高等学校の教科・科目・授業時間数および単位数の基準は,次の表のとおりである。
高等学校の教科・科目・授業時間数および単位数表
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(1)国語(甲)一般社会・保健・体育
(2)社会(一般社会を除く)・数学・理科のそれぞれの教科において生徒の選択する各一科目
(b) 学校は週当り30ないし38単位時間(1単位時間は50分とする),年35週以上,すなわち毎年1,050単位時間以上1,330単位時間以内を教科および特別教育活動の指導にあてなければならない。
最低は週当り30単位時間であるが,できれば週当り33単位時間以上とすることが望ましい。定時制の課程においては,年1050単位時間を下ることができる。
(c) 職業課程においては,必要な場合に,適当な時間数の実習を85単位外に課し,またはこれを週38単位時間をこえて課することができる。
(d) 職業課程においては,備考(a)に示すもの以外に履修する社会,数学および理科の単位数を必要に応じてこの表に示す数よりも減少させることができる。
(e) 教科別総時間数の欄のかっこ外の数字は,教科ごとの3年間に授業すべき総単位時間数を示しかっこ内の数字はそれだけの時間の授業をした場合の教科の単位数を示す。
(f) 学年別の例の欄のかっこ外の数字は,各学年においてそれぞれの教科を指導する単位時間数を表わし,かっこ内の数字は,それだけの単位時間数の授業をした場合の教科の単位数を表わす。
この表の備考に示されたこと以外に,なお教育課程の運営上必要と考えられる注意事項を次に述べてみよう。
(1) 時間数,単位数
高等学校では,生徒の履修する科目の課程を計算する方法として,単位制を採用している。この計算は,週当り2単位時間,年70単位時間の授業を行う場合は2単位というようにする。学校ではそれぞれの科目について定められた単位数の授業を行わねばならない。1年間に3単位,5単位というふうにまとめて履修することになっている科目を,2年間ないし3年間に分けて学習させることは,まとまった経験を生徒に与えようとする趣旨から考えて,望ましくない。
生徒がある科目を履修した結果が,その科目の目標からみて,満足できるものであれば,その科目について定められた一定の単位が与えられる。この単位が一定数与えられたときに卒業が認められる。
(2) 教科,科目,必修,選択
中学校においては,教科の大部分が必修であるが,高等学校の場合は,青年後期の発達段階に応じて,教科をさらに多くの科目に分け,それが自由に選択できるようになっている。しかし,青年に共通に必要とされる最低限度の教養を確保するために,国語(甲)9単位,一般社会5単位,保健体育9単位,計23単位,および一般社会以外の社会の1科目5単位,数学の1科目5単位,理科の1科目5単位,計15単位をそれぞれ選択して,両者を合わせて38単位を学校種別や普通課程,職業課程の別を問わず,すべての生徒は必ず履修しなければならない。
高等学校を卒業するためには,生徒は右の必修38単位の外に,自己の必要や能力や興味に応じて,47単位の科目を選択し,3年間に合計85単位以上を履修しなければならない。しかし一定の専門的,職業的な知識,技能の履修を目標とする生徒に対しては,学校はここに述べた必修38単位のほかに,それぞれ専門の科目を必修として課することができる。(その詳細については「普通課程と職業課程」の項で説明する。)以上の必修科目以外については,生徒は学校が設けるどの科目を選択してもさしつかえない。したがって,学校としてはできるだけ多くの選択科目を設けて,生徒の必要に応ずるよう努めなければならない。
単位制によると,従来1科目だけに失敗した生徒が1年間原級にとどまってもう1年間,合格の成績をとった他の科目を含めて,全科目のやり直しをやったようなことはなくなる。合格しなかった科目だけをやり直せばよいのであって,他の合格した科目については単位が与えられる。したがって学校の時間割が選択別によってうまくつくられて,3年間にとりもどすことができるならば,3年間で卒業することができる場合もあるわけである。
なお,定時制の課程にあっては,生徒の全部が必ずしも卒業を目標としているとはいえない。特定の科目だけを履修する生徒もあろうから,学校はその希望に応ずることが必要である。しかし,被服や仕立やタイプライタなどの技術関係の科目ばかり履修させないで,必修の普通科目の一部をも履修させるのが望ましい。
国語(甲)は,毎学年3単位ずつ計9単位を,3年間にわたって必ずとらなければならない。国語(乙)や漢文をとる場合には,卒業までに2単位だけとっても4単位とっても,6単位全部とってもどちらでもよい。最初の2単位を第2学年,または第3学年でとってもさしつかえない。
一般社会科は,必ず第1学年で5単位をとらなければならない。社会科に属するその他の科目のうち,どれか1科目5単位は,第2学年または第3学年で必ずとらなければならない。一般社会科のほかに,2科目以上とることは自由である。
数学科と理科に属する科目は,それぞれ1科目5単位を必ずどの学年かでとらなければならない。それぞれ2科目以上とることは自由である。
保健体育科は,毎学年3単位ずつ計9単位を必ずとることが要求される。そして3年間にさらに2単位を増して11単位をとらせるようにしてもよい。いずれにしてもこの中には,保健2単位が含まれねばならない。
芸能科に属する科目は,すべて選択であるから,国語(乙)や漢文の場合と同じように単位をとってもよい。
家庭科に属する科目では,第1学年に一般家庭がある。一般家庭7単位は第1学年か第2学年でとることになるが,7単位のうち5単位は学校で学習し,2単位は家庭実習として課することが望ましい。一般家庭以外の科目を学習したいものは,第2学年と第3学年で家庭科に属する科目の中から,選択することは自由である。この場合,この基礎として一般家庭を少なくともまず7単位選択するように指導されたい。
外国語を2種類以上学習することはさしつかえないが,単位の合計が15単位を越えると,越えた部分は単位として計上しないことになっている。これは外国語に限らず,それぞれの科目に定められた単位数を越えて学習しても,越えた部分には単位は与えられない。
これらの選択科目を履修する場合は,従来のように同一の生徒が常に同一の学級に属するということはなくなり,学年の違う生徒がいっしょに授業または指導を受けるような場合もあるであろう。
学校によっては,教員数・教室数・設備その他の関係から,生徒の科目選択に対するすべての希望をいれることが困難な場合も起るであろう。しかしかような場合でも,なるべく生徒の希望を満たしうるように,学校は準備するのが望ましい。
科目の選択は,生徒および両親とじゅうぶん相談の上決定するのが望ましい。そのためには,両親にも選択制と単位制とをよく理解させ,それぞれの科目について他科目との関連,生徒の将来の進路による必要性などをよく知らせておくことが必要であろう。これは入学の初めに行うほか,毎年度末に行うのがよい。年度末にそれぞれの生徒と相談するのは,ホームールーム担当教師の仕事にするのがよいであろう。
(3) 普通課程と職業課程
高等学校には,普通教育を主とする課程と,職業教育を主とする課程とがある。前者を普通課程,後者を職業課程と呼ぶ。職業課程とは農業・工業・商業・水産・家庭枝芸などをいっそう広く深く専門的に学習し,卒業後,それを自己の職業として選択しようとする生徒によって選ばれる課程である。職業課程を選ぶ生徒は,普通課程における必修の単位のほかに,職業関係の科目を最低30単位とらねばならない。たとえば機械工作作業に従事したいという希望と適性を有する生徒が,学校が編成した計画に従って,85単位のうちで,機械実習15単位,機械工作5単位,製図5単位,設計3単位,電気一般2単位,計30単位を履修した場合,この生徒は機械課程を終了したといわれる。職業関係の他の教科についてもこれと同様なことがいえる。商業に関する課程においては,商業に関する科目を30単位以上履修しなければならないが,その中に外国語と商業外国語とを合わせて10単位以内を合わせてもよい。なお,詳細は職業関係の各教科の学習指導要領を参照されたい。
職業課程修了の基準とされる30単位は,最低であるから,学校は30単位を越えて課してもよいのであるが,あまりに多くの単位を生徒に要求することは,生徒の過重負担となるから注意しなければならない。そして職業課程の生徒も85単位が卒業の最低の条件であることを忘れてはならないのである。
また,実習の時間が不足する場合は,85単位のほかに実習を課することができる。しかしながら,これによって,特別教育活動の時間がなくならないように注意しなければならない。なお職業課程にあって,職業教育上の必要から38単位の共通必修科目に加えて,さらに社会・数学・理科を課する場合には,これらの科目の単位数(いずれも5単位)を減じて課することができる。
また職業課程にあっては,実習にあてられた単位の7割までは,現場作業にふり向けることが認められる。現場作業に単位が与えられるのは,その現場作業がそれぞれの職業課程の学習指導要領に規定されてある実習の一部と認められる場合に限られるのであって,生徒が入学前に行ったものや,また学校で生徒が履修している職業課程に直接関係のない現場作業について単位が与えられるためには,その作業が教育的に価値のあるものでなければならない。生徒が自己の従事している仕事の技能に習熟してしまい,これを機械的にくり返しているのでは教育的な価値は少なくなる。したがって,現場作業において,生徒の技能がこのような段階に至ったならば,もはや単位は与えられないことになる。
(4) その他特に必要な教科
さきにあげた教科・授業時間数・単位数を示す表の最後に,「その他特に必要な教科」という欄がある。これは,次のような趣旨によるものである。
高等学校の科目は,国語・社会・数学・理科・保健体育・芸能・家庭・外国語・農業・工業・商業・水産・家庭技芸の13教科に属する科目からなりたっているが,なおこのほかに,ある特定の高等学校で,その学校の教育の目的や目標を達成するために,特に必要であって,しかもこの表に示されていない科目もあるであろう。たとえば音楽に関する専門教育を主とする学校があるとすれば,その学校では,音楽史・作曲・器楽などという科目をおそらく必要とするであろう。また,私立学校で宗教についての科目を設けたい場合もあろう。これらの学校においては,その必要とする科目を設けることができるのである。「その他特に必要な教科」というのはこれらの教科をさすのである。この場合これを履修した生徒に対しては,所定の単位が与えられ,これが卒業に必要な85単位のうちに含まれることはいうまでもない。しかし,茶道・生花などのように,クラブ活動にふさわしいような科目を設けたり,入学試験準備に悪用したりするようなことは注意しなければならない。
(5) 道徳教育
道徳教育についての一般的な考え方は,小学校のところで述べたから,これを参照されたい。ここでは,高等学校として特に注意すべきことを簡単に述べておこう。高等学校生徒になると,道徳の原理的基本的問題について考えようとする傾向が生れる。そこでこのような必要に応ずる学習の機会が与えられるように配慮する必要がある。しかし,一方,この年令の生徒は,ややもすると観念的に走りがちであるから,行動がこれに伴うよう,その生活指導のすべてをいっそう組織的に行うことが必要である。なお道徳教育の具体的なやり方については,近く文部省から発行されることになっている「児童生徒が道徳的に成長するためにはどんな指導が必要であるか」を参照されたい。
(6) 特別教育活動
前にあげた表のなかには,単位の与えられない特別教育活動については示されていないが,これは決して単位外の活動を軽視したためではない。特別教育活動には単位は与えられないが,しかしそれは教科の学習では達せられない重要な目標をもっており,高等学校が,新しい教育に熱意をもっているかどうかは,この特別教育活動をどのように有効に実施しているかどうかによって,察することができるといえよう。教科の学習に重点をおき過ぎるあまり,特別教育活動が軽視されることのないように注意しなければならない。
特別教育活動の時間としては,週あたり少なくとも,ホームールーム1単位時間,生徒集会1単位時間,クラブ活動1単位時間をとることが望ましい。したがって高等学校では年35週として,週あたり教科の学習30単位時間と特別教育活動の3単位時間を加え,少なくとも33単位時間としたい。ホームルーム・生徒会・生徒集会・クラブ活動のそれぞれについては中学校の項(35ページ以下)を参照されたい。