第二章 国語科の内容

 第一章で述べた国語科の目標を達成するためには、国語科には、どのような内容があるか、このことを明らかにするのが、この章のねらいである。

 国語科は、児童の言語経験を通じて、ことばの働きを身につけさせていくことを目ざしているのであるから、国語科の内容としては、ことばの働く場面と機会の上から、おもな言語経験を中心に考察することが望ましいことになる。

 

第一節 おもな言語経験にはどんなものがあるか

一 聞くことの経験

二 話すことの経験 三 読むことの経験 四 書くことの経験  以上はごく一般的な言語経験のおもなものをあげてみたのであるが、それぞれの地域における現実の生活には、さらに多くの興味と価値のある言語経験をあげることができよう。

 

第二節 言語経験の具体的な機会にはどんなものがあるか

 のように、児童の現実の生活の場に、社会的に重要な言語経験を見いだしていって、その経験の中に、国語科として望ましい態度と技能とを育てていかなければならない。次に、右のような価値のある言語経験を与える機会には、どんなものがあるか考えてみよう。

 以上は、ごくおもな言語経験の機会を掲げたもので、学校という社会生活の中に、価値ある言語経験を与えていく機会は、このほかに、いくらも見いだされるであうう。

 

第三節 言語経験を計画的に与えていくにはどうしたらよいか

 児童に言語経験を与える機会は、右のように、学校生活のあらゆる面において、豊富に見いだされるが、教師は、そうした面に心を配って、積極的に、これを国語科の目標達成のために利用しなければならない。たとえば、国語の時間はいうまでもなく、他教科の学習の時間とか、特別活動の時間とかを利用して、図書室の利用とか、研究や依頼のための訪問とか、研究の報告とか、発表とかを組織的に計画して、これを教室の中に持ち込み、国語としての独自の学習指導を展開していくのである。

 が、言語それ自身は形式であって、内容あるいは題材なしの言語経験は考えられない。児童は、常に何かの事象について、耳を傾け、話をし、本を読み、文を書くのである。したがって、国語科としての学習指導を計画するには、教師は、まず、児童がどのようなことを聞きたがり、話したがり、読みたがり、書きたがっているかについて知っていなければならない。もちろんそれは、児童の中から、発達の段階に応じて選ばるべきであることはいうまでもない。が、これについては、次の第三章において、具体的に考えてみるつもりである。

 いずれにしても、このような言語経験の機会をできるたけ多く与えることが、国語科の目標とする好ましい習慣と態度を養い、技能と能力をみがき、知識を広げ、理解と鑑賞の力とを増し、国語に対する理想を高めていく上に必要なことである。