を進めていく方法と、教科書から離れて、話題なり、問題なり、言語経験なりを別に設定して、それを中心にして、ひとまとまりの学習を次々に進めていく方法とがある。教科書の編修にも、さまざまな教材を話題・問題・言語経験などによって、まとめていく傾向が強くなってきた。学習の展開の中心となる話題・問題・言語経験を総称して、その学習の題材と呼ぶならば、既成の教科書に選ばれている題材を、そのまま、採用するのが、前の方法であり、教師の独自の判断で新しく題材を設定して、学習を展開するのがあとの方法である。そのいずれの方法を採用するかは、教師の力や学級の実情、その他によって決定すべき問題である。
前の方法は、学習指導が楽であるが、児童の興味や必要にぴったりあてはまるかどうかということに難点がある。あとの方法は、児童の興味や必要に応じた題材を設定するのであるから、その点では困難はないが、教師の力を要求する面がきわめて多いという難点がある。それゆえ、教師は、自分の受け持つ児童をよく見つめて、自分にいちばん適応した、最も効果のあげられると信ずる方法を採用することが望ましい。
なお、単元学習法と呼ばれるものは、あとの方法をさすことが多いが、単元的に編修してある教科書に準拠して学習を進めるならば、やはり単元学習法と呼ばれるものである。いずれの方法を行うにしても、特に系統的な練習を必要とする技能的な方面の学習は、一応別の指導計画をたてることが無難であるが、そのときには題材との関連に注意を払い、児童の興味と必要とを絶えず強めていく処置を忘れてはならない。
それゆえ、題材をどのように設定し、学習をどのように展開するかについては、その学習の目標をはっきりたて、児童の興味と必要や知能の実態を考え、それぞれの地域や、学校や、学級の特殊性を考慮して計画されなければならない。
国語の学習指導において、どのような具体的な方法を取るにせよ、児童の学習活動を展開させるにあたっては、その学習の目標をはっきり児童にのみこませ、できれば児童の学習活動も児童の自発的な参加によって計画をたて、その学習に対する児童の興味と必要をじゅうぶんに起しておくことが望ましい。また、その学習活動が効果的に展開しているかどうかについて、教師としてもテストや調査によって効果の判定を行い、児童自身にも進歩の状況を判断させ、展開が希望する方向へ所期の進度で進められているかどうかをはっきり知る必要がある。
二 指導の方法上、どんな点に注意したらよいか
国語科学習指導の方法上、特に注意すべき諸点は少なくないが、大きく分けると、学習の効果を高める問題と、学習の負担を軽くする問題と、学習の困難の診断および治療の問題との三つになる。
まず、学習の効果を高めるための一般的な原則となるものを考えてみよう。
新しい学習を始めるにあたり、児童の知能・身体・情意・社会性などが、その学習が行える程度まで発達していなければ、学習は効果があがらない。たとえば、入学当初の読むことの学習指導では、はじめて文字が習得できるための準備、あるいは用意が児童に整っていないと、学習の困難を起す児童もでてくる。こうした学習の困難をできるだけ防ぐためには、入学したての児童について、国語の学習を進める前に、それぞれの児童の知能・身体・情意・社会性などの発達状態を調べ、文字指導にはいる前に、実情に則した準備的な学習指導計画をたてることが望ましい。
しかし、学習への準備あるいは用意が一応整っただけではまだふじゅうぶんである。新しい学習を進めていくにあたっては、その学習に対する興味と必要とが児童自身の間に高まっていなければならない。興味と必要があるものに対する学習は、児童によって生き生きと進められ、学習の効果もきわめて大きい。このような興味と必要があまり高くない場合はもとより、ある程度高まっている場合でも、教師の巧みな指導によってさらに高める処置が必要である。これがいわゆる動機づけである。
動機づけは、各学年にわたり、どの新しい学習に対しても必要である。動機づけにあたっては、学習の目標をはっきり児童に知らせ、その目標に到達するための学習活動の展開についても、ある程度まで知らせておくことがたいせつである。動機づけは、帰するところ、児童が新しい学習に対して自発的な活動を起すようにすることである。
なお、学習効果を高めるための原則の一つとして、学習効果の判定がある。児童の学習活動の展開の途上で、その学習が効果的に進められているかどうかをときどき判定し、児童にも効果の実情が自覚されて反省されるようにすることが望ましい。
児童の学習効果を高めるためにも、また学習の負担を軽くするためにも、特に注意しなければならない問題の一つは、個人差に応じた指導を行うことである。しかし、現状のように一つの学級が五十人も六十人もの児童からできている場合には、個別指導も効果があげにくいが、教師は、個人差に応じた個別指導の趣旨をできるだけ取り入れて、指導することが望ましい。個別指導の一つの方法として、能力別グループ学習が取り入れられるようになった。
以上に述べたようないろいろな方法を巧みに取り入れても、児童のうちには、国語の学習に困難を感じ、進度が遅れたり、とまったりするものもできてくる。国語学習の遅進児、あるいは遅滞児は、他教科の遅進児、あるいは遅滞児にもなりやすいものである。もしそうした児童ができた場合には、そのひとりひとりについて事例研究(ケース・スタデイ)を行い、その原因について、正しい調べ、すなわち診断することが必要である。正しい診断ができれば、それに基いて、教師自身が行える的確な治療的学習指導の計画がたてられるし、場合によっては、それぞれの専門家に頼むこともできる。
遅進児を扱う上の一般的な注意としては、そうした児童がもちやすい劣等感をなくしてやり、それらの児童でもできるような、やさしい学習作業や練習を与えて、それに成功させてやることである。成功感は満足感を伴い、満足感はさらに進んだ学習への興味と必要とを高めるものである。
国語学習指導の方法についての、技術的な問題には、なお多くのことが考えられるが、教師は、地域や、学校や、学級の特殊性に基いて、最も効果のあがる指導方法を絶えず研究し、その結果を実際に生かしていくようにしなければならない。
題 材 うんどうかい
一 この題材をとったわけ
2 運動会は、それぞれの児童の共通経験であるから、話題として取り上げるのに適当であり、しかも、豊富な話の内容が提供され、また、それぞれの児童の能力に応じて、学習指導を進めていくことができる。
3 この題材の学習において、運動会における共通経験を話し合ったり、読んだり、書いたりしていくうちに、保健衛生の面や、運動精伸について、初歩的な理解ができる。
この学習では、次のような目標が考えられる。
2 相手の顔を見ながら、話したり、聞いたりすることができるようになる。
3 はっきりした発音で話すようになる。
4 運動会の絵について、簡単な文を書くことができるようになる。
5 運動会の日時を家庭に知らせるための、簡単な伝言をはっきり書くようになる。
6 運動会について書いた、簡単な文を読むことができるようになる。
2 運動会を父母に知らせる伝言を書く。
3 運動会を話題として絵をかき、絵について話し合う。
4 かいた絵について、簡単なことばを書きそえて、それを読み合う。
2 運動会を主題にした作文。
3 運動会を主題にした、いろいろな文。(教科書を含む)
○かけっこしている絵
○たまいれをしている絵
○ゆうぎをしている絵
○つなひきをしている絵
○その他いろいろな場面の絵
(1) している事がら。
(2) こどもの様子。
(3) 運動会でしたいと思うこと。
2 運動会にしたいと思うことについて、話合いをさせる。
○たまいれ
○ゆうぎ
3 絵を見て考えたこと、したいことについて話合いをさせる。
4 運動会の案内のために、伝言のメモを書かせる。
運動会をする日時や、種目について話合いをさせ、父母を案内するための伝言を書かせる。
みに きて ください。
5 運動会にしたことを絵にかかせて話合いをさせる。
(1) 「かけっこ」について話合いをさせる。
くにおさんは にばんに なりました。
まさおさんは、ころんでも なきませんでした。
おかあさんたちは てを たたいて ほめて くださいました。
みんな げんきで しました。
はじめ あかが かちました。
つぎに しろが かちました。
資料としての教科書でもよし、また、ほかの資料でもよい。とにかく読む仕事をさせる。
6 絵に簡単な話やことばを書きそえきせる。
それぞれのかいた絵について、話したことを書かせる。
進んだ児童には、作文として書かせる。
遅れた児童は、「かけっこを しました。」「たまいれを して、あかが かちました。」という程度に書かせる。
7 絵にかいた文を読み合って楽しませる。
五、六人のグループにして、読ませる。
8 作文をプリントして読ませ、経験の順序に書くことを指導する。
9 運動会の絵本を編集して、家庭に回読するために、作文を清書させる。
2 相手の顔を見ながら話したり、聞いたりすることができたか。
3 運動会の話題で、簡単な話ができたか。
4 絵について簡単な文が書けたか。
5 運動会の文がよく読めたか。
6 友だちの作文が読めたか。
7 文字は正しく書けたか。
題 材 ことばあつめを しましょう
一 この題材をとったわけ
また、知っている物の名まえ、動物の名まえなどの的確な表現、ごたごたと覚えこんだ名まえの整理、なお進んで物の名まえを知ろうとする意欲を伸ばすことなどが、この期の児童のたいせつな言語指導となる。
2 この題材は、以上のような児童の興味と必要との上に位置づけられる。「ことばあつめ」という、児童にとって興味深い作業を通して、ことば(二年生くらいでは主として名詞)に対する関心を深め、語いを豊富にし、さらにグループ学習や、共同研究の効果や意義を、作業によって身につけさせるところに、この題材をとった理由がある。
3 しかし、この題材は、きわめて広い範囲をもっている。種々の面から集めれば限りないものであるから、二年生の児童の言語生活の実態を見きわめて、児童のいちばん興味のあるもの、いちばん関心の高いものを集めることが必要である。
教師は、あまり高い要求やねらいを出さず、自分の学級によく適合した程度の仕事を与えて、学習を展開させるようにすることがたいせつである。
この学習では、次のような目標が考えられる。
2 新しい語いを増していく。
3 自分の知っていることを、自由にのびのびと話すようになる。
4 自分の見聞したものについて、順序をたてて話すようになる。
5 質問に答えられるようになる。
6 話合いの態度ができる。
7 黒板に書かれた持ち物の名まえや、虫の名まえ、動物の名まえなどが、正しく読めるようになる。
8 資料としての「ことばあつめ」の文が読めるようになる。
9 いろいろのことばを使用して短い文が書けるようになる。
10 「ことばあつめ」でおもしろかったことや、集めた動物や、虫などについて、文がつくれるようになる。
11 ことばあつめで集めたことばを、文字で書き表わすことができる。
12 文字の形がだんだん整い、楽に書くことができるようになる。
2 いろいろなことばを集める。
3 集めたことばの整理をする。
4 大ぜいの前で発表する。
5 メモをとる。
6 資料を読む。
「ことばあつめ」に関した、絵の豊富な絵本、および雑誌。
2 絵入り五十音図。
3 動物の掛図。
4 鳥類・昆虫類の掛図。
5 学用品・身のまわり品の掛図。
6 「ぬりえ」の印刷物。
7 学校生活の図。
8 いろいろな「かるた」。
9 「ことばあつめ」を書いたいろいろな文。(教科書その他)
2 「ことばあつめ」について、話合いをする。
3 「あ」の字のつくことばを集める学習を全体でする。
(1) 「あ」の字のつくことばをみんなで、いってみる。(二つ、三つ)
(2) 「あ」の字を大きく板書する。
(3) めいめいで、「あ」の字のつくことばを書いていく。
(4) 「あ」の字のつくことばを発表させる。
(5) 発表順に板書する。
(6) 板書した「ことば」について話し合う。
(ロ) どんな意味か。
(ハ) 見たり、聞いたりした経験があるか。
(ニ) 目に見えるものか、見えないものか。
(8) みんなで、これを視写する。
4 「ことばあつめ」の学習について、計画をたてる。
(1) どんな名まえのことばから集めるか。
○虫の名まえ
○鳥の名まえ
○花の名まえ
○学用品の名まえ
○身のまわり品の名まえ
5 グループに分れて学習をする。グループの学習は、次のようにしていく。
(1) なにを集めるか、目的をはっきりさせる。
(2) 話合いがすんでから集める。
(ロ) 話合いによって、誤字を訂正する。
(4) 名まえの下に絵をつける。
(5) 鳴き声のあるものは、それも書いていく。
6 グループでまとめたものを発表する。
7 動物のグループの学習。
(1) カード・表などによって発表する。
(2) 発表したものについて話合いをする。
(ロ) どんな役にたつか。
(ハ) 好きか、きらいか。
(ニ) どんな鳴き声か。
(ロ) 本や、雑誌・絵はがきから、その動物の絵を切り抜かせたり、集めさせたりする。
(ハ) 「ぬりえ」を印刷して与え、ぬらせる。
(ニ) ノートに書かせる。
細かい活動は、だいたい動物のグループと同じようにする。
9 鳥のグループの学習。
動物のグループと同じようにする。
10 花のグループの学習。
(1) 発表したものについて、話合いをする。
○どんな色か
○どこに咲くか
(3) 絵を並べて展示する。
(4) 花についての歌曲を歌わせる。
(5) 花の掛図を見て、豊富に花の名まえをおぼえでいく。
11 学用品・身のまわり品のグループの学習。
(1) どんな役目を果しているか。
(2) 処理の方法、整理の方法について話合いをする。
(3) 身のまわり品についての注意。
(4) 掛図について話合いをする。
12 ことばを与えて、短い文をつくらせる。
13 動物・虫・花・学用品などについて観察文や、生活文をつくらせる。
2 他人と協力してどの程度に学習ができたか。
3 どの程度に気軽に報告や、質問ができたか。
4 物の名まえの文字表現の正しさ・速さはどうか。
5 簡単なノートが取れるようになったか。
6 正しい発音で物の名まえがいえるか。
7 ことばや、語いに対してどの程度に関心が高まったか。
題 材 童話を読みましょう
一 この題材をとったわけ
その中でも、童話は興味あるものの一つであり、ことに、動物を扱った童話は、この期の児童に最も喜ばれる。したがって、ここで、資料としての「おしゃれとんぼ」を通して、その豊かな想像の世界を楽しみ、童話のおもしろさを知らせ、童話の読み方や、読書態度を養うことは、よい時期であり、よい処置である。
2 「おしゃれとんぼ」は、三年生としては長編童話に属する。今までは短編のものに親しんできたが、これからはしだいに長い文を読むようにし、どうすれば長い文を読むことができるか、長い文のどこがおもしろいか、その組立はどうなっているかなど、長文の読み方の習慣や、態度や、技能を養っていくのである。
2 くちびるを動かさないで読み、考えながら読む態度が高まってくる。
3 話の荒筋がわかり、読み取った内容を他人に伝えて喜ぶようになる。
4 童話を読んで考えついたことや、思ったことなどがまとめていえるようになる。
5 おしゃれとんぼがなぜ苦労をしなければならなかったかを読みとる。
6 ほかのいろいろな童話が読みたくなり、読書欲が高まってくる。
2 童話を読む。
3 読んだ童話の話合いをする。
4 童話について各自の研究をする。
5 発表会をする。
6 さらに童話を読む。
2 三年生としては、長編に属する童話。
3 動物を主人公にした童話・ぐう話。
読んだ童話の名まえ・筋・感想などを話し合う。
2 童話を読む。
童話「おしゃれとんぼ」の長文を読めるようにする。読みの速度、難語いの数、内容理解の程度などは、児童によって一様でないから、その言語能力の個人差に応じて指導をする。
(1) 「おしゃれとんぼ」という変った題名に興味をもち、いったいどんな話が書かれてあるのだろう、どんな話の筋だろう、こんなことから読む興味を起こさせる。
(2) 長い文を終りまで読み通すにはどうしたらよいかについて、考えさせてみる。
(3) 長い文を読み通すためには、何人かのこどもに分けて読ませる。
(4) 読むくぎりは初めは短くし、しだいに長くする。
(5) 文の段落を発見させる。
(6) 話の順序を記憶させる。
(7) 難語いその他のわからないことを、ノートに書かせる。
(8) それについて話し合って理解させる。
3 童話「おしゃれとんぼ」の話合いをする。
「おしゃれとんぼ」の長い文をつまずかずにすらすら読み、書いてある内容を理解させる。また、文のどこがむずかしいか、どこがおもしろいかなど、話合いさせたり、主人公について考えさせたりする。
(1) どんなにおもしろかったか。
文章から読み取った想像の世界、感情の流れをたどって、深く調べようとする興味をもたせる。
(2) 話の筋・内容・感想について、できるだけ多くのこどもにいわせる。
○どんな話の筋だったか、まとめていえるか。
○この長い話をいくつにくぎることができるか。
○その一節一節には、どんなことが書いてあるか。
○どこがどんなにおもしろかったか。
○心配だったり、安心したりしたところはどこか。
○おもしろかったところはどこか。
○とんぼの心はどんなに移り変っていったか、どこでわかるか。
○とんぼはどんなことを考えていたか。
○仲間や友だちや、人間のこどもはとんぼのことをどう思っていたか。
○この童話を読み終ってどんなことを考えたか。
(4) 想像の世界のおもしろさから、他の童話を読む意欲を起させるようにする。
4 ことばの練習をする。
(1) 漢字が正しく読めたり、書けたりするように練習する。
(2) ことばのわけがいえたり、使えたりするように練習する。
5 童話について、めいめいで調べてみる。
前時の動機により、各自が劇化したり、紙しばいにしたり、ほかの童話を読みたいと思ったり、つくりたいと思ったりする。そうして、それぞれの希望に従ってグループをつくり、その学習活動にとりかかる。
(1) 動物を主人公にした童話を調べよう。
(2) いばったり、ほかの人をだましたりしたような童話を集めてみよう。
(3) 今まで読んだ長い童話を調べてみよう。
(4) この文をどのくらいの時間で読むか調べてみる。
○なかごろ
○いちばんさいご
○「おしゃれとんぼ」にまねて童話を考えたり、つくったりしよう
○紙しばいをつくってみよう
前時までに学習してきたことのまとめの意味で、発表会をする。発表会の形式よりも、どんなことを、どんなに発表するか、これをどう聞くか、また、見るかを重要視する。
(1) 発表したいことについて、話合いをする。
(2) 発表会の役割を決める。なるべく手軽にする。種目の組合わせや、プログラムをつくる係、進行の係などを決め、それぞれの仕事の内容・方法について話合いする。
(3) 発表会をする。発表会が終ったら、それについて、話合いをする。たとえば、どの話がよくわかったか、どこがよかったか、なぜよかったか、その話しぶりはどうだったか、聞き方はどうだったかなどについて、話合いをする。
7 さらに童話を読む。
「おしゃれとんぼ」のような動物に取材した、ほかの童話やぐう話を読む。できるだけ長い文を読むようにする。
(1) 発表会にあった童話を思い起したり、今まで読んだ童話について、話の筋、内容・感想などの話合いをする。
(2) 本を読むために話合いをする。
○どんな本が読みやすいか
○本を選ぶにはどんなことに注意したらよいか
○本はどこにあるか、どんなふうにして借りるか
(1) 読んで少しはおもしろいと思ったか。
(2) どんな童話を好んで読んだか。
(3) 童話と科学読物とを比べてみて、その違いが少しわかったか。
2 長文を読む力がついたか。
(1) 長文を読み通せるか、どこでつまずいたか、その原因は何か。
(2) どのくらいの速さで読めたか。
(3) 話の筋がとらえられたか。
(4) 内容の理解の程度はどうか。
(5) 想像力の程度はどうか。
3 童話をもとにして紙しばいをつくったり、脚色したりすることができたか。
(1) 表現意欲はどうか。
(2) 構成力は確かかどうか。
(3) 肉づけをするための想像力が豊かか、乏しいか。
(4) 場面を選び、この連続を考えられるか。
(5) 演出のしかたや、その話しぶりはどうか。
一ぴきのとんぼがいました。
すきとおるはねをうごかしながら、なかまといっしょにむらがってとんでいました。
あるとき、こがねむしにであいました。
そうして、そのはねが金色に光っているのにびっくりしました。
それにひきかえて、じぶんのはねがなんの色もなく、ただすきとおっているのがものたりなくみすぼらしくみえてきました。
せめて、このはねにつやでもだしてやろうと、とんぼはかんがえました。
それから朝となくひるとなく、ブラシではねをみがきだしました。つやだし油をつけてみがきました。
なかまがきて、遊びにさそっても、はねがよごれるからいやだといいました。
すこしでもほこりがつくと、大さわぎをしてみがきたてました。
みがけば、みがくほど光ってきました。なかまが、そばによってくると、
「よごれるからさわっては、いやよ。」
といいました。
そういわれると、なかまは、わざとそばによっていきました。
はねがつやつやしてくると、こんどは、じぶんの目だまをきれいにみがかなくてはとおもいました。
そこで、ひまがあると、こんどは、大きな目だまを手のひらでふきました。目だまも、まるでレンズのようにぴかぴかしてきました。
目だまがきれいになると、からだをきれいにしたくなりました。
それでつやだし油を、むねにぬりました。おなかにも、せなかにもぬりました。
六本の足にもぬりました。つめにもぬりました。
からだ全体がつやつやしてきました。
このとんぼは、たいへんいい気もちになって、とんでいきました。
それをみて、なかまのとんぼは、「おしゃれとんほがきた。」といいました。そうして、そばによっていきませんでした。「もう、あんなおしゃれとんぼといっしょに遊ぶのはいやだ。」といいました。
それとはしらずに、おしゃれとんぼは、とくいになって空をとびました。こんな、きれいなとんぼのまえにでてくるのは、はずかしくて、なかまのものがそばにこないのだとおもいました。
そこへ、あげはのちょうが、ひらりひらりととんできました。
おしゃれとんぼは、それをみて、かんがえました。
「なんときれいなはねだろう。わたしも、あんなきれいなはねをもちたいものだ。」
そこで、おしゃれとんぼは、町にでかけました。
そうして、そめものやをさがしました。うんよく、そめものやのかんばんがみつかりました。
「ごめんください。」
と、おしゃれとんぼが、戸口で声をかけました。
「いらっしゃい。とんぼさん、なにかごようですか。」
と、そめものやさんがたずねました。
「わたしのこのはねをきれいにそめてもらいたいのですが。」
「それは、いいおもいつきです。どんなにでもそめられます。」
「なにか、いい見本でもありますか。
「ございます。さあ、どうぞ、こちらへ。」
おくのへやにいくと、そこには、いろいろな、きれいなもようの見本が、がくにしてかけてありました。
あまりたくさんあるので、さすがのおしゃれとんぼも、目うつりがしてしまいました。
「どれもいいもようだわ。どれが、わたしににあうかしら。」
「そうですね、これはいかがでしよう。」
といって、とりはずした見本は、むらさきの地色に、きいろの水たまがついているもようでした。けれども、これは、じみだといいました。
「これは、いかがでしょう。」
といってだしたのは、こい緑の地に、まっかなばらがさいているもようでした。
「ちょっといいわね。」
と、おしゃれとんぼがいいました。
そめものやさんは、つぎに、まっきいろとオレンジのいちまつもようをみせました。
「あ、これが気にいったわ。」
これで、どうやらきまりました。
「じゃあ、これにいたしましょうか。」
ときかれて、おしゃれとんぼは、
「そう、このいちまつもようを右のはねに、こちらの赤ばらを左のはねにそめてもらいましょう。」
といいました。
そめものやさんは、ちょっと、へんなかおをしましたが、すぐとんぼをみて、
「へえ、へえ。かしこまりました。」
といって、見本をしまいました。
「いま、すぐ、そめられますの。」
「そめられます。しばらくおまちください。そめこをときますから。」
おしゃれとんぼは、いすにこしかけました。かべには、大きなかがみがかかっていました。とんぼは、かがみをみながらはねを動かしました。水のようにすきとおったはねは、なんとさっぷうけいだろうとおもいました。まるで氷のようにつめたいとおもいました。
それが、今に、あんなきれいな色にそめあがるのかとおもうと、うれしくて、じっとこしかけていられません。うきうきしてそこらをあるきました。
「はい、よういができました。どうぞ、おかけください。」
しごとばには、そめこのにおいがして、うすぐらいかんじがしました。
「どうぞ、右のはねを——。」
と、そめものやさんは、五六本ふでをもって、つぎつぎとそめこをつけてぬりました。
そめものやさんは、なれた手つきで、さっさとぬりつづけました。
いたくも、かゆくもありませんが、じぶんのからだが、生まれかわるような気がしました。
とんぼは、なんともいえない、いい心もちになって、ついねむたくなりました。そうしてほんとうにねむってしまいました。そうして、こんなゆめをみました。
「なんてきれいな、とんぼさんでしょう。」
みつばちは、こういいながら、じぶんのまえをとんだり、うしろをとんだりしてながめました。
じぶんは、おうようにはねをひらいたまま、すこしななめにとびました。
しばらくいくと、あぶがやってきました。
「どこのおひめさまなのだろう。いままでにこんなりっぱなかたにであったこともない。」
そういって、おどろきました。
じぶんは、うす目をしながら、よこっとびにとんでみました。
しばらくいくと、せみがきました。
「どこからきたまほうつかいだろう。」
びっくりして、ジジジーとなきました。じぶんは、せみの目のまえを、スキップしながらすばやくとんでみせました。せみは、
「あ、いいにおいがする」といって、またジジジーと鳴きました。
「おまちどうさまでした。」
そめものやさんにいわれて、とんぼは、目をさましました。
「はい、そめあがりました。よく、そまりました。」
とんぼは、あくびを手のひらでおさえて、かがみのそばにいきました。
そうして、右と左のはねをおもいきりひろげてみました。はねは、ちゅうもんどおり、いや見本よりも、もっとよくそまっていました。
とんぼは、はねをひろげたまま、からだを少しずつまわしてみました。
あまりきれいなので、じぶんでもみとれるほどでした。すわっているうちにおどりたくなりました。うたいたくなりました。
「おきにいりましたか。」
「きにいったわ。この色ははげるようなことはないでしょうね。」
「じょうだんじゃありません。どんな雨にあたってもはげません。どんなに日にさらされてもあせません。」
「それで安心したわ。」
「日がたてばたつほど、そめこの色がよくでてくるくらいです。」
「ありがとう。おつりはいらないわ。」
とんぼは、お金をはらって、そめものやさんをでました。でるとき、もう一どかがみをみて、それから目だまをなでてそとにでました。
そめものやさんがみおくっていると、とんぼは、たちまち青い空へ向かってとんでいきました。それは、まるで花びらがとんでいくようにうつくしくかがやいてみえました。じぶんのそめたもようがこんなにりっぱにみえるものかと、おどろくほどでした。
おしゃれとんぼは、すいすいと、風にのってとびました。とぶというよりは、おどっているようなかっこうでした。
いましがたみたゆめのつづきのようでした。
そこへ、あかとんぼがとんできました。あかとんぼは、目をこすりこすり、おしゃれとんぼをみつめました。
「ありゃ、なんだろう。かたちは、じぶんたちににているが、はねはすっかりちがっている。なんだろう。」
あかとんぼは、すぐ、なかまにこのことをしらせました。
あかとんぼたちがやってくると、おしゃれとんぼは、大きくわをかいてとんでみせました。
一ぴきの赤とんぼが、ずっと近づいてみると、それがおしゃれとんぼだということがわかりました。
わかると、あかとんぼたちは、
「なんだ、おしゃれとんぼか。」
と、そのままどこかへいってしまいました。
すると、こんどはからすちょうがとんできました。
「どうして、そんなにきれいになったの、すばらしいわね。」
と、はなしかけました。
おしゃれとんぼは、へんじもしないで、つんとすまして、やのようにとびました。とびながら、
「あんなまっくろなはねなんぞ、もうみたくもないわ。」
と、ひとりごとをいいました。
「さ、わたしのはねより、きれいなものがあるかしら、あったら、みせるがいい。」
おしゃれとんぼは、いつのまにか、心まで、こんなにたかぶっていきました。
「こんなきれいなはねは、虫はおろか、小鳥にだってあるまい。」
いよいよ、心がおごってきました。
そこで、だんたん空を高くのぼっていったのです。
高い空には、つばめがわたっていました。
とおい、とおいところからとんできたつばめたちは、みんな、おなかがすいていました。
虫がいたら、一口にたべたいとおもっていました。
一わのつばめは、おしゃれとんぼのはねをみつめました。そこでいきなりとんできました。それともしらず、おしゃれとんぼは、うす目をしながら、おどっていました。
たべようとしたとき、大きなかぶとむしが、ブブンとつばめの口ばしにつきあたりました。
これで、おしゃれとんぼのいのちがすくわれました。
「かぶとむしさん、あぶないわ、つきあたったりして。」
おしゃれとんぼは、気がついても、おれいをいいませんでした。
「あぶないよ、ここからは、鳥のせかいだから。うかうかできないよ。」
かぶとむしは、茶色のはねをぶきようにブンブンさせながらどこかへいってしまいました。
「なに、あんなに、おんをきせなくたっていいよ。つばめは、わたしのこのはねをみにきたんだよ。」
おしゃれとんぼは、人の親切も、わからないほどになりました。
その時でした。もう一わのつばめが、おしゃれとんぼのまえに大きな口をひらいてあらわれました。
あわててにげようとしましたが、まにあいませんでした。しっぽにかみつかれてしまいました。おしゃれとんぼは、しっぽをきって、いのちからがら、ようやくにげてきました。
にげてくると、すずめがそのはねにめをつけて、とんできました。
おしゃれとんぼは、きりの木のかげにかくれました。
ふと、そばをみると、ねこが、目をさまして、こちらをにらみました。
はねがうつくしければ、うつくしいほど、小鳥たちの目にとまりました。
空をとんでいても、木かげにかくれていても、安心していることができなくなりました。
おしゃれとんぼは、山や、野原をとぶことをおそれて、人のすんでいる村にやってきました。
そうして、ここならばとおもって、ある家のにわの竹がきにとまりました。
心ぱいやら、つかれやらのために、うとうとしていると、どこかの男の子がこん虫あみをもって、そっとそばによってきました。
「おもしろいとんぼがいるよ。とってやるからね。」
と、小さな弟にいいながら、げたをぬぎました。
パサッと、こん虫あみをかぶせました。けれども、竹にひっかかりました。おしゃれとんぼは、わずかのすきまから、こわごわやっとにげたしました。にげるひょうしに、足が二本おれてしまい、目だまにきずがついてしまいました。
いたむ足と目だまをおさえながら、あたりに気をつけて、とんでいるじぶんを、「あわれだな。」とおしゃれとんぼはおもいました。
そうして、はねが、目だつから、こんなにあわれなことになったのだと、気がつきだしました。
気がつくと、もう、じっとしていられません。すぐこのはねの色をあらいおとすことにしました。
そこで、きれいな川のきしにおりていって、はねを水につけました。
しばらく水につけてから、ジャブジャブとあらいました。いくらあらっても色はおちませんでした。あらうほど、あざやかな色になるようにみえました。
そばにあったとくさで、はねをこすりました。こすると色はとれました。とれるといっしょに、はねにあながあきました。
そこへ、一ぴきのががとんできました。
がは、あつぼったい、こげ茶色のはねをしていました。そのおちついた、ひんのいい色におしゃれとんぼは、おどろきました。
「とんぼさん。なにしているの。そんなにしちゃ、だいじなはねがいたむわ。」
「——」
「やけになっちゃ、はねがなくなるわよ。」
「でも、もう、こんな色のついたの、いらないわ。」
「そんなにしなくとも、きえるわ。」
「どうしたらいいの。おしえて。」
「どうするって、そめものやさんにたのむのよ。」
なるほどと、とんぼはおもいました。このことばをきいて、いままで目もくれていなかった、いなかものくさいがが、にわかに、かしこい、えらいものにおもわれました。
「ほんとうに、そうだったわ。さっそく、そめものやさんのところにいって、そうだんしましょう。ありがとう。」
こうおれいをいって、おしゃれとんぼは、おそるおそる空をとびました。
大きなやんまが、おしゃれとんぼをふりかえって、「わははは」と大声でわらうのが聞こえました。
おしゃれとんぼは、はずかしくなりました。からすが、カアカアとないていても、びくびくしました。
ようやく、そめものやさんのところにつきました。
「ごめんください。たのみます。」
と、大きな声でいいました。
「あ、とんぼさん、いらっしゃい。こんどはどのように、そめますか。」
と、そめものやさんがききました。
「いや、いや、もう、そめるんじゃないわ。」
「すると、どうなさるのですか。」
「このはねをもとのようにしたいのです、このそめもようをけしてほしいのです。」
「——」
「けすことができるのでしょうか。わたしは、もう、いのちにはかえられません。どうか、あなたの力で、このもようをとってください。」
おしゃれとんぼは、手をあわせるようにして、たのみました。
そめものやさんは、おちついた声で、
「では、あなたのいうように、もようをとってあげましょう。」
といいました。
「とることができるの。」
「できますとも。」
おしゃれとんぼは、安心してむねがきゅうにいっぱいになりました。
「どうぞ、こちらへ」
らす暗い仕事場にはいっていって、いすにこしかけました。
そめものやさんは、すこしくさい水のはいったびんをもってきました。
それをまっ白なふでにふくませてから、とんぼの右のはねにぬりました。ぬるかたはしから、もようの色が、きえてなくなりました。
右のはねがすっかりきえてしまうと、こんどは、左のはねにくすりをぬりました。
「はい、これできえました。」
おしゃれとんぼは、かがみの前にいって、はねをひろげてみました。はねは、すこしの色もついていませんでした。氷のようにすきとおり、セロハンのようにきれいになっていました。
すずしげな、きよらかな、じぶんのもとのはねをじっとみていると、おしゃれとんぼの目だまから、大つぶのなみだが、ぽとぽとながれてきました。
なみだもぬぐわないで、かがみにうつった、じぶんのはねに見とれていました。
題 材 手紙を書きましょう
一 この題材をとったわけ
思うことを相手に伝えずにはいられなかった。その欲求が、やがて、文字・ことばを覚えるにつれて、話の形の文を書くようになった。そうして、「手紙ごっこ」や「ポスト遊び」や「ゆうびんごっこ」を喜んでやってきた。これは、思うことを、文に書いて、それを読んでわかってもらう喜びであった。そこに、すでに手紙の出発があった。
2 児童の生活中にも、手紙を書く必要に出会う場合は、かなり多い。聞くこと、話すことの言語活動が、児童の生活と切り離すことができないのと同様に、文章によって、児童が他人と交渉をする機会もまた、生活のさまざまな場面にあらわれてくる。たとえば、病気の友を見舞ったり、誕生会に父兄を招いたりする手紙は、児童たちの生活の必要から生れたものである。この必要に応ずる能力を高めていくことがたいせつである。
3 児童の生活は、さらに一歩一歩と社会的な広がりをみせていく。社会的によりよく生きるために手紙を書く必要が起ってくる。社会科の学習や、学級行事が、一般的な社会生活にふれてくるようになると、問合わせの手紙とか、注文の手紙とか、礼状とかが必要になってくる。そういう要求に応じた効果的な手紙を書くにはどうしたらよいか。これは、四年生の児童の新しい課題となる。
4 たとえば、いま、社会科の見学を終って、その整理と反省をしようとしているとする。礼状を書くという生活の必要の場にたっているとする。この機会に、これまでに経験してきた手紙に対する考えを、整理し、反省して、いま、したためようとしている手紙を効果的に書くことは、時機を得た処置である。そうして、そこから、手紙に対する態度なり、技能なりを養い、みがいていこうとするのである。
この学習では、次のような目標が考えられる。
2 手紙には、どんな種類があるかということがわかってくる。
3 手紙を書く必要と、手紙の種類・形式との関係がわかるようになる。
4 読んでよくわかる手紙は、どんな条件を備えているかがわかるようになる。
5 手紙がよく読めるようになる。
6 手紙文の形式をよくのみこんでいて、要点を読み落さないようになる。
7 手紙を読んで、すぐどんな返事を書いたらよいかがわかるようになる。
8 実用的な、要求に応じる礼状の書き方を覚える。
9 表書きとか、裏書きなどの形式を身につける。
10 社会生活に、手紙がどれほどたいせつであるかを、よく理解することができる。
(1) 手紙の種類。
(2) 手紙の形式。
(3) 書き方のじょうず・へた。
2 手紙文の読み方を調べる。
(1) 手紙文の形式。
(2) 要件のとらえ方。
3 手紙文の書き方を調べる。
(1) 手紙文の形式的な書き方。
(2) 要件のはっきりした文を書く要領。
(3) 表書きや裏書きの要領。
(4) 書くときの心構え。
2 これまでに書いた手紙の下書き。
3 各種の手紙文。(文集または教科書教材)
4 手紙文について書いた参考書。
5 封筒・びんせん・はがき・切手の見本。
(1) 礼状を書く必要について話し合う。
(2) どんな心構えで書いたらよいかを話し合う。
(3) これまでの手紙とどういう点が違うかを考える。
(4) これまでの手紙を持ち寄って、整理してみることを話し合う。
2 持ち寄った手紙を調べる。
(1) 持ち寄った手紙に目を通す。
(2) 種類の分け方を話し合って決める。
(3) 調べた結果を発表し合う。
(4) 学級全体をまとめて、黒板に分類図表をつくる。(どんな種類の手紙が多いか。)
(5) 調べたことをまとめ、次のことを話し合う。
(ロ) その生活は、各自の生活、学級生活が主である。
(ハ) 手紙にはだいたい決まった形がある。
(ニ) 必要に応じて、封書とはがきとを使い分ける。
(ホ) 簡明に書いてあるのはよくわかって、役にたつ。
(ヘ) 感情のこもったものは、親しみを感じる。
(1) いろいろな手紙文を読む。
(ロ) 見舞文。(病気の友へ、病気の先生へ、病気のおじさん、おばさんへなど)
(ハ) 近況報告の文。(休暇中の友へ、先生へ、転校した旧友へ、親せきの人々へなど)
(ニ) 通知の文。(誕生会に招く、運動会に招く、祭に招くなど)
(3) その要点が早く読みだせるようにする。
4 見学の礼状を書く。
(1) どんな内容が必要かを話し合う。
(2) 書き方をどうするかについて話し合う。(封書にするか、はがきにするかなど。)
(3) 手紙を書く。(家庭で書いてもよい。)
(4) 書いた礼状を発表し合い、よいのを選ぶ。
(5) 上書きをして発送する。
5 手紙のたいせつな意味と心溝えについて話し合う。
(1) 手紙の社会生活における必要性を理解する。
(2) 必要に応じて、気軽に、正しく書こうとする心構えをつくる。
(3) 社会的な実用に応する手紙は、今後どんな場合にその必要が起るかについて、いろいろと話し合う。
(4) 手紙を書くときの心構えについて話し合う。
2 手紙文を正確に読み取る力がどの程度にできたか。
3 各種の手紙文の書き方がわかったか。
4 返事のたいせつな意味と、その書き方がわかったか。
5 封書・はがきの使い分けと、それぞれの書式がわかったか。
6 礼状の書き方と、その実用性がわかったか。
7 手紙が生活(特に社会生活)にとってたいせつであるという意味が、どの程度にわかったか。
8 生活の必要に応じて、進んで書こうとする心構えがどの程度にできてきたか。
題 材 辞書を利用しましょう
一 この題材をとったわけ
2 文字・語いに対する知識を正確にし、かつ広めるためには、辞書を使用させることが効果的であるばかりでなく、ぜひ身につけさせなければならない技能の一つである。
3 辞書の研究やその作製によって、既習の文字・語いをある系統のもとに整理したり、新しく習得する文字・語いをその系統の中に組み入れることができる。したがって、この題材の学習で、文字や語いを興味をもって理解させることができるばかりでなく、知識や経験を組織だて体系づける能力を養うことができる。
2 辞書の使い方に慣れさせ、速く確かに利用できるようになる。
3 文字や語いに対する知識を正しくとらえ、さらに語いを広める。
4 簡単な辞書をつくることによって、文字・語いに対する関心を深め、その整理のしかたを覚える。
5 図書館利用の機会を多くもつようにし、できるだけ多くの図書を読むようにする。
6 辞書の利用によって起る興味を利用して、学習を自発的なものにし、学級あるいはグループ学習のために奉仕し、協力するようになる。
2 辞書について、文字・語いを調べる。
3 辞書のよしあしについて話合いをする。
4 辞書の使用法をわからせる。
5 学級のために、あるいはグループのために、辞書による調べ方をする。
6 教科書・作文・新聞・雑誌・看板、その他のことばあつめをして、こどもらしい辞書をつくる。
7 展示会・発表会などを催す。
8 図書館を利用して、読書する。
具体的には、この本の第八章の資料にあげられた辞書類。
3 日本の文字の構造、国語の特質などについて書いた文。(教科書、その他)
4 辞典類を児童の学習に使う場合には、教師は、細心の注意と準備とをもって、その選択・活用などについて指導することがたいせつである。
辞書選択の一般的な基準として次のようなことが考えられる。
(1) 記載のしかた、語い・さし絵・説明のしかたなど、すべて児童にわかるようにしたもの。
(2) 製本・ていさい・組方・そうていなど、すべてよく吟味してあること。
(3) 文章は、すべて、児童の生活言語によって表記され、表記法が統一されていること。
(4) ことばの定義、意義などが、正しく、また要を得ていること。
(5) できるだけ、用例によって説明されていること。
(6) 図・絵などによって、たやすく理解できるようにくふうしてあること。
(7) ひき方が簡単で、使いやすいものであること。
(8) ことばの構造や用法がはっきりと示されていること。
(一) 動機づけ(ここでは、動機づけのための三つの例を示す)
(1) 教師の予告によって、児童各自にできるだけ辞書をたくさんに持参させる。もちろん、教師も準備する。(この場合、図書室の辞書について調べさせておくのもよい。)
(2) グループごとに一冊以上の辞書が配られるようにする。
(3) 辞書について話合いをする。
(ロ) 同じ漢和辞典でも、著者により少しずつ違うこと。
(ハ) 国語学習において、主として使われるものは、漢和辞典と国語辞典であること。
(ロ) 部首索引とか、部首名称などについて調べ、総画でもひけることを理解させる。
(ハ) はしがきとか、凡例などを読み、辞書について、その性質をのみこませる。
(ロ) 調べたことをグループごとに発表する。
(ロ) かな書きのことばを早く調べるには、五十音図表がよくのみこめていなければならない。
(ハ) 国語辞典の組織・内容・利用法などについて調べる。
(8) ことばがわかっていても、どう書いたらよいかわからないときに、辞書を使う練習をする。
あるいはまた、書いた文字や語いが正しいか否かを調べる練習もする。
2 その二例(児童相互の話合いによって始める場合。)
(1) 自分から進んで読書したり、学習したりしようとするときに、どんなことに困るか、それについて話合いをする。また、その困ることをどのようにして、克服することができるかについて、話合いをする。
(2) 辞書の利用のしかたを勉強するために、どんなことを、どんな順序でやっていったらよいか、みんなで計画する。
(3) 以上のようなことは、児童会で決めたこととか、また児童が文字の読みとか、意味とかがわからなくて、ほんとうに困っているときの機会をとらえて、話題とすることが必要である。
(4) この話合いでは、
(ロ) 児童に自分たちのできることを計画させる。
(ハ) 計画を実行させる。
(5) したがって、学習の方法としては、
(ロ) グループごとに案をつくり、それを全体でまとめるようにするか。
(6) 児童の話合いでは、次のような事がらが予想される。
(ロ) グループごとに読書時間を設ける。
(ハ) 学級全体で、あるいはグループごとに読書発表を定期的に催す。
(ニ) 学校図書館とか、学級文庫とかの利用法。
(ホ) 図書・参考書を備える。
(ヘ) 辞書を備える。
(7) 児童の話合いから始まった場合には、前項に掲げた、教師の指示による場合のようなことは、作業展開の一部と考えることもできる。
3 その三例(辞書を中心とした小展示会を開催する。)
たとえば、前学年までの児童のつくった辞書・作品集・学級新聞・購入した辞書、あるいは、学習法の図解その他が、展示資料となるだろう。また、手分けして児童による簡単な解説・説明などが試みられれば、展示会をすることは、さらに効果をあげるであろう。
もちろん、展示会を催すについても、ある機会をとらえて試みることが考えられる。また、実行するまでには、
(1) どんな資料をどこから集めるか。
(2) 係をどうするか。
(3) 会場の組織をどうするか。
(4) 資料を借りる際のあいさつをどうするか。
(5) 展示会への招待をどうするか。
(6) 解説・説明をどうするか。
その他、いろいろな学習活動が予想され、その計画実行案についての話合いがなされなければならないだろう。
学習の動機づけとして、以上のように、だいたい三とおりのいき方を説明した。そのおのおのの学習の展開は、やはり違っていかなければならないだろう。次に示すのは、最初に掲げた動機づけからの展開として、いくつかある中から一つの例を取り出して試みたものである。
(1) 速びき競争をする(国語・漢語いろいろ取り混ぜて。)
(2) 教科書の文字・ことばを集めて辞書をつくる。
能力によって、「三年生のための辞書をつくろう。」とか、「四年生のための辞書をつくろう」とかいうように、グループを編成して、その学年の児童にわかるような辞書をつくらせることができる。もちろん、能力のある児童には、五年生のこれから学習する文字や語いについて調べさせ、それを全員に配るようにすることもできる。
(3) 街頭の看板・雑誌・新聞の文字や、おとなやこどもの話しことばなどを集めて、辞書をつくることができる。
(4) これからの学習において、疑問とすることばや不明な字句などを、前もって書き出し、調査班に調べてもらう。調査班は各グループ交替にやり、調べたことは、掲示したり、学級新聞に掲げたり、あるいは、印刷したりして全員に配るようにする。
(5) いろいろの辞書をつくる。たとえば、各グループごとに、方言・外来語・類字・動植物名・地名・人名などの辞書をつくる。
2 辞書作成についてのいろいろな直接経験を読書によって整理する。
(1) 辞書のつくり方、辞書の使い方、あるいは辞書のよしあしについて書いた文があるならば、今までの直接経験を整理する意味で読解する。
(2) 日本の文字の構造、国語の特質などについて書いた文(教科書)があったら、それをよく読む。
(ロ) 不明の字句や事がらについて調べる。
調べ方は、各自のものについて、めいめい調べることもできるし、グループごとにまとめ、能力に応じて協力しながら調べることもできる。また、能力別グループ学習を進めている学級ならば、進歩のおそいグループには教師がついて指導することもできる。
(ハ) よく文を読んで、自分たちの経験とにていることとか、新たに得た知識などについて、それを書き抜いたり、まとめたり、発表したりする。
(ニ) 文の特徴により、文の組立、順序などを調べて、自分の経験とか、意見などを作文として表現するときの参考とする。
(1) 学習経過を報告的に書く。
(2) 辞書使用のある特殊な場面や心持をとらえて書く。
(3) ことばあつめや、辞書製作のときのある場面やあるできごとを書く。
(4) 自分たちの経験を思い返し、教科書の文を読んで気がついたことを感想文のようにして書く。
4 発表会、展示会を催す。
(1) 各自、各グループでつくった辞書を展示する。
(ロ) 説明・感想を聞いて、質問・批評をする。
5 図書館を利用し、好きな本を選んで読む。
(1) 図書館のきまりをよく守って本を借りて読む。
(2) 著者・書名・ページ数・筋書・要項、辞書で調べた事がらなどを記帳しておいて、読書発表会のときの資料にする。
(3) 能力の弱い児童たちのためには、教科書の読書指導をしたり、程度の低い童話とか、動物物語などの珍しい話などを聞かせたり、読ませたりする。また、辞書のひき方競争などを指導する。
2 辞書を利用して学習をするようになったか。
3 辞書のよしあしがわかってきたか。
4 辞書が正確に、しかも速く利用できるか。
5 辞書作製に興味をもったかどうか。
6 辞書作製にくふうがこらされているかどうか。
7 図書館をよく利用するようになったかどうか。
8 日本の文字の構造(特に漢字の構造)や国語の特質がわかったかどうか。
9 類字・類語についてその違いがわかったか。
題 材 学校新聞を編集しましょう
一 この題材をとったわけ
2 児童は、自分たちの作文や創作・詩歌・ニュース・研究報告、その他の新聞に載ることに興味をもち、いろいろな形、きまざまな内容の文を読むことによって、読む力を広げ、知識を豊かにし、また新聞をつくる興味(記事となる文を書く興味)を増し、継続的研究の態度が養われる。
児童は、中学年のころから、すでに「学級新聞」や「壁新聞」をつくってきた経験があり、新聞の編集については、一応の理解と興味とをもっている。小学校の最高学年としての六年生は、さらに一歩を進めて、「学校新聞」に発展させ、しだいに本格的な編集に進ませるとともに、学校生活全体に関心をもたせ、自主的・建設的にそれを高めるように導くのである。
3 六年生の児童は、生活経験がしだいに広がり、学校・家庭から、社会のいろいろな問題について、たんだんと関心をもってくる。それらを「学校新聞」に反映させ、物事について正しく理解することや、批判的な、考え方を養ったり、真実を伝え、正論を主張し、社会的責任を高めることができる。また、記事の内容が多方面にわたるから、その選び方や、効果ある表現のしかたを学んだり、また、実際に新聞を印刷する技術を身につけ、できあがった新聞を学友や家庭に配ることによって、新聞編集の効果、新聞の社会的機能について理解させることができる。
新聞を協力して編集・発行することによって、児童に協同・友愛の精神を深め、自分の才能や個性を自覚させることもたいせつな面である。
2 新聞はどんな順序でつくられるかがわかる。
3 新聞編集の初歩的な技能を身につける。
4 人の話を聞いて、その要点をメモし、また、それをもとにして、文に再現することができるようになる。
5 新聞に載せる記事の種類を知り、それぞれの内容や表現に応じ、それを早く効果的に読み取ることができる。
6 新聞を読んで、効果のある、よい記事を見分けることができるようになる。
7 読んだ記事について、感想や意見を書いたり、話したりすることができるようになる。
8 記事の見出しを人の目につきやすいように、くふうしてつけることができる。
9 編集しやすいように原稿が書ける。
10 決められた分量の中で、要領よく記事を書くことができる。
11 原稿を読んで、取捨選択し、また誤りを正したり、効果的に訂正したりすることができる。
12 いろいろなことばを理解し、語いを豊かにする。
13 いろいろな文の構造や表現についての知識が増す。
14 辞書の使い方や、参考書の読み方に慣れる。
15 新聞やラジオ放送を注意深く読んだり、聞いたりする態度ができてくる。
2 学校新聞をつくることについての話合い。
3 係を決めて、仕事を分担し、協力して、それぞれの仕事を進めていく。
4 学校新聞に載せる記事を書いたり、それを編集したりする。
5 できあがった新聞を読んで感想や批評を述べ合い、さらに、よい新聞をつくっていく。
6 つくった学校新聞の展示会をする。
2 児童向きに編集された新聞および児童が今までに編集した「学級新聞」「壁新聞」の類。
3 辞書・参考書。(単行本・雑誌)
新聞に関係のある内容を表現したもの。
4 ニュース資料。
ラジオの放送内容、毎日の新聞の切り抜き。
5 新聞を印刷するための用具。
謄写版とその付属品・用紙など。
(1) 読んだことのある新聞の種類。
(ロ) 新聞を読んでの感想。(関心と興味、新聞の社会的機能をどの程度理解しているか)
(ロ) 学級新聞を編集してみて気のついたこと。(反省を中心として)
2 新聞について話し合う。
(1) あらかじめ、いろいろな新聞(特に児童向きの新聞)や、その切り抜きを教室に掲示し、自由に見せておく。
(2) 新聞について話し合う。
(ロ) ふだん、どの程度に新聞を読んでいるか。
(ハ) どんなところを読むか。
(ニ) 今まで読んだものの中で、どんなことがおもしろかったか。また、ためになったか。
(ホ) 新聞は、世の中で、どんな役割をしているか。
(ヘ) 新聞は、どのようにしてつくられるか。だれがつくるか。
3 新聞についての、関心や興味を深め、学習の動機づけをする。
(1) 新聞についての展示会を開く。
新聞がつくられるまでの順序を示した図表、その要所要所を示す絵や写真、印刷機や印刷の場面の写真、各種類の新聞の実物、昔の新聞と今の新聞、各欄の記事をくらべて分類した表など、いろいろな資料を集めて展示し、それを見ながら話合いをする。
(2) 新聞社・印刷工場・発送部などを見学する。
4 新聞について書いた資料を読む。(教科書その他)
(1) 新聞の読み方について書いた文。
(2) 新聞の編集について書いた文。
(3) 新聞社の見学について書いた文。
(4) その他、新聞について書いた文。
5 学校新聞をつくる計画をたてる。
(1) 計画について話し合う。
新聞への関心や興味を、学校新聞をつくろうとする方向に向ける。
(ロ) よい新聞のもつ性格をはっきりさせる。
記事に変化のあること、読みやすいこと、おもしろくて役にたつこと、編集が効果的であること、記事が新しく、正確であることなど、学校新聞の立場で具体的に理解させる。
(ハ) どんな記事や読み物を載せるか。
(a) ニュースや通知。
○家庭・学校・社会でのおもなできごと
○学校から家庭ならびに児童への通知
○学芸会・運動会・遠足・展示会、その他種々の会合や行事の予告や結果の報告
○くふう創作によってできた機械器具など工作品の解説
○雨量・温度・天候、その他長期にわたる観察・統計の報告
○科学的な研究報告
○読んだ本の紹介や感想・批評
○学習の方法について考えたことや、自分でつくった問題
○その他の調査・研究した事がらの報告・感想
○物語・創作・詩歌など文芸的なもの
○音楽・美術・その他芸能に関するもの
○運動・保健・衛生に関するもの
○写真・さし絵・漫画・広告など
○時期に応じた特集記事
○ことばづかい・遊び方、あいさつのしかた、そうじのしかた、食事のしかたなど、学校内外における児童の反省を主としたもの
○季節的な運動、社会行事(交通安全週間、防火デーなど)に関すること
○児童会やクラブ活動などに関連したもの
記録係の児童は、話合いで決まったことを記録していく。
記事を多方面から取ることに注意を向けさせ、話合いの要点をまとめて書くこと、いろいろな語句を理解して語いを広げることに留意する。
教師は適当な示唆を与えながら、以上のように分類整理させる。記録係以外の児童も決まったことを書き取っておく。整理したものは係が表につくり、教室へ掲示しておく。
(3) 新聞編集の仕事をどんな順序でどのように進めるか。
この問題について、めいめい研究する。
(ロ) 仕事の順序や、仕事の分担について考えをまとめ、要点を記録しておき、次の話合いの準備をする。
(ロ) 記事や読み物などの集め方。
(ハ) 広告のとり方、載せ方。
(ニ) 投書や応募作品の処理のしかた。
(ホ) 発行の回数。(週一回か、隔週か、月二回か、あるいは三回か)
(ヘ) 印刷の方法・費用、その他。
(ト) 必要な係と、仕事の分担。
また、朝会その他、全校児童の集合(主たは児童会)の機会に報告し、協力を求める。
6 学校新聞をつくる。
(1) 記事を書く。
用意した材料で、それぞれ分担して記事を書く。
(ロ) 見出しのつけ方には、特に気をつける。
(ハ) むだを省いてやさしく、わかりやすく簡単に書く。
(ニ) 必要により、さし絵やカットもかく。
(ホ) 編集係に提出する。
編集係は、毎月、または毎学期交替し、一年間には、学級の全員がこれにたずさわるようにする。
(a) 紙面の割付をどうするかを決める。
(b) 集めた原稿を整理して、使える原稿にする。
(c) どの記事を大きく出すか。何をどこに載せるか、どんな絵を入れるかなどを決める。
(ロ) 原稿を訂正し、見出しをくふうし割付をする。
鉄筆の使い方、字づめと行数の関係に注意する。
(ロ) 謄写版で印刷する。
謄写版の扱い方・すり方を学ぶ。
7 学校新聞を読む。
(1) めいめい自由に読む。
(2) 読んで気づいたことをメモしておく。
(3) 記事のふめいりょうな点などについて、質疑応答をする。
8 学校新聞の批評会を開く。
(1) 新聞全体についての感想と批評。
(2) よいと思う記事、効果の少ない記事。
(3) 記事の表現のしかた。(見出しのくふう、文の表現、表記法、誤字・脱字など)
(4) カットやさし絵などの入れ方。
(5) 印刷の鮮明の度合。
以上のような問題を中心に、編集や印刷の係の反省と、読者側の意見を交互に織り混ぜて話合いを進める。
教師は、適当に指導し、さらによい新聞をつくろうとする意欲を起すようにしむける。
(1) 個々の児童の発言は正しいか。要点をつかんで発表できるか。
(2) 要点を聞き取り、それについて意見を述べることができるか。
2 話合いの結果を記録することができるか。
児童の記録したノートを参考資料として判断する。
3 新聞記事として表現力がすぐれているか。
(1) 題材のとらえ方がよいか。
(2) 表現のしかたが正確か。
(3) 文字の書き方が正しいか。
4 新聞編集についての興味や関心が深まったか。
5 新聞を読む態度や能力が高まってきたか。
学校新聞を読んでの感想や意見の状態および、一般新聞を読む分量・能力・態度。
6 辞書・参考書を使用する能力が養われたか。
7 集団的な仕事についての理解や態度ができてきたか。
2 編集その他の係は、毎回交替し、全児童がすべての経験をうるように計画をたてる。
3 発行ごとに批評会を開き、新聞に対する理解と関心を深め、言語の諸活動を伸ばしていくようにする。
4 新聞は第一号からたいせつにとじこみ、進歩の状態を具体的に自覚するようにしむける。
5 他校または他の学級の新聞と交換して読み合い、参考にする。
6 最初は、ある学級全員または、各学級から出てきた委員で、全員新聞記事の原稿を書くが、第二回以後は、なるべく自由投稿を主としていくようにする。